キャストリアに転生したが原作を壊してしまった   作:霧ケ峰リョク

53 / 59
ゲートキーパー

 間も無く私の生まれ故郷に到着する時間だけど、さっきのノックスの言った言葉が頭の中で反芻する。

 

『この星の中心に居るアイツを倒すと言うのならやってみると良い。その前で守っているボク等6人を倒せるのならね!』

 

 ツナの目的を察するに、楽園よりも地下を目指すのは自然な事だ。

 新たな天体になろうとするのなら、地球を卵に見立てて自身を作り変える必要があるからだ。だから私達も楽園に行き、ツナが中心を目指して開拓した通路を辿って向かおうと考えていた。

 その過程でアルターエゴとの戦闘もあるとは思っていたけど、あの3体以外にも居るというのは予想してなかった。

 凄まじい負担が掛かる上に霊基のダメージだって無視出来ない。この6ヶ月で新たに作り出したとしても、本末転倒な事態になる。それでも6体のアルターエゴが守っているなら、ツナは本当に新しく生み出したんだろう。

 

「…………3体だけでも厳しいのに6体もか。でもツナが弱っているのなら差し引き0ではあるのかも」

「いえ、多分アルターエゴは3人だけだと思います」

 

 船の中にある部屋で一人考えているとユニが話しかけてきた。

 

「そう思う根拠は?」

「ここまでの計画を一人で考えていた沢田さんが自分の戦力を削り過ぎるとは到底思えない。他に協力者が居ると考える方が自然です」

「…………確かに、そっちの方がありえるか」

「私も、私達にも心当たりがあります」

 

 実際、ミルフィオーレファミリーからツナについた人が居るわけだし。

 ツナの目的に賛同して味方になる人が居ても不思議ではない。とはいえ、言っちゃ悪いがツナの最終目標は地球上の全生命を巻き込んだ無理心中だ。最後に自分以外を別の生命へと生まれ変わらせるがその過程で一度は死ななくちゃならない。

 死という結末をそう簡単に受け入れる事が出来る人間が居るとは思えない――――いや、滅びが確定しているならまだマシな結末の方が良いと判断する人は居るか。最も、死ぬと受け入れて周りも喜んで殺そうとする人間を仲間に引き入れるような性格ではないから、協力する人達の人格も相当選別している筈だ。

 果たしてそんな人格の持ち主がツナの計画に賛同するのだろうか?

 

「考えても埒が明かないか」

 

 その協力者三人がアルターエゴより弱い事を祈るしかない。

 が、多分ツナから強化を受けているから無駄な祈りだ。多分、その三人もアルターエゴと同格だ。

 

「…………取り敢えず、私達がこれから戦う相手の情報を纏めよう」

 

 一先ず考えを纏めたので各々休憩している全員の視線を集める為に手を鳴らす。

 

「注目! 今から作戦会議をしますよ。先入観を持つのは良くないですが、ある程度の情報はあった方が良いですからね」

 

 私の言葉で全員の視線が集まり、近寄って来る。

 

「先ず、私達はツナに会う為にこの星の内核を目指しています。が、その前で立ちはだかっているのがアルターエゴを含めた6人の門番(ゲートキーパー)です」

 

 どのようにして立ちはだかっているかは不明だが6人纏めて居るわけではない筈だ。

 あれだけの戦力を一ヵ所に纏めているのなら、こっちの船に積んでいる兵器を使って先制攻撃が出来る。倒せるとは思えない一個人が持つ事は出来ない巨大兵器に死ぬ気の炎を注入して放てばそれなりの威力になるし無傷では済まない。

 だから、恐らくだけどツナは此方の戦力を分散して戦わせる場を作っている。

 

「階層ごとに一人一人配置しているとは思いませんし、こっちが大勢で囲んで叩くような事をさせるとは思えない。だからそれぞれ配置して全員を倒さなければ先に進めないような結界を張ってると思うんです。で、それぞれの結界に入れる人数も制限があったりするでしょうし」

