邪教徒の平穏な日常   作:kohet(旧名コヘヘ)

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奇妙なタイムトラベラー達

今際望は時空間転移を何度か経験した探索者であり、狂信者である。

 

個人で日々研究をしているが、神話的事件等で得た人脈を中心に仕事を引き受けるコンピュータエンジニアであり、個人事業主である。

 

 

そんな望の下に奇妙な依頼人がやってきていた。

 

望が知らない、正確には現在の望が知らない大学生くらいの青年二人であった。

 

 

「…確かに私が『ワールドオブファイター』の開発に携わっているのはまだ関係者しか知り得ない情報だ」

望は目の前の青年二人が未来人、かつその証拠として話した内容を纏めた。

 

ガタイが良い(SIZ18)若干イケメン(APP13)、望と同じくらいの背丈(SIZ16)の同様の容姿(APP12)の青年である。以下、A男とB男と称する。

 

 

望は二人の名前をあえて聞いていない。未来に影響があると考えたからだ。

 

そして、豊穣実は二人が来る前に出かけていた。

 

まだ未来で自分とこの二人がどういう関係なのか把握していない。

 

容姿が変わらない実がいて何か反応があったらヒプノーシスで記憶を改ざんしないといけなかった。

 

「信じてくれるんですか!?」

B男は心理学70に成功し、望が信じてくれたことを確信した。

 

これまで行く先々での経験からするとあっさりし過ぎているが、メンタルが削れる体験をしてきたB男は感極まっていた。

 

 

「…俺たちがどこの誰で何なのかわからないのに何故?」

A男はINT17だが、B男のように心理学もない。故に疑問の方が強かった。

 

 

「まず私の仮説を聞いてもらいたい。君たちは随分焦燥しているようだから」

望は二人が未来のことを中々話せないように感じた。

 

 

「ゲームの話から切り出してきた。私の未来でのことや身内のことではない切り口」

望は二人が切り出してきた話題を上げた。

 

現在制作完了間際の売り出してもいないゲームの話題である。

 

それを持ち出してきた辺り何か色々既に何かあったと推理した。

 

 

「社外秘だが調べられないわけではない。関係者から粘り強く聞き込みをすればわかるだろう。だが、二人ともそういう職業にはみえない」

望は二人の容姿等から考えて大体大学生程度であると判断した。

望はゲーム作成に関わったスタッフの一人でしかない。

 

これで未来の証明とは流石に滑稽過ぎたが、嘘は言っていないのを心理学とついでに透視で確認した。

 

「未来で公演か授業かわからないが、ゲームのことを雑談にしたのだろう」

望は自分が優れたコンピュータ技術者だと知っていた。

そして、この二人とは未来で縁が薄いのだろうとも思った。現在の、彼らからみて過去の望にとってはあまりにも些細な未来であった。

 

「はい」

B男が頷き、A男が慌てた素振りをみせた。望は確信した。

 

「今の反応で確信した。君たちが動く度に未来が代わり、それを認識できているのは二人だけ」

望は結論を先に出すことにした。

 

「関係性が深い者に頼った結果、未来が変化した。…例えば持ち物にある写真や服装とか?」

望は二人に尋ねた。未来がいつなのかはわからないが最大でも十年くらいだと思っている。

 

 

「…」

二人は沈黙した。些細な発言で勘づく望が未来に及ぼす影響を考え、肯定も否定もできない。

 

携帯端末にある写真が覚えのないものに、所属する大学まで変化しそうになったこともあった。

 

 

「君たちが何年後から過去である今へ来たのかはわからないが、最大でも十数年だと思っている。…私を私だと確信している振る舞いだった」

望は二人を心理学で様子見しながら言った。

 

なお、望は不老不死に等しい状態になっているのを知らない。微妙に誤った確信をしている。

 

「…」

二人は本当に何を話しても未来が改変されそうなので沈黙することにした。

 

だが、望は心理学でおおよそ合っていることを看破した。

 

望は知らないが二人は十年後の未来で両義大学の生徒であり、授業で外部講師として招かれた望を数回見た程度の関係である。

 

だが、自分たちがハマっているゲーム開発に関わっていたと言っていたのを覚えていた。

 

「はぁ…喋ってくれないとわからない」

望は二人があまりにも無口になったので改変された未来がトラウマなのだろうと思った。

 

実際は望の推測が全部合っているのでどう切り出しても未来に影響しそうで怖くなっただけである。

 

「…時間移動したときに光るものを見たとか、門があったとかないかな?」

望は自身が知る他の次元に干渉する存在、『門の創造』という魔法をもとに尋ねた。

 

 

望は『時空門の創造』という存在を知らないが、ヘレナ・ノートンからそのような存在を聞いていた。

 

