邪教徒の平穏な日常   作:kohet(旧名コヘヘ)

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神と人間、ついでに神と神

 

今際望はシュブ=ニグラスの狂信者にして、電脳化によって人類の不死化を目指すマッドサイエンティストである。

 

豊穣の神であるシュブ=ニグラスに喧嘩を売っているような思想であり、異端も異端だが信仰心の高さはかの神も認めるところである。

 

 

反面、電脳化は手段であり、それ以外の手法が可能ならば取り入れる柔軟さもあった。

 

過去の技術である魔術や錬金術といった知識であるオカルト57、歴史47,クトゥルフ神話15がそれを表していた。

 

そもそもシュブ=ニグラスを信仰している時点で滅茶苦茶であり、娘である豊穣実は信仰すら手段なのではないかと思っていることもあるが、余程のことがない限り狂信者である。

 

 

そんな望は先日『キングスポートユーズド』というカビ臭い本屋でホルト船長という人物の手記を購入していた。

 

東南アジアの魔術に関しての内容が主であり、望はオカルト57で違和感を持ちクトゥルフ神話15で『自己保護の創造』という魔術儀式を発見した。

 

自分の爪等の体の一部を入れた袋を数日身につけ毎日呪文を唱え、最終日に魔力POWを日付分入れると老化のスピードが遅くなるらしい。

 

反面、袋に何かあればPOWとCONが失われ、一気に老化するという。

 

 

望は自己保護の創造に関して、微妙に惜しいと感じた。

 

望の研究は人類等が対象であり、人によってPOWが違う点が問題だった。

 

はっきりと才能による優劣が存在するのは、科学者に分類される望的には論外であった。

 

とはいえ、一応試してみることにした。アドゥムブラリとの戦闘で自身のPOWは増えていたし、CON15あるので最悪失敗しても問題ないと思った。

 

望はCON10まで減った際にも生活に支障はなかった。…不定の狂気という問題はあったが。

 

 

望は3日で3POWと3正気度を支払い自己保護の創造を使用した。

 

望にとってお金より高いお守りの完成である。今際望はPOW32、正気度66となった。

 

魔法の使用後、透視で自分を観察すると魔術的な保護が発生していた。

 

いくつかの検証の結果、お守りを身につけていると装甲3、外していると装甲2の保護が付与されていた。

 

望が普段身につけている皮のジャージ等(装甲1)を考えると普通の人間相手ならこぶし(ダメージ1D3)で余程のことがない限りダメージは発生しないことになる。

 

破壊されない限りは永続すると思われる。望はお守りの保管に悩んだ。

 

「あら?私にとっては誤差だけど今の人間にしては長生きできそうね」

実が自己保護の創造を感じ取って望へいった。実は生と死、豊穣等の神である。

 

三分の一の老化速度になっているのを看破した。三年で一年の老化だ。

 

遠い未来に人類は滅びる運命にあると知っている実からすれば無駄な足掻きであり、実に愚かな人間に見えて滑稽だった。

 

 

「豊穣さん、これって供物に分類されますか?」

望は自分の魂の分霊みたいな物である自己保護のお守りを実に献上した。

 

人間的な感性からすれば自分の爪や髪の毛の入ったお守りを渡すのはどうかとも思ったが、POW3含んでいるしなど望は考えていた。

 

「…」

実は望の行為が理解できず、一瞬固まった。

 

壊すだけで望のCON3が永久に失われ、100年後に壊せば一瞬で老化しほぼ即死するアーティファクトである。

 

信仰している父にして母であるシュブ=ニグラスならともかく自分はその娘であるが、娘でしかない。

 

「先日はご迷惑をおかけし、恩に返せるような他にできることも思いつかず…」

望は狂信者である。それに加えて死ぬ覚悟で常に望んでいる者である。

 

神がその気になれば人類は、神でなくとも自然の摂理で滅ぶことを十分理解した上で研究をしている探索者である。

 

望は不定の狂気を治癒して貰い、実へ恩義を感じていた。

 

ならば生殺与奪の一端くらいは豊穣実へ献上すべきだと考えていた。何なら捨ててもらっても構わない。

 

 

「髪の毛や爪の入った袋を渡されて喜ぶ人間はいないでしょうね」

豊穣実は望の思考を魔法で読み取り適当に献上品を受け取った。

 

そして、望が頭を下げ自身を見ていない隙に対象が自分の『延長』をかけた。

 

自然の理を支配できる実にとってこんな品よりも自分がいつでも管理できる方が都合が良い。

 

あまりにも年を取らないことに焦り、献上したはずの自己保護の創造を破壊し、それでも死なないことで今度こそ狂気に陥るのも良い。

 

…問題は望が母にして父の信者であることだ。豊穣実は考えなしに事実上の不老不死にしてしまった事実に焦った。尊敬する親の怒りを買わないかと神らしからぬ不安で仕方がなかった。

 

 

ニャ…黒子さんはこの光景を大爆笑して覗き見していた。実に背徳的なアプローチであるとシュブ=ニグラスに教えてやろうと思い、即実行することにした。

 

 

シュブ=ニグラスは糞ウザい奴が糞ウザいと感じて取り敢えず叩き潰した。

 

信徒が娘に感謝の意で捧げ物をして、それに答えた程度で何か反応すると思われた方が腹立たしい。

 

ニャルラトホテプはシュブ=ニグラスに5、6回殺されて大人しく帰った。

 

 

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魔術解説

・自己保護の創造

簡単に言えばPOW消費した分だけ老化速度が低下するお守りを作成できる呪文。

確認できる限り、この呪文を使用したホルト船長は125歳時も元気な老人である。

5POWなら5年に1年分年をとる。更に身につけていると付与したPOW分だけ守りの加護、保管場所が離れていてもその半分(小数点切り上げ)の値の加護が常時展開される。

ただし、創造の際の袋が破壊されると一気にその分年を取り、CONも込められたPOWと同じ値減る。

 

日本にもいるカルト教団だと銀の黄昏教団の幹部相当が使用していたりする。

なお、望の献上したお守りは実が異空間にしまっている。

 

・延長

太古の生き物を召喚して老化を肩代わりしてもらう呪文。

寿命による死がなくなるが、死んだ場合使い手を太古の生き物の次元に連れて行く。

 

今回、豊穣実は太古の生物ではなく自分を対象にした。

故に『NTR、NTR!』と黒子さんが嬉々として報告しに行った。何度も叩き潰された。

 

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登場人物

今際望

取り敢えず自己保護の創造を使用してみたが、自分だけが不死になっても意味がない上に個人差がある魔術は研究の方向性とは相反するかもしれないと思った。

それよりも実への恩(不定の狂気からの回復及びその間のやり取り)があったので自分の魂の一端ではあるので献上することにした。

人間的感性からすればどうかと思ったが、神であるので価値観も違うだろうという判断。

装甲2が常時展開されている状態になった。

 

豊穣実

自分を利用しているのかと思い望の脳内を覗いたらガチで献上品だったのでデレた。

…こいつ自分の信者でないやんと焦っている。なお、自分の信者に同じことされたらその場でポイ捨てしている。

完全に自分の物判定で行ったので、シュブ=ニグラスの裁定待ちである。

シュブ=ニグラスからはニャルウザいとだけ返事が来た。

 

黒子さん

他人の恋路?に口を挟んだら何度も踏み殺された神。

お遊びなのでガチバトルはしない。今回は反応が面白かった。

 

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