すみません!次こそはライダー出すんで!
許してください!
・加筆修正
5/25 生徒の名前を漢字に固定しました。
ハヤセの愚行を止めた後、僕たちは今日改装修理が終わったシャーレに向かう事になった。
正直、いくら大金出したとはいえ、余りに早すぎるとは思う。…まさか適当にやられたとかないよな。
そんな不安を胸に、シャーレに向かっていると。
「あの…先生。」
「なんだい早瀬君、端的に話したまえ」
「なんですかその話し方…どうしてシャーレじゃないと駄目なのか聞かないんですか?」
あ、そういえばそうやな。完全に忘れてた。
「じー…」
「ちゃうんすよ、早瀬さん。別に忘れてたとかじゃないっすよ。
ただなんちゅうか…そう!あえて聞かなかったんだよ、うん。」
「へぇ…そうなんですか。」
早瀬の目線が痛い。まるで目から何かビーム出してんじゃないかってくらい痛い。
さすがにばれてるよな…あ、今笑顔になった。これは納得したんじゃないか。
「先生」
「…フッ、やはり僕はry」
「…ダっっっっさいですね!!!!!」
「今言っちゃいけない事言った!今この生徒僕の事小バカにしやがった!
許せねぇ…絶対に許さんぞ!陸八魔アル!!!!!」
「え…誰ですかその人」
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「小型のUSBメモリを探している?」
「えぇ、そうです」
リフォームが終わり、完全に僕好みとなったシャーレのオフィス。
かつて住んでいた鳴海探偵事務所をベースとして、ボウリングやビリヤード、カラオケやバーもそろっている。
正に、ハードボイルドな僕にふさわしい理想のマイ事務所なのだ。
そして、今回の依頼としては「USBメモリ」の捜索だという。なんでも、そのメモリを人体に指すと怪物となり、突如登校中の生徒たちを襲ったという。防衛用のマシンなどが出撃したものの、その怪物には大したダメージも入らなかった。結果、急な出来事でもあったので生徒のほとんどが重症、一部は…とのことだ。
これ以上被害を増やすわけにもいかず、かといってあの怪物に対する対抗できる戦力を用意するにも時間がかかる。そこで、変身前の人間を突き止め、変身させずとっちめようと考えた、らしい。
「ふーん、なるほどねぇ。確かに、町の人たちにこれ以上不安を煽らせる真似はできないからね。」
「はい、大まかな内容はこのような感じですね…質問はありますか?」
質問…かぁ。まぁ、一応聞いてはおくか。
「その怪物の写真とかはあるかい?ハヤセ。」
「はい、当時の防犯カメラからでよろしければ。」
そういって、早瀬は僕に写真を渡してきた。
…そこには、エビのような目と触手を持った胴体、そしてその化け物は人の形をしていた。
「やっぱり…か。」
「先生…何か知っているんですか?」
しまった、つい思ったことを言ってしまった。早瀬は驚いた様子で僕の顔にぐいっと近づいてきた。
…さすがにここで弁解の余地はなさそうだ。
「あぁ、僕…いや私はこの怪物を知っている。」
「教えてください!そうすればきっと…」
「君はこの件から手を引いた方がいい、早瀬。」
「えぇ、そうですね…ってえぇ!?」
早瀬は、ノリツッコミをしていると勘違いしそうになるほど、きれいなリアクションをかました。
「なんでですか!先生!」
「なんでって言われてもな…」
「私たちの町が!生徒も襲われたんですよ!このまま黙って引き下がるなんて…」
「落ち着け、早瀬。」
「ッ…」
僕は彼女の肩に手を置き、諭すような口調でこう言った。
「今、この町で起こっているのは、ただの怪物騒ぎってわけじゃない。」
「この事件を解決するだけじゃ終わらない可能性だってある。」
「それに、そのUSBは、どんな人間であっても闇に堕とせる悪魔の箱だ。」
「野宿の僕を、どんな理由であれ心配してくれたいい奴に、そんなものを触らせたくないんだ。」
「…でも!」
早瀬は僕に負けじと、何か言い返すことを考えようとしているのか、キッ!と僕を睨み言葉を探している。
ただ、これはチャンスだと思い、とどめの一言をさした。
「…こういう汚い事は、大人に任せな。」
「…認めませんから…私…」
そういって、思いっきりドアを閉めながら、ハヤセはシャーレを後にした。
「…さて、調査の前に…」
「…作業が雑になってる所探さなきゃな。」
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「全く!信じられないわ、あの先生!」
あの
あんなにも熱心に頼んでいるのだから、少しは気持ちを汲んでほしいものだ。
「今までそんな素振りなかったくせに、急にあんな事言うなんて…」
こうなったら、別の事をしてこの気持ちを忘れるしかない。
さっそく、近くにあった書類をバサッと取りながら、目を通す。
「…」
「…」
「…」
ダメだ。どうしても先生のあの言葉を思い出してしまう。
“…こういう汚い事は、大人に任せな。”
…どうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!
