私の人生は良くも悪くも何も無い、と言ったものだった。
成績も普通。運動能力だって平均的だし、友達は数人いる程度。
特技もなければ、突出して何かができる訳でもない。
ごくごく普通の、平凡な人間。それが私である。
最近、少しでもなにか新しいことを始めないといけないな、とは考えているものの、特に何も思いつかず結局何も出来てない。
「何か目新しい事でも無いかねぇ〜…」
私が腕を組み考えていると一緒にいた友人のゆりがおもむろに立ち上がり
「やっぱ恋っしょ!! 恋愛すると人生豊かになるぞ〜?」
と、恋に対する何たるかを暫く説かれた。
「恋……ねぇ…」と声が小さくなったのを察知したのか、
「なんだね美穂っち!キミは恋に興味は無いのかね!」
不満しかない表情で私の顔をのぞき込む。
「いや、無いわけじゃないけど……私なんかと付き合ってくれる人なんて、よっぽどの物好きか変人しか……」
私が言葉を言い切る前に、ゆりは再び立ち上がり
「これっ、卑屈の塊になるんじゃないっ! 美穂っちはもう少し自己肯定感をあげなさい!」
真面目な顔で私を叱咤した。
「ごめんよゆり……卑屈なのは頑張って治すから…」
私の最も治さなければいけないところをモロに指摘され、かなりのダメージを受けながらゆりに謝る。
「まぁ、卑屈なのはゆっくり治していけばいいさ〜。んで、恋愛自体に興味はあるんかいっ?」
終わったと思ったこの話がまだ続いているのかと、苦虫を噛み潰したような表情をし
「もういいでしょ〜……」
と、なんとかこの話を終わらそうとした。
だが、ゆりはなかなかこの話を終わらそうとしてくれない。
「だって知りたいんだもーん…!」
これは答えるまでずっと質問されそうだ、と察した私は何とかこの話を終わらせようと、適当に答えることにした。
「恋愛に興味はないよ〜……1人が好きだし、1人の方が落ち着くし。だって1人なら自分の時間を自分のために全部割けるし? やりたいことも自由にできる!うん、やっぱり1人がいいんだよ1人が」
1人の素晴らしさを懇々と説くと、流石に観念したのか
「わ、分かった…美穂っちが1人が良いのはよく分かったから……」
と諦めてくれたようだった。
「まぁでも、目新しい事はしてみたいからね、色々考えてみるわ!」
と丸く収め、私たちは帰路に着いた。
家に帰り、横になるとさっきのゆりの言葉が脳裏に甦る。
「恋は……もうしたくないんだよ」
私は、最初で最後の決して叶うことの無い恋を鮮烈に思い出した。