孤高と孤独。潰すというその真意とは。   作:しるゔぁ

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僅かな休日

 

第3ウェーブまでには時間がある事から私服に着替えて更衣室からできたところをナズナは道長に捕まった。かなり不機嫌な様子で壁にうっかかり待っていたようで掴む手には力が入ってくる。

 

『…おい、ナズナ』

 

『何』

 

『どういう事だ。殆どスコア変わってないだろ』

 

スパイダーフォンのランキングを見せればナズナは3位に落ちていた。

 

『私が脱落する事はない』

 

『は…?説明になってないだろ』

 

『ダパーンが改心することはない。アタシは別にこの回にかけてない。バックル取り返す事に必死な道長とは違ってね』

 

『……』

 

『稼げなくなるのは道長だって困るでしょ。アタシは第3ウェーブで程々にやる。このバックルも意外と身体が疲れて人間型でいるのが辛いから』

 

道長をおいてラウンジに入っていく。これまで、大概ナズナの行動は今後の結果に大きく関わってきていた。それを考えれば今回も脱落は無いだろうとわかってはいるものの、心配する心はちゃんと持っている。

 

 

『デザグラの記憶が消えればまたお前は透を探し出すだろ…』

 

_______ナズナを…頼んだぞ…道長

 

 

『ッッチ』

 


 

 

『またそれ、飲んでるんだね』

 

『ん……ナーゴも飲む?』

 

『今日は……やめとこう、かな……』

 

椅子に座るも息が少し荒く飲み物を手に取り口につけるもグラスが手から滑り落ちる。

 

『おっと……』

 

グラスを床すれすれでキャッチし、椅子から落ちそうになる祢音をもう片方の手で支える。息がかなり荒く身体を起こすことさえ辛い様子。

 

『祢音ちゃん…!?』

 

景和が異変に気づき近づけば噛まれた傷を目の当たりにして少し後ずさる。

 

『おいおい…その子も噛まれてじゃんないかよー!何で何も言わない!?』

 

声を荒げて黄金屋はナズナを指差す。

 

『うるさいなぁ…あんた達はスコア稼ぐ事だけ考えていればいい』

 

『でも噛まれたら俺達だって感染するんだぞ!?』

 

『黙るって事できないの?羊の肉は美味いって言うけど食べたこと無いから…。丁度いい羊がいるんだけど、食われたい?』

 

狼型になり少し威嚇すれば怯む黄金屋。騙せるにはもってこいの姿でもあるよう。

 

『なんでみんな次から次へと辛い思いをしないと行けないんだよ…』

 

『それだけのリスクを背負ってでも叶えたい願いがあるんだろ』

 

いつの間にか来ていた道長がそう口にする。

 

『命よりも大切な願いがあるんですか!?』

 

『あるから戦ってるんでしょうが。金だってなんだって叶うんだ。なんだってするさ』

 

黄金屋も何でも叶うならとそういう。

 

『願いが叶うのはあくまでも努力に対する対価に過ぎない。参加者のおかげで世界は守られている。幾度悲劇が起きようと世界はやり直されてきた。犠牲になった人たちの分も戦い抜くしかない』

 

最も参加歴の長い英寿の言う事は重みを放つ。

 

『それでも俺は簡単には割り切れない…』

 

『その優しい心はこの世界には不向き。消えたくないなら自分の願いを優先しなよ、タイクーン』

 

狼型から獣人型になっていたナズナが口を開く。身体が重いのか人間型にならずそのままカウンターに座る。

 

『第3ウェーブまで時間が空く事が予想されます。ご自宅にお戻りになられるのも自由ですよ』

 

その言葉に祢音は噛まれた傷を隠しながらラウンジを出ていった。

 

『……祢音…

 

『ナズナ。ナーゴに関わるなとは言わないが用心しとけよ』

 

『…!分かってる』

 

ナズナはフローズングリーンティーを一気に飲み干しラウンジを出ていった。

 

『お前がヴォルクを自由にさせるとは珍しいこともあるんだな』

 

『何が言いたい…』

 

『いいや?ただ珍しいと思ったから言っただけだ』

 

『ふん…あいつにだって友人は必要だ』

 

『……友人…』

 

道長の手には狼型の時に付いている首輪の鎖。それを外すと言うことは狼型でも獣人型でも自由に外出させる事になるのだ。道長はあまり外す事がなかった為英寿は驚いたのだろう。

 

 




ビーストバックルの所有者の特有な姿は日常生活でも変わることが無いため1人のプレイヤー、もしくは運営側とゲームが終了または脱落となるまで共同生活となる。
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