弾丸一発で死んじゃうくせに!
バカみたいなお金の使い方してるくせに!
あんなふざけた先生なのに!
「…何やってるんだろ、私。」
わからない、私は何をしたいんだろう。この事件を解決して、私は一体どうしたいんだろう。
わからない、わからない、わからない。
『ユウカ先輩!おはようございます!』
『えぇ、おはよう』
たった、挨拶だけしかしない仲だったのに。
『…』
『速報です。ミレニアム地区にて、正体不明の怪物が出現。現在…』
そこは、いつも挨拶をしてくれていた子と、よくあう道だった。
「…」
きっと、私にとって、あの子は日常そのものだった。
たまたま通学路で出会って、挨拶をする。そんな何気ない事が、こんなにも大切なことだった。
…多分、私は、くやしいんだ。
私の日常を奪った怪物を。その怪物に、今何もできていない自分を。そして、そんな私の代わりに戦おうとしている先生に。
「…一人でなんて…許してやるもんですか…」
先生一人にやらせたくない。私も、自分なりにこの問題に向き合う。
「そうと決まれば、さっそく行動ね。」
一応、データベースにある資料をもう一度確認しよう。
もしかしたら、見落としている物もあるかもしれない。
そうして、席を立ち。
行動を始めようとした、その瞬間。
『ユウカちゃん!怪物がまた出たの!』
『先生もいるの!早く来て!』
私の同級生かつ友人、ノアがそんな連絡をしてきた。
「…あの先生は、全く。」
「バカなんですか、もう。」
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「さぁ、さっそく捜査開始だ。」
事務所をくまなく調査した結果、特に問題はなさそうだった。なので、ハヤセの依頼を達成すべく、調査を開始した。
「ねぇ、君はミレニアムの生徒かい? 僕はシャーレの先生だ。少し聞きたいことがあるんだけど、いいかい?」
「は、はぁ…」
「実は…今テレビで騒がれてる怪物のこry」
「ひっ!
そんなの知りません!」
「あ、ちょっとまってぇぇぇぇぇぇぇ!」
「…行っちゃった」
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「なぁ君…」
「失礼します!」
「えぇ…」
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「なぁ君、星座に興味は…」
「ないです、失礼します。」
「…」
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「ごめん先生!
これ止めてぇぇぇぇぇぇぇ!」
「え、おいちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇ!」
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「はぁ…全然だめだ。」
全くうまくいかないなぁ…てかこの学園クセ強い奴ら多すぎるなおい…
なんかよくわからん機械作ってるやつらなんか「これは素晴らしい発想だ!このアイディアをもっと活かせば素晴らしい発明を作れるぞ!」とか意味わからん事言い出したし…
後、なんか顧問になってほしいとか意味わからん事言われたけど、無視した。僕は頭おかしい人間とは極力関わることは避けたいのだ。
「…」
ふと、空を見た。今日は快晴、素晴らしい青空が広がっている。僕の心と比べたら、大きな違いだ。…こんなんじゃ、早瀬に笑われちまうな…
『へぇ、先生。』
『やっぱり上手くいかなかったんですね…』
『だッッッッッさいですね!』
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!
思い出す、奴に小バカにされた屈辱を…許せん!絶対に許してやるか!
