俺が《六花》で二つ名で呼ばれるのは間違っている。 作:萩月輝夜
水上学園都市『六花』。
通称アスタリスクと呼ばれるこの場所は旧世紀、無数の隕石が降り注ぐ未曾有の大災害「落星雨(インベルティア)」によって世界が一変し既存の国家は衰退し、一方で無数の企業が融合して形成された統合企業財体が台頭しまた落星雨は万応素(マナ)が結晶化したマナダイトという鉱石と、生まれながらに驚異的な身体能力を持つ新人類《星脈世代(ジェネステラ)》の誕生という、言うなれば特殊な能力を持つ新人類が誕生し言い方が悪いが隔離させるために創られた都市である。
優勝者は好きな望みを叶えてもらえるというバトルエンターテインメント《星武祭(フェスタ)》、そこでの優勝を目指して《星脈世代》の少年少女たちは水上学園都市「六花」で切磋琢磨していた。
季節は大体春頃。
時期的に入学式、ではなく「六花」においても普通の学校のように各校は授業を行っていた。
そんな世界で異物が一人。
そんな中でアスタリスクにある6つの学園の1つ「星導館学園」の学園の中庭にて、これも当然だが一人の男が「星導館学園」の制服を着用しベンチに座り、手には黄色と黒のマーブル模様で『マック○コーヒー』と書かれたロング缶をもって一服している少年がいた。
少年の見た目は非常に整っており髪型は普通…と言うよりもアホ毛がピンとたっており赤縁メガネ(度は入っていない。)で特徴的な瞳を相手に気取られないようにするために掛けていたがそれも立派な彼の特徴であった。
「新しい生活に胸踊らせてキラキラした顔でこの学園に入ってくるとは…リア充だなぁ…《
聞きなれない言葉を呟く。
少年はマックスコーヒーを飲み干しスチールの空き缶を紙のように握りつぶしゴミ箱へ投げ入れる、かと思いきや手の中で『無』へと還った。
当然ではあるが少年もまた《星脈世代》…ではなく普通の人間だ。しかし少々特別な存在なのだが。
立ち上がり自分のマンションがある方向へ歩き出そうとすると少女二人が駆け寄って来るのが見えたのか少年は「げっ」と言う表情を浮かべる。
「蜂也?どちらへ行かれるのですか?」
「お義兄さん?今日はお仕事をサボるのは良くないと思うのです…。」
一人は腰ほどまである豊かな金色の長髪を蓄えた美少女。
これもまた一人はツーサイドアップの銀髪に何処か小動物を思わせ気弱そうな美少女が少年に話しかける。
少年はばつが悪そうに答えた。
「いや今日は用事があってだな…?」
「おかしいですわね?本日は転入してくる
「ほら今日は卵の特売日だから…」
「お義兄さん、特売の卵は既に昨日の夕方に買いに行ったじゃないですか。」
「…わーったよ。行けばいいんだろ行けば…。」
逃げ道を潰されてしまったので仕方なく立ち止まる。
「てかクローディアも綺凛もなんで此処が分かったんだ?」
「蜂也が居るところなら大体把握できますし。」
「わ、私はお義兄さんが此処に居たらいいなーって探しに来ました。」
「クローディアはともかく本当に綺凛は可愛いな…。」
近くに居る綺凛の撫でやすそうな頭を撫でる。
嫌がる素振りは見せずにむしろ喜び頬を少し赤らめている。
「えへへっ…///」
その光景を見たクローディアが一瞬不機嫌になるがいつもの表情になり蜂也に先ほどの言葉の真意を問いかけてきた。
「蜂也?どう言うことです?」
「あ?いつも通り綺麗って意味だが?」
「…///な、何て事を言うんですか。」
バチバチと視線をぶつけ合うクローディアと八幡だったが不意に蜂也その言葉を掛けられて顔を真っ赤にして言葉につまってしまっていた。
その光景を「むぅ…」とむくれるような視線を向ける綺凛。
一触即発か?と思われたがそれは生徒のある一言により中断された。
「おい聞いたか?お姫様が噂の転入生に決闘を申し込んだんだってよ!」
「マジかよ!見に行こうぜ!」
その会話を聞いた八幡達。
「おいクローディア。まさかだと思うがその転入生って…。」
クローディアは頭を抱え呆れているようで綺凛は慌てている。
「はぁ…またユリスったら。」
「ま、不味いですよお兄さん止めに行かないと!」
「…あのお転婆姫、余計な仕事を増やしやがって。」
三人はその渦中の二人が決闘を行う現場へと向かった。
◆
「咲き誇れ!《
綾斗は親切心で女の子へハンカチを手渡そうとしたとき、運悪く着替えを覗いてしまい痴漢扱いを受けてその冤罪を証明するために決闘を受けざるを得なくなってしまった。
