キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
誰か書いてくれてもええじゃろ…………!
と、いうわけで続き書きました。
ティアキンやりたいけど我慢して書きましたよ、さぁ、イリヤ祭に行かなくちゃ。
「アンタが沢田の告白を受け入れるとはね」
教室にて外の光景を眺めていると、いつの間にか前の座席に座っていた級友の黒川花が話しかけてきていた。
いつも笹川京子と一緒に居るのに珍しい――――いや、あまり珍しくないか。
親友と一緒に居る事が多いだけで、常に一緒に居るわけじゃないのだし。
「意外でしたか?」
付けていたメガネを外して曇ったレンズを拭い、胸ポケットにしまう。
「意外っちゃ意外よ。あいつダメツナで有名だし。ところで眼鏡つけないの?」
「伊達眼鏡ですからね。正直必要無いものですし」
あまり視線を向けられたくなかったから魔術で効果を込めたものだが、残念な事に効果は薄かった。
「今までつけていたのは色々と煩わしかったからですから。それに、これからは付ける必要も無さそうですし」
「…………ああ、成る程ね。沢田の告白を受け入れた理由が分かったわ」
私の言葉を聞いて何を勘違いしたのか、黒川はコチラを見て「えげつない」と言わんばかりの顔をする。
妖精眼を使わなくても彼女の考えてる事が分かる。
とはいえ、勘違いされるのはあまり良くないから本当の事を言う。
「一つ言っておきますが、私はツナを防波堤にするために告白を受け入れたわけじゃありません。彼が勇気を出して告白したからです」
「…………そういやあんた。パンツ一枚で告白してきたなら考えてもいいって言ってたわね。あの言葉マジだったの?」
「マジです、ってわけじゃないんですけどね」
正直な話、あれは見知らぬ相手から告白されるのが鬱陶しかったから適当に言った言葉だった。
だというのに外的要因があったとはいえ、本当にして来るとは思わなかった。
「まあ、ツナならパンツ一枚にならなくても問題はなかったんですけどね」
「…………アンタ沢田の事好きだったの?」
驚いた顔で私を見る黒川に苦笑する。
「そうですね。少なくとも、他人を馬鹿にするような人達よりはずっと好きですよ」
そう言って視線を教室に残っている男子達、特にツナをダメツナとバカにしていた人達に向ける。
視線を向けられた人達は誰も彼もが私から視線を逸らしていたが、自覚があるならバカにするなんて真似するな。
「ツナは一緒に居て心地良いですからね」
「アンタの言い分だと沢田と結構一緒に居るみたいな感じだけど」
「言ってませんでしたっけ? 私とツナは小学校からの親友ですよ。よく一緒に遊んでいますし」
「マジか」
「マジです。今は恋人同士ですけどね」
私の言葉に黒川が更に驚いた顔をする。
本当に百面相ばかりするな黒川。見ているこっちとしては見ていて分かりやすいけど。
「なら何で猶更受け入れたのか分からないけど」
「彼の良いところと悪いところ全部知ってますからね。それに、悪いところは少しずつ直していけばいいだけですし」
正直ツナが自分に想いを寄せてるとは思いもしなかった。
親愛、友愛かと思っていたけれど、まさかの恋愛感情だったとは流石に気付けなかった。
私よりも良い人は沢山居るんだけどなぁ。まあ、好かれて嬉しいのは本当の事だ。
「――――そう、アンタが沢田の事が好きなのは十分に分かったわ。まあ私には分からないわね。沢田だけじゃなく、山本とかでキャーキャー騒いでいる連中とかもだけど」
「黒川の好みのタイプって確か…………年上でしたっけ?」
「そうよ。クラスの男子とか私から見れば猿にしか見えないわ」
黒川の発言に思わず苦笑する。
