ボクの先輩にはバカと変態が多い 作:たけやまさん
ボクの先輩にはバカと変態が多い。
多い。と言うのもごく僅かに少しだけ理性を保った人格者(もどき)がいるからであって、むしろその僅かな理性がなくなればバカと変態しか居ないと言いきれるだろう。
今も窓の向こう側の運動場で男子生徒が1人、全裸が転がっていく。きっと真っ白だったであろう泥だらけになった教室のカーテンを体に巻きつけながらである。この後通報されたら対応するのボクなんだけど。面倒くさいんだけど。そもそも今授業中なのに変態行動とか終わってる。
はやいとこ巫女先輩がズドンしてくれると助かるんだけどなぁ。あの人はあの人で中々にぶっ飛んでるとは言え、あの連中を鎮めるという一点ではかなり特化してるから。
……うーん。それにしても今日は体育なのかなぁ。先輩たち1年梅組の全員が、外で担任対生徒でバトってる。どうせ「体動かしてるから体育」って言い張るんだろうなあの先生。
にしても、このクソ狭い運動場でよくやるよなぁ。あの先生、飛びまわる魔女先輩の2人から爆撃されながら近接組簡単に捌いてるや。
ちょうど件の先生、彼らの担任のオリオトライ先生に投げ飛ばされた犬臭い先輩が校舎に激突した。んで、その先輩は衝撃も音もなく校舎の壁に張り付いた。
……体勢崩した状態で、男子生徒を片手で投げ飛ばす先生もおかしいけど、空中で回転しながら反動打ち消して平然と校舎の壁に着地する忍者先輩もおかしい。しかもあれで体術なんだもんなぁ。すごい技術なのに本人の自己評価低すぎなの面白いよね。
ボクだったら壁を殴ってその反動で止まるしかないんだもん。でもそれじゃあ、あとから怒られちゃうからね。ネイト様に。トランプみたいな王様と草臥れた左遷学長はともかく、ネイト様と“武蔵”さん達は怖いからなぁ。
おっ、カレー先輩とロリコンが蹴り飛ばされたペルソナ先輩に潰されてる。ロリコンざまぁ。いつも番屋に迷惑かけたツケが回ったんだ。
まぁでも、カレー先輩とペルソナ先輩はどんまい。ついでにロリコンの巨体に弾かれた守銭奴先輩によってネンジ先輩が爆ぜた。とても汚い。
ほんと、あの人たちの体育、見てる分には面白いけど受けるのは絶対に嫌だなぁ。疲れそうだし。
「あのぅ……」
「え、あぁ。すみません」
……あぁそうだ。まだ授業中なの忘れてた。体調不良の担任に代わって臨時で来た三要先生がちょっと怒った顔してるし、真面目に聞くとしよう。
─────まぁその後、泥だらけのカーテンたなびかせて外から飛んできた全裸が、壁突き破って三要先生に激突したせいで授業も中止になっちゃったんだけどね。おしりとお顔がごっつんこした三要先生どんまい。
今の時間が最後の授業だったこともあって壁の修理で暇になったし、ぶっ倒れてる哀れな先輩達に飲み物でも持って行ってあげよう。
△
雲をきって高空を進む巨大な8つの影。連結式準バハムート級航空都市艦“武蔵”。その中央後艦“奥多摩”にある“武蔵”の政治の中心である武蔵アリアダスト教導院。
窓から射す暖かい陽の光を浴びた木目の廊下に、いっさい足音を鳴らさずに歩く姿。首元から垂れた金の髪房が風に揺られる、蒼い目をした寡黙そうな雰囲気の青年だ。
裾広がりな極東の黒い制服のズボンと白いインナー。その上からM.H.R.R.の黒い制服を羽織るという不思議な服装をしている。その右腕には緑色の腕章に委員長の文字が揺れていた。
青年は自身の周囲に飲料の入った竹ボトルを数本浮遊させて歩く。やがて校舎の外に出て木陰で涼む集団を見つけ、手前に集まる女性陣に向けて歩き出す。
彼が声をかけようとする前に、手前の木にもたれかかり脱力していた銀の半狼がスンと鼻を鳴らして反応した。すっと立ち上がり身についた汚れや草を払う仕草をした後。
「シャルじゃありませんの。ごきげんよう。そちらの飲み物を頂いてもよろしくて?」
「こんにちは皆さん。これをどうぞネイト様。それと他の方もぜひ。これは浅間先輩で、これはマサ先輩。あと第三特務と第四特務ので、こっちは向井先輩とハイディ先輩」
「ありがとうございます……。疲れた身体にスポーツドリンクが染みます……」
「悪いねぇ、助かるよっと」
「あら、気が利くじゃない。やっぱり、うちのバカ共とは一味違うわね」
「ナイちゃん思うに、比べるのが失礼ってやつだよね。あっ飲み物ありがとうねシャル君」
「あ、ありが……とう、ね?」
「ほんと、いつもありがとうね〜。あっ、もちろんサービスだよね?」
「好きでやってることなんで気にしないでください。それでベルフォール先輩は?」
「今はチューベローズよっ!」
「そうですかチューベローズ先輩。これ飲み物です。それとその花の花言葉、しっかりと確認した方がいいですよ」
