俺が《六花》で二つ名で呼ばれるのは間違っている。 作:萩月輝夜
有り難う御座います。
『俺が七草の養子なのは間違っている』の異世界漂流編で書いてたのがここまで行くとは思ってなかった…(そっち更新しろよというコメは無しで…。)
UA100000越えたんで小話でも書こうかな。
一先ず最新話をどうぞ。
ドイツのミュンヘンにある沙々宮の自宅で一泊をさせて貰った。
…色々と濃い沙々宮の両親達のキャラクター性の歓迎、特に俺は沙々宮の父親…事故で肉体を失って電脳体のホログラフで出てきた時は驚いたがその際に綺凛ちゃんが可愛い悲鳴を上げて俺の裾を握っていたことが印象的だったがそれよりもあの父親のテンションについていくのは大変だったな。
「娘用に調整したピーキーな煌式武装を使いこなす少年がいたとは…それにわしの作った煌式武装が注目を浴びるとは思わなかった…是非とも新開発した煌式武装を使ってみないか!君が使うことによって娘が使用する煌式武装が更なる進化を遂げるのだよ!」
と大ハシャギしていた。
娘から俺の事を聞いていたので興味が沸いていた親父さんは既に俺用の煌式武装を用意してくれていた。
まぁ少し興味はあったのでありがたく修復していたの沙々宮の煌式武装と同時に渡された。
…壊さないようにしないとな。
沙々宮のご両親から見送られ門から出ると目の前に黒塗りの高級車が停車しそれに乗り込み俺達はリースフェルトの故郷であるリーゼルタニア王国へと足を踏み入れた。
「なんか人多くね…?」
俺の疑問に答えるようにフローラが答えてくれた。
「折角帰ってきたんだからついでに凱旋パレードをよろしく」という国王からの伝言だったのだ。
当然ユリスは反論するが王宮へ向かう道路へ出た瞬間だった。
「「「「姫様~!!」」」」
「「「ユリス様~!!」」」
俺達を乗せた黒塗り高級車が動きそうになるほどの歓声が襲いリースフェルトは頭を抱えていた。
優勝は逃したものの《鳳凰星武祭》での準優勝を一国の王女が成し遂げた、快挙だろう。
国民にとってリースフェルトは慕われているのだろうと良く分かるが俺と変わらない年齢でその重圧を受けるのは大変だろうなと。
実際にリースフェルトは責任感が強い。その立場からすれば当然と言えなくないが必死にぎこちない笑みを浮かべながら窓の外へ手を振っていた。
「な、なんで俺も…」
ぎこちないながら笑顔で外へ手を振る天霧。
「そりゃ当然だろ。あのリースフェルトのパートナーともなれば注目されるのは必然だったな。ほら、ファンサしてやれ」
「あ、あはは…」
実際に天霧への歓迎メッセージを掲げている聴衆も多かったのであの試合は本当に宣伝効果があるのだと今一度再確認したのだ。
◆ ◆ ◆
王宮に着くや否やリースフェルトは先程の凱旋パレードの件に対し文句を言うためにこの国の国王…つまりはリースフェルトの兄へ食って掛かる勢いで抗議していた。
しかし妹の対応になれているのか高そうなソファーにはおよそ国王とは言えない雰囲気のスウェットを来て女性に膝枕をされている男性の姿があった。
両者ともに緩い感じであり本当に国王と王妃なのだろうか…と思ったがリースフェルトが兄上、義姉上、と呼んでいる辺り本物なのだろう。
実際に名前を聞かされるまで俺も信じられなくて思わず「…マジで?」聞き返してしまったほどだ。
世が世なら今ごろ不敬罪で処刑だろうな。不敬なのはダメ!死刑!
