ホグワーツは毎年日本から留学生を招いているらしいです   作:兵庫人

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第1話

 世界の人間は「魔法」という視点から見ると大きく二つに分けられる。

 

 一つは杖を振るって呪文を唱えることで魔法を操る「魔法族」。もう一つは魔法を使えない「マグル」。

 

 魔法族は世界中に暮らしており、それは日本も例外ではない。

 

 そして日本に暮らしている魔法族は、世界から見ても独特な日本の文化の影響を受けたせいか、他の国の魔法族には見られない特徴がいくつもあった。特に日本の魔法族は「とある日本独自の魔法」によって高い戦闘力を有しており、日本の魔法族を知っている他国の魔法族は彼らのことを「世界で最も野蛮な魔法族」、「頭のおかしい最強戦力」、「変態じみた戦闘集団」と呼んで恐れていた。

 

 しかしイギリスで「名前を呼んではいけない人」が起こした闇の魔法使い達による内乱が起こると、それまで少数だが留学していた日本の魔法族は内乱の鎮圧に多大な貢献をして、世界中にその名を大きく広めた。

 

 闇の魔法使い達と勇敢に戦ってくれた日本の魔法族に大きく感謝したアルバス・ダンブルドアは、これを機にイギリスにある世界で最も有名な魔法使い育成学校「ホグワーツ魔法魔術学校」に毎年日本の魔法族を留学生として招くようになった。それによって世界中の魔法族は、戦闘能力以外の日本の魔法族を知るようになり、戦闘以外の点でも一目置かれるようになる。

 

 そして「名前を呼んではいけない人」が一人の赤子により滅ぼされ、闇の魔法使い達の内乱が終わってから十年後。新たに一人の日本の魔法族がホグワーツに入学しようとしていた。

 

 

 

 日本にある魔法学校「マホウトコロ」。

 

 ホグワーツは十一歳から入学であるが、マホウトコロは七歳から入学が許されている。

 

 だが本格的な魔法の授業が始まるのは他の魔法学校と同じ十一歳からで、それまでの四年間はマグルの学校でも学ぶ一般的な学問に加えて魔法界の歴史や外国語を学び、魔法を学ぶ下地を築くのであった。

 

 ……しかしたった一つだけ例外があり、マホウトコロはある一つの魔法だけ、全ての生徒に入学した頃から修得させようとしていた。その魔法の修得はホグワーツの留学生に選ばれる条件の一つで、彼、猪牙(いが)重仁(しげひと)はマホウトコロの教室の一つで魔法を修得したかのテストを受けていた。

 

「よし。それじゃあ猪牙、やってみろ」

 

「はい」

 

 教室には重仁と教師の二人だけがいて、教師が言うと重仁は返事をしてから自分の左腕にある、円盤がついた腕輪のようなものに手で触れた。

 

 この円盤がついた腕輪は、「マニ車」という回転させると経・真言を唱えるのと同じ功徳があるとされている仏具から着想を得た魔法の道具で、呪文と杖の動きを表す記号が描かれた円盤を回すことで一つの魔法を発現させることができた。

 

 重仁が腕輪の車輪を回すと、彼が羽織っている緑色のローブが姿を変え、重仁の外見も大きく変化する。

 

 腕輪の車輪を回すことで発現し、重仁の姿を変えたこの魔法は変身術の一種で、この魔法こそが古来より日本の魔法族の高い戦闘力を支えてきた日本独自の魔法なのである。

 

 そして十年前の闇の魔法使い達の内乱でも、日本の魔法族はこの変身魔法を使って戦い、当時の闇の魔法使いの全員が日本の魔法族を恐れ、「名前を呼んではいけない人」ですら日本の魔法族を「この上なく厄介な連中」と評したのだった。

 

 教師は腕輪を使って外見を変えた重仁を見ると満足そうに頷いた。

 

「うん。ちゃんと魔法を使えるみたいだな。これで来年度のホグワーツ留学生は猪牙で決まりだな。おめでとう」

 

「はい。ありがとうございます」

 

 変身魔法を完璧に使えていることが認められてホグワーツの留学が決まると、重仁は嬉しそうに教師に礼を言い、それに対して教師はもう一度頷くと真面目な顔となって重仁に話しかける。

 

