『底辺V-tuber』と『よく訓練されたリスナー達』VS『ステータスを持ち帰れるVRMMO』(再投稿)   作:不知火勇翔

2 / 5
ドル箱のV-tuberとVRMMO内で出会う。これ以上に怖いことって無いよね。

「じゃ、またねサヤ君」

 言うだけ言ってサラダバーする天の声さん。ポツンと放り出されたまま放置された僕はとりあえず叫んだ。

「・・・・・・あんのバカヤロー!!!」

 天の声さんが言うには、チュートリアルが終わらないとログアウトできないという謎の耐久配信となってしまったらしいこともそうなのだが、何より美少女にされたことに対して僕は叫んだ。

 コメント欄に聞いたのだが、このゲームに容姿を変更する機能は徹底的に省かれているらしく、僕がこのゲームをする間は永遠にこの格好で生活しなくちゃいけないようなのだ。

 

 

コメント欄

〈よいではないかよいではないか(大歓喜)〉

〈草〉

〈草生えてきたし芝刈り機買うわ〉

〈↑もう意味不明なんだよなぁ・・・〉

〈その使い方はねーだろ〉

〈このスレ恒例の大喜利が始まったか〉

 

 

「ここはスレでもないんだけどねー」

 僕の配信内容が悪いのかドンドン悪い方向へと突き進む無差別級スレ民ジャングル(コメント欄のこと)は放置しておこう。一々ツッコミを入れていたらチュートリアルが終わらないし。

「・・・というか、チュートリアルってどうやったら何が始まるの?」

 恐らくあの天の声(仮称)のせいだが、僕の視界にはVRMMO特有のメニューボタンが写されていない。なのでまずメニューボタンを押す所からなのだが。

 

 

コメント欄

〈(メニューボタン)ないです〉

〈(イベント画面も)ないです〉

〈気合いだ〉

〈ダメみたいですね〉

〈点滴が必要になるから救急車呼ぶね☆〉

〈『祝』サヤ、VRMMOに永久就職決定〉

〈1人だけデスゲーム。思いつきました〉

〈クソったれぇええ!!!〉

〈見つけた〉

〈世界が・・・脈絡を・・・忘れて〉

〈うぉ!?コメント欄が急に流れたぞ!?〉

〈馬鹿な!有り得ない!!!〉

〈俺も何か書くわ〉

〈有り得なくはないだろw〉

〈なんだなんだぁ!?〉

〈久しぶりに渋滞してるw〉

 

 

 何故かコメント欄のスピードが上がったが、理由は何なのだろうか。まぁ今は関係の無いことか。

 とりあえず今はチュートリアルに集中しよう。

 

 

コメント欄

〈サヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤサヤ〉

〈ふぉあ!?〉

〈!!?〉

〈ねぇどこにいるの?サヤ、そこはどこ?ねぇねぇねぇねぇねぇ!!!〉

〈!?!?〉

〈!?〉

〈BANせな〉

〈ちょ待てよ(イケボ)〉

〈助けて~!集団ストーカーに襲われてまーす!!!〉

 

 

 と思っていた矢先に、今度は明らかな荒らしが湧いた。こういう手合いが来たらすぐにBAN、というかコメントさせないよう設定しなきゃいけないのだが、メニューボタンが開けないことにはムリな話である。

 

 

「彼女のコメントはOFFにしておくね!」

 

 

 また天の声だ。さっきサラダバーしたばかりのハズなのだが、まだ僕のことを監視していたらしい。というか荒らしコメの犯人は女性だったんだね。オラ少しだけワクワクしてきたゾ。

「あの機械音痴ちゃんはもう湧かないから安心して。では再び、サラダバー!!!」

 

 

コメント欄

〈・・・もうワケが分かんねーんだけど〉

〈大丈夫、俺もだ〉

〈というか誰も分かってないから安心しろ〉

〈サヤ(変人)と変人は引き合う運命にあるのだ〉

〈どこのス○ンド使いですか?〉

〈まぁ元から糞の溜まり場みたいなものではあったが〉

 

 

「糞の溜まり場って、それブーメランだからねー」

 変な乱入があったりもしたが、気を取り直してチュートリアルを進めていこう(二敗)。

「で、結局僕はどうすれば良いの?」

 

