ヒーローになっていろんな人を捕まえたい!   作:CRAZY Choco

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個性把握テスト!

 

 俺に怒鳴った彼はみんながドン引いているのを気にもとめず、席にどかっと座り込み、足を上げた。

 

え、ガラわる。

その瞬間俺はクラスメイトの大半が目を逸らしたことを目撃した。

 

「机に足をかけるな! 雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないのか!?」

「思わねーよてめーどこ中だよ脇役が!!」

 

いや.....わかる。わかるぜ? 俺は何故か目を逸らした連中を庇うようなことを思った。入学した高校、ここで合ってるか迷うよな。な。

バチり、目があった金髪は初対面だが今考えてることが双子であるかのようにはっきりと伝わってきた。俺たちは静かに、深く頷いた。

 

 

ここワンチャンヤンキー校なのでは???

 

 

2人して目が死んだ。

 

 

 

 

 ツンツン頭の態度に反応して説教を垂れるのは他でもない飯田だった。

 

 彼はカク、カクと手をロボットのように振り動く独特の動きするけど、ヤンキーに注意するくらい真面目らしい。おもしろいし偉い.....。そんな彼に反応して「ハッ!」と好戦的に笑うツンツン頭。律儀に中学を答える飯田に「ぶっ殺しがいがある」とかいってる。

 率直に言ってこっっっっわい。ンな簡単に殺そうとするんじゃねェよ。コイツは大人になってもこのスタイルで行くのだろうか。行くとしたらチョー面白いよなァ、と目を逸らして思う。だって目が合ったら威嚇させそうだから。ポ○モンかな?

 

 

 そんな俺たちの隣では何人か飯田とツンツン頭を止めるべきか迷ってるみたいだった。──よく止めようとか言う発想が出てくるよなァ、見捨てればいいだろーに。俺はこのお人好しに少し呆れながらそう思いつつ足元の影の中を探った。カメラどこにあったっけな、写真撮りてぇンだ.....もし、将来黒歴史になって残ってたら面白いよなァ、と俺は心の中でニンマリ笑った。机越しに金髪とまた目ェあった。.....おびえたような顔をされた。いきなり怖がられるなんて...ショックだわァ...。

 

「君ほんとにヒーロー志望か!?……ん、君は……」

 

 ツンツン頭の言い分にドン引いていた飯田が何かに気づき教室の全員の視線がいっせいに向いた。

 良かったな金髪、これがなけりゃ俺は君にずっと圧をかけ続けたぜ。

 

「アァっ! えぇと……」

 

  扉に居たのは注目を浴びて萎縮している緑の縮れ毛の男の子。そしてその後ろから明るい声で話しかける茶髪の女の子だった。初っ端から遅刻ギリギリとかどういうメンタルしてンだ? 飯田と話し込んだ3人に少し呆れる。緑に茶色に青、いやぁカラフルだなァ...眩しいぜ。

にこにこと話し続けている女の子とテレテレしている縮れ毛君を、あー、青春。ヤダヤダと見ていると、その足元に黄色い物体があることに気がついた。えっ...なにあれこわ.....。

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」

 

瞬間、黄色い物体から声が出た。

……えシャべっ喋った!? しかも寝起き声!!!

 

寝てたンか。廊下(そこで) !? てか誰

 

「ここは……ヒーロー科だぞ」

 

『((なんかいるゥ!?!?))』

 

多分クラスが初めて心を通わせた瞬間だった

 

 ヂュッとゼリー飲料を飲み込んで黄色い、寝袋?に入った人は言う。うわ…芋虫から川辺にいたらホームレス確定の見た目した人が出てきてド正論飛び出した、俺(今まで意味わかんないことしてた人のいきなり言い出す)正論、きらいなんだよね……。

 

 伸ばしっぱなしの髪と髭に、首元には白い包帯のような布。極めつけに全身真っ黒の服を着ているせいでかなり不信者感だ。彼はクラス全員から珍妙なものを見る眼で見られていた。正直、俺だってホームページから教師だと知らなければ「もしもしポリスメェン!」した。そんな感じだった。.....こんな感じとは.....思いもよらなかったなァ...。