野次馬が集まり決闘が開始される。
ユリスの前に巨大な火球が生成されギャラリーは慌てるが綾斗は冷静にその攻撃を切り捨てる。
「
エリスが使用した技を綾斗は《流星闘技》を用いた剣術で払い飛ばしその光景にエリスが驚愕する、事はなかった。
見慣れている光景だったからだ。
「蜂也のような芸当を…まさか今のは《
接近を許す、と感じたユリスは内心舌打ちをして手に持ったレイピアで迎撃準備を行う。手に持った獲物に炎を纏わせる。
接近した瞬間、獲物をぶつけ合おうとした瞬間に群衆に紛れ誰かが不意打ちでユリスを狙撃しようとしたのを綾斗は目撃してしまい彼女を押し倒してしまったのだ。
「お、お前、な、なにを…!はっ///ど、どういうつもりだっ!」
「それは君を射貫こうとした下手人に聞いて欲しいんだけどな」
「そ、そう言うわけではない!なんでわざわざわたしのー」
「え?」
その瞬間に綾斗がユリスの慎ましやかな胸を揉みしだいてしまっているのに気がついてしまう。
「う、うわぁ!!ご、ごめん!!」
「き、貴様…!」
慌てて飛び退いたがユリスは肩を抱いて目を潤ませ顔を真っ赤にして綾斗を睨み付けている。
ギャラリーが囃し立てる。
「おいマジかよ!あの野郎お嬢様を押し倒したぞ!」
「ヒュー!情熱的だな!」
待避していたギャラリーが戻ってきておりそれが更にユリスの感情に油、と言うか重油をぶちこんで彼女は怒り星振力が暴走してしまっていたのだった。
周囲の炎が吹き上がり綾斗、と言うか周囲に被害をもたらす。
が、突如として呆れるような声と共に彼女の顕現している炎を消し飛ばしてしまったのだった。
まるで『魔法』の様に。
「そこまでにしておけよ?ソイツはまだ『この学園の生徒じゃないからな』?ユリス。」
「副会長の言うとおりです。そこまでにしてくださいね。」
「リースフェルトさんが押し倒され…はわわ///」
押し倒されたユリスと押し倒した綾斗が声がする方向に向くとそこには銃?のようなものを片手で突きだし呆れた表情の赤縁メガネを掛けた青年と二人のタイプの違う美少女がその場に居たのだった。
◆
「確かに春だからってよ浮かれるのは分かるがいきなり胸を揉みしだくとか転入生はあれか?頭があれなのか?」
「ち、違いますよ!彼女が襲撃されそうになって…!てか見てたんですか?」
「あーはいはい、話は生徒会室で聞かせて貰うから、ついて来なさい。」
「だ、だから違いますよ!」
面倒くさそうに青年が綾斗を連れていこうとするが隣に居た少女に待ったを掛けられた。
「お待ちになってください蜂也、彼が天霧綾斗《あまぎりあやと》君ですよ。」
「あ?こいつがか?」
綾斗に近づこうとした青年…八幡が動きを止めて怪訝な表情でその渦中の少年の顔を見てため息をつく。
「…なるほどな、でいきなりこのお転婆姫に勝負を吹っ掛けられたと。」
「お、お転婆とはなんだ!?私は…!」
「どうせこいつがラキスケした結果その無実を証明するために無理矢理決闘を申し込んだ、とかそんな感じだろ?ラノベかよ。」
「?!」
「え、どうして分かったんですか?」
エリスと綾斗は事の経緯を言い当てられて驚愕していると八幡も驚いていた。
「え…まじ?冗談で言ったんだけど本当だったのかよ…。」
埒が空かないと思ったのか八幡と呼ばれた青年の隣から目の眩むような金髪を靡かせた美少女が決闘を行った双方へ説明する。
「んん!…確かに我が星導館学園は、その学生に自由な決闘の権利を認めていますが…残念ながら今回の決闘は無効とさせていただきます。」
「蜂也にクローディア…一体何の権利があって邪魔をする?」
「仕事だ。」
「それは星導館学園生徒会長としての権利、ですよユリス。…赤連の総代たる権限をもってユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトと天霧綾斗との決闘を破棄します。」
クローディアがそう告げると双方の赤く光っていた校章が輝きを失う。
「これでとりあえずは安心だ、天霧。良かったな。」
「ふふっ、これで大丈夫ですよ天霧綾斗くん。」
「はぁー…。」
綾斗が一息つくとその一方でエリスに近づく小柄な銀髪のツーサイドテイルの美少女が心配そうに声掛けする。
「大丈夫ですか、リースフェルトさん。」
「ああ、ありがとうな綺凛。…(キッ!)」
「ははは…」
手を借りて立ち上がるユリスは先程の事故と決闘を邪魔されたことで綾斗を睨み付けその視線を受けた人物は困ったような笑いを浮かべているしかなくその光景を綺凛は「はわわ…」と見ているしかなかった。
