キャストリアに転生したが原作を壊してしまった   作:霧ケ峰リョク

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すみません、大分お待たせしました。
Switch2の新作に夢中になってたらPCがぶっ壊れたり推してた配信者が引退したりしてかなり気分が落ち込んでいました。
気分が滅入るとちょっと、かなり書けなくなりますね…………。


準備期間

 はっきり言って真っ当な手段じゃ強くはなれてもツナに対抗する事は出来ない。これはビーストという存在の特性上、仕方ない話でもある。

 かといって真っ当じゃない方法を使っても勝てるわけじゃない。(トゥリニセッテ)全ての力を引き出して一個人に集約させたとしても今のツナには届かない。

 この世界で産まれたものでは彼には通じない。

 ならどうしたら勝ち目を手繰り寄せる事が出来るのか――――この世界に無いのならこことは違う世界から持ってくれば持って来るしかない。

 

「なんかすっげーでっかい魔法陣書いてんのな」

 

 ボンゴレのアジトから外に出て一人黙々と作業している私を見て山本が呑気な声を出す。

 他の皆は興味深そうにしてこっちを見ている。特に術師である骸やクローム、幻騎士は使っている幻術が魔術寄りの異能だからなのか、他とは違った意味での興味だろう。研究者の入江正一や学者肌の獄寺も別の意味で興味深そうにしているけど。

 

「前やったやつとは違うんだな」

 

 唯一ここに居る中で興味が無いのは山本くらいだろう。

 興味があると言えばある。ただ山本は前に見た事があるから慣れているだけだ。

 尤も、今回やるのは前回のそれとはかなり違うが。

 

「そうですね。以前、山本に見せたのはあくまで記録だけでしたからね」

「おい。山本は知ってるかもしれねぇがオレ達は知らねぇんだ。二人だけで話を完結させてるんじゃねぇ。オレ達は今何がどうなってるのかも把握出来てねぇんだ。時間が無いのかもしれねぇのは分かる。それでも納得出来なくても良いからちゃんと話してくれ」

 

 山本の言葉に返事をすると獄寺が割り込んでくる。

 確かに説明しなくちゃこれからやる事、冠位家庭教師戦線の意味を理解してないと地獄を見る。

 いや、説明しても地獄を見るには変わらないけど。

 

「分かりました。なら一通り説明しようと思います。ツナの目的やその為に取るであろう手段も憶測にはなりますけど。そしてそれに対する対抗手段も」

「十分じゃないか? 魔術においてオレより優れてるのはあんたぐらいしか居ないし、そのあんたの憶測なら十中八九あいつが至った解答で間違いない」

「…………忘れたんじゃなかったんですか?」

「忘れろ」

 

 一人遠くで見ていたオルタはそう言って私から視線を外した。

 分かってはいたけど、オルタになってもツナはツナだ。

 もし、状況が違えば彼はオルタとして呼ばれなかった筈だ。現実という絶望に何度打ちひしがれても、信念も誇りも裏切る事になってもそれでも前を向いて戦う王として。

 でも、ここに居るのは冷酷非常に振る舞うしかなかった王としてのツナだ。

 本当、最善の選択として彼を選んだのかもしれないけどもう少し彼に優しくしてやれよ。

 私に言う資格は無いんだけどさ。

 

「…………先ず、ツナの目的は新たな惑星へと新生し、この星の人類を宇宙へと旅立たせる事です。ここはツナ本人も言ってましたから疑いようの無い事実です」

「そんな事、本当に出来るのか? お前やオルタの反応から出来なくは無いだろうが、オレ達には到底理解出来ねぇ」

「結果だけで語るなら可能としか言いようがありません。ただ、それを実行するのは当然として幾つかの無理難題もクリアしなければなりませんから。ですがツナはその無理難題をクリア出来る魔法を持っています」

「…………第三魔法か」

「その通り。魂の物質化によって永久機関と化したツナは無制限にエネルギーを行使する事が出来る。加えて不老不死なんですから時間を操りまくっても死ぬことはありません」

 