 

白目な俺たちを無視して彼は話を続けた。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね」

 

『(((担任!?!?!?)))』

 

そんなことあるぅ!?と驚愕を隠さない俺たちを全く気にしないまだ眠気の取れてなさそうな声。せめて眠気がとれてから話して欲しい。こっちまでなんか眠くなる...気がする。あくびとかってうつるよな、それだ。

欠伸を素知らぬ顔で噛み殺した俺はセンセイの言葉をあくまで真剣なお顔で聞いた。

 

「早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」

 

体育着を見せて俺たちを放置して先生は気だるそうに教室から出ていった……

 

え? 出てった?

 

 

 

…………ぇ?

 

「なんつーか」

皆が先生の出てった扉を呆然と見る中、金髪のチャラっぽい男の子が呟いた。あ、また目があったな、運命じゃんウケる。

 

「ヒーロー科、ヤバくね?」

 

『((わかる))』

 

再びクラスの心がひとつになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『「「「個性、把握テストォオ!?」」」』

 

 体操着に着替えた俺たちが聞かされたのは入学式をすっぽかして個性をフルに使った体力テストだ。なァ、それは問題ないのか。学校行事ってそんな融通聞くもんなのぉ?てかだから入学式は保護者これねェの?

俺の渾身の疑問は空を漂う雲に流されて行った。あーお空キレイだなーーー!!(ヤケクソ)

 

「入学式は!? ガイダンスは!?」

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ。雄英は”自由”な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り」

 

 さっきの遅刻ギリギリガールの驚きの声に内心わかると同意し、それをものともせずさらっと流す相澤先生に白目になる。おぉん。アレは散々文句付けられてる顔だ。面構えが違う。

 

皆、自由な校風と知っている以上、文句を言うことはできなかった。もはや「これが最高峰……!」と丸め込まれているやつすらいた。飯田ってマルチ商法とかに騙されそうだよな.....誰か親切なやつ、教えてやった方がいいぞ。マジで。

 

「中学の頃からやってるだろ? 個性禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる。合理的じゃない」

 

 固まっている俺たちを置いて先生は淡々と説明を続ける。

 

──合理的、ゴーリテキねェ.....

 

個性アリはアリで有利不利が大きいくてこのひとの言う『合理的』に沿わないような気がするけど……結果の優劣を見ているわけではないンだろーな。なんとなくそう思った。寝袋に入ってたり見た目不審者だったりでまだこの人のヒトトナリってやつが理解できねェ。──やりづれーなァ。純粋にそう思った。その焦れったさに目を逸らして乱暴に頭を搔く。はァァァ.....やるしかねぇか。

 

「まぁ文部科学省の怠慢だよ」

 

 そんなことを考えてる間にも話はどんどん進み、ツンツン頭……爆豪と言うらしい.....がデモンストレーションをすることとなった。

ここまで全てにおいて何かしら物騒だった彼の個性はどんなんだろうか。

 

「死ねェ!!」

 

──そんな軽い気持ちを吹き飛ばすような爆音と爆風。

 

マ゚ッッッ避けれないのが悪かったけど土煙が目に入ったァ゛ァ゛ァ゛!!!

 

ァァァァい゙っっ...でぇ.......。俺が悶えている間にも相澤先生は薄情に計測装置に示された数値を見せクラスを沸かせる。ザっっけんな心配してくれたの尻尾君だけじゃねェか。705.2m。あァすごいすごい。すごいですねー! だから人への配慮を身につけましょぉねぇぇぇえ...?

 

 ギリギリと怒りながら俺は、心配して尻尾を貸してくれた尻尾君にもう大丈夫だ、と軽く叩いて知らせる。礼を言ったら「良いよ、俺も後ろにいたからそうなるとこだったし」と笑って名前を返された。それに「おじろ、尾白ね」と呟き俺も自己紹介をした。「わかった、影操ね、よろしく」と握手を差し出された。この短時間でわかる、尾白は人ができている。

 

配慮してない彼と違って!!!

