今回の話はブレイクワールドの説明をしているようで、原作改変と独自設定のオンパレードです。
それと、この五話を投稿する上で一話から四話をかなり編集しました。
オレ達の正体を明かした後、ヴェルドラはオレ達の世界……
オレの故郷ではあるのだが、ぶっちゃけ面白い話はなかったので、何を話そうかと悩んだが、結局思いつかなかった。
なので、まずは大雑把に全容を話してみると、ヴェルドラは面白そうに聞き入ってくれた。
『ほう、そちらの世界は大分荒れておるようだが、お前たちのような者も生まれるとは実に興味深い。我もお前たちの世界の者と戦ってみたいものだな! クアーッハッハッハッ!!』
『いやーヴェルドラの相手を出来る魔物は本当にごく少数だと思うぜ。なあユメ?』
『うんうん、ワタシ達が特別なだけであってマスターが管理している魔物も大半は弱いからね~』
こんな感じで、オレ達は会話を弾ませていた。たいした魅力もないオレの故郷に、ここまで関心を持って聞こうとしてくる存在はいないので、なかなか楽しかった。
それからもヴェルドラはオレ達の世界について様々な質問をして来て、順番に答えていく。
まず、ブレイクワールドについて。
ブレイクワールドは、かつてのマザーの暴走によって宇宙空間の大半の星が破壊され、更に『汚染』の効果があるマ素が世界中に漂っている世界だ。そのため、安全な“星”――といっても、他世界で見るような自然豊かな球体なんかじゃなく、狭く平坦な大地に自然や文明の一部が残っているだけだが――は少ないし、自然発生する魔物はなにもしなければ死ぬし、人間なんかにとってはかなりキツイ場所だろう。
初めにその事を説明すると、オレの言葉を遮ってヴェルドラが質問して来た。
『自然発生する魔物は勝手に死ぬのならば、どうしてお前達は無事なのだ?』
『いい質問だね~ヴェルドラ。それはマスターがワタシ達を助けてくれたからだよ~』
『む? マスターだと? お前達は誰かに仕えているのか?』
『そうだぜ。実際、マスターが居なかったらオレもユメも生きてはいないからな』
オレが言ったことは誇張でも何でもない。単なる事実であるからこそ、オレ達はマスターに魂の底から感謝し、忠誠を捧げている。
自然発生する魔物は時間が経てば『汚染』の効果で死ぬことになる。
だがしかし、モンスターマスター達が持つリアクター――大昔に人間が使っていたスカウトリングの効果が施された最新鋭の機械――でマ素に含まれている『汚染』の効果を浄化されれば、死の運命から逃れることができるのだ。
勿論、誰でも簡単に浄化されるわけではない。強い魔物であればあるほど保有しているマ素量が膨大になるので、浄化に成功しないケースもある。それと、相手の怒りを買うことになれば、マ素の動きが活発になって浄化作用を受け付けなくなり、浄化に成功する可能性はなくなるからな。
『ふーむ、この世界とは様々な点で異なるのだな』
『まあ、ワタシ達の世界はかなり異質だからね。いろんな世界を旅してきたけど、マ素が「汚染」されてる世界なんてほとんどなかったからね』
先に述べたように、ブレイクワールドはかなり荒れているので、普通の生物からすれば何の面白みもないし、魅力もない。
だが、オレ達戦闘狂の魔物にとっては楽園のような場所だ。大空であればどれだけ闘っても地上に影響が出ないので、オレ達は戦闘欲求のままに好きなだけ闘うことが出来る。それにもし陸の魔物と戦いたくなっても闘技場なんかも存在するので、闘う上で不便はない。
更に修業や実戦で暴れすぎて星が壊れないように、亜空間の創造技術を駆使した“テレジア”と呼ばれる装置等もある。その装置を使えば、自分達が想像した通りの亜空間が創れるので、命がけの修業や決闘も十分に可能だ。
ちなみにオレ達も自力でテレジアを創ることが出来る。
その事をヴェルドラに話すと、ある意味当然かもしれないが、こう言われた。
『実に面白い。キョウムにユメ、どちらでも良いが試しに作ってみてくれぬか?』
『じゃあワタシがやるよ~。こ~んな感じかな!』
ヴェルドラのその提案にユメが楽しそうに引き受けた。