「いいか、猪牙? ホグワーツは毎年少数だが留学生を招いてくれている。これはイギリス魔法界が俺達日本の魔法族を認めてくれているということで、非常に名誉なことなんだ。だからホグワーツに留学したら、その期待に裏切らない行いをして、誰かが危険な目に遭っていたらその魔法で助けてやるんだ」

 

「はい。分かりました」

 

 真剣な表情で言う教師に、自分も真剣な表情となって応える重仁。

 

 そしてその変身魔法を使って危険な目に遭っている誰かを助ける日は、それから数ヵ月後に訪れることになる。

 

 

 

「ーーーーー!」

 

「コイツがトロールって奴か……。実物を見るのは初めてだな」

 

 重仁がホグワーツに留学してから数ヵ月後。重仁はホグワーツの女子トイレで、薄い灰色の皮膚の四メートル近い禿げ頭の巨人、トロールと対峙していた。

 

 重仁の背後には茶色の髪の女生徒が腰を抜かしており、重仁に向かって叫ぶ。

 

「と、トロールを相手にするだなんて無理よ! 貴方だけでも早く逃げて!」

 

「逃げる? 俺が? 君を置いて一人で? 悪いけどそれは無理な相談だね」

 

 女生徒の言葉に重仁はおどけた感じで返事をすると、羽織っているローブに付いているフードを頭に被り、左腕にある円盤がついた腕輪(通称変身セット。命名者は赤毛の双子)に触れて円盤を勢い良く回した。

 

 すると次の瞬間、ローブは複数の板を重ね合わせたような特徴的な外見の鎧、日本甲冑となり、ローブに付いていたフードは猪の頭部を模した兜となった。

 

 これが左腕の腕輪に刻まれた日本独自の変身魔法の力。

 

 変身魔法の正式な魔法名は「鎧となり、加護と力を与えよ」と言い、身に纏っている衣服を魔法の日本甲冑にと変える魔法である。

 

 この魔法の日本甲冑は物理的にも魔法的にも高い防御力を誇り、熟練者が作った魔法の日本甲冑は「禁じられた呪文」の中でも最強最悪の「死の呪文」にも一撃は耐えられる。しかも身に纏っている人間の筋力を大幅に上げる効果もあって、魔法の日本甲冑を身につけている間は常人離れした速度で走り回ることもできたりする。

 

 魔法族の一般的な戦い方は、物陰に隠れたり防御魔法で守りながら相手の隙を伺い、相手より先に攻撃魔法を命中させるというものだ。

 

 しかし日本の魔法族は、魔法の日本甲冑を身に纏った状態で相手の攻撃魔法をいくら食らおうとも構わず突撃して、絶対に避けれない距離から攻撃魔法、あるいは強化された筋力で振るわれた拳と杖を叩き込むというものだ。

 

 世界中でも日本の魔法族しかしようとしない「重装甲高速魔法兵」とも言うべき戦い方は、古来より多くの敵を恐怖させてきた。そしてそれは今も同じであった。

 

「さあ、かかってこい、トロール。俺に喧嘩を売ったことを後悔させてやるよ」

 

『『………!?』』

 

 日本独自の変身魔法「鎧となり、加護と力を与えよ」によって猪頭の鎧武者となった重仁がトロールに向かってそう言うと、それを見ていた茶髪の女性、そして女生徒を助けに来た眼鏡をかけた男子生徒と赤毛の男子生徒が揃って驚き絶句した。

 

 

 

 現在世界で最も偉大だと言われている魔法使いアルバス・ダンブルドアがホグワーツ魔法魔術学校に毎年日本の魔法族を留学生として招くようになってから早十年。

 

 その間に世界中の、特にイギリスの魔法族は、日本の魔法族に戦闘力以外でも様々な行動で驚かされ、彼らのことを色んな異名で呼んだ。

 

 世界で最も野蛮な魔法族。

 

 頭のおかしい最強戦力。

 

 変態じみた戦闘集団。

 

 話せば意外と紳士な種族。

 

 二重人格者の集団。

 

 あらゆる才能に恵まれた者達。

 

 妖怪「コイツらに苦手なことなんてあるのかよ?」。

 

 屋敷妖精泣かせ。

 

 聖人の皮を被ったバーサーカー。

 

 魔法族界の変身ヒーロー。

 

 これはホグワーツ魔法魔術学校に留学した主人公を初めとした数人の日本の魔法族達が色々と動き回り、「本来の歴史」とは異なる運命を築いていく物語である。




続かない。
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