課題が終わらなくて地獄を見てます。どうも、作者です。
もしかしたらリアルが過酷で投稿できない週とかできちゃうと思いますが、そん時は気軽に待っててほしいな☆
ンアーッ!ヒエロニムスだるすぎですー!
始めたばっかの新任先生にはきつすぎますー!
ハード期間が今日から始まるってことはよォー、ホシノの神名めっちゃ取れるってことじゃあねぇか!?
冬の朝は、
どんなに装備を充実させたとして、必ず無防備になる顔を、奴は容赦なく攻撃する。それに加え、自分の矮小なプライドを守るためか、アビドスのみんなから「ここに泊まった方がいい」という誘いを振り切り、野宿をしたことによって全身の震えが止まらない。当初はシャーレ改装中に野宿をしていた経験を活かし、何とか乗り切ることが出来るだろうと思っていた。しかし、僕は冬を舐めていた。
まるで巨人が過呼吸しているかのように勢いある風、氷河期が来たかのような極寒。さらに言うなら人っ子ひとりいない公園は、心も凍えさせた。次は絶対に学校で泊まろう、僕はあの孤独な夜を経て決心した。
さて、そんな僕は現在、黒見の尾行をしなければならなくなったのは、非常に重大な理由があるからである。
前日の夜、木内の忠告にあった「飼い猫をさらわれないようお気をつけて」。まるで僕が生徒をペット扱いしているような発言に言いたいことはあるが、気になるのは「猫」という部分だ。彼らのしでかす事は予想できる。
おそらく奴らはアビドスの誰かを誘拐するのだろう。こんな直接的な言い回しなのだ、可能性として一番高いのは素人でも理解できる。だが、一つ懸念点が存在する。それは奴らの目的だ、どのような物事にも「何故したのか」という理由がある。それは犯罪であっても例外はない。
一つの可能性として、奴は黒見にターゲットを向けさせている間「何か別の目的を成し遂げようとしている」と言うのは考えられる。それはアロナも可能性の一つだと考えている。それをハイドが深掘りしていく事で、一つの結論に辿り着いた。奴らは、誘拐することで「アビドスの何か」を手に入れようとしているという可能性だ。誘拐のテンプレとして多い「返してほしくば○○しろ」。ドラマやアニメぐらいでしか聞かないセリフだと思うかもしれないが、弟子時代は死ぬほど聞いたセリフである。
ドーパントになった人間は、思考能力の大半が快楽物質に飲み込まれてしまいまともな判断が不可能となる。言うなれば本能のみで動く獣だ。だからこそ、普段やらない非道な行いさえも躊躇なくできるようになってしまう。僕はそんな人たちを何度も
誘拐というのは言葉ではわからない恐怖の感情を生みだしてしまう、それは何度味わってもついぞその恐怖から抜け出すことはない。これから自分は何をされるのか、自らの尊厳も捨てても生きたいと叫びだす本能。自分の人生を振り返り、何も成すことが出来なかった僕を嘲笑う
「…♪」
「…」
今日の黒見はどうやら好調らしい、心なしか肩幅が広いような、そうではないような。少し耳を傾けると、彼女の鼻歌が微かに聞こえる。拍子はめちゃくちゃではあるものの、彼女独特のリズムにある意味音楽の才能を見出してしまいそうだが、今はやめにしよう。
尾行の本質は「距離」にある、いかにターゲットとの適切な距離を取るかで技量の差が出る。攻める所は攻め、引くところは引く。その瞬時の判断によって結果は成立する。例えば、このような人の少ない場所は一見、かなり移動に時間を用してしまい目標を失う可能性がある。
しかし、それはあくまで己の身一つで尾行するのみに限る。世の中には通信機能という便利なシステムがある、そしてそれは僕のガジェットも搭載している。
「…いけ、バッドショット」
『Bat!!』
赤のボディに黒のライン、市販品より少し大きめのカメラアイテム「バッドショット」。こいつには普通のカメラではない、シャッターの下にあるガイアメモリ挿入口には、僕が使う「フールメモリ」を入れられるのは勿論の事。「ギジメモリ」というガジェット専用のメモリを入れることで、虫や動物の形状となる「ライブモード」へと変形する。対象者の追跡やドーパント戦で非常に頼りになる存在なのだ。