綾斗はこの状況を救ってくれた二名に挨拶をする。
「ありがとう御座いました…えーと、生徒会長さん、と蜂也さんと綺凛さん?」
「はい。星導館学園生徒会長クローディア・エンフィールドと申します。で、こっちが…」
自己紹介を振られた青年は面倒くさそうに自己紹介を始めた。
「え、俺もすんの?…星導館学園副生徒会長名護蜂也だ。まぁ、宜しく?。」
「どうして疑問系なんですか…?」
「綺凛」
綾斗に対してのぶっきらぼうな声ではなく優しい声で自己紹介を促すとエリスから離れて八幡のところに戻り自己紹介を行う。
「は、はい!お義兄さん、私は星導館学園中等部一年刀藤綺凛と申します。」
ペコリと綺麗なお辞儀をする綺凛。
自己紹介を終えるとエリスが先程の裁定に納得がいっていないようで、不満爆発な表情を浮かべ八幡とクローディアを睨み付けていた。
「いくら生徒会長といえども、正当な理由を無くしては介入は許されていないはずだったが?」
「理由なら在る。」
八幡がユリスに対して説明を行う。
「こいつが転入生なのは知ってるな?既にデータでの登録はすんでいるが最終の入学手続きが終了していないからな。厳密に言えばこいつは『正式な星導館学園の生徒じゃない』ってことになる。」
綾斗は説明を行う八幡に「意外だな…」と言うような印象を持ちつつあった。
面倒ごとには首を突っ込むのも億劫そうな印象だったがいざその当事者になれば被害者?と加害者?に対してしっかりと説明を行っているところを見たからだ。
まぁ、ただ本当に面倒くさそうにしているのは難点ではあるが。
「決闘はお互い学生同士が承認することで成立するからな、であればこの決闘は『学生』と『学生じゃないもの』が行っているからルール違反だ。分かったなユリス。」
「くっ…」
「蜂也の言うとおり、そういうわけですから皆さんもどうぞ解散してください。あまり長居されると遅刻してしまいますよ?」
その言葉にギャラリー達が中途半端な結末に不満げな表情を浮かべている者もいたが蜂也が睨みを聞かせると蜘蛛の巣を散らすように校舎へと入っていった。
一応ユリスも先程の襲撃を救ってくれたという事で綾斗と和解したようだった。教室へとその脚を向けて、綺凛も一緒に蜂也達についていきたそうだったが授業があるため中等部の校舎へと向かっていた。
◆
生徒会室へ向かう道すがら教室を見るとホームルーム前に授業を受けているのを見てクローディアに質問すると補習中であることが分かりこれはまた辛そうだと他人事のように綾斗は思った。
蜂也に心を見透かされたようで。
「言っとくがうちは文武両道を唱ってるから赤点取ったら補習だぞ。」
「気を付けます…。」
若干の元気がなくなった綾斗であった。
綾斗の前と後ろを歩くクローディアと蜂也。
クローディアが振り返って笑顔で綾斗に話しかける。
「そうそう、蜂也と私は天霧君と同じ学年ですから、もっと砕けた喋り方で結構ですよ?」
「えっ、会長と副会長も一年生なんですか?」
二人の落ち着き具合を見た綾斗は「そんな馬鹿な…」といった感想だ。
「ああ、私は中等部から生徒会長を任せられておりますので今期で三期目となりますね。」
「なるほど…」
「ですので私のことはどうぞ名前でおよび下さい。」
「わかったよ、クローディアさん」
「クローディア、で結構ですよ。」
「いや、いきなりそれは…。」
しどろもどろになる綾斗を見てにこにこしているクローディアの状態を見た八幡は「悪趣味な奴…」とボソッと呟く。
「俺も好きな方で呼んで貰って構わない。名前でも名字でもな。」
「わかりました。副会長。」
「おお、お前は役職で呼んでくれんのか。ありがとな。」
「喜ぶことなのかな…。」
「私のことは呼び捨てで呼んでくださらないのですね?」
泣き真似をするクローディアにあわてふためく綾斗を見て蜂也は補足してやる。
「あのなクローディア、お前みたいな初対面の女子生徒で尚且つ超絶美少女にいきなり「呼び捨てで」っていうのは非常にハードルが高いからやめて差し上げろ?」
蜂也が美少女、と文言に入れてクローディアに発言すると先程までにこやかだったクローディアの表情は一瞬その笑みを失い顔を真っ赤にして羞恥に染まってうつ向いてしまったが綾斗がまばたきをすると先程の笑顔に戻っていた。
「仕方がありませんわね。では天霧君が呼びやすい呼び方で結構ですわ。」
