俺の中で学校に通う醍醐味は放課後の部活でバスケをする事だった。
『よっす…て、お前またパンダあんまん食ってんのか!?』
『悪いかよ』
『好きだなぁ?いつかパンダなるんじゃね?』
『うっさいわ』
『悪いって、今度パンダあんまん奢ってやっから許せ!』
気のいい部活仲間としょうもない会話でさえ楽しかった。
『墨田!』
『はい!』
先輩から繋がれるパスを受け取りシュートを決める。
ポスッ
『流石だな!今回の大会もお前がいれば優勝できるかもな!』
『かもじゃなくて…やってやりましょう!先輩今年までだから1回は優勝しないと』
『おう!身体壊すんじゃねぇぞ!』
夏の大会で活躍できる。調子も良くてパスもシュートも上手くいく。先輩達も期待してくれている。だから_______
『お前まだ上がんないのかよ…?』
『あぁ、もう少し練習して帰る』
『先輩達からの期待すごいもんなぁ…あんまり頑張り過ぎんなよ?』
『無理はしない。大会で使えなかったら意味ないし』
『そうかよ。ほら、水分ぐらい取れ』
『サンキュー』
『おう、じゃあな!』
『おー!お疲れ!』
部活生が帰った後も何本も何本も練習して、何処からでも確実にキメられるように努力した。
『墨田ー、そろそろ学校閉まるぞー』
顧問が呼びに来るまで部活のある日は毎日それを続けていた。
_______努力を直向きに続け結果を実らせたい。
白くクリーンな願いと夢
不幸は突然向こうからやってくる。
『残念ながら……将来のことを考えると激しい運動はオススメできません』
『え……?』
『将来、車椅子での生活を余儀なくされる可能性が非常に高い状況です。バスケットボールは正直続ける事は医師としてはやって頂きたくないのが本音です』
医者から将来の事を言われ両親は俺からバスケを取り上げた。
『墨田……』
『災難だったな…』
放課後、最後にバスケ部に顔を出しに行った。先輩も同級生も友人も皆が心配してくれる中俺はもう一生バスケをすることが出来ない絶望から出る事はできなかった。
『…なんで俺だけ……なんで……!』
『おいおい、大丈夫か?ほら、パンダあんまん』
『いらねぇよッッッ!!』
『あぁ!?おい、パンダちゃんぐちゃぐちゃだぞ!可愛い顔を厳選してやったのに!?』
『……悪い』
『いいって。俺はお前じゃないから分かってやれねぇけど、友達は友達だろ?』
いつしか俺だけ不幸になった事が許せないようになって、あんなに中の良かった友人でさえも跳ね返してしまうようになった。
『屋上行ってくる…』
『おう、空気吸って来い』
昼休みが終わる間際で誰も居ない屋上。俺の心とは反対に雲1つなく気持ちよさげに晴れ渡る空にさえ怒りが沸いてくる。
他人の幸せを妬み壊したくなる。体に染み込んでいく黒い心の涙_______
『墨田奏斗様!』
『おめでとうございます!厳選なる審査の結果、貴方は選ばれました!』
『……は?』
『今日から貴方は仮面ライダーです!』
突然現れた女から箱を渡され、開ければドライバー。
『……パンダ…』
自分の心を現すような白と黒のパンダのIDコア。
『俺にどうしろと…』
『そのドライバーとIDコアはデザイアグランプリのゲームへの参加券になります!最後まで勝ち抜くと貴方の叶えたい理想の世界を叶えられます!』
ニッコリ笑う女はそれだけを言って消えた。
『何でも…願いが……』
ゲームに勝てば…またバスケができる生活に戻れる_______
だけどそう思ったのもつかの間。
教室のドアを開けようと手をかけたが、友人の声が刺さってきた。
『あいつ、大会前に体壊しやがってさ…絶対勝てねぇわ…まじ許さねぇ』
『でももうあいつ、バスケどころが運動自体出来ないらしいぞ?』
『まじか、終わってんな!バスケ以外取り得ないだろうに』
『ご愁傷さまぁー!』
最初は耳を疑った。友人が主体で取り巻きが更に信じられない事を言っていた。
『…どいつも…こいつも……』
“滅べばいい…こんな奴ら”
俺の理想の世界は
〈人類が滅んだ世界〉
『皆…滅べばいい』
顔を上げれば、あのネオンTVの鞍馬祢音を見つけた。何でも手に入る金持ちがいる事にまた更に怒りが沸く。俺が参加している間にあの女は潰す。ルールを聞けば命懸けのデスゲーム。願いが叶わなくても幸せを感じてる奴さえ俺の前から消えればそれでいい。
こうしてデザイアグランプリは始まり、2回戦で油断して嚙まれて。幸いにもあの女は簡単に人を信じた。どうせ終わりならこの女だけは道連れにする。何がなんでも…
IDコアはプレイヤーの性格や本質に関連付けられ、色やビーストが決まる。ゲームによって強制脱落となると運営に保管される。一度壊れると二度と仮面ライダーになることはできない。