俺が《六花》で二つ名で呼ばれるのは間違っている。 作:萩月輝夜
(蜂也の研究回りやオーフェリアとディルクのやり取りとか。)
序盤はダイジェストのような流れから二年生の最初のイベント学園祭を行って《獅鷲星武祭》に入る形になりますのでよろしくお願いします。
学園祭狂想曲①
此方に来て一年が経過していた。
事故とはいえ持ち込んだ《自立稼働変形型自動二輪CAD》は博士の助けもあり可変時の強度不足を
…まぁ試作品で俺の星辰力を流し込んだら爆発して単体マナダイトと入れ物が砕け散ったのでどうも並列制御したマナダイトを1ダースか大きめのウルム=マナダイトでないと君の星辰力に機体が耐えきれないよ、と博士に言われてしまった。
そう簡単にウルム=マナダイトを獲得できれば俺と博士の苦労も一発で解決できるんだけどなぁ…博士も博士でアルディとリムシィに継ぐ自立稼働の擬形体を研究中のことなので俺はそっちも気になるので手伝わせてもらって星脈工学は何だかんだで興味深いからな…ついついアルルカントに出入りさせて貰っている。
最初こそ怪訝な表情をされたがと有るときに行き詰まっている学生…研究者でいいのだろうか?の問題点を指摘してやるとすごく感謝され《彫刻派》の生徒に受け入れられたのでまぁ結果オーライと言えなくもないが。
…というか何だかんだで向こうに戻れずにもう一年以上此方に居るのか俺…。
確実に想子のストックは貯まってきている…筈なのだが…。
中々に次元の壁を越えられるほどの想子が溜まっていない…いや溜まっている筈なのだが…。
俺が無意識にこの世界から還りたくないとでもおもっているんだろうか?と脳裏に過り頭を振った。
まぁぶっちゃけると春先になるまでにいろんなことが有りまくった。
まず年越し前にリーゼルタニアでクローディアの獅鷲星武祭出場を阻止したい父親が愛情?のために《創獣の魔術師》、ギュスターブ・オルローという指名手配のおっさんを派遣し俺達を仕留める為に魔獣を放ったのだ。
先ずはとリースフェルトの大切なものである貧民街に有る孤児院への被害を出すために進撃をするがそれは呆気なく俺達に討伐され逃げ出そうとしたギュスターブのおっさんは高みの見物していたがそれを予測していた俺の作戦で準備していたこの男を捕らえるようにシルヴィアにお願いをしていたのだが何故かオーフェリアまで参加しており…と可哀想なレベルで直ぐ様捕まって警察の厄介になったのだ。
そうそう…ちゃっかりとオーフェリアが居たのを忘れてたな。
リーゼルタニアの研究所で調整を受けていたオーフェリアとばったりあったリースフェルトが戦闘しているところに不味いと思い割って入ると此方にターゲットを定められてしまい激戦の後に《孤毒の魔女》を倒してしちまったんだよなぁ…それにこいつが”魔女”へ至った経緯を見てしまったので一度殺害した上で《物質構成》まで使って完全制御できる体に作り替えて蘇生させたのだが…何故かリーゼルタニアの離宮で目を醒ましたときに俺の唇がこいつによって奪われてしまった。その時に「好きよ」と言われ俺は顔を「はぁ?」という顔になっていた。
何故か俺が悪いわけでもないのにクローディアには怒られ綺凛ちゃんには悲しそうな表情をされてシルヴィアにジト目で言われてしまった。
解せぬ…。
まぁそれでもこいつといてもイライラはしないのでリーゼルタニアから帰国して休日に市街地エリアの一角…自然公園の花壇エリアに居座っているこいつを見るようになった。
通りすぎようとするのだがやたらと構ってきてこいつにお茶をご馳走する、というルーチンが出来上がってしまったのだった。
そのお茶をご馳走する流れでオーフェリアがソルネージュ、いやあのクソデブの所有物であることを知らされ俺は何を思ったのかクソデブに話を付けてこいつの言う所有権の利権書を買うことにしたのだった。
自分でも何でこんなことをしたのか分からなかったが…こいつには言葉の裏表がないのだ。
他人を信じるなんてのは俺の矜持が許さないのだが…なぜだかこいつは信じても良い、そう思ったのだ。
だがこいつが俺に向ける感情は未だに分からない。友情…ではないんだろうな。なんなんだ?