今回の凱旋パレードも政治的なやり取りがあるんだろうな、と国王…ヨルベルト陛下とリースフェルトの会話を聞きながら眺めていると会話の矛先が俺達に向いた。
「お客人を招いておいてお待たせしてしまって済まないね。ようこそ星導館学園の皆さん…とまさか世界の歌姫が我が国に来ていただけるとは光栄だね。改めて私はユリスの兄で国王をやらせて貰っているヨルベルト。そして隣にいるのが僕の妻で王妃のマリアだ。」
自己紹介をされてクローディアはいつものような笑みを浮かべているのはリースフェルトと知り合いだったことを思いだした。
国王からの自己紹介に他のメンバー(シルヴィアはお偉いさんで慣れているから平気そう)は目を見張っていた。
この空気を打開するために俺が先陣を切ることにした。年上のお偉いさんに対応するモードでだ。
日本式の挨拶になってしまうが礼を示すにはこちらが良いだろうとお辞儀をして顔を上げる。
「私は星導館学園にて生徒会副会長を務めさせて頂いております。名護蜂也、と申します。本日は貴国へのご招待、両陛下にお目見え出来まして至極恭悦にございます。」
「副会長が敬語を…。」
「お義兄さんじゃないみたいです…。」
「本当に蜂也なのか…?」
「蜂くんずいぶん手慣れてるね…。」
俺がそう言った挨拶をすると全員が驚いていた。クローディアを除いてだが。
…お前ら失礼じゃないか?一応俺だって十師族の一家…その末端だからな。そのくらいの教養はある。
自己紹介がそれぞれ終わるとヨルベルトが口を開く。
「君たちにはうちの侍女を助けて貰ったお礼があるからね…だから君たちを我が国に招待した、というわけさ。特に蜂也君、君には感謝しきれない恩があるからね。」
「恩ですか?」
「ああ。そうとも。今夜君たちを歓迎する夜会を催すことにした。是非参加して欲しい。あ、もちろん夜会で来て貰う服を用意させて貰ったからその中から適当に選んで貰って構わないよ?まぁ男性陣の衣装の種類はあまり無いけれども…女性陣にはうちの妻が選んだドレスがあるから調整もすぐに終わらせるようにさせるよ。」
そう告げたヨルベルトにリースフェルトが噛みつく。
「なんだと!?兄上聞いていないぞ!」
「あははは。まぁ良いじゃないか。お呼びしたのに夜会もないだなんて一国家として世界の歌姫に《星武祭》の優勝者ペアが来て貰ってるのに格が知れてしまうじゃないか。」
「ぐっ…!しかしだぞ兄上…!」
言葉に詰まるリースフェルト。腹の探り合いではヨルベルトの方が一枚も二枚も上手だったか。
なにか含みのあるコメントに俺は考えていたとおりになったなーと思っていた。
少なくとも俺の目の前にいる青年は曲者らしい。
その後俺達は王宮の離れへ案内をされた。
一つ一つの部屋はさすがは王族、という感じの広さと調度品が部屋に入った瞬間視界に入る。
「実家の部屋より広いな…さすがは王族…」
そんなことを呟いているとドアを叩かれる。ドア越しから特徴的な声が聞こえた。フローラだった。
「蜂也しゃま!夜会用の礼服をお持ちしました!」
ドアを開き招き入れるとフローラが自分より大きな荷物を運びいれているのを見て手伝うことにした。
「ありがとフローラ。それが国王陛下が用意してくれた礼服か?」
「あい!あ、一度袖を通していただけますか?サイズの調整に出しますので。」
手渡された衣服がかかったハンガーを手渡され上着を脱いで着用する。
サイズはぴったりだった。
「………////」
フローラがこっちを見て呆然としている。似合わなかっただろうか?
「あー…丁度良いな。サイズ変更しなくても大丈夫そう。フローラ?」
「え?ひゃ、ひゃい!す、すみません蜂也さま…スーツ姿…とってもかっこ良くてフローラ、見とれてました!」
その言葉に少しむず痒くなってしまう。
「そっか…ありがと。あ、俺は自分で着付け出来るからフローラは天霧達のお手伝いして来て貰っても良いか?」
「分かりました!…確かに女性陣の皆様の方が殿方よりもお時間がかかりますからね…それと天霧さまにも夜会の礼服を渡してきます!」
「頑張れフローラ。」
まるで子犬のように頑張るフローラに優しい表情を浮かべ頭を撫でると気持ち良さそうに目を細め元気一杯に返事した。
「あい!」
ぱたぱたと相も変わらず元気の良いフローラが部屋から出た後持ってきていた装備類はおいておくことにした…がそれは建前で装備類は《次元解放》のポータルに仕舞い込んだ。
”身肌に身に付けてなきゃセーフ”理論でいこう。
まぁ、装備がなくとももし万が一仮に襲われたとしても大丈夫だ。
一応整髪料で髪を整える。
姿格好は九校戦の《氷柱倒し》で着用してたスーツに近いデザインだ。流石にサングラスは掛けてないが。