「やっぱり年上よ。大人の男が放つ落ち着いた雰囲気が良いのよ」
「年上だからって人の本性はそうは変わりませんよ。落ち着いているように見えるのだって本性を上手く隠す術を身に付けたり、抜け毛が多くなったとか小さな絶望を一つずつ積み重ねたからで」
「やめて、私の夢を打ち壊さないで」
「ただ、まああれですね。ツナからの告白。後日答えるとか考える時間が欲しいとか言っておけば良かったですね」
「ああうん。そうね」
黒川の夢を粉砕しつつ、窓の下を見下ろす。
「沢田ぁ…………ちょっとこっち来いやぁ…………!!」
「大丈夫大丈夫。痛いのは一瞬だから――――一瞬で殺してやるよぉ!!」
「いいやダメだ…………! コイツには生まれて来た事を存分に後悔させてやらなくちゃなぁ…………!」
「ひ、ひぃいいいいいっ!!」
ツナは一年の同輩と二年、三年の先輩達に囲まれてすっかり怯えていた。
「…………人ってあそこまで醜くなれるんですね」
詰め寄る男子達は全員が嫉妬と殺意に塗れており、本気でツナに危害を加えようとしていた。
妖精眼を通して見てもそこに嘘偽りは無いが、はっきり言って見るに堪えない。
渦中に居るツナは凄く怖いだろう。
やっぱり嬉しかったとはいえすぐに答えを出すべきではなかった。
「てか沢田の奴、マジでヤバくない?」
「一応保険はあるんですけど、流石に厳しそうですね」
「保険?」
「何でもありません。ちょっと手助けしに行きますね」
流石にこれは私のせいでもあるわけだし、彼氏が目の前でボコボコにされるのを黙って見ているわけにはいかない。多分大丈夫だとは思うが、世の中には絶対は無いしツナも傷付くだろうから。
そう思いながら窓から身を乗り出して飛び出ようとすると、突然ツナ達を取り囲んでいる連中の前に数人の男子生徒達が現れた。
「待て! ここは我等剣道部に任せてもらう!」
「連れて行け!」
「へっ、ちょっ! うわぁ!!」
剣道部員達に担がれ、ツナは何処かに連れて行かれる。
その光景に呆気に取られていると教室の扉が開き、別のクラスの男子生徒が入ってくる。
「剣道部の持田先輩とダメツナがアルトリアさんをかけて勝負するって――――!」
その言葉に教室の中に居た全員がザワザワと騒ぎ出す。
「えっ、誰?」
何故か景品扱いにされてしまった私の呟きは教室のクラスメイト達のざわめきに掻き消されてしまった。
+++
――――どうしてこうなった。
校舎の廊下を歩きながら沢田綱吉は一人考えにふけっていた。
事の発端は自分をマフィアのボスにするとか言っていたあの家庭教師を自称する赤ん坊が、自分の眉間に銃弾を放った事だった。
死ぬ気弾と呼ばれるその弾丸は撃たれた者を死ぬ気にした上で蘇らせ、後悔している事を頑張らせるというもの。
その弾丸の効果で、自分はアルトリアに告白し――――パンツ一丁であるにも関わらず成功してしまった。
だがそれを良く思わない者が居た。
持田剣介。二年で剣道部の部長で、先日アルトリアに告白した人だ。
結果はあっさり振られてしまったがまだ諦めていなかったらしく、告白に成功した自分とアルトリアを賭けての決闘をする事になってしまった。
当然、そこにアルトリアの意志は無い。
「本当に迷惑だよな…………」
「全くですよ」
声がした方向に視線を向ける。
そこにはアルトリアがしかめっ面をして立っていた。
「え、えっと……ごめん……」
「何でツナが謝るんですか。悪いのはあの捨田とかいう先輩じゃないですか」
「捨田じゃなくて持田先輩だよ」
「そうそれ。全く、告白もされていないのに勝手に彼女扱いされるなんて凄く迷惑です」
告白はしてるんだけど、多分覚えていないんだろうな。
まあ沢山告白されているアルトリアからしたらその他大勢の顔も名前も知らない赤の他人でしかないのかもしれないが。