あれだ…お兄ちゃんに間違った愛情を向ける妹だ。そうにちがいない。いやぁ…やっと合点が行ったわ。
そうとなれば俺はオーフェリアを自由にさせるためにレヴォルフにてアポを取りこいつの利権書を莫大な金額をディルクの野郎に吹っ掛けられたが此方には星武祭で獲得した使いきれない金額があったからそれを直ぐ様用意したらディルクが忌々しそうな表情を浮かべていたのが個人的に面白かった。
部屋を出るときに秘書さんとディルクの怒号が響き渡っていたが無視してディルクとのサシでの話し合いの後に何時もの自然公園のベンチに呼び出し書類を手渡す。「お前の利権書俺が買い戻したから此で自由だぞ?」と告げると書類と俺の間を行ったり来たりした後に俺に飛びかかり抱きつかれた。
俺も引き剥がそうとするが抱きつく力が強いために引き剥がせない。
幸いにしてこの公園の花壇エリアは滅多に人が来ないのでこうしていても…ではなく問題であった。
いくら俺がオーフェリアを妹枠として扱っていたとしても流石に此は不味いと魔法を使って引き剥がす。
これを境にさらに俺への密着度合いは多くなった気がする…というか確実にだ。
この間なんか俺が寝ているときに寮の個室に勝手に入り込んで俺のベッドで寝ていたりするので本当にやめて欲しい。
因みに所有権をこいつに渡そうとしたのだが「貴方が持っていて」と頑なに
お前女の子に興味ないのか?ってバカかお前らは…俺だって健全な男子高校生ですよ?人並み以上に赤くなったり興奮したりしますよ。
シルヴィアに至っては世界の歌姫なのでそういう目で見るのは失礼だと思っているので…。
え?クローディアとオーフェリアはどうなんだと?あれはちょっと行きすぎた愛情表現をする妹みたいなものだと思っているので。
綺凛ちゃんは俺のなかでのベストオブ義妹なので全力で甘やかすことにしています。
というか俺は今誰に説明してるんだろうか、と思ったがまぁ良いか。
後綺凛ちゃんのご実家に呼ばれていたが俺の方の用事を優先させて貰ったので伺うのは…二回目の星武祭が終わった頃になるだろうか?
いや本当にごめん綺凛ちゃん…研究の欲求には勝てなかった。
俺は俺で綺凛ちゃんの水着姿を堪能させて貰ったので…これで泳げるようになったとは思うが。
◆ ◆ ◆
俺は何故か四体対一の状態でトレーニングルームにて《壊劫の魔剣》を振るって襲いかかる天霧達の校章を切り裂いて地面に膝を着いて肩で息をしている状態を見つめながらそんなことに想いを馳せていた、というわけだ。
何でこんなことをしているのかと言うとクローディアが《獅鷲星武祭》に参加するメンバー…つまりは俺とクローディア、綺凛ちゃん、リースフェルト、天霧という最強パーティで訓練ならびにアルルカントと星導館で共同製作して完成した新型純星煌式武装のテストを兼ねて訓練をしてた、ということだ。
俺はこんなことをしなくともよかったのだが全員の動きを把握するために数度に渡って訓練をしていた、ということだ。
「…申し訳有りませんが蜂也が皆さんに合わせるのではなく皆さんが蜂也に合わせてください。わざわざ蜂也私たちまでのレベルを下げる必要有りません。そのままで。」
「お、おいクローディア…。」
なんつー言い方…だがこの状況では俺一人で試合を勝ち抜く方が楽であるのは確かである。
みんなが弱いわけではないが…なんというかその…それは俺の性質上の問題があるのだが…。
しかし集団戦という都合上で個人戦のスタンドプレーが目立ってしまい得点を下げられかねない。
そうなるとクローディアの言い分も間違いでは…無いのか?
