キャストリアに転生したが原作を壊してしまった 作:霧ケ峰リョク
何で多分獄寺君もフレイムアローとかアーチェリーとか使おうと思えば使う事が出来たんだと思います。シモンだとオーバーキル過ぎるし使い慣れたダイナマイトがパワーアップしたから使わなかっただけで。
虚数空間とはその性質上非常に危険な空間である。
少なくともここでの戦闘は論外、命に関わるなんて単純な言葉で片付けられない場所だ。
唯一の入り口である霊墓アルビオンからの侵入を選択肢の外にしてしまった以上、ここを使うしかなかった。ツナが霊墓アルビオンなんて入り口をそのままにしておくとは思えなかったから。そして、もう一つの手段である虚数空間にも何かしらの手を打っとくのも当然と言えた。
だから私達も、虚数空間内での戦闘を最初から前提にして動いていた。
「っ、これが虚数空間ってやつか…………っ!」
私が作成した術式が刻まれた道具に死ぬ気の炎を流しながら、船を覆っていた結界の外に出た皆が虚数空間へと出て行く。
時間や重力が滅茶苦茶で、上下左右の区別がつかない状況の中で戦うのは人間にとって酷く困難だ。
そもそも虚数空間が生存に適した空間ではないという前提条件があるが、私が作成した道具に死ぬ気の炎を灯している間は何とか戦闘が可能になった。とはいえ、それもどこまで戦えるかは分からない。
敵の戦力が未知数という事もあり、命の保証が出来るのはもって10分。
「頼みましたよ、皆…………!」
力を温存しないといけない私は外に出て戦う事が出来ない。
だから今は戦う為に外に出た皆の無事を祈る事しか出来なかった。
+++
「…………分かっちゃいた事だが、この状況で戦うのは厳しいな」
虚数空間へと躍り出た隼人は改めて、自分達が不利な状況で戦う事を強いられているのだと理解した。
先ず、この空間は宇宙にあるという
死ぬ気の炎が光源代わりになっている為、敵味方の位置は把握出来ている。だがこんな滅茶苦茶な空間の中で戦うのは初めてだった。
無重力とも違う、上下左右が滅茶苦茶で一貫性が無いのだ。
自分から見て山本武が逆様になって浮いているようにも見えるが、向こう側からしたら自分が逆様になっているのだろう。
こんな場所でどうやって戦えば良いのか。
データを重視する隼人はコンタクトディスプレイに映る情報を整理しながら思考する――――。
『諸君。こちら、ヴェルデだ』
そんな時だった。耳に装着していたイヤホンから声が聞こえたのは。
ヴェルデ。雷のアルコバレーノであり、ダ・ヴィンチの再来とも呼ばれた天才科学者。
この時代においては裏社会の誰もが使用している
それを大空のアルコバレーノの命の炎というものとアルトリアが作り上げた死ぬ気の炎の変換装置を使う事で蘇らせる事に成功したのである。
本来ならユニ一人の命を犠牲にしなければ蘇らせる事が出来ない技だったらしいが、その分の炎を皆で補いアルトリアが補正する事で何とかしたとの事だ。
「大空属性の死ぬ気の炎の特性があれば他の属性であっても強引に変える事が出来ますからね。ツナの零地点突破改や白蘭のGHOSTを参考にしました。吸収の過程は双方ともかなり違いますけどね」
徹夜明けで寝込む前に得意気に言っていたアルトリアの言葉は今でも覚えている。
大空属性の死ぬ気の炎は異物である他の属性の死ぬ気の炎であっても取り込むことが出来ると。
白蘭がGHOSTという変換機が死ぬ気の炎を取り込んで生命エネルギーに戻しているのに対し、綱吉はそのまま死ぬ気の炎を取り込んでいるという事。
改めて聞いて10代目がどれだけやばいことをやっているのか、隼人は尊敬の念を抱く。
『虚数空間のデータを諸君らのコンタクトディスプレイに送った。これで少しは戦いやすくなる筈だ。もっとも長期戦には向かないがね』
「…………正直助かるぜ」
『この通信は一方的なものだから君達側の声は届かないが、感謝で咽び泣いている事だろう。では、時間稼ぎ頑張ってくれたまえ』
「っ、これさえなければ素直に喜べたってのによ…………!」
一々癪に触る奴だ。
とはいえ、これで少しは戦いやすくなった。
こんなところで躓いている暇は無い。早く会いに行って伝えなければいけないのだ。
死ぬ気の炎を死ぬ気の炎のまま取り込める綱吉だからこそ気付けなかった事がある。
「瓜!
