-Double Archive-   作:幸田市

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えー、まじで申し訳ないです。ハイ。

 ホシノ推し侍としては、今回のシーンを色々考えこんでしまい気づけばこんなに日にちが経っていました。

どんな形であれ、この作品を開いていただいた読者の皆さんには感謝しています。

これからも定期的にやらかす可能性大ですが、そのたびに生暖かい目で「何やってんだオマエ!」と説教していただけると助かります。


※直近の作者は後書きの方で書いています




第十一話「Sに願いを/呪い」

「…クソッ!こうなったら!」

 

ハイドは焦燥に駆られる先生を止めるため、普段ロクに使わない思考を全力稼働させた。全ては彼の「変身」を止めるため。

 

 先生が変身を可能としているのは、「寿命」という代償を得て生まれた奇跡の産物。そう易々と変身してしまえば、結果()など見えたも同然だ。そしてそれはハイド自身の消滅にも直結する。この身体を二人で共有している以上、逃げる手段などは一つたりともない。

 

 ハイドが取れる選択肢は二つに限られる。一つは「主導権を無理矢理奪い取る」ことで、もう一つは「諦める」ことだ。無理やり奪うとしても、今の彼の暴れっぷりを抑えるには誰かの助力が必要だ。だが現状、そんなものは存在しない、どうしようのなさに諦めも脳裏にちらつくハイド。

 

 

 今ここで力を使ってしまえば、敵の能力がわからず混乱。ただ二人の死を早めるだけで何の得にもならない。やけに冴えた彼の思考は、冷静にその事実を読み上げている。今現在のハイドは先生の右腕のみが使える。なので時間稼ぎとして、カードを持っている左手をガシっと掴んでいる。しかし、所詮は焼け石に水みたいなものなので、この状態を維持できるのも時間の問題だ。運が良ければ援軍、最悪の場合は変身。

 

命までも賭ける最悪の博打だ。

 

臓器の一つや二つならまだしも、命という「たった一つ」。それをこんな早い段階で天秤にかける行為は、さながら「愚者」そのものである。もし仮に彼の表情が見れるのだとすれば、さぞ皮肉だを帯びた笑みを浮かべているだろう。

 

「…離せ、ハイド。」

 

 (先生)は今までの態度が嘘かのように、静かな殺気を怪物に押し付ける。その態度に瞬間、無い脚が竦みそうになるハイド。今の彼には、どちらが怪物なのかの基準が曖昧になるほど、状況に飲み込まれていた。否、男を直視できなくなってしまった。しかし、ここで引くわけにはいかない。

 

ハイドには死ねない理由がある。それは他者から見れば矮小なもので、浅ましい欲望である。だが、それでも。

 

『オレは自分の為に生きたい。』

 

諦めることなど、出来るはずない。

 

こんな所でくたばるわけにはいかない。

 

こんな所で人生を消費する気など毛頭ない。

 

自分の為に生きて、自分の為に死ぬ。

 

究極なまでの自己愛主義。それこそが彼の本質であるからこそ、先生の意思を拒絶する。

 

己の幸せのみに生きる、愚かでありながら最も賢い行いをする存在。

 

 ならば、賭けるしかないだろう。それが例えどんなに薄い望みであろうと、生きる事をあきらめるわけにはいかない。

折角目覚めることが出来たのだ、信じて耐え抜く程度で先の楽しみが得られるなら後悔することもない。

 

 『どうせこの男(先生)もオレ並の頑固野郎だ、オレの本気も何とかなるさ。』

 

ハイドはたった数か月の同居人をそう評価し、全神経を右手に集中。

己の欲望をソレに込めることで、邪気のこもった筋肉の塊と化した右手。それは確実に左手首を絞めあげ、一瞬ではあるものの血の流れを止めた。

 

結果、カードを持てなくなった左手を抑え悶絶。偶発的であるものの、見事変身を防ぐ事は出来た。

 

 『何とか最悪は免れたが…コイツぁちょっとまずいな。』

 

 歓喜に打ちひしがれようとする内心を抑え、冷静に戦況を分析する。

 

正直、今の状況は全く良くないものである。最悪は免れたものの、未だドーパントは健在。黒見も意識がないままヤツに担がれているし、増援も期待できそうにない。

 