反発が来るか、と思ったがリースフェルトをはじめとして「上等!」と言わんばかりのやる気の有るやつしかいないようで《俺へ合わせる努力》をし始めたのだ。
そうして全員みるみると力を付けていった。
そんなこんなで俺達は《
◆ ◆ ◆
新学期は生徒会…というか俺とクローディアが死ぬほど忙しい時期だがそれ以上にアスタリスクにやって来る生徒達は《星武祭》での栄光を夢見てこの六花にやって来るのだが…当然ながら現実にぶち当たり夢破れてそれならと普通の学生生活を楽しむために毎年春に開催される学園祭はそういった生徒達にとっては《星武祭》以上に楽しみな学園行事らしい。
俺は正直学校のイベントに対してあまり良いイメージはないのだが…文化祭しかり修学旅行しかりな。
なので俺はその事をクローディアに説明されていたが俺の表情に気がついたこいつは問いかけてくる。
「…と、言うことなのですが…蜂也はこういった催し事はお嫌いですか?」
「あまり得意じゃない…。まぁ今は運営側だから準備は既に終わってるし寮で大人しくしてるわ…って言いたいところなんだが夜吹の野郎が勝手に俺を界龍の催し物に参加させられてるし。」
「グラン・コロッセオですね…全く夜吹くんにも困ったものですが…《鳳凰星武祭》の優勝者が名前を連ねるのは箔が付きますからね。」
「まぁ…夜吹には色々と世話になってるからな。仕方がないか。」
「蜂也には各学園の威力偵察…もとい来年へ向けての我が星導館の学園祭内容向上のための視察に向かってください。…本当ですと私と一緒に学園祭を回って欲しいのですが…流石に初日から学園の長がいないのもどうなの?という状態ですけど…まぁわたしは生徒会長ですので特権使って一日目から回りましょうか。」
「おまっ…ちょ近いんだけど…?」
そういってクローディアは俺に近づいて俺の腕を取り体を密着させてくる。
去年から密着度合いが増えている気がして俺はクローディアをジト目で見るがこいつはお構いなしにとただただ笑みを浮かべて俺の腕にその制服の上からでも分かるような柔い双丘が形を崩す。
こいつ特有の甘い匂いとシャンプーの匂いが俺の鼻腔に突く。
「…ん?……!」
不意に胸ポケットに入れていた端末が震え取りだし画面を開くとそこには”シルヴィア・リューネハイム”の名前があり俺はちょっと背筋が凍った。
耳元でクローディア囁いた。
「おや…?いつの間にクインヴェールの生徒会長と連絡先を交換していたのですか…?」
顔は笑っているが心では穏やかじゃないのが見てとれた。
「あ、いやこれはだな…。」
「応答したらよろしいので?」
「お前なんか冷たくない?」
「な・に・か?」
「…なんでもないです…あーもしもし?」
まるで浮気を弁明するクソ夫のようだ…って別に俺はクローディアと結婚をしている訳じゃないのだが…なぜか弁明しなければとなった。
音声通信で応対するとシルヴィアの声が聞こえてきた。
『あ、蜂くん久しぶり~。』
「お、おうシルヴィア…どうしたんだ?」
『いやツアーが一段落したから連絡しようと思ってね…今取り込み中だった?』