実際に暇になったのか俺の部屋を訪ねてきた天霧と雑談を交わしていると呼ばれたのが夕方頃だった。
女性は身支度に時間がかかるのは仕方がない。ドレスを着用するならなおさらだろうが。
俺達はフローラに呼ばれてクローディア達がいる部屋の前に案内をされていた。
「クローディア?入るぞ。」
そう声を掛けるとドア越しに「どうぞ」という声が返ってきたので遠慮無く部屋のドアを空けると視界に入った情報量に言葉を失った。
それは天霧も同じようで覗き込んで止まってしまった。
その中にいた五人の少女。特に俺に構ってくる三名のその身姿に目を奪われ見惚れてしまっていたからだ。
部屋に入りその三人の前に立って思わずその感想を言葉にしてしまった。
「三人とも…綺麗だな。」
「ふふふっ♪ありがとう御座います蜂也。貴方のスーツ姿も良くお似合いです。」
「えへへっ…ありがとう蜂くん♪君のスーツ姿もとっても似合ってるよ?」
「はぅ…///あ、ありがとう御座いますお義兄さん…スーツ姿、とってもお似合いです!」
ぼそり、呟いた言葉がクローディア達に届いたのか其々に反応を示していてくれた。
それぞれが夜会に出るための基本的には足元が隠れるドレスを着用しているが腕や背中は大きく露出している。
十人十色…と言うわけではないが全員が似合うドレスを着用している。
(目のやり場に困るなこれ…。)
クローディア、綺凛ちゃん、シルヴィアはベアトップで胸が強調されたドレスを着用しており目のやり場に困ってしまう所謂イブニングドレスを着用している。
クローディアはエレガントな紫色のドレスを着用し綺凛ちゃんはシックな黒のドレスでシルヴィアは深い蒼色のドレスだ。
同じく天霧も目の前にリースフェルトと沙々宮のドレス姿を見てドギマギしている。
二人もドレス姿でリースフェルトは深紅のワンショルダーで沙々宮はキャミソールタイプ…まぁ一部は他の連中に負けてるが…言葉には出さないでおこう。あ、やべにらまれた。
しかし…健全な思春期少年にこれは刺激が強すぎる。
これって見るだけでお金とられたりしない?大丈夫?そう…。
本来ならばエスコートをすべきなのだろうが目の前の三人が一斉に手を出して「エスコートしてください」してください!」してくれる?」
とお願いされてしまったので一瞬フリーズしてしまう。
『主よ…今年は女難の相かな…いや毎年か。』
(うるせぇ…目の前で起きてる光景に脳が追い付かないんだよ。ほっとけ…!)
『確かに目の前にいる三名は”美少女”と言っても差し支えない…いや言葉では言い表せない者達であるからな…。』
(それには同意する…が少し黙ってろ。)
《次元解放》のポータルに格納している《グラム》が声を掛けてきたので黙らせることにした。
それには同意するが。
一先ずジャンケンをして貰い勝った人をエスコートすることになったのだが…割愛。
フローラがその後にリースフェルトの部屋に入りたどたどしい口調であったが精一杯仰々しく告げて俺達は夜会へと誘われることになったのだ。
◆ ◆ ◆
「綺凛ちゃん大丈夫?」
「あ、はい大丈夫です…こう言う場は初めてで…その。」
「はは…気疲れしちゃったんだね。まぁ無理もないよ…こんなに人がいるとは思わなかったし…。」
「俺もそう思ったよ。」
椅子に座り少し着かれていた綺凛ちゃんにお冷やを渡し口を付けて一息付いていた。
俺はてっきりホームパーティー的なものを想像していたんだがまさにドラマとかで見たことあるような会場で身なりの良い紳士淑女が集まりテーブルの上には豪勢な料理にそれを整える給仕係に…と庶民には掛け離れた光景が広がっていた。
俺と綺凛ちゃんは…まぁ一般家庭の人間だからこんな光景はゲームか映像でしか見たこと無かった。
「シルヴィアは…慣れてるのか。いろんな所飛んでるしお偉いさんに招待されたりしてるだろうし」
「まぁそうだね。私も何度かこう言うパーティに呼ばれたことがあるけど…ちょっと苦手かも。」
国王陛下が招待した客は全員が統合企業財体の関係者かリーゼルタニアの政治家がほとんどでありその主賓であるユリス達は未だにその人物達に挨拶回りをしている。
…こういうパーティはただ飯食うだけでなく様々な思惑が飛び交っていたりするので特に人の感情を見ることが出来るシルヴィアにとってみれば不快であることには違いない。
ちなみに俺も不快で今すぐにここから退出したいぐらいだ。
「でも…君がいてくれるからちょっかいを掛けてこようとする男の人がいないのは良いことかもね。お呼ばれした夜会は楽しめてるかも。綺凛ちゃんも蜂くんがいてくれて良かったよね?」
そうシルヴィアが問いかけると綺凛ちゃんは顔を赤くして頷いた。
