ホグワーツは毎年日本から留学生を招いているらしいです   作:兵庫人

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第4話

 ホグワーツ特急がキングズ・クロス駅から出発して数時間後。重仁を初めとするホグワーツの新入生がホグワーツの校舎に辿り着いた頃には、辺りはすっかり夜になっていた。

 

 一般人より一回り身体が大きい森番に案内されて重仁達、新入生がホグワーツの校舎に入ると、厳格そうな女性の教師が案内を引き継ぎ新入生達を一階にある大広間に案内する。大広間は百人以上の人間が入れそうな広さがあり、そこには教師陣と先にホグワーツにやって来た先輩の生徒達がいて、興味深そうに新入生達を見ていた。

 

 そして大広間の入り口から少し離れたところに、くたびれた古びた帽子が椅子に置かれていて、新入生達が全員大広間に入ると椅子に置かれた帽子が突然歌い出した。

 

 

「私はきれいじゃないけれど、人は見かけによらぬもの。私をしのぐ賢い帽子、あるなら私は身を引こう。

 山高帽子は真っ黒だ、シルクハットはすらりと高い。私はホグワーツ組み分け帽子、私は彼らの上をいく。

 君の頭に隠れたものを、組み分け帽子はお見通し。かぶれば君に教えよう、君が行くべき寮の名を。

 グリフィンドールに行くならば、勇気ある者住まう寮。勇猛果敢な騎士道で、他とは違うグリフィンドール。

 ハッフルパフに行くならば、君は正しく忠実で。忍耐強く真実で、苦労を苦労と思わない。

 古き賢きレイブンクロー、君に意欲があるならば。機知と学びの友人を、ここで必ず得るだろう。

 スリザリンではもしかして、君はまことの友を得る。どんな手段を使っても、目的遂げる狡猾さ。

 かぶってごらん! 恐れずに! 興奮せずに、お任せを!

 君を私の手にゆだね! 私は手なんかないけれど! だって私は考える帽子!」

 

 

 椅子に置かれた古びた帽子、組み分け帽子の歌が終わると、突然のことに驚いてる新入生達に向かって厳格そうな女性の教師が口を開く。

 

「これより組み分けの儀式を行います。名前を呼ばれた順にあの椅子に座り組み分け帽子を被ってください。そうすれば組み分け帽子が貴方方が行くべき寮を決めてくれます。では……」

 

 厳格そうな女性の教師はそれだけを言うと、新入生の名前を苗字のアルファベット順に読み上げていき、呼ばれた新入生は椅子に座って組み分け帽子を被る。そうすると組み分け帽子はグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンの四つある領のどれかの名前を叫び、新入生は自分が振り分けられた寮と同じ生徒がいるテーブルに向かって行く。

 

 そしていよいよ重仁の順番がやってきた。

 

「イガ・シゲヒト」

 

「はい!」

 

 名前を呼ばれた重仁が大きな声で返事をすると、周囲の生徒達の視線が彼に集まった。

 

「日本人だ」「本当に日本人? 中国人じゃなくて?」「あの名前の発音は日本人だろ」「今年の日本の留学生は彼一人か……」

 

 周囲から聞こえてくる生徒達の噂話を聞きながら重仁は椅子に座り組み分け帽子を頭に被った。すると頭の中に誰かの声が響いてくる。

 

『ふむ? 今年の日本人の留学生か。なるほどなるほど。……それにしても、ふ〜む?』

 

『どうかしましたか? 俺に何か問題でも?』

 

 頭の中に響いてくる声、組み分け帽子が何やら悩んでいる様子で、重仁は心の中で組み分け帽子に話しかける。

 

『いや……君に何か問題があるわけではない。……しかし、どうして日本人の資質は全員同じなのか疑問に思ったのだよ。君達日本人はグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクローのどれでもやっていける適性を持っているのだが、それ以上にスリザリンの適性がありすぎる。今まで私を被ってきた日本人全員が、だ。それが少し気になったのだよ』

 

『えっと……? それは単なる国民性じゃないですか? それより俺の寮はスリザリンでいいですか?』

 

『うむ……。適性は十分すぎるほどあるし、君自身もそれを望んでいるならば問題ないだろう。君が行くべき道は……』

 

「スリザリン」

 

『『ーーーーー!』』

 

 組み分け帽子は重仁との会話の後に彼の寮の名前を言うと、スリザリンの生徒が集まっているテーブルで歓声が上がり、他の寮の生徒達は「やっぱりか……」という表情を浮かべていた。

 

 そしてその様子を教師陣のテーブルで見ていた呪文学を教えている小柄な教師、フィリウス・フリットウィックが何かを思い出して自分の隣に座っている魔法薬学を教えている教師、セブルス・スネイプに話しかける。

 

「スネイプ教授。今の留学生君、確かイガって言いましたよね? もしかしてスネイプ教授の友人だった「親友です。そして過去形ではなく今も親友です」」

 

 フリットウィックの言葉にスネイプは言葉を被せ、フリットウィックは目を丸くした。

 

 セブルス・スネイプと重仁の父親である猪牙重愛(しげよし)はホグワーツ在学時の同期で同じスリザリン生であり、また重愛はスネイプにとって大恩人と言っても過言ではない人物であった。

 

 セブルスは純血の魔法族とマグルの間に生まれた半純血で、半純血のスリザリン生という理由で学生時代は純血の同じスリザリン生徒や「マローダーズ」と名乗るチンピラ集団にからまれる度に、重愛は火を吐くような勢いで怒りスネイプを助けてくれた。

 

 他にも初恋にして唯一愛した女性にある事故で酷い侮辱を言ってしまった時も、仲直りに協力してくれたし、その女性がよりによって自分の仇敵と言っても過言ではない男の元へ嫁いで行ったときはヤケ酒に付き合ってくれた。

 

 そして「名前を呼んではいけない人」がイギリス魔法界で内乱を起こした時、その時のスネイプの行動を重愛は心配しながらも影から手助けしてくれた。

 

 そんなことからスネイプと重愛は今でも非常に仲が良い友好関係を続けており、当然スネイプは重仁のことも知っていて可愛い甥のように接していた。

 

 その重仁が自分が寮監を務めているスリザリンに入ったことにスネイプは小さく笑って喜ぶのであった。

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