災難去ってまた災難、万事休す。何とかしてでも生きようとする根性も、そろそろ根を上げてしまいそうになる。

 

『ああ、奇跡でも起きないかなぁ…できればおぶってくれる…』

 

「はい♡あなた様の為にこのワカモ!粉骨砕身でおぶらせていただきますね。」

 

『…え、なんで君ここにいるの。』

 

 

ハイドの心からの叫びは、彼女に届くことはなかった。

 

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 突如現れた乱入者、狐坂 ワカモは先生の助けを直感的に察知したことで、今このアスファルトの上に降り立っている。常日頃から純度100%のLOVEを先生に抱いている身として、理想の恋人兼伴侶である彼の助けを見逃すこと。それは神が許してもワカモ自身が許すという選択肢はない。

 

 そもそも論。彼の絹のようにしなやかな手。それをまるでタコのように赤く膨れさせている時点で、目前のカスの処分は確定している。

 

だが、今回最優先すべきことは先生の安全を確保することである。非常に残念ではあるが、今回は「彼女」に役目を譲るとしよう。

 

「さ、貴方様。しっかり捕まっていてくださいね。」

 

 ワカモはまるで清渓川の鮮やかな水流ような手さばきで先生を回収、いわゆるお姫様抱っこ状態にした。その体感時間、約0.6秒。災厄の狐と恐れられるほどの身体能力と、過剰なまでの先生愛が奇跡の舞を起こした。翌日、途方もない練習の代償により、彼女の腕は筋肉痛を起こすことを知る由もない。

 

 あまりにも鮮やかな手さばきだったため、ついさっき意識を取り戻した先生は驚きを隠せなかった。だが、彼女の規格外さはいつもの事であるが故、すぐに適応してしまった。

 

「うへー、こりゃまたすごい事になってるねぇ。先生ってもしかして、結構トラブルメーカーだったりする?」

 

この場には似つかわしくない緩い空気をまとわせながら、小鳥遊 ホシノはワカモと先生の目前へと立つ。

 

一瞬、彼女らしい殺気が彼を見やる。

 

『本来の彼女に似つかわしくない』

 

そう思いつつも、これがあるべき姿のようにも思えた思考に、心は眉唾を吐く。彼女の居場所は戦場ではない、アビドスであると何度言えば本能が収まるのだろう。どうしようもない事実と自己嫌悪のスムージーを飲み干せるほどの度量が、今の彼にはない事が誰にとっても明白だった。

 

「ここは私がやるから、あなた達は逃げて。」

 

冷たい炎をその身で受けた感覚だった。その眼差しはどうしても冷たく、だが「殺意」が熱量をもって実体化している。それが今の小鳥遊 ホシノであった。

 

『これがただの犯罪者ならば、何も思わなかったであろう。』

 

 こんなイカレタ目つきをした人間など、先生がかつて住んでいたあの都市ではそう珍しい事ではない。彼ら犯罪者がするあのイカレタ目つきは嫌いではあったが、それが日常となっていた彼にはソレだけでは何も響かない。

 

 だが、この少女は簡単にそんな真似をした。あの目を平然と見せる事が出来るバケモノに本能が目覚めた。生物特有の生存本能が、彼に避難アラートをやかましく伝えている。

 

「…先生、行きましょう。」

 

甘美な選択だった。論理的に考えれば、ワカモの選択こそが生存における最適解。現在はエネルギー消耗によって、会話には参加しないハイドであってもそれに同意していた。

 

だが、事もあろうも先生だけは違った。

 

『兄ちゃんの夢って…何?」

 

『そうだな…』

 

『「俺は先生になりたい」』

 

 遠き冬の夢、朧気ながらも覚えている欠片。遠く誰かを見つめた瞳は、今も抜け落ちることはない。

 

どうしたって、自分を曲げることはできなかった。

 

「最後まで一緒に戦う、それが先生だからね。」

 

「「『…』」」

 

知性を持った全てが、この回答に多種多様な反応を示す。

 

あるものは諦観

 

あるものは困惑

 

そして最後は…

 

「…承知しました。このワカモ、必ず貴方様をお守りいたします。…どうか、無理はなさらず。」

 

