異世界は前世の記憶とともに   作:ハッタリピエロ

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どうも……ハッタリピエロです……

小説を書く時間がなかなかとれなくて随分久しぶりの投稿なんですが新作を投稿します……自分が大好きなライトノベル異世界はスマートフォンとともに。のアニメ二期が放送されるのを知って書きたい衝動が溢れてしまって……!自分が納得できるものを書くために随分と時間がかかってしまいました……!


プロローグ

 

『ブモォォォォォ!!!』

 

穏やかな風が草原の草を、森の木々の葉を揺らし心地よい音を奏でる。

 

ついさっきまで聞こえる音といえばそれだけだった静かな山に獣の叫びが響き渡る。木の上でチュンチュンと囀っていた小鳥も逃げるように飛び立っていき、リスやウサギなどは慌てて岩陰や木の隙間に隠れてしまった。それほど大きく荒々しい声は山のある場所から聞こえていた。

 

その声の発生源の草原では、二つの影が周囲の草の中でも一際高く生い茂った草を挟んで、足元をガサガサと揺らしながら走っていた。

 

草原を駆ける二つの影の片方、先の叫び声の主である獣が草むらの向こうにいる自身の()に対して叫び続けながら、勢いよく草むらを突っ切っていく。

 

もう片方の草原を駆ける影は近づいてくる足音と気配に気づくと、反射的に横っ飛びで草むらから距離をとり、足音の方へ体を向け腰のすぐ横に手を添える。

 

前方から聞こえてくる足音と草を掻き分ける音がどんどん大きくなっていき目の前の草が大きく揺れた直後、一匹の獣が飛び出しこちらに向かって突進してきていた。

 

突進してくる獣の全身は薄茶色の体毛に覆われ、大きさは小さな家と同じぐらい、怒気を発する獰猛な目は黒く、口の両端に生えている白い牙は大きく反っていて、その上にある鼻の色は目と同じ黒だった。

 

獣の特徴を確認した影は笑みを浮かべて腰に差してある太刀の柄を掴む。

 

その動作に大して気にすることもなく、獣はさらに勢いを増して突進する。

 

それを見ても影は動揺することもなく、左足を半歩下げ、右足に()を集中させる。

 

自身と獣の間合いが5mあたりに達した瞬間、影の姿が一瞬にしてその場から消える。

 

そのことに獣は混乱するもその勢いのまま突っ込もうとするが、その直後、首元から大量の血飛沫が噴き出すと苦しみながら走る勢いを無くしていき、崩れ落ちるように倒れる。しばらくの間、倒れながらも体を動かして暴れるが、それも徐々に力を無くしていき、やがて動かなくなった。

 

生き絶えた獣の後ろから影が近づいてくるとその姿が露わになる。

 

身長は165cmほどで、見た目から青年ではなく少年という歳なのだろうが、落ち着いた佇まいが大人びた雰囲気を纏っている。非常に整っている面貌からは美しさを感じさせながらも、穏やかそうな目は優しげな印象も抱かせる。漆のような艶のある黒髪は肩まで綺麗な形で伸ばされていた。

 

服装は左胸と両袖に三日月の刺繍が施された紺色の袴に、袴下も同色で統一されていて、腰に巻かれてある白い帯には太刀と脇差が一振りずつ差してあり、足元は白い足袋に黒鼻緒の草履を履いていた。

 

その少年はこの国では武士と、他国では侍との呼称もある者の格好をしていた。

 

少年は気を緩めずに獣に近づき、確かに死んでいるのを確認すると、腰に差してある脇差ではなく懐からナイフを取り出し、慣れた手つきで骨から皮や肉を削ぎ落として解体していく。

 

「鏡夜、終わったでござるか?」

 

しばらくの間は黙々と作業を進めていたが、後ろからかけられた声に手を止めて振り向く。

 

「八重か。ああ、ちょうど終わったところ」

 

振り向いた視線の先には彼の見知った幼馴染の少女がいた。

 

丁寧に着付けられた薄紅色の着物に紺の袴、ポニーテールで結われている少年と同じ黒い髪、腰の白い帯にはこれまた同じように大小の刀が差してあった。

 

その姿から分かるように彼女もまた少年と同じ侍であった。

 

礼儀正しさを感じさせる佇まいの彼女ーー九重八重は幼馴染の少年の返答に笑みを浮かべて

 

「そうか。ではこれでファングボアの討伐依頼は完了したでござるな」

 

「ああ、大きさからしてこいつがこの辺りのファングボアのボスだろうしな」

 

「お互い怪我なく終わることができてよかったでごさるな」

 

「まあ、こいつが来る前に群れをほぼ殲滅したから大分楽だったんだろうな」

 

彼らはこの山のすぐ近くにある農村の住民たちからの依頼を受け、住んでいる城砦都市オエドからやってきたのであった。

 

その農村ではここ最近、畑や田んぼの作物が荒らされる事態が頻発していた。

 

足跡から山に住むファングボアだとわかったのだが、それに村人の多くが難色を示した。なぜなら村人たちの多くは戦闘経験など殆どないので、一体だけならともかく、群れで集まっていた場合だと倒し切ることなどできず、最悪の場合全滅しかねない。

 

そこでオエドの領主徳川家泰に救援依頼を出すと、その家泰の家臣である九重重兵衛の娘、九重八重が名乗りをあげ幼馴染である彼もそれに同行した。

 

重兵衛も八重たちの実力を知っていたため、特に反対せず修行の一環として、内心では心配しながらも送り出したのだった。

 

そして彼らは数時間をかけて山に巣食うファングボアたち十数匹を討伐し終えたのだった。

 

「これで農村の人たちも安心できるでござるな」

 

「っつても、山に生息する魔獣はファングボアだけじゃねえから楽観はできないけどな……」

 

「むぅ、鏡夜は心配性でござるな。あまり悩みすぎるのもよくないでござるよ」

 

「そうだけどな……」

 

「まあ、また魔獣が畑を荒らさないかは確かに心配でごさるな。拙者も家泰様に相談してみるでござるよ」

 

話し続けながらも二人は切り落とした皮や肉を麻袋に分けて入れていく。

 

ファングボアの皮は保温効果が高いので防寒着の素材に使えて、肉もかなり美味なので余すことなく回収していく。

 

初めの際には嫌悪感を感じていたその作業にもいまは難無くこなせていた。

 

少年ーー暁鏡夜(あかつききょうや)がふと内心で呟く。

 

(やれやれ、もう大分こっちに馴染んできたけどまさか二度目の人生(・・・・・・)があるとは思わなかったな。しかもファンタジー要素満載の異世界でとか)

 

彼は前世の記憶を持った存在ーー俗に言う転生者であった。

 




今更ですが主人公の簡単なプロフィールを載せておきます。

【暁鏡夜】

年齢 14歳

身長 165cm

最後に主人公と一緒に登場したヒロインの一人である九重八重のプロフィールも載せておきます。

【九重八重】

年齢 11歳

身長 153cm

※年齢や身長はプロローグ時点でのものとします。


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