「にゃおん!」
隼人のボンゴレギア、嵐のバックルから統合された匣兵器である猫の瓜が出現して変化、そのまま隼人の身体に装着される。
複数のダイナマイトが装填された装甲にコンタクトディスプレイを発展させたサングラスにパイプ型の発火装置が装着される。
これこそがボンゴレギア。守護者それぞれの戦闘スタイルにあった決戦装備。ボンゴレ匣や使用していた匣兵器も統合され強化、必要な時に応じて出現させる事も可能なこれは正に隼人専用と言っても過言ではない程だ。
加えてエデンリングと4属性のリングも統合されているおかげで
いや、前より性能は上がっている。
「果てろ!! 3倍ロケットボム!!」
放たれた大量のボムが加速してそれぞれのモスカの頭部に命中し、嵐の炎の大爆発を引き起こす。
10年後の世界では時代遅れになってしまっていた為、使用出来なかったボムもボンゴレギアと化した事で再び使用可能となった。
「頑丈な連中だな」
当たり所が良かったモスカは倒す事が出来たが、大半のモスカは傷ついてこそいるものの戦闘に支障は無さそうだった。
他の守護者も隼人と同様の状況だった。
「当然だ」
自分達の反応にアルターエゴの少女が口を開いた。
「それはベルゼブモスカ。お父様――――あれをそう呼びたくはないけど、獣として覚醒する前のお父様の鱗を素材として組み込まれているんだ。生半可な攻撃じゃ傷一つつかない、それを倒す事が出来るだけあんた等は凄いとこのボク、ノックスは思うわけよ」
アルターエゴの少女ノックスは呆れながらも戦場へと飛び出したボンゴレファミリー、ミルフィオーレファミリーの人員を褒め称える。
「うん。正直凄いと思っている。この半年でよくここまで練り上げた。きみ達が積み上げた時間を、物語をボクは認めよう」
上から目線で称賛される事に少しだけイラつくもノックスはその様子に気付かないのか話を続ける。
「だから一つだけ良い提案をしよう。今すぐ地上に戻ると良い」
『…………お前がオレ達を見逃すとは到底思えないな』
「見逃そう。きみ達の歩んできた軌跡を心の底から尊敬しているからね」
隼人のイヤホンから立体映像として現れたリボーンの言葉にノックスは毅然とした態度で答える。
「これはきみ達の覚悟を甘く見ているから言った台詞じゃない。けど勝ち目が殆どない戦いに挑みに来たその覚悟、産まれてから1年も経っていないボクがどんな言葉を言ったところで侮辱してるとしかとられないだろうね」
『なら何故、オレ達を逃がそうとするんだ?』
「アイツが嫌いだからだよ。これはバカとアホも含めた共通認識さ」
心底嫌悪していると言わんばかりにノックスは顔を歪める。
彼女が言うアイツの正体を察し、隼人は尋ねる。
「あの人の事が嫌いなのか?」
「自分のエゴを抽出してそれを一つの人格として再定義し、ボク等は産み出されたんだ。性別は混ぜられた女神のせいで女になっているし、性格も凄い違うけどボク等だって沢田綱吉なんだよ。そんな非人道的な方法で産み出されてるだけでもふざけんなって思うのに、挙句の果てが全生命皆殺しだ。そんなの間違っているに決まってるだろ」
「なら、何で従っているんだ?」
「それしか方法が無いからだよ」
「そうか。悪いが、ここまで来て逃げ帰れる程、覚悟してないわけじゃねぇよ」
「じゃあ、死ぬしかないな。行け、ベルゼブモスカ!」
ノックスの言葉にモスカが動き始める。
近くに居たモスカが両腕の武装から死ぬ気の炎を纏った銃弾を、中距離のモスカが腹部からレーザーを、遠く離れた場所のモスカは両肩部から死ぬ気の炎が灯ったミサイルを放つ。
「この程度で死ぬ気なんかねぇんだよ!!」
隼人はボムを投げて攻撃の威力を減衰し、シールドで四方八方を囲んで攻撃を防ぐ。
伝わる衝撃と破壊力は凄まじく、修行前だったらバージョンアップしていても防げず破壊されていただろう。
周囲を見渡せば他の皆も同様に防いでいる。
あの様子なら無事だろう、と楽観視は出来ない。今のところ助けが必要というわけではないがそれは今だけだ。これだけの数を相手に持久戦を強いられる。どこまで持つかは分からない。
「上等だ。この程度、乗り越えてやる」
これは試練だ。自分達が彼の所に行く為の、彼と戦う為に必要な難題だ。
仲間との連携も確かに大事だ。だが、それは個々の地力も高いという前提があってこそだ。この程度の危機でピンチになっているのなら、この先通じない。
否、この状況を一人でひっくり返すぐらいしなければ沢田綱吉には追いつけない――――!
