-Double Archive-   作:幸田市

10 / 15
☆祝、評価5件達成!&UA4000突破!&誤字脱字報告!
まじでうれしい(号泣)

これも応援してくださった読者様のおかげです!これからも本作品を応援してね!
(課題終わらない)

うへぇ、おじさんの3Dモデルとか私尊死しちゃうよぉ。まじで!

シロコもつえぇし、ハフバ前に石刈り取らないで~

てかレイドワカモめっちゃ報酬うまいやん。

さぁ、本編の対策委員会編がはじまりまっせ…旦那。


第十話「Sに願いを/なぜ君は一人なのか」

「というかッ!どうして先生がいるのよ!」

 

「だってセリカちゃんがこの時間いる場所ってここぐらいでしょ~。それに、先生を連れてきたのは私、責めるのはやめたげてね。」

 

「ホシノ先輩…」

 

 

 

 

 

「なんで先生が後輩になってるんですか…」

 

ついつい小鳥遊のイケメンムーブについキュンとしてしまった。今も彼女の周りにきらきらフィルターは抜けないが、奥空の一言により現実を取り戻した。なので今に至った経緯を黒見に説明しようと口を開いた。

 

「あの後学校に行ったんだよ。そしたらみんながいたからご飯をおごろうと思ってね。」

 

「うん、そのあと事情を聞いた。だからせっかくならセリカのとこ行こうってホシノ先輩が言った。」

 

 僕の話に追従したシロコは、簡潔かつあっさりと黒見に現実を突きつけた。だが、やはりソレを受け入れたくない黒見は壊れたように「ソウナンダー」とbot返しを繰り返す残念な子になってしまった。正気に戻るのはしばらく先だろう。こうしてつっ立っているのも周りの目が痛いので、おとなしく自分で席を見つけようとキョロキョロあたりを見渡す。

 

「お、アビドスの生徒さん方と…そこの兄ちゃんは…たしかどっかで聞いた事あるような…」

 

調理の最中であるにも関わらず、動けない黒見に変わり僕たちの接客をしてくれる人情深い()()。ふさふさの身体からはとても想像のつかない渋い声を出す柴大将は、どうやら僕の事がわかるのかわからないのか、首を傾げ必死に海馬の情報を辿っている。

 

 認知されて嬉しいのか、その上忘れられて悲しいのか、とても微妙なラインである。

 

「どうも、シャーレ探偵事務所の先生です。うちの教え子がいつもお世話になっているので、ご挨拶をと。」

 

「なるほど!シャーレの「先生」か!寛ぎやすい場所じゃないが、ゆっくりしてってくれ。セリカちゃん、落ち込んでるとこ悪いが席を用意してあげな。」

 

「…うう…広いお席を用意しますので、少々お待ちください…」

 

黒見は柴大将の一声によって、そそくさと席を準備しに行った。

 

 

 

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「なんなのよ、もう!」

 

 「紫関」の営業も終了したという事で、いつもの学生服へと姿を変え夜の街へと潜り込む黒見 セリカ。行先は勿論自宅、彼女はバイト戦士である前に一人の人間。どんな人間であっても最後は床につくのが正しい判断である。さらに言えば、今日のバイトはアビドスと先生が来たことによる心身疲弊が凄まじい。

 

 一年先輩であるシロコとノノミ(十六夜)のどちらの隣に行くか迷う先生(なお本人はどちらに行っても女性免疫のなさが露呈するのでカウンターへ行きたかった)。そのままノノミとホシノ(小鳥遊)による褒め殺し口撃、怒涛のクリーンヒットにセリカは心が折れそうになった。正直本気でおじさんがおじさんだと思ってしまった、とセリカは意識的に考えてしまった。そんな中、アヤネ(奥空)は「早く頼め」と無言の圧を与え、その場の全員を震え上がらせた。あれは間違いなく「アビドスの魔王であった」と、のちに先生は語った。

 

 さて、そんな苦労人気質なセリカ氏にも、実は意外な趣味と言うのは存在する。

 

 それは貯金である。バイト戦士である彼女の原動力はたった一つ、貯金箱に自身が生み出した利益をつぎ込む事。最初は自身の出身校、アビドス高等学校を守るためにしていた貯金。それがいつの間にか日常となっていき、ついには「趣味」となってしまった。つくづく、人生とは未知とロマンに溢れているのだと錯覚してしまいそうになる心をひた隠しながらも、明日も、明後日も、セリカはバイトをし続ける決心を固め、相変わらずの鼻歌を響かせながら、今日もまた家に帰る…

 

 

「…」

「…あいつか?」

 

わけにもいかないようだ。黒と赤のヘルメットをかぶった少女が二人、黒見を指差し何かのやり取りを始めた。

 

「はい、そうです。アビドス対策委員会のメンバーです。」

 

黒ヘルメットは黒見を指差しそう答える。手には重火器、彼女の白く輝く輪っか「ヘイロー」は、無機質にも光り続ける。すると、赤ヘルメットは合図を送りライフルを構える。

 

「次のエリアで捕獲だ、いいな?」

 

「了解」

 

「了解だ。」

 

すると、彼女たちは黒見の後に近づく為、気配を殺し歩みを進める…?