「は、はい//…先程招待されていた男性にお声がけされたときはどうしようかと不安でしたけど…お義兄さんがいてくださって良かったです。」
実は夜会が始まり綺凛ちゃんは飲み物をとりにテーブルを離れた際に招待された男性客に声を掛けられ意外…というか口下手な綺凛ちゃんはどう対応して良いか分からず半泣きになっていたが俺が呼び掛けると半泣きになりそうだった顔を煌めかせ此方に駆け寄ってきたときは本当に可愛すぎんか…?となったが声を掛けた招待客は不満げな表情を浮かべていたが声を掛けたのが俺だったこともあって退散してしまった。
まぁ今の綺凛ちゃん…というか普段の綺凛ちゃんも魅力的なので声を掛けたくなるのは分かる…夏のプールの時も声を掛けられていたしな…。
しかし上手に話すことが出来なくてしょげていたが「それは仕方ないことでしょ?」と補足したのだが…。
わたしは…シルヴィアさんやクローディアさんみたいに綺麗じゃないですから…わたしみたいな子供にはこんな大人のドレスは似合わないです。」
どうもからかわれた、と思っているらしい。
そんなことはない、と俺は綺凛ちゃんを褒め倒すことにした。
「そんなことはないよ?」
「ふぇ?」
俺は相も変わらず自己肯定が低い綺凛ちゃんの手を取って説明した。
俺の義妹がこんなに可愛いことを力説しなければ。
「さっきもリースフェルトの部屋で言ったと思うけど綺凛ちゃんにそのドレス似合ってるし綺麗だ。俺が君の義兄じゃなかった付き合ってくれ、と言って振られるまである。そのくらいに綺凛ちゃんはドレスなんて無くても普段の立ち振舞いで俺を夢中にさせるほど可愛いよ?ドレスを着てたらさらに綺麗だけど。」
「あ、…あう////」
力説すると綺凛ちゃんの顔がリンゴのように真っ赤に染まるしシルヴィアも頬を染めていた。
「わーお…///蜂くんってば情熱的…でも確かに綺凛ちゃんは今着てるドレスも良く似合っててお人形さん見たいで可愛いよ?自信もって!」
俺が心からの本心を告げると綺凛ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。あれ。不味かったか?
シルヴィアも援護射撃してくれたが実際に幼い顔立ちにシックなドレスが大人びて見せているので非常に良く似合っている。
クローディアやシルヴィアと違って美しさはあるが初々しさが全面に出ており俺はそのギャップが大好きだった。
「あ、ありがとうございますお義兄さん…。」
「?どういたしまして」
そういって再び頭を撫でると嬉しそうに笑っていた。
◆ ◆ ◆
「…////」
顔から湯気が出そうなほど真っ赤になっている綺凛ちゃん。
お酒でも入ったのだろうか?と俺は心配になりとりあえず外の空気を吸わせるためにテラスへ向かう。
「あ、わたしもちょっと外の空気吸いたいから付いていくよ。…君と一緒にいた方がちょっかい掛けられないで済みそうだし。」
シルヴィアがそう告げて俺が辺りを見渡すと俺達よりも少し年上に一回り、二回りも年上のようなスーツを着た男性が二人に声を掛けたそうにしているが俺が近くにいるからか声を掛けられずにもどかしそうにしている。
有名人である世界の歌姫兼《
というか近づかせないように妙な威圧感を出していたのだが。
よくよく考えると俺は今両サイドをドレスで着飾った美少女に囲まれていると言う信じられない状態だ。
これはモテ期が来たのでは…!?となったがお前の勘違いだ、と脳内で一掃する。
歩き出そうとしたタイミングでシルヴィアが待ったを掛けた。
「この会場に入るときはクローディアさんのエスコートをしてたけど今は誰をしてくれるのかな蜂くん?」
そう言われた後に左の裾を掴まれ思わず足を止めてしまいその反対側の人物からも俺の服の袖を掴まれてしまう。
「わ、わたしもお義兄さんと腕をくんで歩きたいです。その…先程クローディアさんと腕を組んでエスコートしている姿が…そのとても素敵で羨ましかったので…。」
「いや、両方かよ…俺か体一つしかないんだけど?」
「分身したら良いんじゃないかな?」
無茶を言うな無茶を。
「お、お義兄さんなら出来ます。」
綺凛ちゃん?俺をなんだと思ってるの?少なくとも俺は某大戦のように経験値泥棒する忍者ではない。
「二人エスコートするので勘弁してくれないか…?」
そう言うと二人は「仕方がないなぁ…」「仕方が無いですね…」という表情になり俺が腕を曲げると二人は俺に体を寄せて腕を絡めてくる。
「…!?」
その際に当たり前だが体が密着するのでその…柔い部分が当たっているのだがクローディアの時と良い発育が良すぎる女子が俺の回りに多すぎる…!
