邪教徒の平穏な日常   作:kohet(旧名コヘヘ)

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善良なる神()と善良なる人間() 中編

 

今際望は詳細不明の現象に巻き込まれた一般通過枠の狂信者である。

 

正確にいえば一条久遠を何とか引き留めようとして無理だったのでやってきた。

 

 

巻き込まれた異界の中は意外なことに良くある冒涜的な神の住処ではなかった。

 

そこは荘厳な純白の神殿と評すべき神聖さしか感じない場所であった。

 

 

久遠は謎の現象を忘れてその光景を息を飲んで見つめるしかなかった。

 

パルテノン神殿が現代まで風化せずに残っていてもこのような場所ではないだろう。

 

久遠は芸術(絵画)80で成功し、そのような感想を覚えた。

 

知識と歴史59で成功した望はこの神殿は不味いと思った。

 

地球の神に類する存在、旧き神という存在が思い浮かんだ。

 

旧き神と対面したことはなく、豊穣実から注意するように言われていただけである。

 

望は正気度が1減少し、現在正気度75になった。

 

 

「久遠さん。こんにちわ」

望は神殿に見入っている久遠に挨拶した。後で混乱されるよりはマシと判断した。

 

同時に久遠が呼ばれただけならまだ良かったかも知れないと望は己の判断を悔いた。

 

望は旧き神なら普通の人間ならば見逃す可能性があると知識では知っていた。

 

望の身内ではなく、飽くまでも知り合いだと神へ強調する意味を込めた発言である。

 

「…あ、貴方だったのね。…また巻き込んでしまってごめんなさい」

久遠は望と再開し、自分を助けようとしてここへ来てしまったと解釈した。

 

前回の件といい申し訳ない気持ちがあるが、頼れる人がいて安堵した気持ちの方が強かった自分を恥じた。

 

「いいや、あの時は私の方が…じゃなかった。久遠さん、神殿なら誰がいると思う?」

望は心理学を使うまでもなく落ち込む久遠を励まそうとして中断していった。

 

あまりにも自分と仲が良いと怪しいと一緒に抹殺されかねないので、話を切り替えた。

 

同時に連れてきておいていつまで待たせるつもりだとも思った。

 

実際は神なりの気遣いで落ち着くまで待っているだけである。

 

普段の望ならその気遣いに感謝するだろうが、今の望はかなり不愉快に感じていた。

 

 

「…怒っているの?」

久遠は望が強引に話を変えた違和感に気がついて尋ねた。

 

自分に対してではなく、神殿にいる誰か…神に対してだろうか。

 

「…失礼。少し取り乱していた」

望は久遠に心配されたのを察して軽く謝罪した。

 

どんな神なのか、神ではないかもしれない。望は何もわからないうちに取り乱していたことを反省した。

 

 

そこへ神が現れた。正確にはまだわからないのだが、その美しさは神と表現される他ない存在が二人の目の前に降臨した。

 

陶器を思わせる白い肌、燃えるような赤い瞳、長い銀髪の女神であった。

 

神は白い神殿の内部に二人を転移させ、少し高いところから見下ろすような位置に立っていた。

 

 

「落ち着いたか…人間の建築を真似てみたが、微妙だったのか?」

女神は自分のセンスが現代に合わなかったかと疑問に感じたので若い女に向かって尋ねた。

 

「い、いえ!寧ろ素晴らしかったので見惚れてたというか…」

久遠は正直な感想を述べた。実際、カメラがあれば写真撮影したいくらいだった。

 

そして、久遠は以前であった黒い妖艶な少女を思い出した。

 

比べると随分違う毛色だが似たような気配を感じていた。この人が神だとするとあの少女も神だったのだろうかと久遠は思った。

 

「それならいいのだが…。あ、そこの男!何だその無駄にある魔力は?」

女神は望のPOW33を見て取って言った。

 

自分のPOW45に比べれば低いし、神格としての能力があるので一切負ける要素はない。…負ける要素はないのだが無駄に多い。

 

名のある魔術師かもしれないが、なら何故着いてきたのかも気になった。自分からすれば普通に避けれたのにくっついてきた男である。

 

 

「まずは自己紹介を。私は今際望。趣味で魔法の研究をしています」

望はあれこれ聞かれる前に嘘偽りない自己紹介をすることにした。

 

望にとって魔法は研究の為に一考の余地がある過去の技術だが、趣味に該当すると思っていた。

 

なお、第三者視点だと望の趣味は料理である。望は儀礼の一部と考えているので気が付かないが。

 

 