俺を見るクローディアの視線が少し…ではなくかなりキツい気がするが「わたしがいることは黙っていろ」と言わんばかりの形相だ。俺は諦めて会話に努めることにした。
「いや、大丈夫だ。」
そういうと安堵した声色が端末越しに聞こえた。
『そっか…そういえばそろそろ学園祭の時期じゃない?』
「ああ。そうだけど…どうした?」
1拍おいてシルヴィアからというか彼女のファンならば天にも登るような嬉しいお誘いがやってきた。
『3日ほど連休を貰ってね…学園祭を一緒に回りたいんだけど…どうかな?』
「……。」
彼女のファンとしては有無を言わさずに二つ返事で”はい!”と答えたかったが隣にいるクローディアに「蜂也?」と無言の圧を掛けられているので素直に返答できないでいたが腕に絡み付いているクローディアに腕を引っ張られ一度端末の音声を切る。
「…なんだ?」
「これはお仕事です。蜂也。」
「は?」
「シルヴィアにはフローラやリーゼルタニアでの借りがありますからそれを返す、ということでしたら私と蜂也のお出掛けの時間を分けてあげます。それに他学園の学園祭の様子を学園広報紙を作成しなければならないので必要経費の外出ですので仕方有りません。…ええ。仕方がないことです。」
本当に不承不承といった感じで隣にいるクローディアは頬をぷくーっと膨らませ怒ってしまったがそういった子供っぽいところもこいつの魅力で少々見とれてしまったが今はシルヴィアへ返答するのが先だ。
端末の消音を解除し返答する。
「…すまん待たせた。」
『うん。大丈夫だよ?…それで…どうかな?』
期待するようなシルヴィアの声色に俺は心を押し潰されそうになるが心を鬼にして返答した。
「…俺でもいいなら喜んで一緒に回らせて貰うよ。」
『…っ!そっかぁ~ふふっお休み貰ったので楽しもうね!』
そういって喜色に溢れた声色で通信を切る。
俺は世界の歌姫のファンとしては天にも昇るような感激…だったが俺の腕を強めの力で締め付けられ柔らかいのと痛みで現実に引き戻される。
「…クローディアさん?」
「もう本当に…浮気性なんですから蜂也は。」
隣に引っ付いてるクローディアに視線を向け声を掛けるとそっぽを向かれてしまった。
その際に目尻にキラキラしたものが見えて俺は頭を抱えてしまった。
「あの…クローディアさん?」
「なんですか?別にこの3日間フルに使って学園祭を楽しみたかったとかそんなんじゃないですから。」
「いや可愛いかよ…。いや、ただの社交辞令だろ。というか俺と出掛けて嬉しいやつなんざいないだろ。たまたま俺が手が空いてるから案内して貰いたい、とかそんなんだろ。」
「はぁ…本当に貴方と言う人は全く…自分の魅力に気がついていないのですね。」
「…こんな面倒くさい奴の何処に魅力があるというのか…というか機嫌直してくれない?」
「今日の仕事は終わっていますので…私をぎゅっとしてくれたら許してあげます。それに。」
「?」
こいつの発言に俺の顔は他人に見せられないほど凄い顔になっていたに違いない。
「私に触れていいのは貴方だけなんですから。」
「お前…絶対それ俺以外の男の前で言うなよ?勘違いされるぞ。」
「?蜂也以外に言うつもりは有りませんけど?」
(なんでそんな真っ直ぐな目でそういうこと言うかね…?)