しかも今回は衣装が普段の制服とは違い露出が多いドレスだ。
豊かな膨らみが俺の両腕に押し当てられその形を崩している。
「ごめん、二人とも少し離れてくれる?」
「し、シルヴィアさん、お義兄さんが困っているので少し離れてください。」
「うん~?それを言うなら綺凛ちゃんが離れるべきじゃないかな~?」
「っておい…!」
両サイドで言い争いをする美少女に囲まれている俺を見て回りの招待客の視線も俺に集まるので辞めて欲しい…というかシルヴィアはそう言うことをするなよ!
「あら蜂也?わたしの目の前で浮気ですか?」
と、そこで俺の背後に柔らかいモノが当たっていた。
この大きさと柔らかさは…!って違う!しかしここで第三者のエントリーだ!って一番話がこじれそうになるのでさっさとテラスへ続く扉を空けてお邪魔する。
やっぱり冬であるので肌寒い、がテラスには数名外の空気を吸うために出ていた。
特に俺の近くにいる三名は薄着も薄着なのですぐさま外気を遮断する魔法を発動し室内に居た時と同じ温度を保つ。
「「「……///」」」
なぜか俺は三人の美少女に囲まれ…というか色々密着しすぎでは?
(フォーメーション的には俺の前にいつの間にか綺凛ちゃん左右にクローディアとシルヴィアというトライアングルフォーメーション…なんで?)
俺に密着する三人の美少女は黙ったままである。
(なんか喋ってくれよ…俺そんなに喋るの得意じゃないんですけど…?)
こちとら真性のぼっちやぞ?舐めるな。
とりあえず喋ることもなく冬空の月明かりの下で静謐な空気を吸いながら月を見上げる俺達。
…『月が綺麗ですね?』とか言えば良いのだろうか…いやはや近代の文豪はすごい名言を残したものだと今頃になって感心していた。まぁ言う機会なんて無いんですけどね?
そんなことを思っていると不意に声を掛けられた。
「はっはっはっ…いやはやまさに両手に花…ですかな。羨ましい。」
突如として声が聞こえ正面の手すり部分の場所から人の視線を感じたので正面を見るとそこには髭を生やし整えた老紳士と呼ばれる壮年の男性がこちらを微笑んでみていた…がその笑みはどうも気色が悪い。
「…すみません。お騒がせして。少し空気を吸ったら直ぐに戻りますので。」
「いやはや若者の特権ですからね。元気があって実によろしい。流石は《鳳凰星武祭》や《王竜星武祭》でご活躍されている方々だけありますな。」
「…。」
俺はただこの正面にいる老紳士…いやおっさんを無機質な瞳で見つめていた。
次の言葉を告げた瞬間にその穏やかな雰囲気は一変し剣呑な雰囲気と眼差しに変化した。
「ところで次の《
「……っ!」
その言葉が告げられた瞬間に全員が俺の傍から離れ身構え俺はその場から《縮地》を用いて拳を振るう。
拳は男のスーツの肩口を裂く程度で直撃には至らず男の居た地面を抉り破壊するだけに留まった。
破られた部分を埃を払うような仕草を見せる。
「…っほうやりますな。流石は《戦士王》…やはり君も危険な存在な様だね。クイーンを守るソルジャー…いやはや厄介だよ。」
「おっさん。何が目的だ?」
目の前の男は間違いなく《星脈世代》。そして強者だ。
視線を向けると芝居掛かった仕草で話し始めた。
「なに。私はこの会場に招かれた老紳士ですよ。言葉の通りですよ。エンフィールドのお嬢さん率いるチームが優勝してしまうと困る方がいるのです。私の役目はそれを阻止すること…どうか私のお願いを聞き入れては貰えないでしょうか?」
おっさんは慇懃にそう言いながらニヤリと笑う。
俺は言い返した。
「そいつは無理な相談だ。」
「ほう?」
「俺がいる自体でそこらの有象無象に負けるわけ無いからな。そもそも俺は《
後ろにいるクローディアへ親指を向けて説明する。雇い主の指示を聞かないといけないのは社畜の辛いところよのう…サム。
「蜂也…」「お義兄さん…」「蜂くん…」
あれ、呆れられた。なんで?
