邪教徒の平穏な日常   作:kohet(旧名コヘヘ)

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マッドサイエンティストとマッドサイエンティスト

 

その日、両義大学病院の一区画、後にオカルト染みた噂となるバイオテロ未遂事件が起きた。

 

非番の自衛隊員が冒涜的な研究を行う女医師の所行を暴き、バイオテロを未然に防いだ。

 

幾人もの人間がゾンビを見たと証言した。しかし、調査の時には死体すらなかった。

 

現場に遺された大量の塵から人間のDNAが検出され、犯人逮捕の決め手となった。

 

ネットのオカルト板では本物のゾンビが日光を浴びて気化したのでは等と話題になった。

 

 

海導守は海上自衛隊の一員である。祖国の安全を守る組織の人間として訓練に励んでいた。

 

その自負の証明が正気度85であり、死者の軍隊を見て発狂せずに済んだ。

 

正気度減少は成功で1、失敗で1D8+1である。病院にいた民間人の多数が発狂した。

 

守は正気度減少が1で済み、患者達の避難を声を張り、他の者達へ指示することができた。

 

 

「…私の偉大な研究を邪魔する奴らは皆殺しだぁ!!」

守の誘導や他の民間人の精神分析で目撃者に逃げられた。

 

だが、一団となって逃げている。狂気じみた事件の元凶は狂人の洞察力で看破した。

 

本庄エレナは術式でゾンビ達に命令した。時間を稼ぐために目の前の男を誘導することにした。

 

 

エレナはこの男が一番リーダー適正があると見抜いた。

 

故に最初に殺すことでパニックになった有象無象はどうとでもなるという判断である。

 

 

「病院は封鎖し、『異常な天気』で擬似的な電磁パルスを起こした。これが何を意味するかわかるかなぁ?」

本庄エレナは目の前の筋肉ダルマ(守)に丁寧に状況を説明することにした。

 

エレナの奥の手である呪文『異常な天気』は雷を呼び起こすものである。

 

コントロールはできないが大規模な雷を落とすことは可能であり、病院外部との連絡手段を破壊するものだった。

 

「電磁パルス!?…何故それ程までの技術力がありながら?」

守はクトゥルフ神話0であり、オカルトは初期値である。しかし、EDU20、INT16もあった。

 

守はその常識的知識から本庄エレナが科学的に死者蘇生の一端と最新兵器に類するものを擬似的に作り出したと判断した。

 

「死者蘇生は人類の夢!その為に何人死のうが関係ないわ」

エレナは目の前の男が自衛官ないし軍オタと看破した。

 

故に時間を稼ぎ軍事的な初歩で鏖殺してやることにした。

 

「…ゾンビが集まってきている?」

守はようやくエレナの狙いに気がついた。

全てのゾンビで一人ひとり確実に殺していく気だ。

 

20体以上のゾンビがエレナを守るように集合していた。

 

 

「各個撃破は軍隊の基礎だろ?この間抜けな軍オタが!」

エレナはそういうとゾンビ達へ命令を下そうとした。

 

 

 

そこへ単調な歌のような何かが聞こえてきた。

 

 

「おくとろど あい、ふ げるぶ ええへ…」

民間人は呟きながらまっすぐゾンビの軍団へ向かっていった。

 

 

「待ちなさい!」

守は民間人が発狂してゾンビに突っ込んでいくと思い静止しようとした。

 

その瞬間、その場にいたゾンビ25体全てが灰となった。

 

 

「…死者蘇生の為に人を殺しちゃ駄目でしょ」

今際望は狂人に向かってそう言った。望が単調に唱えていた呪文は『ナイハーゴ葬送歌』。

 

グラーキ黙示録2巻に記された『復活』の一側面の改良版であるその呪文はPOW対抗でアンデッドを破壊する。言う慣れば死者蘇生の反対である死者消滅の呪文だった。

 

どれほど屈強だろうとPOW1しかないゾンビ達では抗えない即死呪文である。

 

今際望は両義大学病院へ健康診断に来た民間人である。

 

マジックポイントを12も消費するナイハーゴ葬送歌を使うタイミングをずっと見計らっていた。

 

本庄エレナが自身の研究の全てを台無しにされ呆然とした隙を自衛官は逃さなかった。

 

 

 

今際望は狂信者にしてマッドサイエンティストである。

 

望の研究は人類の不死ともいうべきものであり、シュブ=ニグラスの狂信者である。

 