 

コメント欄

〈知らん〉

〈知ってても教えな~い☆〉

〈ふっ〉

〈馬鹿め!教えるワケがなかろう!〉

〈えー、カオス極まるコメント欄から中継をお送りします〉

〈・・・なんだこのチャンネルは(絶句)コメント欄がボケていくスタイルなのか・・・〉

〈お、ご新規さんいらっしゃいました!いらっしゃいませー!〉

〈いらっしゃいませー!〉

〈らっしゃいませー!〉

〈らっしゃいらっしゃい!〉

 

 

「・・・とりあえず、コメント欄が役に立たないことはよく分かったよ」

 ・・・ウチのチャンネルのコメント欄に書き込む人達はどういう育ち方をしたらこう成るのだろうか(呆れ)。マトモなのが少ないのだが。ご新規さんもビックリしてマッハで帰ったんじゃないのかね?

 まー、そんなことよりもチュートリアルだ(三敗)。

 誰も何も答えない(いつもの)ということなので、本来はどういったものなのかを聞き込みをして回らないといけなくなった。とりあえず近くを歩いていた奴にでも聞いてみようかな。

「あの、チュートリアルってどういうものをやったんですか?」

 失礼の無いようオズオズと聞いてみたところ、通行人の男性は顔を真っ赤にして僕から逃げ去っていった。おい待てお前、今の(実質的には女装+身長差上目遣い)がキモイとか思ったなら僕はお前の記憶を(物理的に)消してやりたいんだけど。

「・・・逃げられた」

 コメント欄がまた騒いでいるが無視だ無視。んだよ、流れ変わったなって。

「あの・・・」

「え、えぇ!?え、す、すみませんでした!!!」

「えぇ・・・」

 また逃げられた。というか、人でごった返していた大通りで僕の周りだけ人がいなくなっており、通行人の多くが立ち止まって僕を見ていた。たまにヒソヒソと話す人もいて、なんだかエルフの里にやって来たオークの気持ちが分かった気がした。

「・・・あの!ちょっと良いですか!」

 とりあえず僕を囲う輪の一部に声をかけると、僕が話しかけた女性プレイヤーは顔を赤くしてまた僕から離れていった。

 ・・・どういうことなのだろうか。

 

 

コメント欄

〈事情を知らないならアバターの作り込みが異常な奴にしか見ないんだよなぁ・・・〉

〈あの逃げた女、絶対中身は男だろw〉

〈サヤってかサヤちゃんか。サヤちゃんヤベェな。超目立ってる〉

〈この反応・・・童貞だ!!!捕まえろ!〉

〈や、やめ、やめろぉおおお!!!〉

〈童貞ってだけで捕まるのか(絶句)〉

〈あの、対象年齢は20歳以上でしょうか。僕は大丈夫なのでしょうか〉

〈安心しろ。お前も逮捕だ〉

〈クソがぁああああ!!!〉

 

 

 コメント欄なんて見るんじなかった。君らはもう少し中身のある会話をしてくれないだろうか。

「・・・取り敢えず、『始まりの街』だっけ。そこに行ってみよっか。そこでチュートリアルをするクサいし。・・・あの、始まりの街ってどうやって行くんですか?自分、ちょっと道に迷っちゃって」

 僕が再度、今度は具体的な目的を先に出した上で『この場にいる全員』に聞いてみると、周りの連中はお互いに顔を見合わせ、1人が「つ、ついて来て下さい」と言ったので僕はその人について行った。

 いい加減ダベルのはアレなので道中のゴタゴタは省くが、とにかく道案内してくれた男はちゃんと僕を『転移装置』なるワープスポットまで連れて来てくれたので、お礼を言って僕は地面に魔法陣が描かれただけの『ワープスポット』に乗った。

 すると足元に描かれていた魔法陣が光り、気づけば景色は旧独の街並みから一変し、ファンタジーな城下町となっていた。どうやらココが例の『始まりの街』らしい。

 よく見ると通行人が、さっきは青系統の服装をしている人が多かったのだが、ココは色とりどりな服を着た人が通りを行き交っていた。違いが何なのか少し気になったが、それはまぁ置いておこう。

 これ以上の時間のロスはアレなので本格的にチュートリアルを始める(まだ始まってもいない)ために僕はまた、例のごとく聞き込みを始めた。

「あの、すみません。ちょっと良いですか?」

 近くにいた赤い髪の女の子に後ろから話しかけてみると、女の子は僕の方へと振り返ると突然固まった。

「ごめんなさい。チュートリアルってどこで始められるんですか?一応、今日始めたばかりなので「サ、ヤ?」え、あ、はい。サヤです」

 コイツ、話の途中で僕の名前を呼んできやがった。僕の名前を知っているということは、つまり僕の視聴者ということかな?