 初耳だった情報が多かったのか、ミルフィオーレファミリーの人達が驚愕に目を見開く。

 

「えっ、何それ、不老不死に永久機関?」

「第三魔法の効果です。これによってツナは不滅の魂と無尽蔵の死ぬ気の炎を有しています。ただ欠点もあって肉体は壊れるし死ぬ気の炎の一度に出せる最大出力は前とそこまで変わってません。が、ビーストになった事でそれも解決しています」

「そういえばまだ羽化してないと言いましたが、もし完全に羽化した場合どうなるんですか?」

「一等惑星級の出力を持った無尽蔵のエネルギーを持つ不死の怪物が明確な意思を持って人類を滅ぼしにかかりますね」

「スケールの桁が違い過ぎる…………!」

「前にも言いましたがビーストは人類の手に負えない大災害ですからね。基本的にどうにかする方法はありません。具体的な方法としては彗星のような天体になって太陽系を脱出して、天体の内部に作った世界の中で新たな形になった人類に暮らしてもらうんじゃないんでしょうかね? 類似例はいくつかありますし、第三魔法は他者に使う事だって出来るんですから」

 

 ビーストの説明、というか今のツナが最終的にどうなるのかを聞いて白蘭、ユニ、桔梗は唖然とする。

 

「正直な話、あの時生き残れたのはツナが羽化前だったからです。次会う時はそう上手くはいきませんよ」

「…………だな。はっきり言ってアルトリアの言う羽化してない段階でもオレ達じゃ手に負えない怪物だ」

「とはいえ全く太刀打ち出来ないわけじゃありません。ビーストに太刀打ちする方法は意外とあったりします。一つは世界の抑止であるグランドサーヴァント、即ちそこに居るオルタです」

 

 再び注目が集まったオルタは視線に背を向ける。

 

「サーヴァント…………と、いうことは使い魔ですか?」

「一応はその分類に入ります。正直魔術のまの字も知らない貴方達に分かりやすく説明するのは難しいんですが」

「おい。お前が教えるって言ってんだろうが」

 

 ユニの問いになんと言ったら良いか悩んでいると獄寺が額に青筋を浮かべていた。

 

「全く知らない状態でそれを話すと専門用語が多過ぎて説明にも困りますしそもそも分からないことが多いんですよ。なので分かりやすく説明すると英霊というのは人類史に刻まれた英雄達の事であり、本来ならば使い魔として扱うのは手に余る代物です。山本は私の魔術で一度彼等の生前を見ていますから分かりますよね?」

「ああ、スクアーロとの戦いの前の修行中のやつな」

「あの時貴方に見せたのは宮本武蔵、佐々木小次郎、沖田総司、そして日本武尊の4人です」

「…………やっぱすげぇ人達だったんだな」

「ええ、彼等彼女等は凄い人達なんです」

「おいちょっと待て。今聞き逃せないことを言ってなかったか?」

「時間無いので聞き逃してください」

 

 土地の記憶を抽出して映像にしただけのものから対人魔剣を体得するに至った山本も凄いとしか言いようがない。

 でも意外だったのは性別だ。まさか武蔵ちゃんだったとは思わなかったし、ヤマトタケルも女の子だとは思わなかった。

 ノッブや沖田さんも居たし、本当に驚愕した。

 まあ、代わりに居ない英霊も居たのも驚きだった。セファールの襲来が無かったからアルテラが存在しないのは当然としてまさか彼、あるいは彼女とその関係者達もいないとは思わなかった。

 とはいえ、私がここに居る時点でそういうこともあるとは思ってましたが。

 

「そんな凄い人達が人間より上位の存在になり、特異な力を獲得したのが英霊、サーヴァントです。その戦闘力は相性にも寄りますがこの時代のミルフィオーレファミリーの総戦力を蹂躙出来ます。加えて神秘、この場合死ぬ気の炎を使わなければダメージすら与えられません」

「…………やべぇな」

「一国の軍隊すら蹂躙出来るのがサーヴァント、そんな強大な存在でさえ個人に対する兵器でしかありません。グランドサーヴァントはその上位、世界に対する兵器です」

 