「趣味でそんなになってたまるか…嘘を言っていないだと…!?」

女神は流石におかしいとツッコんだが、今際望という男が嘘をついていないと確認した。

 

趣味でここまでするとか頭おかしい奴と認識した。実際、頭おかしい奴なので間違っていない。

 

 

「あ、私は一条久遠と言います!」

久遠は望に続いて名乗った。望は魔法の研究が趣味なのかと思いつつ、それが目の前の神が驚く程だという事実に驚いてもいた。

 

「私の仕事に必要かと言われると趣味なので」

望は脳内までは読み切れていないと判断して事実を畳み掛けることにした。

 

それとこの女神が大分ポンコツだと理解した。

 

圧倒的存在ではあるのだろうが。望はメタ的に言えば女神のINTは人間並と看破した。

 

「…嘘をついていない。…何なのこいつ」

女神は望の無礼な脳内を知る術がないが嘘か真か見分ける能力は常時発動していた。

 

権能で望の能力を見破っていくが、延長と思われるのを除いたとしても頭がおかしいと確信した。

 

 

「ああ、忘れるところだった。そうだ、私は神だ。名は☓☓☓☓☓・☓☓☓」

女神は正気に戻って自分も名乗ることにした。

 

だが、人間が聞き取れる音節からズレているので久遠は聞き取れなかった。

 

 

「…ええと、ごめんなさい。聞き取れない…ません」

久遠は女神を翻弄していた望を見て、敬語が抜けそうになるのを抑えた。

 

久遠は女神の名を再度確認した。 本当に聞き取れないどころか発音の真似すらできないと確信した。

 

 

「☓☓☓☓☓・☓☓☓だと聞き取れませんよ。ルーンさんとかだと人間的にはわかりやすいと思います」

望はキチンと聞き取った上で名前を省略して言ってみた。実際、名前がわかりにくい上に発音しにくい。

 

 

「…まぁ、いいか」

ルーン(仮)は不敬にも程がある男の提案を受け入れることにした。

 

実際、久遠とかいう女は自分の名が聞き取れないようであり、目の前の男はわかりやすい名にしているのは事実らしい。

 

嘘はつかないが、性質が悪い人間である。ルーンはニャルラトホテプを思い出した。

 

 

ルーンは望というのは魔力もそこそこあるし、延長を使用した上で長命な人間ならば今後使えるだろうと判断した。多少の無礼を許しておくことにした。

 

同じ女神のヌトセあたりならばグレート・オールド・ワンへの対抗できる可能性のある逸材として気にいるだろう。

 

 

ヌトセはPOW100あるうえに自分より遥かに強い、旧き印を創造した偉大なる同胞であるが、外なる神までぶっ殺そうとする狂った戦闘狂である。

 

ルーン的には平穏無事なら良いのだが。あの女神は血に飢えているのだろうか。

 

外なる神の関係者は見つけたら殺すし、目の前に信者が現れたら永久に殺し続けるのは当然だが。

 

 

「良いのですか?ルーンさ、様」

久遠は神に対して不敬極まりない望に若干つられそうになった。

 

久遠は何とか耐えて『様』はつけた。

 

 

「ああ、そうだった。久遠だけ連れてきたつもりだったのだが、一人余計なのが来たせいで」

ルーンは望に露骨に当てつけをした。

 

何たるみみっちさであろうかと望は思った。

 

なお、自分のところにいる外なる神の豊穣実も性格でいえば大概なのだが、望は棚上げしていた。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

登場人物

ルーン(仮)旧き神

STR14 CON75 SIZ13 INT18

POW45 DEX18 APP18

嘘を見抜く力と敵を屈服させる能力がある旧き神。

一見すると人間並みの能力値だが、普通に望では何をしてもダメージを与えられない。

旧き印を最初に創造した女神ヌトセとは友人で血に飢えた奴と思っているが、自分も大概である。

殺しても中身が出てきて正気度喪失が発生するタイプ。POWの変化はない。

 

今際望

地雷原で意図的にタップダンスを踊っている外なる神の狂信者。

ルーンからヌトセに教えてやろうとか思われているとは知らない。

 

なお、ヌトセはマレモンのステータスでPOW100であり1マジックポイント消費で威力POW分のビームを連射できたりする。後、APP21とかいうわけわからない顔面偏差値している。

 

一条久遠

知らない場所で神様と対峙しているのだが、望の無礼を通り越した会話にかなり緊張が解けた。

神様ってこんな威厳ないのかとなどと思っているが、久遠が一人で来ていたら威厳にひれ伏してまともに喋れなくなっていた。大体望が悪い。

 

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