それからすぐに、ユメは『物質創造』でテレジアの元となる、縦方向が長い長方形の機械の型を創り上げ、地面と垂直になるように浮かせた。この際、テレジア内部に小さな空間を開けておく必要もある。
次に、作動した際に亜空間を創り出せるように、テレジア内に亜空間を創り出す魔法の術式の情報をインプットさせる。それと同時に『空間拡張』の魔法術式も入力しておく。
仕上げにユメがテレジアにポンっと軽く体当たりすると、テレジアは水色の幾何学模様を表示しながら、クルクルと回り始める。これで後は作りたい亜空間のイメージをテレジアに入力して、動力源であるマ素を注入すれば、正常に作動する。空けておいた小さな空間に亜空間が生み出され、その極小の亜空間を『空間拡張』することで、その亜空間に行くことが出来る仕組みだ。
テレジアを創り上げたユメは、スライムの姿でドヤ顔をしていた。
『どうヴェルドラ。すごいでしょ!』
『なかなか面白いではないか。封印されておる故、そのテレジアの効果を確かめられないのが実に残念だ』
『後、ブレイクワールドにある有名な機械は配合装置とリアクターくらいか。といっても、配合装置は大掛かりな機械で術式がかなり複雑だから実演出来ないし、リアクターはいろいろ便利すぎて説明するのが難しいから、悪いがパスさせてもらうぜ』
『ふむ、ならば次は、お前達の世界の魔物達について聞いてみるとしよう』
ブレイクワールドの魔物についてか。
メジャーな質問ではあるが、説明が大変だな……。
オレ達の世界の魔物もこの世界と同様に、
ただし、ランク分けする際の基準はこの世界とは大きく異なる。危険度ではなく、
恐らく、まだ人間がたくさんいた時の名残りだろう。故に、珍しければ上位のランクに位置することができるため、強さという点では当てにならない。
特A級なんてものはなく、プラスマイナスもないが、F~Aランクまではこの世界と同じように分類されている。だが、この世界と違って魔王達を含めたSSランクを頂点とし、SSランクの者達より一段階下回る者達がSランクに分類されている。
もしオレ達の世界の魔物が強さや危険度でランク分けされるならば、オレ達の世界のSランクが特A級で、SSランクがこの世界でSランクである
といっても、F~Sランクまでは強さや潜在能力が正確に測られて分類されるだろうが、SSランクはピンキリになるはずだ。その理由はSSランクが弱小世界を蹂躙するだけの潜在能力を秘めていれば該当されるだろうから。オレの知る情報と照らし合わせても、ギリギリSSランクに入るくらいの弱い奴もいれば、指一本で大陸を滅ぼせるような神も存在することになる。
というわけで、オレ達の世界の魔物はこの世界の基準とかなり違うし、たとえ危険度や強さでランク分けしていたとしても、SSランクの者達の強さは安易に言及することは出来ないので、説明し難いのだ。
なんとか分かりやすいようにヴェルドラに説明すると、あっさり理解してくれた。
『ほうほう、つまりお前達の世界には我ら竜種のような
『その認識で間違いないな。それに、ブレイクワールドや弱小世界だったら破格の強さを持つ奴でも、この世界だったらそこまで強くない奴もいるからな』
『そうだね~。魔界神様みたいなマジで滅茶苦茶強い例外もいるけど、SSランクの中でもかなり上位に居ないと、ワタシ達の相手にさえならないからね』
魔物のランクに関する説明はこれくらいでいいだろう。
続けて、オレ達の世界の魔物の概要だ
オレ達の世界では、魔人といった存在がいないためか、魔物は見た目や性質で系統分けされている。そして大雑把に区分化された系統の中に、様々な種族が組み込まれている形だ。
その魔物の系統の区分は、
オレから見た種族特性は次の通りだ。
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戦闘能力は一般個体にはほとんどないが、合体したりしてBランク級になったりすることもある。他には神の能力や力を持つ存在や機械に身を包んだ個体、突然変異体やマスターが配合して鍛えた存在なら、それ相応の力を持つ。