 

 見たところ爆豪の個性は手から爆発を起こせる、というところだろうか。強いし怖ぇなこいつ。爆豪からそっ、と距離をとる間、クラスメイトが興奮して騒ぎ出す。

 

「なんだこれ!! すげー面白そう!」

「705mってマジかよ」

「個性思いっきり使えるんだ!! さすがヒーロー科!!」

「失明してたら目潰ししてやるとこだった」

 

「……面白そう…か」

 

 キャイキャイ騒ぎ立てるクラスメイトを前に相澤先生が『面白そう』の一言で不穏な空気を放つ。え何その顔。なんだか嫌な、凄く嫌な予感がして先生の顔から目が離せない。他のクラスメイトも異様な雰囲気を感じたのかゴクリと唾を飲み黙り込んだ。

 

 

「よォし、8種目トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し──

 

───除籍処分としよう」

 

『「「「はぁぁあ!?!?」」」』

 

予感は的中する。除籍、それは多分、学生にとって最も怖い言葉で、聞かない言葉だ。

 

「生徒の如何は先生(俺達)の”自由”」

「ようこそこれが─────雄英高校ヒーロー科だ」

 

髪をかきあげにんまりと笑う先生は、生徒の絶望顔も相まってそこらのヴィランよりずっとヴィランに見えた。

 

「これから3年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける───

 

 ───Plus Ultraさ」

 

 

先生の目には本気の色と、

 

 

「全力で乗り越えてこい!」

 

 

俺たちへの期待が鈍く光っていた。

 

 

 

 

 

 

 そうして始まった体力テスト。何人かダラダラ汗を垂らしているやつもいるが俺としては.....楽しみの方が大きかった。

 個性は鍛える為に使ってるけれどそれを目に見える形で測定するのは初めてだ。今まで感じて来なかった自分の実力、ワクワクしてしまうのは仕方ないだろ……?少しだけ、汗をかいて追い詰められてる緑頭君に後ろめたさを感じながら順番を待つ。体力テストに不利なんだろーなァ、ドンマイ。

 

スムーズに測定が行われ、あっという間に俺の名前が呼ばれた。個性を使った独特の走り方が結構面白い。

 

「走るのおんなじだよなァ、よろしく尾白」

「こっちこそよろしく、影操。お互い頑張ろ」

 

走るペアはさっき声をかけてくれた尻尾が特徴的な尾白。助けてくれたし、なんか素朴な感じがして好きかもしんねェなァ。ぼんやり思いながら白線の前で体勢をとった。

体力テストとかしばらくぶりだな...。中学...後期ってやったっけか? 体勢これであってた、か? 

 

そんな不安もスタートが近くなれば自然と消え、これは戦闘だ。これは勝負である。と言う意識へと変わっていく。

 

「よォい」

 

これは負けてはならないと、勝たなければいけないのだと自身に暗示をかける。軽くなっていく身体への強い爽快感が俺の頬を上げた。……と同時に隣の尾白がギョッと後ずさった。いや失礼すぎてマジ草。...そんなに凶悪?

 

「スタート」

 

気だるそうな先生の、トの音が消える前に前へと踏み出す。

 

グングン進んでいく両脚、普段とは違う感覚。自分を通り向けていく風が、肌をなぞる感覚がゾクゾクと気持ちいい。にィィィとどんどん口端が上がる。──ああ、なるほど。確かにキョウアクな面だなァ、コイツは。

 

『3秒23』

 

 ゴールを駆け抜け機械がタイムを読み上げた。やっぱ個性を使って動くとすっごい楽しいなァ...。それだけは確かだわ。ギャハ、と無意識に下品に笑い息を整える。

 

『5秒49』

 