「バッドショット」はその名の通りコウモリになる、主に対象の追跡に特化した飛行型ガジェットだ。ちなみに、ライブモードでもカメラは使用できるので、証拠集めなどにも使えたりする。起動後、バッドショットのカメラを深い青と黒の「スタッグフォン」を繋げておいたので、これで最悪自分の尾行がバレたとしても、保険として黒見を追跡してくれるのだ。メインプランだけでなく、それが上手くいかなかったときのサブプランも用意してこそ、一人前の探偵なのだ。
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しばらく彼女の尾行を続けていると、彼女は突如ショートした機械のように、ある一方を見て止まった。何が気になるのだろうか、彼女の視線に合わせると…
「…なんだあれ、張り紙?」
黒見の目に留まっているのは一つの張り紙。それを盗人のように鮮やかで刹那的な挙動で手に取った黒見は、今にもその紙を焼き尽くすような目つきで見ていた。
『そんなに興味深いものなのか、少し見てみようぜ。』
あまりの食いつきっぷりに関心を示したのか、ハイドが唐突にそんな事を言い出した。
…まぁなんか、もしもがあったら困るからね。一応、ほんのちょっとだけ確認しようか。
そんな軽い気持ちで見ようとした自分を、僕は英断だと考えるし、一人の少女の悲劇を止められたというのは素晴らしい事だと思う。
だが、ほんの少し、彼女のアレに対する執着に少し…いやかなりドン引きしてしまったという事についてだけ、墓まで持っていこうと思う。
スタッグフォン内の映像を拡大し、黒見の持っている張り紙を拡大する。中身は…
「『マルチ商法の勧誘じゃねぇか!?』」
マルチ商法。それは猛獣が作り出した監獄だ。その猛獣は無知な弱者の夢を利用し、益を得る。さらにはその弱者さえも加害者側に引き込ませ被害を増やす、
『いや、アイツすげぇつぶらな瞳でアレ見てるぞ。』
駄目でした。
選ばれたのは黒見さんではなく黒見ちゃんでした、完全に希望に満ち溢れた表情でアレを見ていますね。さすがに生徒が犯罪行為に引っ掛かりかけている状況は見過ごすことはできない、しょうがないので尾行は断念。彼女の元へ向かうため路地裏から出て、十六分音符程度のコツコツとなる靴音を響かせ、歩み始めた。
「え!?なんで先生!?」
先ほどまで、彼女の世界には自分以外人っ子一人いない世界だったが故、気づくスピードは瞬発的だった。だが、
彼女の心意を確かめ、場合によってはその行いの意味を考えさせるべきだ。
「黒見、それ…なんだい?」
「…!これは…その…」
彼女が目を離さないソレを指差し、極力穏やかな口調で呼びかける。すると黒見は、どこかバツの悪そうな顔をしながら、ゴニョゴニョと何かを呟きながら両目を張り紙に伏せた。
「間違いなら悪いんだけど…何かお金に関連する事だった?」
「…!?なんでわかったの!?」
彼女は驚愕した顔をこちらへ向け、抜けない恐怖の感情を必死に押さえつけていた。まぁ図星か、知ってはいたけど。
「…わかったわよ…話せばいいんでしょ。」
「いや別に」
「は?」
彼女はどうやら僕を鬼か何かだと思っているようだ。別に誰もかれもが自分の事を話したいわけじゃないし、それが信頼できない大人なら尚更だ。黒見は言動を考えるとそう思っているだろう。
だから聞かないし、踏みこみすぎない。というか黒見は結構表情に出るのでわかりやすいのは内緒だ。
まぁトドのつまり、僕が今できる事はただ一つ、たった一つのシンプルなことだ。
「黒見、それマルチ商法の勧誘だと思うよ。」
「…え!?嘘でしょ!?」
黒見は先ほどまで散々疑いの目を向けていたのに、それが180度回転し僕の言葉を鵜呑みにしている。
「最ッ悪!こんな所で露骨にやるやつがいるかっての!」
おぉっとここで引きちぎったぁぁぁぁ!仮面ライダーアマゾンもびっくりの張り紙2分割が決まったぁぁぁぁぁぁ!
…落ち着け僕。いくら黒見が怒りに満ち溢れようとも、決して彼女はスーパーモードに変形したりしないし、目も赤くはならない。少年漫画の見過ぎで頭がおかしくなったのか、ハイドじゃあるまいし。
『おい、なんでそこでオレ出てくんの』
いやいや、貴方結構な確率で暴走しますからねうん。前だってミレニアム行ったときに褐色メイドさんの足舐めさせろとか言ってたよね?