俺は頭を抱えた。
そういうことを言うとホントに泣かれそうになることを俺の直感が告げていたので今日1日は彼女の機嫌が良くなってくれるまでこいつの面倒を見ようと決意したが案の定寝るまで一緒にいる羽目になった。
最近のクローディアの甘えが度を過ぎているような気がしないでもないが…俺は俺の膝に乗る…というか股がる少女を抱き締め頭を撫でるのを日が落ちるまでやっていた。
結局すっかり機嫌が良くなったクローディアにシルヴィアとのお出掛けを許可され数日後に行われる学園祭に向かうのだった。
因みに《獅鷲星武祭》に向けてのトレーニングは一旦お休みで天霧とリースフェルトもデートすることになったそうでその事でからかうとリースフェルトは満更ではなさそうで沙々宮は面白くなさそうにしていた。
綺凛ちゃんも俺と一緒に出歩きたいようだったが中等部の出し物が忙しいとのことでお出掛けは出来ないとのこと。
そんなこんなで詰め詰めのパンパンになった予定の学園祭を体験することになったのだ。
◆ ◆ ◆
学園祭当日。星導館学園正門から少しはなれた遊歩道近くのベンチにて。
当日は天候にも恵まれ快晴であり春の木漏れ日は街路樹の緑のカーテンを透過してしまう程に燦々と太陽の光が差し込み見上げると目が痛くなるほどで気温もちょうど良く昼寝をするにはもってこいだが今日は学園祭当日なので屋上で昼寝をするには少し騒がしすぎた。
ベンチに腰掛け人の流れを見ていても途切れることはなく盛況である。
「お待たせ~蜂くん。」
そんな状況を観察していると一人の少女が俺の前に立ちふさがった。
名前を呼ばれ顔をあげると大きめの帽子を目深にかぶり白のブラウスにジーンズという一見すれば普通の少女に見えなくないが俺にはすぐに誰かが分かる。
「いや。ま、…今来たところで丁度暇を持て余してたところだったから丁度良い。…つーか良く星導館のこんな場所知ってたな?他校だろ。」
ここでは不用意に名前を出すことはしない。
なぜなら目の前にいる少女は世界の歌姫…シルヴィア・リューネハイムが変装している姿だからだ。
そう問いかけるとシルヴィアは笑って答えた。
「実は学園祭の時に何度か遊びに来ているから場所は把握してたんだ。でも流石に正面入り口を待ち合わせにするのは少しリスキーかなって。」
確かにシルヴィアは変装して気配を殺しているが気がつく人は気がつくだろうし確かにばれる可能性は高い。
しかし、忍者のように気配を上手く消して周囲に溶け込んでいるのは流石だった。
「本当は君とお出掛けするからもう少しお洒落をしたかったんだけどあんまり目立ちすぎるのはちょっとね…」
「まぁ実際に今の格好もかなり似合ってるから俺としても文句はないけど世界の歌姫と出掛けるならクインヴェールの制服を来たシルヴィアとも歩いてみたかったな。」
実際にシルヴィアはステージに立つ人間なので着飾った衣装やクインヴェールの制服はまさに”ラノベのヒロインが来ている味方陣営の制服”というイメージがありこのようなラノベのような世界の雰囲気を味わってみたい、というどうしようもない考えなのだが。
実際に今のシンプルな衣装は出会いの時のものとあまりかわっていないのでそっちの方が印象深いと思うが。
「ふーん…そういうことをさらっと言っちゃうんだ…これはクローディアさんや綺凛ちゃんにオーフェリアが君に夢中になるわけだ…ちょっと複雑だけど…うん。嬉しいよ?かなり嬉しい。ありがと。でもね?というか君にも問題があるんだよ?君は目立っちゃうから。」
急に話を振られてしまった。
「俺が目立つ?何でだよ。」
そういうとシルヴィアは呆れた表情を浮かべ説明してくれた。
「本当に君って自分に興味がないよね…いい?君は《鳳凰星武祭》の優勝者で《戦士王》の二つ名を持つ選手なんだから。」
そう指摘され俺は自分の格好を確認する。
今の俺は学園の制服を着用し外使い用の《瞳》の力を気取られないように感知遮断スクリーンを埋め込んだ青縁の伊達メガネを着用…というか普段の学校生活の俺だった。
「そうだろうか…まぁシルヴィアが言うならそうなんだろう…分かったちょっと待ってくれ。」