「こんな女の子ですら僕の名前を知っているということは、僕も結構な有名人に成ったということかな?ふっ」

 

 

コメント欄

〈おい黙れ〉

〈そのお方はマズいって〉

〈ヤバすぎぃ!!!〉

〈ドル箱のV-tuberと道端で出会う。これ以上に怖いことって絶対に無いよね〉

〈次回!サヤ、死す!〉

〈デュエルスタンバイが抜けてんぞ〉

〈細けーなーおい〉

 

 

 僕がドヤ顔で言い放つと、赤髪の女の子は不思議そうに首を傾げながら手をヒラヒラと横に振った。

「あ、いや、別に配信は見たこと無いです。何と言うか、えっと、私はどうしてアナタの名前が分かったのでしょうか?」

「いや僕に聞かれても・・・」

「・・・」

「・・・」

 変な質問にどう好意的に返せば良いか分からず黙ってしまい、赤髪の女の子も沈黙して考え込んだため変な間が生まれた。こういう間は配信にとって害悪でしかないので僕が口を挟もうとすると、僕より先に赤髪の女の子が口を開いた。

「えっと、それよりその、私、今ちょっと配信してるんですけど、」

 言われて気づいたが、赤髪の女の子の手元には僕と同じ透明な板(コメント欄)が浮かんでいた。

「あ、そうなんですね。ごめんなさい。それでは」

 相手側のことはよく知らないが、コラボ禁止の事務所とかに所属したタレントさんならまぁ不都合もあるのかもしれないと思い、僕は厄ネタから逃げるようにして女の子から遠ざかろうとした。至極当然の危機管理的判断だったのだが、しかし何故か袖を掴まれた僕は逃げるのは阻止されてしまった。

 振り返ると赤髪の女の子は頬を膨らませ、僕に言ってきた。

「話は最後まで聞いて。さっきから友達がリスナーの皆しかいなくて困ってたの。チュートリアルの始め方って言ってたし、私と(チュートリアル)する?」

「え、良いんすか?」

「敬語はナシにしよ。それと、うん。私のチャンネルにもシジチューは沢山いるから」

 指示厨って存在するんだな・・・。かたやウチのリスナーときたら。

 

 

コメント欄

〈!?〉

〈ふぁゲホゲホゲホ!〉

〈@ふぁ担当『ふぁ!?』言いすぎだ少し休め〉

〈お前、いったん休め〉

〈危機管理ー!〉

〈ふぁ担当とかいるのかよw〉

〈じゃあ俺が言うわ。ふぁ!?〉

〈残りは『!?ニキ』だけか〉

〈『!?』担当もいるのかよw〉

〈じゃあ新参、お前『~いるのかよ』担当な〉

〈まじかよ割り振り担当がいるのかよ〉

 

 

 指示厨、どこ?ここ?勝手に盛り上がってるんだけど?

「あ、ありがと」

「・・・うん。私も、女の子どうしだと気が楽だし」

「っすぅーーーーー」

「?どうしたの?」

「えっとですねぇ、僕は男なんですが、」

「え、本当?ネカマってやつ?」

 おい天の声。今僕はネカマって言われたんだけど。

「いや、ガワは勝手に作られたものなんだよねー」

「え、凄いねその人。スッゴく可愛いよ」

「そうですねー今度会ったらお礼(物理)したいです」

「敬語」

「やっつけたいなー」

「え、ごめん」

「あ、いやアナタのことじゃないから」

「本当?」

「本当」

 ・・・・・・背景 (いるか知らないが)ウンコネタで一世を風靡した先人達。僕はどうやら凄く、凄く面倒くさい女と出会ってしまったみたいです。

「そっか。じゃあ行こう行こう!全速前進!」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。