「そう考える方が自然だな。が、その予想通りするとも思えない。後方で待機して油断してるところを攻撃し、船を破壊するっての方がありそうだとは思うが」

「ありえますけど時間稼ぎの方が優先だと思います。今のツナからしたら私達の排除を優先するよりも自分の羽化の方を優先すると思うからです。時間が無いのが私達にとって都合よく働いているんです。後、アルターエゴの素材になった存在がそんな騙し討ちをするとは思えないからですね」

「あいつ等の事が分かるのか?」

「断定は出来ませんがね。多分ツナはアルターエゴを作る際、それぞれに英霊一体と神霊二体を混ぜ込んでいると思うんですよ。女性型になっているのは混ぜ込んだ女神の性別が強く出ているからですね」

 

 ノックスしか名前が分からないけどあの三体は素材になった英霊、神霊はかなり強力な存在だ。

 月のAI(ラスボス系後輩)が生み出したアルターエゴ同様のタイプだから、親を嫌っているだけじゃない。多分、彼女達の大本になった存在が高潔だったりするからビーストであるツナを快く思ってないんだろう。

 

「先ず最初に話すのが金色の鎧に槍を持ったアルターエゴ。彼女は恐らくインド神話、英雄カルナが要素として組み込まれてますね」

「カルナ? 誰だそれは?」

「マハーバーラタという物語に出て来る施しの英雄だぜコラ。不死の鎧に神殺しの槍、そして太陽神の子であり実の弟であるアルジュナと殺し合ったんだぜ」

「兄弟と…………」

 

 笹川先輩の疑問にコロネロが解説し、それを聞いた京子ちゃんが悲しそうな表情をする。

 

「次が弓を持ったアルターエゴ。彼女に組み込まれているのは間違いなくギリシャ神話最大最強の英雄、ヘラクレスです。射殺す百頭(ナインライブス)を使った時点で分かってましたが」

「…………ヘラクレス、ですか。相手にとって不足は無いですね」

「誰が相手でも関係ないよ」

「ヘラクレスの体技を使える時点で滅茶苦茶脅威です。弓を使わなくても使える武術のようなものですし、でも一番の脅威はヒュドラの毒矢ですね。あれは不死でも死ぬ猛毒ですから絶対に当たらないようにしてください。血清は作ってますけど」

「用意が良いね」

「でもこれだって苦し紛れです。精々少しだけ苦しくなくなって最後に少しだけ戦えるようになる程度の効果しかありません。なので当たったら即死すると考えていてください」

 

 戦う気満々の(フォン)と雲雀さんに忠告する。

 十二の試練(ゴッドハンド)十二の栄光(キングスオーダー)は無いと思いたい。

 あれはヘラクレスの偉業が宝具になったものだから。アルターエゴの彼女では使えない筈、仮に使えたとしても制限がある筈だ。正直ヒュドラの毒矢を使えるヘラクレスの技量を持つ怪物が更に複数の命を持ってたりとかヘラクレスの偉業を使えたりとか悪夢でしかない。

 

「最後にノックスについてですが…………正直彼女は分からない事が多いです。多分元となっているのが文化系の英霊なんでしょうが、あの剣を見るに要素として入ってるのが剣を使った神霊をメインにしているような気が――――」

「なぁアルトリア。多分だけどオレ、あの剣の正体分かると思うぜ」

「本当ですか? 私も剣には詳しいですけど封印されてるせいで分かりづらくて」

「ノックスはオレやスクアーロがやろうと思う。後はブルーベルとバジルだな。多分、雨属性じゃないと無理だ」

「…………分かりました。気を付けてくださいね」

 

 何かを確信しているかのような瞳で断定する山本の言葉にこれ以上何かを言うことは出来なかった。

 剣士であるからこそ分かるものがあったのだろう。

 

「最後にツナですが…………正直これは言うまでもないですね。今ツナは自分の固有結界を展開しています。そしてそれはツナが全力を出せるホームグラウンドで戦えるということです」