 尾白がゴールを通過し独特な機械音声でタイムが流れた。個性の尻尾の使い勝手が良いようで、上手く活かしながらタイムを縮めていた。ぴょんぴょんと尻尾で跳ぶ姿はうさぎやカエルに通づる何かがあった。素の身体能力も高そうだ。鍛えてンだろな。普段のトレーニングとか知りたいかも。

 

「おつかれぇ尾白」

「お、おつかれ影操、速いね……」

 

 切れた息を整えながら、表情動かないタイプに見えたからすっごくビックリしたんだけど、と苦く笑う尾白にそりゃ悪い事をしたと思った。罪悪感からあー、アレね。と理由が口を突いて出た。

 

「威嚇」

「威嚇!?」

 

なにそれ!と驚く彼に「ウチの家訓だぜ、一旦威嚇で戦意喪失してもらお? 的な」そう返す。「ハハ、確かに怖かったもんねあの顔……」とぐったりして言う尾白にえぇー、とわざとらしい声で「ひどぉ」と言ってみる。こういう軽口を言える関係に初日でなるなんて、尾白もしかしてかなりコミュ力高いのでは?と邪推してみる。

 

 

 

 しばらくだらだらだべっていると遠くから飯田がやってきた。ここから見るとカクカク動いててレトロゲーのキャラみたいだ。おもろぉ。

 

「影操君! 君は速いな、脚には自信があったのだが……個性を聞いても構わないだろうか!」

 

 飯田は確か現在クラストップの3秒04の記録を持っていたはずだ。飯田の個性はエンジンと言って、その名の通り驚異的なスピードを出すことができるらしい。実際速かった。目にも留まらぬハヤサってやつ。動力源はオレンジジュースらしい、無駄に可愛いよな、ココ。

 

そう思いながら俺の個性を答える。

 

「別に大丈夫。俺の個性は影を操って捕まえたり、物入れたりする個性……と、デメリットを付与する代わりに同等のメリットを貰える個性だぜ」

「「個性2つ持ち!」」

「2つ個性持ってんの!?い〜なぁ〜」

「足が速いのは2つ目、普段身体能力を2分の1にする代わり任意で2倍にできるようにしてンのな」

 

 声を揃えて驚く2人の後に続いたのは、ぶどうのような頭の個性を持つ小さい男子だった。彼は「俺は峰田実!」と自己紹介しながら会話に入ってきた。よろしく峯田。タネ明かしをしながらピラピラ手を振る。

 

「なるほど! 個性を2つ持っている人は珍しいな。大声になってしまった、すまない!」

「俺もおっきい声だしてごめん……」

「別にだいじょぶだ」

「いやいやいやそんなことよりさぁ、男子が4人!ならもっと話すことあるだろ……お前ら、エロは好きか?」

「なな、何を言ってるんだ峯田クン!」

「女子近くにいるのにその話題出すか?勇者だなァ」

 

 ニマニマとしながら「な〜あ〜な〜あ〜」と絡む峯田とカクカクの動きでアワアワ注意する飯田。そばを離れた尾白と顔を見合わせくすくす笑う。峯田の個性は頭のぶどうっぽいのでくっついたら離れない物質を頭から生み出す個性だそうだ。この個性でヒーロー科の試験受かったの純粋に凄いと思う。

まァ俺が2つ目の個性を尾白の尻尾や峯田のボールみてーに、手足のようには使えないから、余計にそう思うのかもしれねェけど。.....訓練、するかァ?

 

 

 その後のテストは尾白が上体起こしでビュンビュン起きててビビったり、峯田が反復横跳びでキショい挙動で1位とっててちょっと引いたり、腕の多い人が握力540キロあって峯田が絡んだり。

飯田が持久走できるのはなんか分かってたけれどバイク創った人には驚かされた。マジで。

 

 

 

 そうして終わった個性把握テスト。

俺は個性上かなり自信があったンだが……握力で万力使ってたり持久走でバイク使われた時点で急に不安になってきた。あれアリなんかよ……先生がアリと言ったからありなんだろうなァ……。皆が緊張の中順位が一気に張り出される。