 協力であった。彼女の本心としては、シャーレに戻ってほしい所ではある。だが、そうすれば彼の心は守れない事を、できる妻である彼女は理解していた。それに、先生の雄姿をこの手で見届けたいというのもあるのは内緒である。

 

「先生はもうとっくに頑張ったでしょ、なんでそこまでして。」

 

 冷徹な視線を更に研いで細める。小鳥遊の目はもはや、敵を見る目と遜色がない。

 

「先生だからさ」

 

「嘘だ、あなたはずっと誰かを見てる。」

 

「…まいったな、確かにそれ言われたらお手上げだ。」

 

 どうしようもなく、正論であった。彼女はもう、先生という人間の一部を見抜いている。それは最初から彼を疑い続けた彼女だからこそ出来たことであり、実際に先生が図星を突かれて頭を掻きながら、返答を考えている。

 

『ほら、どうせお前ら大人は私やみんなに嘘をつく。』

 

どうしようもなくねじ曲がった彼女の思考は、先生という存在の失望と共に戦闘に入るはずだった。

 

「…これ以上、失いたくないから、戦う理由はそれだけだよ。」

 

「…え?」

 

 予想の範疇を越えた回答に、思わず彼の方を見入ってしまう。

 

刹那、誰かの思考が脳内へと入ってきた。肉眼の筈なのに、敵性反応やレーダー、さらには弾薬の数も表示される始末。

 

『一体、誰がこんな事をしたんだ…まさか!』

 

 彼の顔から下に目を向ける。すると、パッドから出ている見えない同線が、私のヘイローとリンクしていた。あれはおそらく、ヘルメット団との戦いで使ったシステムと同義だ。生徒の身体能力を接続中のみ強化、情報を全体に共有することが出来るシャーレの先生のみ許されたシステムだ。

 

 だが、それは生徒が許可をしない限り接続は許されないはず。さっきまでは接続を許してなかった…さっきまで?

 

 小鳥遊の思考が一つの結論を導いた。

 

『これ以上、失いたくないから、戦う理由はそれだけだよ。』

 

 まさか

 

『ホシノちゃん!』

 

 まさか

 

『なにやってるんですか、ユメ先輩』

 

 私がたった一言で、あの男を信頼できる存在だと本気で…

 

『…今度はこの盾で、あの子(後輩)たちを守る。』

 

 そんな、バカなことが

 

『これ以上、失わないように』

 

 

 

「…バカだなぁ、ホント

 

「…?どうかした小鳥遊、もしかして体調とか悪い?」

 

「…せんせぇ~、それ今聞くの?

ほんと、なんでこんな人が大人なんだろ。」

 

「え、急に棘強い。」

 

 この大人は、先ほどまで殺す寸前であった私を、あろうことか体調まで気にし始めた事に思わず笑いがこみ上げてしまう。こんな所を見せられたら、彼がまともな嘘をつけるとは到底思えなかった。

 

『うん、これなら少しは信じてもいいかな。』 

 

 小鳥遊は再び目の前の敵を見つめ、我が後輩を連れ去らんとばかりする愚か者に向けて愛銃「Eye of Horse」を向ける。彼も後ろへ立ちながら、ヤツを射抜かんばかりの殺気をぶつける。

 

「ま、その感じなら大丈夫そうだね。さっさとケリつけて、黒見を持って帰ろう。」

 

「うへぇ、持って帰るだなんて。先生も大胆だねぇ。」

 

「…!?何言ってんだ小鳥遊!それは言葉の綾っていうか…」

 

「あれぇ、何を想像しちゃったのかな。おじさんにも教えてよぉ。」

 

「…あぁもうしゃらくさい!さっさとやろうぜホシノ!そういったのは後からだ!」

 

「…ふぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




水おじきちゃぁぁぁぁぁぁぁぁ

アニバキャラもそろいそろったぜぇおッしゃぁぁぁぁぁぁ!

コロナかかったぜちくしょぉぉぉぉぉぉぉ!

ギリ自粛期間終わったからコミケ行ったぜぇぇぇぇぇぇぇぇ!

ホシノ本は世界一ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!

以上、私の夏休みでした。




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