人通りが一瞬途切れたタイミングで俺は《偽装魔法》を使用し見た目を変化させた。
黒髪は金髪に変化し少し髪が長くなる。
持ってきていた伊達メガネとヘッドフォンとヘアバンドが一体化した小道具を被ると端から見れば俺だとは分からなくなった。
これならば名護蜂也だとは分からなくなった筈だ。
「うんうん。まさかわたしの変装術をマスターされちゃうと思わなかったけど…君は本当に星辰力の使い方がうまいね。」
「こういった技術は使って楽しいからな。感謝してる。」
《仮装行列》に近い偽装魔法を使えるのは非常に嬉しいし何より戦闘での手数が増えるしな。
「それじゃ…準備を終わったことだし。デートに行きましょうか。」
デートと来たか…世界の歌姫の隣にいるのが俺なのは非常に申し訳ないが他の男では役不足なので全うさせて貰うと少しキザったらしい言葉を投げ掛ける。
「…エスコートさせていただきますよお嬢様。どちらから回りましょうか?」
「ふふっ…蜂くんで言葉では”いやだー”って言う割りには手慣れてるよね?」
からかうような笑みとその言葉に一瞬、ほんの一瞬だが中学生時代の思いだし苦虫を潰した表情をしていたが影になっていて良く分からなかっただろうと思い短く切り返しシルヴィアから差し出された手を無視して踵を返して歩き出す。
「…まぁ姉と妹がいるしな。それじゃない…かな。とりあえず行くとしますか。」
「あ、ちょちょっと!」
こうして俺はシルヴィアと共にジェラートを楽しんだりシルヴィアの後輩というアイドルグループのライブビューイングを通がけに見たりしていた。
その姿は何処かテレビであったり街中の大型モニターでCMしているのを思い出した。
どうも有名で世界的なガールズロックバンドであるらしいが…良く分からなかった。
屋台や催し物を巡りながら不意に言われた。
「そういえば…蜂くん達も今度《獅鷲星武祭》に出るんだよね?だとしたらあの子達に気をつけた方がいいよ?あの子達結構やるけど。まぁ、ちょっとだけアレなところが有るんだけど…。」
含みがあるような言い方で苦笑いするシルヴィア。
「あの子達?…ああさっきのライブしてた…《ルサールカ》ってユニットの子達かいやいや…正直言っちゃなんだが俺たちのチームに勝てる連中が思い浮かばないんだが」
正直…俺に合わせて訓練をしているので全員技のキレが凄まじいことになってるしリースフェルトに至っては技の発動スピードが俺に近しいレベルまで引き上げられているので《特化型》を使わないと怪しいレベルまで来ているからな…。
「言うねえ蜂くんは。まぁ…あの《孤毒の魔女》を倒しちゃうんだから私としても来年の《王竜星武祭》は君が一番の強敵かも。」
「それ言ったらシルヴィアとオーフェリアの方が驚異だと思うんですけどね…?どっちも序列一位じゃねーか。」
「そろそろ公式序列戦が始まるし一度は序列一位になってたこともあるんでしょ?そろそろ序列一位にならないとクローディアさんが怒るんじゃない?それにちょっと気が早いけどそういえば蜂くんは来年の《王竜星武祭》には出るの?」
イタズラな笑みを浮かべシルヴィアは内容を《王竜星武祭》へ変えてきた。
「どうだろうな。特段参加しなくてもいいようなもんだと思うが…。」
「
「まぁ…俺がここに来てるのは成り行きだしな。正直どうでもいい。まぁ…俺の上司が『出てください』と言えば拒否権はないんだが?」
「成り行き?上司?どう言うこと?」
「なんでもない。まぁシルヴィアやオーフェリアと戦えるのなら一度試合してみたいけどな。」
「うーん来年はオーフェリアと蜂くんが出てくるのか…強敵だねっ。」
「俺的にはお前達二人が恐ろしいよ。」
「あはは。」
来年の事など分からない…そもそも俺は向こうに帰っているかもしれないのでなんとも…。
そんなこんなで星導館の出店や催し物を見てとりあえずアルルカントアカデミーに向かって出し物を見たりして何故か博士の元へ向かうと少し際どいメイド服を来たリムシィに出会うと言う事態に遭遇したが造形がいいからめちゃくちゃ似合っていたのを褒めたら顔を赤らめ蒸気が出ていたのは…故障だったのだろうか?
そんなこんなで一日目の学園祭回りが終了した。