「はは…それで宜しくお願いしますクローディアさん。」
各自の自己紹介が終わり生徒会室に到着する。
クローディアが校章を使い認証パスを解除するとそこには学校の生徒会室らしからぬ光景が広がっていた。
床にはダークブラウンの絨毯に革張りの応接セットに壁には星導館学園を遠目で見て描いたような絵画が飾られており、そしてこの室内には似つかわしい黄色と黒のカラーリングが施された小さめの自販機が置かれている。
慣れた様子でクローディアは執務机に着席し蜂也は自販機へ向かい二色のストライプ柄の缶コーヒー片手に蜂也は自分の席には着席しないでさも当たり前のようにクローディアの横に立っていた。
綾斗はその二人の姿にはさながら一枚の絵画のように見えた。
クローディアは執務机の上で指を組みゆっくり息を吐いた。
「では、改めまして…星導館学園へようこそ、天霧綾斗君。歓迎いたします。そしてようこそ『アスタリスク』へ。」
綾斗はその光景の愕然としていた。
巨大なクレーター湖に浮かぶ人工都市は正六角形の市街地エリアと其々の各から稜墓のように飛び出した六つの学園からなるまさに雪の結晶の形を見せている。
まさに「アスタリスク」と呼ぶに相応しいだろう。
呆けている綾斗にクローディアが話しかける。
「我が星導館学園は特待転入生として貴方に望むことはただ一つ。勝つことです。」
町並みを見下ろしたまま、クローディアが続ける。
「ガラードワースに打ち勝ち、アルルカントを下し、界龍を退け、レヴォルフを砕き、クインヴェールを倒すこと、即ち《星武祭》を制すること。そうすれば我が学園は貴方の望みを一つ叶えて差し上げましょう。」
「…んー」
『なんでも叶える』と言われれば飛び付くようなフレーズだがそれに微妙そうにしているのを見て八幡は意外だと思った。
「申し訳ないけど、そう言うのにあんまり興味はないんだ。」
「ええ、貴方がそう言ったことにまるで関心がないのは承知の上です。特待生の招待を一度断っていることを。」
クローディアはそこで言葉を区切ると綾斗に向き合う前に蜂也を一瞥し微笑みを浮かべ、椅子を戻して綾斗に向き直った。
何で俺を見たんだ?
「近年《星武祭》における我が校の成績は芳しいとは言えませんが…前シーズンは奇跡的に総合五位。クインヴェール女学園が六位これはクインヴェールで《星武祭》の結果を考慮していないので実質当校が最下位になります。我が校はこの状況を打破しなくてならず、その為には有力な学生を一人でも多く確保しなくてはなりません。幸いにも今年度の選手は粒揃いですからね…ね?副会長?」
クローディアにそういわれ視線を向けられると苦虫を潰したような表情をしていた。
綾斗も只者ではないとうすうす感じていたが…その面倒くさそうな表情がなければだが。
「俺を見るなよ…。ユリスや綺凛ちゃんも居るだろ…。」
蜂也の反論を無視して説明を続けるクローディア。
「副会長は入学して未だ数週間ですが序列入しています。私の蜂也ですからこのくらいは…。おっと、そう言えばまだ説明していませんでしたわ。名護副会長…蜂也は当校の《冒頭の十二人》…序列三位《戦士王》の二つ名を持っているんですよ。」
そう言われて蜂也は苦虫を潰したような表情になった。
「それは勝手に他の連中が言ってるだけだ。《鳳凰星武祭》すら未だ参加していないのにそれにその名前で呼ぶな。」
「ふふっ。既に学園内の指折りの実力者を下しているではありませんか?」
嫌そうな顔をしている蜂也を見てクローディアは笑みを浮かべている。
端から見れば彼氏がツンツンし彼女がベタ惚れのカップルのように仲睦まじくみえる。
そんなことを言うものならただでは済まないんだろうな、と綾斗の脳内は警鐘を鳴らしていたので口には出さなかったが。
「あはは…副会長ってすごい人なんですね…それは分かるんだけどさ…そもそもなんで俺を特待生に?自分でいうのもなんだけどそんな大層な扱いを受けるようなもんじゃないよ俺?」
そう言う綾斗を蜂也は《瞳》で視認すると何かしらの制約…鎖のような精神的な制御が掛けられているようなものが見受けられた。
なるほど…クローディアはそこに目をつけたのか。
こいつの封印されている状態での《星振力》…の凄まじさ…《冒頭の十二人》に並ぶ…それ以上かもしれないな。合う武装があるとしたら…《純星煌式武装》ぐらいか。
だが通常時であればスカウトされない程の気配…いったい何を持ってスカウトしやがったクローディア?