 

「待て」

 

「どうしました、団長。」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ええもちろん。この任務は二人で誘拐を達成することです。

私たち以外にいるはずが…ちょっと待ってください。」

 

「さっき、もう一人声がしなかったか…」

 

『いつから、一体いつからだろうか。このような隠密能力があるヤツがこの場にいるとは』。赤ヘルメットは内心で毒を吐きたくなる気持ちを抑え、時期に来る刺客の為に戦闘態勢を取る。

ライフルを構え、後ろを黒ヘルメットに守らせる。余程の事がない限り、刺客に一撃で葬られることはないだろう。赤ヘルメットは確信さえ持てた。

 

そう信じて、いずれ来るであろう敵襲の前に、一度黒ヘルメットの様子を確認しようと後ろを見る。

 

 きっと、彼女は忘れることはないだろう。濃密なまでに圧縮された戦闘時間。そして、どうあがいても生き延びることが出来ないと心の底から切り刻まれた自信という名の紙屑のみが、彼女らを支配するだろう。

 

ソレは正に、生命の終わり(願いそのもの)であり、命を供物とするバケモノ()であった。

 

 

 

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「ッ!ドーパントか!?」

 

 黒見の靴に仕掛けておいた「敵性生物探知型GPS」。新型デンデンセンサーに搭載されているシステムの一つだ。彼女には悪い事をしたが万が一の為、貼らせてもらった。だが皮肉にも予想が当たり、あらかじめ近くにいたお陰で早めに合流することが出来そうだった。

 

しかし、それはコイツに阻まれることになる。

 

 バイクを操縦中、深い暗闇から突如襲ってきた存在。丸い点が無数に存在する、まるで夜空に彩る満点の星とそのほとんどが漆黒、どうりで夜だと見えずらいわけだ。顔はまっくろくろすけのように暗く、未知のダークマターと遭遇した気分になり、人間の探求心を湧きあがらせてしまいそうだ。まぁこんな異形はドーパントぐらいしかあるまい、おそらく財団X、木内の差し金であることは確かだ。今度会ったらただでは済まさねぇ。ただ、今はそれどころではない。

 

 バケモノは僕の進路を徹底的に邪魔したいようで、先ほどからどれだけ避けても追いついてくる。どうやら、ここから先は通すつもりはないらしい。上等だ、こっちが止めてやる。早速フールメモリと大人のカードを取り出し、変身をしようと構える。どうやらあちらもヤル気が満々のようで、隙のない構えを見せ、こちらを威圧してくる。おそらく威圧をかけることで、下手な動きを取らせないようにしているらしい。どうやら、コイツの変身者は相当腕のいいヤツだと感心しそうになる。だがおそらく、ここで気を抜いた瞬間殺されるのは確定なので、雑念を失くすため息を整える。

 

しかし

 

『やめろ!今ここで変身は得策じゃない!』

 

ハイドが突然呼びかけた。いつもは大した干渉をしないくせに、こういった時に出てくることに苛立ちを感じた僕は、思わず強い口調で当たってしまった。

 

「はぁ!?じゃあどうすりゃいいんだよ!?」

 

『ガジェットを使って様子見を取れ!変身は最後の手段だ!』

 

「…チッ!仕方ねぇ!」

 

悪態をつきながらも、スタッグフォンを取り出し様子見をしようとする…しかし、現実と言うのはどこまで行っても虚しいだけなのか、本当に守りたい者すら守れない欠陥品だらけの自分を責めればいいのか、バケモノはどうしようもないやるせなさを、僕にぶつけてきた。

 

「…」

 

あのバケモノが抱きかかえていたのは、よりにもよって。そう、よりにもよってだ。

 

「…テメェ、その子(黒見)に何しようとしてんだ。」

 

 

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…景色が変わる。

それは雨の日だった、それは楽しい日になるはずだった。

 

けど、それはまやかしに過ぎないと知ることになった。

 

…異質な姿を持った男に、殺されかけたあの日。

 

自身の兄と共に逃げた、あの日。

 

先ほどまで兄と呼んでいた肉塊を、自分の温かい手で触ったあの日。

 

何も出来ない自分を呪った、あの日。

 

 

あの日も同じ、夜だった。あの日も似たような、怪物がいた。あの日も確か、何気ない日だった。

 

 

 

 

…違う、違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う

 

 

…そうだ、あの日とは違う。今度こそは必ず守るんだ、今度こそは、必ず。

 

 

…まさか!過去に飲まれるな!気を確かに持て!

 

誰かの声がする、知らないが…まぁいい。

 

ぼんやりとすることばなんだから、きっとどうでもいいことだ。

 

 

「…変身!」

 

 

そう、助けるんだ。

 

 

この力で、今度こそ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回

「Sに願いを/呪い」
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