「そうだ!僕はまだ負けんぞぉぉぉぉぉ!!!」
「…先生、何やってるんですか。」
「あー…確か君は」
「ノアです。」
「あぁ、ミハイル・ノア・バルダムヨォンね。」
「なんですかそれ…細かすぎて伝わらないですよ。」
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「え?ユウカちゃんが先生に依頼?」
「あぁ、そうだよ。」
隣に座っている彼女、
その時の彼女は、今のような砕けた態度ではなく、少し硬い態度をとっていたはずだ。しかし、僕のハードボイルドさが伝わったのか、心を開いてもらっている…気がする。
「…ユウカちゃん」
「生塩…」
「…騙されちゃったのね、この人に。」
「おい、なんで僕騙す側の人間になってるの」
「え、違うんですか。」
「そうだよ!なんで僕のかわいい生徒を騙さなきゃならんのさ。」
「えぇ…先生ってもしかしてそういう」
「ちゃうよ!!!!」
「ふふ…嘘です★」
「…っ!!!!!///」
クッソぉぉぉぉぉ!
なんちゅう生徒だ、この子!
ハードボイルドな僕を手玉に取りやがって!
「あまり大人をからかうもんじゃありませんよ。生塩君。」
「はーい、気を付けます。」
「そうそう、やはり先生はハードボイルドに…」
「…」
「…なんだい、文句でもあるのかい」
「…先生って、可愛いですね。」
…は?
こんなカッコいい大人である先生が、可愛いだと?
少しお灸が必要だな。
「おいおい、そりゃないでしょ。僕一応先生よ?
一般成人先生よ?ハードボイルドな先生よ?」
「先生先生言いすぎです。先生を安売りしないでください。」
「…でも、だってかわいいじゃないですか。ハードボイルドってかっこつけたり、私が揶揄うと100点の反応してくれますし。」
ちくしょう…これじゃ生塩のペースに持ってかれちまう…そうなれば、ここでも「あの言葉」を言われちまう…
「いや、そんなわけない。僕は生徒の為にあえてこんな反応したんだ。」
「さすが、やっぱり僕はハー…」
「じゃあ優しい先生だからハートフルボイルド。略してハーフボイルド、ですね★」
「…」
「…」
「ちくしょう…なんでここでも…」
「なんでここでもハートフルボイルドなんて言われちまうんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
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「…」
「せ…先生?」
「…」
「…他の生徒にも今調査を手伝ってもらってますから…」
「…」
「その…元気出してもらえませんか?」
「…」
「せ、せんせぇー!
ごめんなさーい!私が悪かったですからー!」
先生がいじけてから十分ぐらいでしょうか。私、生塩 ノアは先生をイジリすぎた代償として、現在メンタル復帰のためカウンセラーのような事をしています。
最初は私の冗談に乗ってくれてはいたのですが、最後の「ハーフボイルド」が相当効いたのでしょうか。叫んだあと、プツン、と糸の切れたように倒れこんでしまいました。
…どうしましょう。なかなか目覚めないですね。こうなったら、とびっきりの一撃をかますしかないですね。
「おい、そこのミレニアム」
「…はい?」
どういう事でしょうか。普通、よっぽどの事情がなければ入れないミレニアムの校舎内。だというにも関わらず。ヘルメットをかぶった不良生徒、ガタガタヘルメット団と呼ばれる人たちだ。
「…ッ!お前、まさかセミナーの生塩ノアか!」
「だから何ですか。そっちこそ、私たちの校舎に用ですか。」
ガタガタヘルメット団戦闘員は答えた。
「…アハハハハハハハハ!」
「…!」
「そんなの…さ」
戦闘員はポケットからUSBメモリのような形状をした物を取り出した。
(Anomalocaris!)
「アタシの力を見せつけてやるためさ!」
そういいながら、服の裾をまくった。
まくった腕には、タトゥーのようなモノが刻まれていた。
そうして、戦闘員はタトゥーのようなモノにUSBメモリを当てた。
すると
『あひゃひゃひゃ!』
戦闘員は
『…殺してやるぜぇ!』
バケモノへと
『アタシの目の前に立ってるお前も、その先生もよぉ!』
変質した。
・yoren さん
・スコタコ さん
高評価、感想ありがとうございました!
次回
第三話 「Yの眼差し/先生ライダー」