 自分の説明は決して上手くはないがこれで伝わったと思いたい。

 

「グランドサーヴァントはその時代に現れたビーストに対する超克対象、有利に戦い弱点を突く事が出来る。オルタはツナに対して特攻が乗る存在です」

「確かにオルタ君の攻撃は綱吉君の鱗を簡単に貫いてたね」

「完全に羽化してしまった場合、7体のグランドクラスでしか抑えきれないしそれでも足りない場合もあります。が、グランドクラスには自分の霊基を、存在を削る事で出せる奥の手もあります。それを使えば私達でも勝負の土俵に上がれるようになりますね」

「それが当たらなければもう勝ちようもないがな」

 

 分かっている。

 グランドクラスの霊基を削った一撃は本当の本当に最後の手段。

 それも彼がグランドサーヴァントとしての責務を放棄し、冠位を返上しなければそれを使う事が出来ない。

 

「こいつ以外のグランドサーヴァントは居ないのか?」

「残念ですが7³があるせいでグランドサーヴァントは呼び出せないんです。アルコバレーノが守護者、グランドクラスに相当する存在でもあるので」

「ならアルコバレーノが復活すればツナを抑える事が出来るってことか」

「あー、それは無理です。今のツナはビースト化した上で大空のボンゴレリングを取り込んでるんでアルコバレーノでは絶対に抑えられません。(トゥリニセッテ)というシステム、そのバグともいえる存在になってますので対策もばっちりしてます。白血病で白血球が身体を攻撃するのと同じですね。しかもこれちゃんとこうなるって考えて実行してます、用意周到ですね」

「…………そこまで出来るんなら普段から勉強の方も頑張れよ」

「ツナ、学校の勉強は苦手でしたからね。逆に魔術は凄い得意でした」

 

 ボルサリーノを深く被ったリボーンに補足する。

 多分、魔術の勉強を頑張っていたのも未来の記憶を見ていたからでもあるんだろう。

 でもそれだけじゃない。

 

「元々ツナはこの時代で唯一英霊になれる素養を持った人でした。本来ならこの平和な時代でその素養が目覚めることは無かった。それを起こしたのが私で、貴方達が敵となって彼を成長させた」

「随分と皮肉な話ですねぇ。その英雄様が世界を滅ぼして、新たな世界を作り出すという悪役ムーブを自らやっているのですから。僕としては人類が滅びるのは欲望の果てに殺しあうものだと思っていたのに、現実は鼻で笑ってしまうような子どもが語る絵空事のような愛が世界を滅ぼすんですから」

「加えて宙からやってくるエイリアンという名の物体Ⅹの手で星が砕かれるという結末もありますよ。それを乗り越えてもこの星の寿命が尽きて緩やかに滅びるというのも待ってますが」

「いっそのこと世界大戦で滅びた方がマシなんじゃないんですかね?」

「馬鹿ですね骸。憎しみで世界は滅ぼせません。愛だけが世界を滅ぼすんです」

 

 残念だが憎しみというものは使えば使うだけエネルギーを使い、自身を壊していくものだ。

 それに対し愛は凄い。罪悪感なんて感じることなく良かれと思って行動するのだから。

 

「さて、長々と語りましたが以上が私達が戦って勝たなくちゃいけないツナの状況です」

 

 改めて皆にツナが何をしようとしているのか、今のツナを相手にするというのがどう言う事なのか伝わった事だろう。

 そしてこれからそのツナを相手に勝つ為には何が必要なのかも。

 

「そしてこれからそのツナを相手に勝つ為の方法を今から説明します。天文学的な確率ですし準備も必要な事も多いですが」

「それでもワンチャンはあるんだろ?」

「――――ええ、半年。ツナが羽化してORTがこの星に到着するタイムリミットを迎える前に、彼を調伏する為の手段を」

 

 周囲から急かされるような視線を向けられる中、私は口にする。

 

「簡単に言うと、貴方達にはこれから英霊になってもらいます」

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