「瓜、頼んだ」
「にゃおん」
隼人が告げると左腕に装着していたガントレットが変形。
髑髏型の火炎放射装置に変わり、その上を覆うようにパーツが折り重なりⅠと数字が刻まれた弓へと変化する。
Gの
それに加えて隼人は二本の片刃の剣を掲げる。
「エデンリング! 武装!!」
アルトリア・キャスターが作ったエデンリングは楽園の妖精としての機能のせいか、その全てが剣へと変化する機能がある。
だが剣の機能を持ってさえいれば形状そのものは好きに変えられるのだ。それはボンゴレギアと統合された今でも同じである。
了平のエデンリングが鉄貫の形状から折りたたむ事でナックルダスターに変わるように、隼人のエデンリングは弓に変化する。エデンリングとGの弓矢と合体する事で強大な力を秘めた大弓に形を変えるのだ。
「全属性
大弓から放たれたそれは雷を纏う嵐の炎の大渦。
荒れ狂う台風を連想させる回転する炎の矢は枝分かれを繰り返し、その後不規則に加速。そして全ての矢がモスカに命中し、その装甲を抉り、貫き、破壊する。
これが修行の成果だ。厳しいを通り越して地獄を見たが、それ以上に強くなったのだ。
「成る程、言うだけの事はあるわけか」
爆発四散し、その数を大きく減らしたモスカを見てノックスは警戒を露わにする。それは自分達を脅威と認識したということ。最初から警戒はしていたが、今そのレベルが上がったと判断する。
そして、隼人の考えが正解と言わんばかりにノックスは本を開いて中に手を突っ込み、
「じゃあ、これはどうかな?」
ノックスは片手で剣を構え、その刀身に夜の炎を収束する。
あれは不味い、そう判断した隼人が弓を構えてノックスに攻撃しようとする――――、
「蒼燕怒濤!!」
「
――――その前に武とスクアーロの技がノックスを襲った。
「この程度っ!!」
雨の炎によって形作られた燕と鮫がたったの一振りで切り払われ四散する。
あの二人の大技をいとも容易く防いだ事実に、隼人は驚愕の声を上げそうになるがノックスの顔を見て二人の狙いを理解する。
「すげぇな。でも、今はオレ達の勝ちだ」
「…………やるな」
攻撃の為ではなく、雨の炎の特性の鎮静を当ててノックスの動きを封じる。
その目的を達成した武は笑みを浮かべノックスから距離を取る。
身体機能が鎮静により動きが鈍くなっているとはいえ、戦闘そのものに支障はない。
転移の特性を有する夜の炎を持っているのなら猶更だ。
だがそれは向かって来た相手と戦った場合の話。逃げる相手を追いかける必要があるこの状況では雨の炎のデバフは致命的な遅れを産む。
『――――準備完了! 早く全員戻って、一気に楽園まで飛びますよ!』
アルトリアの声がイヤホンから聞こえた事により、戦いに出ていた全員が船の中へと戻る。
「ああ、もう…………やっぱりあの時に殺すべきだった」
結界の中へと入り甲板に着地した隼人の耳に届いたのは、ノックスの呟きだった。
「でも、こうなった以上仕方ないか。ここではきみ達を見逃すよ。あいつを倒す事を目的にしている以上、ボク等を倒さないといけないんだし」
それは負け惜しみのようにも聞こえるが、彼女からしたらただの事実でしかないのだろう。
事実、この場では彼女の実力は欠片も見ていないのだから。
虚数空間からの脱出が始まる中、ノックスは船を見ながら高らかに宣言する。
「この星の中心に居るアイツを倒すと言うのならやってみると良い。その前で守っているボク等6人を倒せるのならね!」
獄寺隼人のエデンリングは双剣で柄を合わせると弓に変化します。
これを使えばボムを矢としてつがえて放ったりする事も出来ました。
ちなみにフレイムアローの髑髏にも合体して威力を上げる事が出来ます。