そう答えると目の前の男は笑いだした。
「ふっふっふっ…ふはははっ!それは至極残念ですな…可愛い後輩に手を掛けるのは心が痛みますが…」
「後輩だぁ?」
瞬間、男の周りに万応素が吹き荒れた。
「なので…この子に任せるといたしましょう?」
複雑な魔方陣が宙に描かれその中から様々な要素を合体させた”キメラ”が出現する。
目の前に現れたキメラは肉体の躍動を感じさせるものの命の鼓動を感じないただの万応素の固…なり損ないで木偶だ。
「お義兄さん…。」
「蜂くん…。」
二人はこちらを見ているのは俺と同じことを考えているからだろう。
しかし今はそれよりもこの場にいる人たちを逃がすことを優先させなければならない。
案の定合成獣を見た招待客が悲鳴をあげてガラスや容器を倒し砕ける音が響いている。
その背後でこの木偶を産み出した男はこちらに一礼し闇の中へ消えてしまった。
後を追おうとしたが呼び出した木偶に進路妨害をされてしまい俺へ襲いかかってきた。
「おうっと!?」
木偶の一撃を回避しお返しだと言わんばかりに星辰力を込めた蹴りを浴びせるとテラス付近まで吹き飛ばす。
「ガァァァァッ!!?」
獣らしい悲鳴をあげて蹴り上げられた一部分が吹き飛び血液…ではなく泥のような粘着質な液体をばら撒き吹き飛ばすと直ぐ様体勢を立て直し此方に牙を向けて威嚇してくるが怖くはない。
騒ぎを聞き付けたリースフェルトと天霧が現れたへ指示を出す。
「お前達は来客者の避難誘導を頼む…此方は俺が片付ける。」
「でも蜂くん。いくらなんでも徒手空拳じゃ…。」
シルヴィアが心配してくれるがご無用だ。
「ん?ああ。この程度別に
というか此方のほうが本職だったりするわけで…。
こちらを真っ赤な瞳で睨み付け「グルル…」と喉を鳴らしている。
狙いはどうも俺と綺凛ちゃんにクローディアらしい。
一先ずはこいつを黙らせるために”型”を構え星辰力を変換し想子へ変換する。
じりじりと近づいてきたキメラは間合いを詰めてこちらへ攻撃を仕掛ける。
やはり只の獣以下…いや、只の木偶らしい。
「ガアアアアッ!!???」
横薙の攻撃の後に大気を震わす咆哮をが轟くがそれは自分の絶命を知らせる咆哮へと変化した。
当たる攻撃であったが俺には当たらない。
「……!」
当たる瞬間に俺のカウンター技が入ったからだ。
横薙ぎの攻撃が俺へ当たる直前にその豪腕を捲り取るように俺の懐に絡め取られ反対に空いた拳が万応素で構成された体に叩き込まれ揺らし上空へ投げ出される。
『白虎乃型・虎刈』という相手がでかければでかい程威力が増す相手の力を利用したカウンター技を決めた。吹き飛ぶ木偶を視界に納めブレスレット型CADで振動系統魔法『レーヴァテイン』が発動し空中に描かれた幾何学模様の魔方陣から射出された光線を叩き込むと獣の断末魔が空に響いた。
「……!?」
上空では膨大な熱量に晒されたキメラが爆発しきたねぇ花火を打ち上げた。
それを全員が目で追って呟いた。
「一体あの男…何者なんだ…?それにどうして俺達がチームを組むことを知っていた…?その話はまだ学内でクローディアとしかおこなってなかった筈だぞ…?」
俺の呟きは聞こえない。爆発によって掻き消されたからだ。
俺は手すり側に近寄り下を見るが当然ながら先程の男はいなく仕方なく目の前に広がる湖を見つめた。
その風景は月明かりに照らされた湖上が映るだけだった。