そう考えているとアルトリアは綱吉の方に問いを投げた。
「で、どうするんですかツナ?」
「どうするって?」
「この決闘騒ぎですよ。ツナは受けるんですか?」
その問いに綱吉は少しだけ顔を顰める。
正直な話、こんな決闘を受ける理由なんて無いし、ダメツナである自分が決闘で勝てるとは思えない。
と、前までの自分なら思っていただろう。
「受けるよ」
綱吉はアルトリアの問いに頷く。
「正直な話、こんな決闘無意味ですよ? それでもやるんですか?」
「うん。オレはダメツナだしどーせ勝てないかもしれないけど」
前までの自分なら勝てないからとやる前から諦めてダメ人生に新たな歴史が刻まれたとか思っていた。
きっとそれ自体は変わっていない。
傷付く事も嫌だし、傷付ける事も間違っている。
正直決闘なんか目を逸らして逃げたいというのが本音だ。
「アルトリアを景品扱いするのが許せないから」
だけど、自分の好きな人をモノ扱いされて許せないというのも本音だ。
きみに出会って変わる事が出来たなんて胸を張って言えないけれど、きみと過ごした日々に恥ずかしい真似だけはしたくないのだから。
決して口には出さないものの、決意を込めて言った言葉を聞きアルトリアは少しだけ驚いたような顔をする。
そして、少しだけ困ったように笑った。
「そうですか。なら2つ程助言しましょうか」
「助言?」
「ええ。1つ目が人は誰でも他人を傷付ける自由と責任を持っている事です」
「傷付ける自由と責任?」
「ツナは他者を傷付ける力を良くないモノと忌避していますが『戦い』や『争い』はどんなものの中にでもあるものだから」
その言葉を聞いて綱吉は首を傾げる。
戦いや争いは悪いものじゃないのだろうか? そう疑問を抱くもののアルトリアは首を横に振るう。
「人は善いことをしたいのではなく、善い明日の為に最善を選び続ける生き物だからです」
「それは同じ意味じゃないの?」
「全然違います。まあ難しい話ですので今は戦うって決意が間違っていないとだけ思えば大丈夫です」
アルトリアはニッコリと笑みを浮かべながら自分の戦う理由を肯定する。
「次は2つ目なんですが、余程卑怯な事をされない限り貴方は勝てますよ」
「え、でも…………」
「じゃあ私は待ってますから。早く終わらせて帰りましょう!」
そう言うと彼女は踵を返して走り出す。
声をかける間も無く、走り去っていくアルトリアの後ろ姿を見て綱吉は笑う。
「オレが負けるなんて、欠片も思ってないんだな」
この学校でそう思ってくれているのはきっと君だけだ。
その事実に綱吉は嬉しくなる。
「お前には勿体無い良い女だな」
「って、リボーン!?」
足下から聞こえた声の主に綱吉は驚き声を上げる。
何でここに居るんだ、そう文句を言いたくなるもそれ以上にパンツ一枚で告白する事になった方に怒りが湧いてくる。
「お前…………っ! お前のせいでなぁ!!」
「だが受け入れられたんだろ?」
「確かにそうだけどさぁ…………っ!」
告白が成功したとはいえ、可能ならばもうちょっと時と場所と状況を考えたかった。
そう言いたくなるのを堪え、綱吉はリボーンに背を向ける。
「何処に行くんだ?」
「体育館。決闘、受けに行くんだよ」
「逃げないんだな」
「逃げたいけど、あそこまで信じてくれるから」
たとえ勝てなかったとしても、あの信頼を裏切るわけにはいかない。
綱吉は自分に言い聞かせて歩きだす。その後ろ姿を見て、リボーンはニヒルな笑みを浮かべた。
「これ以上は野暮ってもんだな」
そして、手に持っていた死ぬ気弾を内ポケットにしまった。
もし逃げ出そうとしたり諦めたりするようなら使う予定だった。だがここまでやる気に満ちているなら使わない方が良い。