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素の肉体強度は他の種族の特殊個体を除いて一番強く、知能も高くて魔法にも長けている。翼がある奴は戦う上では厄介。しかし、生まれながらの強者であるが故に誇り高くなり相手を自然と見下してしまう。マ素によって凶暴化しているが、相当の実力がなければ浄化はできてもスカウトはできない。
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生まれた時から知性を持っているのは最上位の個体のみで、それ以下の存在は闘争本能のみで生きている。A以下は能力も低いので問題ないがSランク以上は能力も高くて闘争本能のみでも無駄のない洗練された動きをする。スカウトするのは弱い個体なら簡単だが、強い個体はほぼ無理。
ちなみにオレがある程度躾ければどんな個体でもペットに出来る。
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強い個体はめちゃめちゃ強く、ドラゴンにも勝てるような存在もいるが、基本的にはC~Aが妥当なところ。特徴によるがスカウトするのは比較的楽。
また人間の助けになる能力を持ち合わせている場合が多いので汎用性は高い。例えば『風支配』による空気の清浄や『炎熱支配』『水支配』を使っての家事の手伝いなど。
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マ素量は他の種族と比べてそこそこ高めで、魔力と賢さが優れているが、肉体強度は脆い。ただし、Sランク以上の奴は肉体強度も割と高め。知能が低い奴は全然強くないが、知能が高い奴は狡猾で厄介。
また、イタズラ好きな奴や悪質な契約を持ちかける奴もいるので、この系統と会話や生活をする際は要注意。
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また、機械族は周りの人工物により自然発生する者と、科学者や神等が人工的に創り出す二つの場合に分かれる。前者は強い個体は少ないが数だけは多い。しかし、ブレイクワールドに人工物が少ないので自然界には少数の場所でしか生まれない。後者はとても強い個体が多く、前者と違ってスカウトをもしにくい。中には弱い世界ならば滅ぼすことができる物質系もいる。
ちなみにマスターは暇を持て余していたので、強い物質系の作り方を解明してみせた。オレ達でも材料と時間があれば造ることは出来る。
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他の系統と違って強い個体は少ないが再生能力は高いし、食事や睡眠も必要ない。獣と同じく臭いもきつくて見た目もキモいから仲間にするメリットが少ないが、スカウトするのはスライムの次に楽なので即戦力にはなる。
また、感情を宿している者も少ないので夜通し働きづめでも一切文句は出さない。ブラック企業に適応している。
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また、スカウトリングの性質上、スカウトはできない。その代わり他の種族より基本的な能力がかなり高い。
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『……と、こんな感じで区分されてるんだが、理解できたか?』
『うむ。キョウムの説明は分かりやすいからな』
『そう言ってくれると説明した甲斐があるな』
オレ達の世界の話を興味深く聞いてくれるヴェルドラから褒められると嬉しいものだ。
さて、ブレイクワールドの特徴も魔物に関する情報も話し終えたし、次は何を話そうか……
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ブレイクワールドについての説明を終えたお兄ちゃんは、今度はワタシ達がいままで旅してきた世界の体験談を語り始めた。ワタシもお兄ちゃんの言葉に時々補足を入れる。
ヴェルドラはワタシ達の世界の話を面白そうに聞いていただけあって、他の異世界についても興味が尽きないようだった。
そんな会話を繰り広げながら、三人で談笑していると、ふとした疑問が頭をよぎる。