死者蘇生の夢自体は望は否定しない。だが、本庄エレナの行為は本末転倒このうえない。

 

 

海導守が本庄エレナに組みつき、意識を落とした後にヒプノーシスで守の記憶を一部改ざんした。

 

ゾンビは太陽光で塵になったという映画でありそうな弱点があったという感じである。

 

 

今際望は二度の事件で現在正気度78まで回復していた。ゾンビを見ても発狂はしなかった。

 

ここまで一気に回復したのは現在の心理学96と現在の技能値が90を超えたためでもある。

 

技能がシナリオ後の成長ロールで90を超えた時に発生する正気度回復ボーナスであり、追加で2D6回復することができる。

 

 

本庄エレナは法で裁かれるべきだろう。今際望はエレナの書斎から入手した蘇生薬の研究ノートを読みながら事件現場を後にした。

 

今際望は狂信者にしてマッドサイエンティストである。当然のように警察の科学捜査を彼ら以上に熟知していた。望は髪の毛一つ残さずにその場を後にした。

 

事件後の本庄エレナ、狂人の妄想に出てくるゾンビを皆殺しにした男の存在は誰も信じはしなかった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

登場人物紹介(6版基準)

・海導守(30歳)主人公していた海上自衛官

STR18 DEX14 INT16 CON15 

APP12 POW17 SIZ16 EDU20

マーシャルアーツ70 サバイバル(海)60 操縦(船舶)50他

経歴:自衛官として誇りを持つ主人公適正抜群の男。

 オカルト等の知識は皆無に近く、ゲームもDSが最新機種だと思っているほど流行に疎い。

 それでも持ち前の知性で本庄エレナが狂気じみた研究をしていることに感づいた。

 ゾンビ程度なら各個撃破していけば良いと本庄エレナを無力化することにしたが、命令を聞けるほどの知性があるとは気がつけなかった。

 事件解決後、望との対話中に催眠術にかけられてゾンビは日光に弱いと納得してしまった。

 冒涜的な実験の数々をした本庄エレナを許すことはできないが、死者を蘇らせたいという気持ちは多少共感するところはあった。

 

・本庄エレナ(29歳)狂気のマッドサイエンティスト

STR11 DEX16 INT17 CON8

APP15 POW16 SIZ13 EDU22

医学80 化学80 薬学80他

経歴:狂気に落ちたマッドサイエンティストであり、死者蘇生を至上の命題としている。

 ミスカトニック大学に留学経験があり、ハーバート・ウェストの話を聞いたこともある。

 生命機械論である彼とは違うアプローチで研究していたが、偉大な先人として尊敬している。

 研究資料を一冊のノートに纏めており、それがないと他者がエレナの研究成果を模倣することは至難というか不可能に等しい。

 隠してきた研究がバレた挙げ句に研究成果であるゾンビ軍団が全滅、研究ノートも奪われるという散々な目に遭っている。

 

使用可能な呪文

ゾンビに命令する、異常な天気、蘇生薬

所持魔導書

研究ノート 化学60、薬学60が最低必要な蘇生薬の作成法が載っている。

 他の研究者が蘇生したゾンビに殺されたと知り、制御する方法として魔術も記載している。

 正気度喪失1/1D6、クトゥルフ神話1。読破後薬学、化学に成長ロール

 

今際望:一般通過枠の狂気のマッドサイエンティスト

巻き込まれた一般通過枠の狂信者。自称一般人であり、被害者()。

薬学も化学も初期値1だったのだが、今回勝手に持っていった研究ノートを解読して化学6、薬学9と成長した。

守とエレナが話している間に被害者の精神分析等をしていた。

本当に健康診断に訪れただけだったのだが、病院の違和感に受付前に気が付き中止。

一人だけ鍵開けしたり探索者していた。エレナの本性発覚後は被害者が出ないように立ち回っていた。

透視で魔力の異変を悟り、ゾンビを集結させていたのでナイハーゴ葬送歌で全滅させる作戦に切り替えた。今回、ある意味一番酷いことしている。

ただし、自身の研究手法とエレナでは違いすぎるので本人的に得たものはほぼない。

実際、この後の技能成長ロールも失敗し、得たのはクトゥルフ神話1増えたのと化学薬学が僅かに成長したくらいだったりする。

クトゥルフ神話16とそこそこ高くなってきた。現在正気度76。

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