クローディアに視線を向けるとこちらの視線に気がついたのかクスリと微笑むだけだった。
「そうですね。ぶっちゃけると完全に貴方は無名でしたから、ぶっちゃけスカウト陣から猛反対を受けました。」
「ええ!?君が推薦したの!?」
「おいおい…。」
「ええ無理矢理押し通しましたからね。あの時ほど生徒会長をやっておいて正解だったと思いました。」
「きったねぇ…。」
「強引だな…。」
「これで断られたら面目丸潰れでした。心変わりしてくださってありがとうございました。」
「別に心変わりしたつもりは無いんだけどね?」
そう言って肩を竦める綾斗にクローディアと蜂也が目を細める。
天霧がこの《アスタリスク》に訪れた理由は実姉である《天霧遥》を探しに来たためという理由だそうだ。
クローディアは何かを知っているような素振りを見せた上でデータが所々破壊された生徒情報を天霧に与えこの学園に来た意味を与えていた様だった。
その後特待生の特権を説明し本日の生徒会での話は終了した。
◆
会長室に残る二名。
「天霧…なかなか面白そうな潜在能力を持っていたな。あれなら先程閲覧していた《純星煌式武装》も楽に扱えるだろうな。」
「本当に蜂也のその瞳にはごまかせませんね。」
《瞳》の事は初めに出会った時にクローディアには伝えているのと此処には俺とクローディアしか居ない。
「まぁな。中々良いのが入ったから安泰だな。俺働かなくていいよな?」
マックスコーヒーを煽りながら外の景色を見ているとクローディアに話しかけられた。
そう言って俺の正面に立ち純星煌式武装を二振り起動させ掲げた。
「貴方が
微笑を浮かべながら此方を八幡がそっぽを向く。
「…お前が眠ってる最中に
「ふふっ…本当にお優しい人…。」
「るせぇよ…。」
◆
「あー、と言うわけで。こいつが特待転入生の天霧だ。適当に仲良くしろよ」
適当すぎる、と言うよりもおざなりな紹介にもっと手心をくれよ、と綾斗は思ったが訂正する気は配属されるクラスの担任はクイッと催促するだけだった。
自己紹介を終えると様々な視線を一身に受けていると先生が席に座れ、と催促をしてくる。
「席は…ちょうど火遊び相手の隣が空いているからそこにしろ。」
「だ、誰が火遊び相手ですか!」
先生の言葉に顔を真っ赤にして抗議するユリスの姿があった。
「お前以外に誰がいるんだよリースフェルト。朝っぱらから決闘吹っ掛けやがってよ。序列外ならまだしも《
「ぐっ…。」
そう指摘されると渋々席に着いた。
綾斗はユリスの隣に着席し言葉を交わすがプイッとそっぽを向いてしまい「ははは…」と笑うしかなかった。
その光景を見て背後の席に座っていた夜吹栄士郎という少年に話しかけられた。
「俺は夜吹英士郎、一応お前さんのルームメイトってことになるな。」
綾斗的にはこのアウェーな空気を脱することが出来る知り合いが一人でも増えることに安堵感を覚えていた。
しかし、とにかく授業が終わる度に興味津々の感情を向けられたり、冷淡な感情を向けられたりすると綾斗はすっかりと疲れ果ててしまっていた。
「はぁ~…」
「お疲れさんだな。人気者は大変だ。」
夕日が差し込む教室でぐったりとしているところを英士郎が肩を叩いてくる。
「まぁ、お陰さまで分かったことがあったけどね。」
「ほぉ?例えばどんな?」
綾斗が説明する。「人気者は俺ではなくユリスであり、ユリスと決闘した事実」だということを告げると英士郎は口笛を吹いてパチパチと手を叩く。
「ユリス本人に聞けばいいんじゃないかな。」
「それが出来れば苦労はしないさ。何せあのお姫様が心を許しているのはウチの学園の三巨頭だけだからな。あのあのお姫様は人を寄せ付けない感じがあるだろう?」
「…確かに多少取っつきにくい雰囲気があるかな。…それより英士郎『三巨頭』って?」
『三巨頭』という聞きなれない言葉に首をかしげる綾斗に英士郎は説明をしてくれた。
「ああ、その説明をしていなかったな。『三巨頭』って言うのはウチの学園、星導館学園の序列一位から三位までの《
「そうだったんだ…。」
「序列一位の《疾風刃雷》刀藤綺凛、ウチの生徒会長で序列二位《千見の盟主》クローディア・エンフィールド、そして副会長にして序列三位の《戦士王》…名護蜂也だ。この人達が『三巨頭』って呼ばれてるんだよ。」
「会長が…副会長の事は聞いていたけど…。刀藤さんが序列一位だったのか。」
人は見た目によらないとは良く言ったものだったが副会長は気だるげな雰囲気のなかにただ者でない気配を内包していたと感じていた。
「あの人はなんというか…色々規格外でな…一番ヤバイのがアスタリスク史上唯一と言って良い《