それの相談をするために先程から使っている『念話』とは別に、魂の回廊を使ってお兄ちゃんに呼びかける。
『ねえお兄ちゃん?』
『あ? わざわざ魂の回廊なんか使ってどうしたんだ?』
『いや、聞きたいことがあってさ。この勇者の権能ってワタシ達の力で壊せると思う?』
ワタシは単刀直入でそう聞いてみた。
ただの好奇心なんだけど、もし壊せるならばヴェルドラも喜ぶし、ワタシ達は
そう考えての問いかけだったのにお兄ちゃんから帰ってきた答えは否だった。
『お前の権能は確かに解析なんかもできるし、そこそこ有能だが、残念ながらこれは無理だな』
『え~やってみなきゃ分からないじゃ~ん』
『だからさっきお前の権能を使って試してみたんだ。オレだってヴェルドラと戦ってみたかったからな。だが、勇者の権能なだけあってかなりの特別製だったんだよ。年月をかければ解除できるだろうがゼロからのスタートじゃ気が滅入るぜ』
お兄ちゃんがここまで言うってことは、本当にワタシの権能じゃあ太刀打ちできないんだと思う。
まあ実際、三百年も閉じ込められていたヴェルドラが無理ならワタシ達じゃあ何もできないだろう。でも見捨てるのも可哀想なので色々試してみるとしよう。
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三人が洞窟内で談笑している間、ユメはずっとスキルを行使し続けていたのだが、結果は惨敗。
キョウムの予想通り、ユメがどんな方法を使っても勇者の権能を破る事が出来なかったのだ。
やっぱりか~、とユメは思ったものの諦めるつもりは毛頭なかった。そのため、ユメは自分の力で解除する事を諦めて違うスキルを試してみる。
ユニークスキル『
ユメが所持しているユニークスキル。
このスキルの権能は『鑑定眼、視覚共有、記憶看破、思考看破、未来予見』である。
『鑑定眼』は対象のスキルの有無を見分け、強度も調べることが出来る。
『視覚共有』は自分の配下、もしくは許可を得た対象と“目”を共有する権能。
『記憶看破』と『思考看破』は文字通り、相手の記憶と思考を読み取る権能だが、深層心理で考えていることは視ることが出来ない。
そしてこのスキルの真骨頂である『未来予見』は未来の映像を見る力なのだ。ただしこちらも、好きなだけ未来を見ることができるとかそんな都合の良いものではない。見る時間や細かい設定付けも必要で、更に一度使うと再度使用するまでのインターバルが存在するので戦闘には不向き。故にこの権能は占いのようなものなのだ。
今回は「ヴェルドラの封印に関する未来」という条件を付けてスキルを発動し、ユメは発動できたことに安堵した。何故なら、未来で何も起こらなければこの権能が発揮されることはないからだ。
直後、頭の中に映像が浮かぶ。
一匹のスライムがやってきて封印ごとヴェルドラを取り込む映像が。
ユメは映像見た瞬間、そのスライムに途轍もない興味が沸いた。自分達では出来ない芸当を可能とするデタラメな存在。しかもその者が自分達と同じ種族なのだ。普段が子供らしい性格の彼女にとっては、興奮するな、という方が無理な相談なのである。
『確かにワタシ達じゃあこの封印は破れないけど』
『けど?』
『その封印を何とかしてくれそうなスライムがここに来るみたいだよ』
ユメがそう報告するとキョウムは、え? マジか? といった感じの返答を返した。なにせ彼らはあらゆる世界を渡り歩くなかでも、自分達のような特別なスライムに出会ったことがないのだ。彼らの世界であっても特別な権能を所持者はいないので、尚更である。
『そうか。そんなスライムが居るのならばそのスライムが来るまではここにいるとするか』
『そうだね! ワタシたちと同じスライムにも興味があるしね!』
『ヴェルドラにはこのことを言っておくか?』
『いや、いいや。ないとは思うけど、もし未来のことを話して未来に変な影響が出たら嫌だからね』
『間違いなく杞憂だとは思うが、お前がそう言うのならばそうしておくか』
『ありがとう! お兄ちゃん!』
ユメは感謝の言葉を述べて、魂の回廊を使った会話を終えた。
こうしてユメ達はそのスライムが来るのを待つことになったのだった。