――――尤も、情けなく負けそうになるようなら使うつもりだが。
リボーンがそう考えている事も知らず、再び死ぬ気弾を撃たれそうになっていた綱吉は体育館前まで移動して扉を開ける。
「ふんっ! 負けると分かっていてやって来たか」
綱吉がやって来た事に対し剣介は驚いた表情を見せるもすぐに余裕綽々と言わんばかりの態度を見せる。
何故かこの決闘を見に来た沢山居る観客達に気後れするも、剣介に対する怒りに綱吉は身体を震わせる。
「そら、それがお前の防具と竹刀だ!」
剣介がそう言うと数人の生徒が竹刀と防具を持ってくる。
何故かプルプルと震えていて物凄く重いものを持ってきているかのように見えるが、多分気のせいではないだろう。
ダメツナ相手にそこまで卑怯な事をするか普通。そう思いながら綱吉は視線を上にあげる。
視線の先にはアルトリアが居て、自分を見下ろしていた。
この中で唯一、自分が勝つ事を信じてくれている。その信頼に応えたい、綱吉はそう強く自分に言い聞かせ、差し出された竹刀に手を伸ばす。
そして指先が竹刀に触れた瞬間、頭の中でスイッチが切り替わる音がした気がした。
+++
唐突だが私はツナがダメツナではないと知っている。
というのも昔、彼と遊んでいる時に魔術で少しだけ潜在能力を引き出した事があったからだ。
自転車の練習が上手くいかなかったり、体育で失敗ばかりだったり勉強が上手くいっていない事に悩んでいた彼に少しでも成功体験をあげたかった。とはいえ、私が使った魔術はそこまで強くなくあくまで人間の限界以上の能力を引き出す事は出来ない。
――――その結果、とんでもない事になってしまった。
ツナには普通の人間には無い特異な能力や素質が眠っていた。
時代が違えば歴史に名を残す英雄になっていたかもしれない程には凄まじいものだった。それが彼にとって良いものかどうかは分からないし、この世界の主人公なのだからそれも当然の話かもしれないが。
だが同時にこれがツナがダメツナになってしまった原因の一つである事も知った。
身体の動かし方が分かっていない上に無意識的に自身の力を制限している。そこにダメツナであることを良しと受け入れてしまう諦め癖も加わる事で悪循環ができてしまった。
外部から掛けられた封印のようなものはあるがそっちは抑えてないから、根が深い問題だった。
だから私はツナに魔術を使いながらも時間を掛けて特訓を重ねさせた。
遊びと称して身体の動かし方を教えたり、剣術を叩き込んだりしてきたものだ。
「…………余計な心配でしたがね」
彼が主人公であるならば必要無いものだったが先もいったように当時の私は知らなかった。
特異なものは特異なものを引き寄せる。その性質を知っていたから、彼が何時か自身の素質に見合った運命と向き合った時に対応できるように暗示を仕込んでいた。
――――剣を手に取った時、倒すべき相手と全力で戦えるように。
「ぐぇばぁ!!」
現在、私の眼下では竹刀を持ったツナが相手を地に沈めていた。
そこには普段他人にダメツナと嘲笑われる姿は無く、一人の剣士の姿があった。
「やっぱりツナが勝ちましたね」
まあ分かり切っていた話だ。
私が剣術を教えた上に心も暗示で戦えるようにしたのだから。
暗示といっても生来の優しさを抑えるとかそんなんじゃないし、戦意を高める程度のものだが。
「終わりましたね、ツナ」
「え、あ、うん」
自分が倒した事が信じられないのか、ツナは酷く困惑している様子だった。
だがこれは彼が全力で戦って勝ち得た戦果で、彼が誇るべき勝利だ。
「それじゃあ一緒に帰りましょっか」
困惑する彼の手を掴み、体育館を出る。
それが私と彼が付き合い始めた初日の出来事だった。
続きは書いた…………!
この後は他の人に任せます!!