「完全適合!?いや、なんというかすごいね…。というかユリスを皆『お姫様』っていうけど渾名みたいなもんなの?」
「んあ?いいや、渾名じゃなくて正真正銘の『お姫様』なんだよ。」
その後、ユリスがリーゼルタニアの第一王女であることを知った綾斗は不敬罪で殺されないかな…と不安になったが
ふと、どうして王族である彼女がこの闘争だらけの《アスタリスク》で闘っているのかが気になった。
「理由が分からないんだよなぁ…それが分かればウチの紙面全占領なんだけど。」
「あまり人のプライベートの事に突っ込むのは良くないと思うけど。」
思わず綾斗は苦言を呈するが流石の英士郎もそこは分かっているようで
「娯楽性の無いすっぱ抜きは俺も嫌いなんでな。流石に俺も分別してるよ。」
真面目な顔で頷いた。
その後英士郎は新聞部の部長に呼び出されたのか部室棟へ走っていってしまった。
「思った以上に大変そうな学園なんだなここは…。」
一人になった綾斗は思わず呟いてしまった。
◆ ◆ ◆
「天霧君が言っていたユリスとの決闘中に『横槍を入れられた』、と有りましたけど…」
隣に座るクローディアの問いに答えられるのは生徒会室にいる俺しか居ないわけで。
「ああ、天霧が嘘を言っている様子は無かったが流石に『誰が射った』までは分からないな。まぁ、恐らくはウチの生徒による犯行だろうが…。」
生徒会の仕事をやりながら会話をしていたが、ちょうどユリスが襲われた話になった。今日のところは、と行ったところで切り上げ蜂也首を小気味良い音を鳴らし大きく伸びた。
窓の外は既に茜色に染め上げられており下校時間が近づいてきている。
「どうしましょうか?」
「どうしましょうかって…それとなく見張る感じしかないだろ。俺たちが護衛に着くようなことがあればリースフェルトのプライドが許さんし。それに…」
「それに?」
クローディアは聞き返す。
「…《星武祭》を本気で勝ち上がろうって意気込んでいる奴の邪魔をするアホは一度俺が痛い目を合わせたいからな。…まぁ、ストレス発散ってことで。」
蜂也の発言はかなり自己中心的な発言に頭を抱えるだろうがクローディアは違った。
この人は『こう言った発言、表現しか出来ない』のだと。彼の性格上、一度知り合った人間を無下に扱われることが我慢が出来ないからこその発言だ。
クスり、と笑うと蜂也は微妙な表情を浮かべているがお構いなしに蜂也に引っ付く。
数少ないクローディアの趣味であった。
「お優しいですわね、蜂也は。」
「優しくなんて無いだろ。」
「まぁ、そういうことにしておきます。」
「変な奴だなお前…」
「ふふっ…」
蜂也も最初の頃はやたらとベタベタしてくるクローディアに難色を示していたがこの数週間で諦めてしまったのか「好きにしろ」と言わんばかりの状態にまで発展していた。
「この光景を綺凛さんが見たらどう思いますかね?」
「綺凛ちゃんの事だから少しためらった後に自分から言い出せず俺が「おいで」って言ったら混ざろうとするんじゃないか?」
口を押さえて驚愕の振りをするクローディア。
「まぁ、二人一気にだなんて…大胆。」
「なんで一々そのニュアンスで言うかね…ほらそろそろ帰るぞ。」
「あん…もう少し私を味わえば良いのに。」
「アホ言ってないで帰るぞ。ったく…。」
クローディアから離れた蜂也が少ない荷物を纏める。
離れてしまった蜂也を見て少し名残惜しそうにしていたが直ぐ様出来ると思い二人で帰り支度を終えて生徒会室から退出した。
◆
「お義兄さん!」
「お、綺凛ちゃん。」
「…。」
高等部の校舎から出ると綺凛が此方を確認し駆け寄ってきた。
その姿に思わず蜂也の表情が緩むがクローディアは少し不満げな表情を浮かべている。
「クローディアさんもお仕事おつかれさまです。」
純真、というべき綺凛の生真面目さにクローディアは少しやられていたが直ぐ様挨拶を返す。
「綺凛さんは鍛練ですか?」
「は、はい。お友達と少し…。」
「真面目だな綺凛ちゃんは。」
そういって普段通りに蜂也は手を頭に乗せて綺凛の頭を撫でる。
「はぅ…えへへっ。」
何時も通りに左右にクローディアと綺凛を並べて歩く姿は星導館の学生達の間では既に見慣れた光景となってしまっているがその光景を見て当然血の涙を流し呪詛を投げ掛けて来るものもいるわけで…。
「くそ…どうして副会長ばかり…しかも綺麗処を…!!」
「《戦士王》…両手に花じゃねぇーか!!もげろ!」
「でもお似合いなんだよなぁ…チクショー!」
「これは夜のラグナロクが始まりますね…間違いない。」
その陰口を叩かれるが陰湿ではないで放っておくことにしたのだが如何せん居心地が悪い。
聞かない振りをしようにもそういった感情を拾ってしまうので微妙な表情を浮かべる他無かった。