『うるせぇ、アレは不可抗力。あんなもの出されて行かねぇ男はいない。』
…はぁ、全く。こんなんだから未だに彼女を作れた事ねぇんだよ。
『あ?それはオマエも同じだ。』
ライン越えたなオイ、おめぇの耳障りな声を消してやろうかボケ。
『あ?そっちこそてめぇの身体を奪う準備できてるんだよ。』
…
『…』
そこから先は一瞬の出来事だった。奴をぶっ飛ばすという単一化した思考の前には、もはや有象無象など写っていない。ハードバイルドな僕の唯一と言ってもいい汚点。魔法使い一歩手前の屈辱は生後3か月の赤ちゃんには理解できないらしい、仕方ないよね、赤ちゃんだもの。
『あぁ!?誰が赤ちゃんだ!オマエこそいつまでも少年漫画見て泣くのやめろ!こっちが泣きたくなんだよ!』
お前な!?少年漫画には夢と希望が溢れてるんだぞ!感情が揺さぶられるような感動を味わったことないのかよ!そっちこそいい加減グッズ買うのやめろ!僕の部屋をどんだけグッズまみれにする気だ!
『うるせぇあれは生活必需品じゃ!あれなきゃオレ成仏しちまうんだよ!』
ハッ!じゃあ捨ててやるよ!てめぇみたいな浪費家がいなくなれば少しは事務所の借金が減るからよ!
『はぁ!?その言い草ねぇだろ!』
言う事欠いてそれか?てめぇのボキャブラリーはひよこ以下だな!
『カタカナ使ってりゃカッコいいと思ってるナルシストに言われたくないわ!』
そんな日の球ストレートでキャッチボールを続ける事、実に2分…
『なぁ…黒見どこ行った。』
「あ」
この後、結局アビドス高等学校へ向かう事にした。
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「いらっしゃいませー!」
ここはアビドス地区において、数少ない飲食店「ラーメン紫関」。黒見セリカという少女は、自分の時間をあらゆるバイトにつぎ込むバイト戦士。それはたかがバイトと侮ってはいけない、彼女の実力はこの店の店主「柴大将」も認めており、現在は店の看板娘として人の出入りが不安定な状況を支える二柱のうちの一つだ。ちなみに、もうひと柱は大将の腕前だと常連は語る。
後ろ髪には白い三角巾を巻いており、結び目は頭と首の付け根部分となっている。結び目を中心にできている円の空洞からは、彼女のアイデンティティの一つと言えるポニーテイルを開放させている。衣装は業務用の「紫関」のロゴが入っている和風エプロンを腰部分で結び、上は黒のTシャツと胸元の水色リボンが特徴的だ。Tシャツ右胸元のポケットには名札がついており「黒見」と書かれたラミネート済みの紙を入れている。
接客時には、普段仲間たちに見せる事が少ない笑顔を振りまける。だが、彼女には今、普段無意識にやっているような行いも意識的になってしまうほど、彼女の要領の多くを占める悩み事が生まれてしまった。
『なんなのよ…
そう、それは先生だ。つい先日、シャーレとかいう場所からやってきた大人。急に仲間になりたいとか言い出したり、土下座したりといろいろ忙しい大人。さっきまでは自分の右肩を左手で掴み取っ組み合いをしていたので、めんどくさくなり無視した大人。他の仲間たちは、彼を受け入れる中、彼女のみは唯一、打ち解けることが出来なかった。現在の彼女のキャパシティでは、彼の奇行を理解することに多くの時間が必要だ。一つ一つの行動の心意を知り、理解をするまで至らなければ、彼と彼女の意思が交わることはないだろう。だがそんなことに時間を割くぐらいなら、今すぐにでも働いて借金を返済するべきだ。彼女の理性はそう告げるものの、どこか納得しない感情をひた隠し、必死に目をそむこうとバイトに集中することを彼女は決意した。
すると、ガラガラと戸を開ける音が聞こえる。次のお客さんを案内しようと、黒見は客の方へ向かっていくと…そこには。
「やっほーセリカちゃん、来ちゃった。」
間の抜ける声で黒見を呼び掛けたピンク髪の上級生、小鳥遊ホシノが発言を皮切りに、他の仲間たちも黒見へと会釈や返事など様々…そして、彼女にとって最悪な一日の始まりでもあった。
「こんにちは黒見、さっきぶりだね。」
「い…いらっしゃい…ませぇ…」
次回
「Sに願いを/なぜ君は一人なのか」