 

「───っし!」

「影操も受かってた? 俺も落ちてなくて良かった〜」

 

4位。思いのほか高かった順位に小さくガッツポーズをしていると尾白がホッとしたように呟いた。

 

「俺も大丈夫だった! だが……緑谷君は……」

 

飯田は複雑そうな顔で、絶望顔の緑谷のことを見た。さすがに除籍は誰だって同情する、俺だってする。尾白も俺もうわぁ.....と何も言えなかった。これからのことを考えると憂鬱だ。だってクラスに1席空席ができてんだろ? きまずぅ.....。

 

 そんなとき緑谷を見た相澤先生がボソリと呟いた。

 

「除籍は君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

それにクラスメイトはわっと沸き上がった。

 

「はーーー!!!???」

「あんなのウソに決まってるじゃない……。ちょっと考えればわかりますわ」

「すっごいサラッとウソついたな……」

 

 あまりに躊躇いなくウソをついた姿はガチだったと言われた方が納得出来る程だった。合理的……合理的虚偽ね…。

 

「大人ってこわァいなァ……」

「わかる……俺も心臓バクバクだったよ……」

「お前らはいいじゃねーか! オイラだよ! オイラホントにヤバかったんだからなぁ!」

 

 そう言い合ってる俺たちも、後ろの最下位だった緑谷が固まってるのに苦笑いする。地獄と天国超特急で行き来して、カワイソウな緑谷。飯田が何気なく駆け寄って手を握り「良かったじゃないか!」とブンブン振って顔を明るくしてるのが、なんかいいなァと思った。

 

「そゆこと。これにて終わりだ。教室にカリキュラム等の書類あるから目ぇ通しとけ。

……緑谷。リカバリーガールのとこ行って治してもらえ。明日からもっと過酷な試練の目白押しだ」

 

じゃ、解散。とそう言って帰ってった先生に習って俺たちも帰り支度をする。

 

「なんか、どっと疲れたきがする...」

「それなァ、今日は早く帰って寝てェー」

「わかる」

 

 そんな会話を尾白として、グラウンドから校舎へ帰り際に、未だぼーっとしている緑谷の肩を叩いた。怪我をしていない方だ。

 

「早く保健室行って来たらどうだ?緑谷」

「え、あ…うん! ありがとう影操君。行ってくるよ」

「俺も付き添おう! 緑谷君!」

「ありがとう飯田君」

 

 茫然自失と言った緑谷は声にハッと意識を取り戻し、飯田と共に保健室へ消えた。俺たちは更衣室で着替えて、個々に帰って行った。

 

心労の酷い1日だった。

 

「あっ、ヤベ」

 

 歩きながらスマホを確認するとLINEが1件。下駄箱から靴をだして履きつつ読む。弟のクラスはごくごく普通に進んだようでもう校門前だと書いてあった。いいなァ……心労無くて。

 

「おーい兄貴!」

 

LINE通り校門前にはユイが壁に背を預けていた。

 

「悪い。待たせた」

「いいよ。でも何やってたん? A組。居ないもんだから入学式ザワザワしてたよ。校長がHAHAHAって言いながらキレてた」

「ウケる」

 

 入学式ちゃんとあんじゃねェか、そんな悪態を内心抱えて互いに話し始める。ああ、校長話長いんだ……そこは参加しなくて楽だったかもしれないなァ、なんて思いながら今日の結論を伝える。相澤先生の、授業終わりに見せた満足気な目を思い出す。

 

「でさ、今日、いいカメラ買ってこうと思うンだよな」

「そりゃまたなんで」

「なんでって、そりゃあ……」

 

帰り道の商店街、カメラ専門店がどっかにあったはずだと道を思い出す。

 

「A組の写真、集めたいなァ……って」

「なんだかんだ絆されてて草ぁ! 金出すぜ交代制な!」

「そっちも絆されてて草」

 

マジの眼で財布を漁る弟に、双子だなァって、おもいました。

 

 

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