てか、おい最後絶対下ネタだろ。
「…ふふっ。」
その会話を聞いて俺の右隣にいるクローディアが腕を絡めてくる。
火に油を注ぐんじゃないよお前は。
「っ!…えいっ!…///」
そして左側に立っている綺凛ちゃんは俺の手を握ってきた。
「俺の腕と手の自由を奪わないでくれない?」
「「そういうことじゃない!」です!」
ツッコミとギャラリーの慟哭が重なり聞こえそうになったその時。
「答えろ!ユリス!」
良い声が学園内の中庭に響いた。
聞こえてきた名前に反応し三人はその声の方向を向いた。
「あれは…リースフェルトか?」
「そしてお近くにいるのはレスター君ですね…。」
「ケンカ、ですかね…?」
リースフェルトの近くにはレスターと呼ばれた何故か上半身タンクトップの筋肉モリモリマッチョマンがおりリースフェルトと一方的な口論を繰り広げていた。(リースフェルトは相手にしていないが。)
二人の会話に耳を傾ける。
「答える義務は無いな、レスター。我々は誰もが自由に決闘する権利を持っている。」
「そうだ。当然、俺もな。」
「だからこそだ。同様に決闘を断る権利も持っている。何度お前に挑まれようともお前の決闘を断らせてもらう。」
「だから何故だ!」
「…はっきり言わなければ分からないのか?」
ため息をついて立ち上がり、真正面からレスターと向き合った。
「キリがないからだ。私は三度貴様を退けた。これ以上はいくらやっても無駄だ。」
「次は俺が勝つ!たまたままぐれが続いたぐらいで調子に乗るなよ!オレ様の実力はあんなもんじゃねぇ‼」
レスターの背後にいるやせっぽちの男と少しガタイがいい男子生徒が「そうだそうだ!」とヤジを飛ばしているがユリスは我関せずといわんばかりに
「ならば、それを証明することだな。私以外の相手でな。」
話は終わりだ、といわんばかりにその場から立ち去ろうとする。
レスターが引き留めるために言葉を掛ける。しかし、その一言は言っては知らぬとはいえ言ってはならない禁句であった。
「貴族のお姫様が『道楽』で勝負の世界には入ってきてふざけるんじゃねぇ!」
「『道楽』、だと…!?」
その発せられた言葉に立ち去ろうとしたリースフェルトは動きを止めて肩を震わせる。
レスターが肩をつかもうとした瞬間に星辰力が炎となって爆発…しなかった。
掴もうとした手をちょうどのタイミングで現れた綾斗が受け止めていた。
その光景を見て俺たちはそれぞれに反応した。
「あいつすげぇな…」「あらら…」「すごいです…」と。
「女の子に手を挙げるのはどうかと思うよ?あ、ユリス奇遇だね?どうしたのさこんなところで。」
めちゃくちゃ白々しい反応にリースフェルトは活性化させていた星辰力を抑えることには成功させていたので綾斗の行動は無駄ではなかったといえるだろうが。
「…お前、どうして此処に?」
綾斗がリースフェルトと戦った人物であることを取り巻きから知らされると憤怒の形相で握った拳を震わせていた。
「こんな小僧と戦っておいてオレとは闘えねえだと…?ふざけるな!オレはてめえを叩き潰す!どんな手を使ってもだ!」
既にレスターの目には綾斗は映っておらずリースフェルトに大きく腕を振って近づこうとする。
「なぁ、あれって止めた方が良いのか?」
「仕方がありません。副会長?お仕事ですよ?」
「このときだけ副会長呼びしやがって…いい性格してるよクローディア。はあ…。」
『我が変わろうか?主よ。』
『頼むわ…。』
脳内で会話し《
「行くか…」
そういって俺は争いの渦中へと踏み出した。
◆
「ちょ、ちょっとレスターさん、落ち着いてください…流石に此処じゃ、…っ!?」
まずいですよ、と痩せぎすの男子生徒が告げようとした瞬間その場が威圧感で支配された。
「!?」
「これは…いったい?」
「なんだ…?」
言い争っていた綾斗達はその方向を振り向くといつの間にかその空間一人の男子生徒が向かってきている。
「そこまでにしておくのだな《
静かな声であったがその争いを鎮めるのには十分な威圧感と言霊が響き渡る。
姿を視認したレスター達は苦虫と驚愕を浮かべている。
「ちっ…蜂也…!」
「せ、《戦士王》…。」
「ひぃっ!?」
「副会長…?(雰囲気が違う…?)」
綾斗は早朝に出会った蜂也の印象が大きく変わっていたことに驚いてた。
「蜂也。」
ユリスは面倒ごとが終わるとホッとしている。
「そこまで闘争を求めるのなら当方が相手をしよう。…貴殿のガス抜きにはちょうど良かろう。」
星辰力を敢えて活性化させて体からパチリ、と紫電が迸る。
蜂也が胸の校章に触れようとした瞬間、レスターは踵を返しながら吐き捨てて帰っていく。