シャルと呼ばれた青年は、木陰で涼む女性陣の元に竹ボトルをゆっくりと移動させる。それぞれが礼を言っていく中、最後に後ろから現れたチューベローズを名乗る女子生徒、葵・喜美にドリンクを手渡した。
それからゆっくりと隣の木陰で涼む男性陣の方に向く。周囲に残り数本の竹ボトルを浮かばせた青年と、ちょうど目が合った忍者が問う。残った竹ボトルの数と男性陣の人数が合わないので、自分がもらおうと必死なのだ。
「シャ、シャルル殿?自分らの分の飲み物はのうござるか?」
「え?走って取ってきたらどうですか第一特務?限定品の特典付き元服本買いに行く時みたいに」
「辛辣にごさる……!?」
「拙僧、これ以上動けそうにないのである。ゆえに後輩よ。頼みが」
「いつぞやカタパルトごっこして家屋破壊した挙句逃走を図った時みたいに飛んだらどうです?あの時は凄かったですよね。捕まりたくないからって、2日3日は疲労困憊でもずっと飛び続けて。ねぇ第二特務」
「そこをつかれると痛いな……」
「なぁなぁ、俺のぶんは?」
「……チッ。あぁ、いたんですか総長。汚物が映らないようフィルター系の加護でもかけてたかな。とりあえず早急に服着てここから失せてください」
「しれっと汚物扱い!さすがだぜシャルル!」
「…………。あっ、ノリキ先輩とペルソナ先輩、お疲れさまです。会計先輩と書記先輩、ネンジ先輩、イトケン先輩もこれどうぞ」
「いつも悪いな」
「…………!」
「うむ、ご苦労である!」
「ありがとうね!」
「いえいえ、いつもお世話になってるお礼です」
「なんで御座るか、この対応の差は……」
「それは日頃の行いかと。それで小生の分は」
「日頃の行い振り返ってくださいよロリコン先輩。何回通報受けてると思ってるんですか」
「だから、小生はロリコンではなく──────」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ始めるふくよかな青年、御広敷が轟音と共に数メートル吹き飛んだ。しばらくして巨体は壁にぶつかり、鈍い音と共に地に落ちた。
うつ伏せのまま動かなくなった彼の背中には、非殺傷保護が掛かっているはずの矢が、何故か深々と突き刺さっている。
「「「「ヒェッ……!?」」」」
「もう、あんまりシャル君に迷惑かけちゃダメですよー」
倒れふす御広敷の反対側に目をやれば、笑顔で弓に次弾をつがえる浅間の姿。あまりの恐ろしさに、騒々しかった男性陣は一瞬で静まり返った。それと心做しか、彼女の隣に浮かぶ走狗も顔が引き攣っているように見えた。
「シャルー、わたしの分はないのー?」
「あるよ?はいこれ」
「わーい!……ってこれ空ボトル!」
「ごめん、ぼくも喉乾いたからつい……ね?」
「それじゃ仕方ないかー」
そう言って笑顔をうかべる金髪の少女に、シャルと呼ばれた青年はこれまでの慇懃無礼な態度とうってかわって、気楽な様子で対応する。
アッハッハと顔を見合せて笑うふたり。だが、少女の右手にあった空の竹ボトルが投げつけられ、青年の額を強かに打ち付けた。そのまま崩れるように喧嘩を始めてしまう。
「……ほんと、こうしてみると年相応でかわいらしいですわね」
「1つ年下なだけなのに、普段からちょっと礼儀正しすぎますから」
「ウチでバイトしてる時はいつもあんなんさね」
「シャルくん。私たちの中で特に直政と仲良いもんね〜」
「いつも背中に隠れていた気弱で小さかった弟分。気がついたら自分よりも大きくたくましくなっていた姿に、男勝りでガサツな自分も女なんだと気付かされる……。これはイけるっ!」
「む、何やら金の匂いが」
「たしかに、直政とシャルルってセットなイメージあるよな」
「やめるさね」
騒ぐふたりを眺めながら談笑する梅組。一部が怪しい話を始めているが、相変わらず場の空気は明るかった。
場の中心にいるシャルルも、襲い来る姉を身長差で抑えながら、今日もまた平和な日常が繰り広げられているの見て笑顔を浮かべるのであった。
「えっ、通報?『
「……そういえばトーリ君がいませんね」
「─────あの人は本当に……っ!とっ捕まえて番屋にぶち込んでやるー!」
乾燥、評価、よかったらお願いします!
これからの流れ
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原作は全部やって欲しい
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原作の要所、オリ主関係だけでもおk
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それよりイチャラブだ(カケルカナ?)