 

 固有結界の中に居るツナは限りなく無敵に近い能力を持っている。

 加速に停滞、停止にスキップに巻き戻し。そして自分自身の連続召喚。

 どれもこれも破格の能力で真っ向から戦うのは無理難題だ。

 

「ユニの固有結界を使えば状況はイーブンに持っていくことは出来ますが、それでも能力に制限がつくくらいです。分身だって使えますしね。まあそれは超強力なバフが常時乗っていると前提に考えればそこまで脅威ではありません。ただ厄介なのが時間経過による適応と時間停止です」

 

 今あげた二つは固有結界外でも制限がかからない、ツナの切り札でもある。

 前者は一度でも攻撃を受ければ慣れていき無効化出来るようになり、後者は使われたらゲームオーバーだ。

 以前皆に説明した時もこれに関してはかなり頭を悩ませていた。でも対策方法自体はある。

 

「適応は巻き戻しを使えばリセットされるので大規模な破壊力を持つ攻撃を連続で二回叩き込めばツナを倒す事が出来ます」

「今のツナに初回の攻撃を当てるだけでも厳しいけどな。だがリセット後ならどんな攻撃も通じるのが救いか」

「そして時間停止は、固有結界外で使うなら莫大な死ぬ気の炎を使います」

 

 ツナから聞いた時間停止の制約。

 この制約のせいでビーストになる前は固有結界を展開しなければ使う事すら出来なかった。

 だけどビーストになった今ならその制約をある程度無視できる。

 

「時間停止を使われたら最後、ツナの移動範囲外まで逃げなければ」

「まあ、殺されるよね。動かない敵が居るんだから」

 

 白蘭の言葉に皆が言葉を失う。

 

「でもそれに関しては僕が何とかするよ。彼を追い詰めちゃったのは僕の所業が原因みたいなものだしね」

「…………良いんですか?」

「良いの良いの。だって僕この後処刑されちゃうわけなんだし」

「白蘭様!!」

「綱吉君をあんな怪物に変えてしまった責任は取らなくちゃいけないからね。だから(リアル)6弔花の皆も気にしないでね」

 

 詰め寄る真6弔花に白蘭はそう告げて入江さんの方に視線を向ける。

 言葉は交わしていない。が、この半年間で話す機会は沢山あった。

 だから二人はちゃんと話し合って解決したのだと、そう思いたい。

 

「それにほら、もう話す時間は無いみたいだよ」

「っ、確かに到着の時間ですね」

 

 そう告げると同時に虚数空間から浮上して私の生まれ故郷、星の内海へと帰還する。

 だけど、私の瞳には元の楽園の姿は無くツナの固有結界によって塗りつぶされた黄昏時の世界が広がっていた。

 

「…………これじゃあ聖剣は作れないですね」

 

 分かっていたことだけどツナを倒さなければ聖剣を作る事は出来ない。

 改めて突き付けられた事実を背に変わり果てた楽園を見渡す。

 

「っ、ツナの所へ行ける道を見つけました。そして、それを塞いでる六つの歪みも」

 

 明らかに歪んでいる穴のようなものとその上にある六つの歪み。

 多分、あの歪みの中に突っ込めばツナを守っている門番と戦う事が出来る。

 そして予想通り、あの歪みに入れる数には制限がある。

 

「何かさ、リング争奪戦を思い出すな」

 

 山本のその言葉に思わず昔を思い出してしまう。

 あの時は皆生きて帰れた。だけど今度は違う。この戦いは生きて帰れないかもしれない。いや、何人か死ななければ勝てない難易度だ。その事を皆分かっている。

 多分、ツナのところに行く時には何人かは命を落としているだろう。

 

「今からそれぞれの歪みに皆を送ります。戦いに行く人達は前に出て下さい」

 

 拳を強く握りしめ宣言する。

 もう、後戻りは出来ない。




次回、ボスラッシュ開始。
覚悟は決めました。最後までよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。