「オレは諦めねぇぞ…!必ずてめぇに俺の実力を認めさせてやるぞリースフェルト…!」
残された取り巻きは慌ててレスターの後を追いかけてその空間は平和になった。
「はぁ…やれやれだ。」
ユリスは再び長椅子に優雅に座り込んだ。
「あはは…余計なお世話だったかな…というよりも副会長も見ていたのなら最初から止めに入ってくださいよ。」
「いや、当方が止めに入らぬとも貴殿が駆けつけてリースフェルト嬢を救うのは目に見えておったのでな…勇敢な少年の行動を無下にするわけには行かなかったのだ。許せ。」
リースフェルトが俺に悪態をつく。
「全く…蜂也がもう少し早く現れればもう少し早く終わったものの…。」
「当方が現れなくとも天霧殿がどうにかしていただろう。そうであろう?……あ~しんどい。」
会話をしている俺とリースフェルトを見て困惑していた。
「(え、この人は二重人格なのか?)まぁ、見て見ぬふりは出来なかったというか…。」
「そうか…。まぁ、あまり問題を起こしてくれるなよリースフェルト。」
「そ、そんなことはしない!なんだと思っているのだお前は?」
「いきなり決闘を吹っ掛けてきて負ける奴が良く言うよ本当に。」
「ぐっ…!言い返せない…!」
綾斗はそんな光景を見て「兄妹みたいだ…」と思ったが口には出さなかったが。
「(それにしても星辰力が一瞬膨れ上がりそうになっていたけど…その事はまぁ後は天霧に任せるか。)んん!余り遅くならないように寮に帰れよ?じゃあな。」
そういって俺は待たせている二人の元に戻ることにした。
◆
「自由な人なんだね副会長って…。」
「…まぁ、それがあいつなのだが。」
長椅子に座るユリスに対して綾斗は質問を掛けた。
「ユリスはどうしてこんな危険なところで闘争に身を投じているの?」
「なに?」
「聞いたよ、お姫様なんでしょ?」
「確かに私はリーゼルタニア第一王女だ。だがそれがなんだと言うのだ。此処にいるの者は少なからず望みがあって、何かを掴むために闘っている。肩書きも役職も関係がない。」
静かな言葉ではあったがそれは確かなる確固たる意思が内包されていた。
「それってユリスがさっきレスターに言われたことと関係がある?」
自分でも踏み込んだことを聞いているなと綾斗は思ったがユリスはすんなりと答えてくれた。
「…お金だ。」
「え…?」
「私にはお金が必要なのだ、手っ取り早く稼ぐには此処で闘うのが一番だからな。」
「だからレスターの言葉に怒ったのか。」
「ふっ…軽蔑したか?」
自らの望みを語るユリスは自嘲した。
しかし綾斗の反応は想像していたものとは違っていた。
そして驚くことを発言すると思わず目が点になってしまった。
「うーん…そうかな。人の望みは人それぞれだしね。軽蔑するほどじゃないでしょ。まぁお姫様が「自分で稼いだ自由に使えるお金」って言うのが気になるけどね…なにで使うのかが気になるけどそこはプライベートの部分だし。慈善活動?かな自国の孤児院への寄付とか?」
「な!?ど、どうしてその事を…?」
「あ、やっぱり?結構当てずっぽうだったんだけどね。」
「…。」
「お姫様であるエリスが金銭を望むのは「自分で使用できる金銭がない」ってことに繋がるからね。必然的に使用される場所はそういった場所に…って推理だったんだ。」
「お前の推察力が恐ろしくなってきたぞ私は。」
「ははっ、まぁ昔から勘はいい、って姉さんから言われていたから。」
此処で謎が一つ溶けたのだが謎が一つ浮上することになる。
「そういえばエリスって
「うぐっ…」
いたいところをつかれて言葉に窮するエリスと綾斗は会話を続けていた。
『なんかムカついて来たわ…帰ろ。』
いちゃついている、といっても過言ではなくその会話を認識阻害の魔法を掛けて聞いている蜂也に気がついておらず、その光景を見て聞いた蜂也はため息をついて改めてクローディア達の元に戻っていった。
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「大丈夫ですかお義兄さん?」
「ああ、大丈夫だよ。」
「それは二重の意味で、ですか?」
クローディアの問いかけに俺は頷く。
「ああ、リースフェルトと天霧とならいいタッグになれるだろ。」
「それならば良かったです。しかし、
「アイツらならすぐくっつくだろほれ。」
「?なるほど…。」
「リースフェルトさんが笑ってますね…。」
視線の先には何かの言葉を交わしているのだろう。リースフェルトが笑みを浮かべたと思えば赤面し天霧に食って掛かっている。
微笑ましい光景にクローディアと綺凛は笑みを浮かべた。
「…その前に襲撃者を見つけねぇとな。」
蜂也の呟きはクローディアと綺凛には聞こえなかった。