一度開かれたら同時間軸に固定される門であり、未来と過去は同時間で流れる。

 

A男とB男が未来改変を実感できたのは『時空門の創造』(仮)しかなさそうだった。

 

 

「そういえば…」

B男は望の発言を反芻し、似た経験があったのを思い出して話始めた。

 

B男はINT13とそれなりに賢いが、A男のようにINT17まではいかない。

 

A男は望がそのような経験をしたことがあると脳裏を過り、正気度喪失が発生した。

 

故に、一時的とはいえB男の話を遮るようなことはしなかった。そして、今回はB男の対応が正しかった。

 

 

望は実へ書き置きを残し、新幹線等を乗り継いでとある田舎までやってきていた。

 

望は透視を使い周囲を見渡して山道を登った。

 

 

「この辺で突然風景が変わったんです」

B男は望に未来から過去に来た場所、おおよそしかわからないが、を話した。

 

望は不味いと思ったらA男に話を遮れと言っている。

 

ある程度は事情を話してくれないと流石に望でもわからない。

 

A男はINT17と高すぎるが故にどれを話すにも不安になってしまっていた。

 

 

しかし、B男が余計なことを話かねない危うさがある。ストッパー役をやれと望が指定した。

 

実際、精神分析を兼ねた説得で役割があるという安心がA男の精神を安定させていた。

 

A男は望が及ぼす未来への影響を心配して何度も携帯端末を見返していた。

 

 

「大体わかった」

望は透視で魔力の痕を発見した。望が知らない門の創造、『時空門の創造』だった。

 

望は門の観察を使えないので門の先が本当に未来であるという確証はできない。

 

だが、二人の少ない証言を当てにするとこの門しかなかった。

 

 

「いいかい?恐らくだが、この先に未来の私がいる」

望は二人に向き直り断言した。

十年と少し未来からやってきたことは二人から聞き出していた。

 

正確な日付と時間がこの奇妙なタイムトラベルには必須だった。

 

「未来の私は君たちが出てきたら門を壊すはずだ。今の時刻は…」

望は未来への干渉を最低限にすべく、端的な説明で二人に未来の日付と時刻を確認させた。

 

 

未来人はその後、起動した門を通ってその先へ向かっていった。

 

そして、数十分後に門が破壊されたのを過去の望は透視で確認した。

 

 

「…未来の私は安全に時空間転移の門を壊せるのか、もしかしたら別の時空に飛ばされたか」

望は現在の自分にはない技術、時空門を安全に破壊できる術を未来の自分が持っているのを認識した。

 

最も、それは仮定でしかなく、託された第三者か或いは神話生物なのかはっきり断言できるものではなかった。

 

 

 

 

十年後、過去とは打って変わって発達した都市がA男、数下雅成とB男、今川治明を出迎えた。

 

 

「…想像以上に接点がない男を尋ねたんだな、君たちは」

 

時空門から出てきた二人を出迎えた誰かはそう言い、過去から戻ってきた二人を出迎えた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

登場人物

・A男、数下雅成(23歳、現代13歳)

STR12 CON9 POW10 DEX12

APP13 SIZ18 INT17 EDU16

機械修理70 コンピュータ50 物理学50

電気修理60 電子工学50 英語50

 

・B男、今川治明(20歳、現代10歳)

STR11 CON13 POW15 DEX10

APP12 SIZ16 INT13 EDU14

心理学70 図書館60 歴史60

人類学40 考古学40 英語30

 

解説:二人は中の良い先輩後輩の関係であり、分野が違うが交流があった。

 ゲーム『ワールドオブファイター』にハマっており、それに関する話題で仲良くなった。

 大学に現在(10年後)元制作陣がいるという話は知っていたが、何だか畏れ多くて近づけないファン心理的なものが働いていた。

 街を歩いているとフードを被った明らかに人間と異なる星形の影を見つけ、好奇心から追いかけてしまった。

 (正体は未来世界の地球を観察し終えた何者かであり、影の隠蔽を少し間違えた)

 時空門の創造に巻き込まれ、街が森となったように見えた。今川の歴史と知識で過去の街は森だったこと、携帯端末が使用不能であることから過去であると悟った。

 最初は未来知識でチートしようとしたが、携帯端末から推測観測できる未来がドンドン不穏な物に変化していった。

 (未来知識を使えば使うほど、神話的事情を知るものから目をつけられる)

 慌てて頼りになりそうな人を頼るも、不審者扱いや信じてくれてもそれはそれでガラリと未来が変わるのを何度も体験した。

 仕方がなく自分達と関係性が薄い誰かを頼ろうと真っ先に出てきたのが、好きなゲームと関係のあった今際望であった。

 未来端末を数下雅成が改造し、現在の住居をある程度までは特定できた。そこに訝しんだ望が声をかけてきた。

 

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