孤高と孤独。潰すというその真意とは。   作:しるゔぁ

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最善。それが成功に繋がる選択。

 

 

壁にもたれスパイダーフォンで成績表を見れば自分の名前の上に浮世英寿の文字。何故ウォーターバックルで自分よりスコアを稼げたのか、なぜ自分が負けたのか。静かな通路で考えていた。

 

 

『道長』

 

 

顔を上げれば人間型に戻っているナズナ。あちこちにはねる髪を整えながら道長に歩み寄る。

 

『……なんだその頭…』

 

『ナーゴに散々撫で回されてぐしゃぐしゃになった』

 

『ふっ…』

 

『はぁ…それで?宝探しゲームでブーストバックル引いておいて…使わずにギーツに負けたの?』

 

『使い時じゃなかっただけだ』

 

『勝負なんてしなけりゃね…。まぁ過ぎたことは仕方ないけど。そのバックルで勝機はあるの?』

 

『……ギーツに負け続けてたまるか』

 

少しの沈黙のあとナズナがため息をつく。僅かな足音と人間の匂いはバックルの効果で嫌でもわかってしまう。

 

『……盗み聞きは良くないよ、ダパーン』

 

ナズナがそういえば廊下の死角から奏斗が出てくる。

 

『お前…いつから!』

 

『別に盗み聞きしてたつもりはないよ。席、外してくれない?用があるのはそっちの先輩なんだけど』

 

『……余計な真似はしないようにね』

 

ジャマトに集られていたのを見掛けたことで、ラウンジに戻ってからずっと墨田の動きを祢音に撫で回されながら見ていたのだ。話を持ちかけてくるのを待っていたかのようにすんなり席を外す。

 

『どうせ…もう終わりだ』

 

『楽しみにしてるよ、どんな最期(ラスト)を飾るのか』

 

そう言い残してラウンジにナズナはラウンジに戻っていった。

 

『…ッチ』

 

『で、何のようだ』

 

『僕と手を組まない?これ、貸してあげてもいいんだけど』

 

奏斗の手にはマグナムバックル。ゾンビバックルを取られたばかりの道長はそれに眩む。

 

『はっ……何が望みだ』

 


 

 

ナズナがラウンジに戻れば祢音がタブレットを操作しながらファッションショーをしていた。それを横目にカウンターに座る。

 

『ギロリ…いつもの』

 

『かしこまりました』

 

『あ、ギロリさん!ナズナさんが飲んでるのってタブレットに載ってない…ですよね?』

 

『えぇ。蒼月様がご自分の好きな物をブレンド、カスタマイズしたドリンクになります』

 

私も飲みたいと言う祢音に少々困り気味のギロリ。

 

『別にいいよ。アタシのマネーから2杯分取ってくれて』

 

『かしこまりました。お作りいたしますので少々お待ちください』

 

『えっ…』

 

『カスタム品は他人に譲渡できないから。親に雁字搦め(がんじがらめ)のお嬢様なら奢ってもらうって事も初体験、だったりして』

 

『奢ってもらう…』

 

『プレゼント、とでも思っていればいいよ。……ファッションショー終わったなら、座れば?』

 

少し待てばカウンターテーブルにドリンクを2つ乗せてくれる。ナーゴとヴォルクのヘッドがプリントされたクッキー付きで。

 

『珍しい事もするんだ』

 

『はい。久しぶりにクッキーを焼いてみたのですが気合を入れ過ぎて作り過ぎてしまって…。ドリンクのお供によろしければと』

 

『かわいい〜!ふふ、いただきま〜す!』

 

ドリンクとクッキーを楽しむ祢音に英寿が祢音の理想に違和感があったのか聞き直してきた。

 

『ナーゴ、お前が望んでるのは本当に恋か?それとも…』

 

 

『秘密』

 

 

恐らく違うのだろう。英寿の言葉に祢音の表情が暗くなりドリンクを置く。

 

『祢音ちゃんの家相当掟厳しいからな…まぁでも諦めなければ君の願いはいつか叶うよ』

 

景和が発したことに祢音は少しムッとする。

 

『気持ちだけでなんとかなるって、本気で思ってるの?』

 

『え…それは…』

 

『命をかけても叶えたい願いがあるからゲーム参加する。プレイヤーはみんなそうだと思うけど?』

 

話が一段落ついたところでカウンターのアンティークなデザインの電話が鳴り響きギロリが手に取る。

 

『……第2ウェーブのジャマトが現れました』

 




ラウンジではプレイヤーのカスタムに応じてドリンクやフードの作成が可能であるがカスタム品他のプレイヤーが注文する事は出来ない。ただし
カスタムを作成したプレイヤーが注文したものを譲渡する事は可能である。
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