邪教徒の平穏な日常   作:kohet(旧名コヘヘ)

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個人のマッドサイエンティストにして狂信者

 

今際望は外なる神シュブ=ニグラスの狂信者であり、マッドサイエンティストである。

 

個人事業主で働いている社会人であり、開業届も提出し税金も払っている。

 

 

望は会社等の組織に所属していない。しかし、引く手数多な優秀な人材である。

 

コンピュータ91、電子工学65、電気修理72、英語76等の技能値からも明らかである。

 

 

優秀な人材であり、個人事業主である今際望は仕事を選べる立場である。

 

同時に仕事の全責任を自分で負うこともある立場でもある。

 

現在でこそ黄泉尊、一条昌宗等の神話体験で得た人脈により安定した収入になっている。

 

 

他方で、個人事業主として信用がない頃に仕事を乞うような時代もあった。

 

現在、今際望は25歳である。まだまだ若い成功者等と思うかもしれない。

 

だが、望16歳の時に豊穣実がやって来てから現在に至るまで個人事業主として働いている。

 

学業と平行して9年間試行錯誤してきた。平均年収700万円は寧ろ安い部類に入る。

 

能力を持つ今際望の年収がそこそこな理由は、業務外で発生した事件等が原因であった。

 

…事情が事情なので税金控除等も受けていた。経理59はその証のような技能値である。

 

 

今際望は個人のマッドサイエンティストである。創作のような組織からの援助等は無い。

 

世間一般的なイメージのマッドサイエンティストとはかけ離れた世知辛い苦労をしている。

 

倫理観の欠片もないような存在だったならばまた話は変わっただろうが、現在正気度79である狂信者にしてマッドサイエンティストには思いつきもしないことである。

 

 

シュブ=ニグラスも無欲で敬虔な信徒に思うところがあった。

 

何だかんだで豊穣神である。…全く関係ない方向に全力な敬虔なる信徒は目立っていた。

 

それ故に、娘を今際望へ派遣した。結果は自身への信仰はより深くなったが更に悪化した。

 

とはいえ、外なる神の気まぐれはそれくらいであった。

 

…最近、ニャルラトホテプがウザいのでもっと前にどうにかすれば良かったとは思っている。

 

 

今際望はそんな神の御心を知ることなく、また11センチ程の小像が置かれた祭壇でよくわからない儀式をしていた。本人は大真面目である。今日はチキンカツかと豊穣実は思った。

 

 

「『シュブ=ニグラスの招来』は知っているはずなのだけど…」

実は正式な儀式の手順を知るはずの望が何故毎日ヘンテコな儀式を行うのかわからず呟いた。

 

なお、望に聞けば本心から説明する。だが、納得した翌日また疑問に思うようになった。

 

望は信仰心が高すぎて神すらも理解できぬ領域にいた。

 

実はそれ以来、望の行動に疑問に思ってもツッコむのを辞めた。実はシュブ=ニグラスが信仰を喜んでいるのは感じ取っていた。…もう下手に関わりたくなかった。

 

 

「…お与えくださった鶏胸肉。チキンカツにしたく思います」

望はシュブ=ニグラスへの供物を返却されたことを理解した。誰もその理屈はわからないが。

 

故に今日はチキンカツである。望は神の啓示として夕食にすることにした。

 

 

肉厚でボリュームある夕食だが、添え物の漬物で口直しできるように工夫されていた。

 

実は今日も夕食に満足した。

 

 

望は夕食後、以前買ったフランス語の古書を翻訳ソフトや辞書で理解しようと悪戦苦闘していた。

 

尊から『バビロン炎上』と引き換えに得た臨時収入で書籍の翻訳を依頼出来るようになった。

 

だが、内容によっては取りやめる可能性もある。

 

魔導書の場合、翻訳だけで不定の狂気になることもあり得るからである。

 

 

フランス語の読めない望では斜め読みすら相当な時間がかかってしまう。

 

未だに悪戦苦闘している書籍の名は『屍食教典儀』といった。

 

フランス語1であり、読めない望だが、魔導書だということはわかっていた。

 

正気度が2減少し、現在正気度77となった。フランス語20もあれば斜め読みに40時間程度かかる本である。

 

INTやEDU、オカルト、クトゥルフ神話等で読解にかかる時間を短縮できなくもない。本来の望であれば大分時間が減らせるはずである。

 

しかし、望は『屍食教典儀』の斜め読みに一週間以上もかかっていた。

 

望のフランス語1は辞書その他が充実している環境でも読解に相当なペナルティが発生していた。

 

 

『屍食教典儀』には『シュブ=ニグラスの招来/退散』と望の使用できる呪文があった。

 

幸運とINT×1に成功した望は『黒い束縛』という魔術を解読することが出来た。

 

黒い束縛はゾンビの創造に近い呪文である。

 

元々『ゾンビの創造』を取得していた今際望ならば斜め読みでもあり得なくもないという判定の結果、ダイスで成功し取得できた。

 

他の呪文は当然斜め読みでクトゥルフ神話が増加しないのと同じで取得可能性はない。

 

 

望は信仰する神の記載された書籍を他者に預けるわけにはいかないと判断した。

 

以前より書籍の翻訳に関して連絡していたフランス系アメリカ人の翻訳家スタンリーに断りの連絡を入れた。

 

キャンセル料として本来の一部だけ送金することになった望は、残りの金でフランス語を勉強しようと決意した。

 

研究と仕事を平行のハードな状況になるが、狂信者である今際望は無駄に溢れるバイタリティを存分に発揮するだろう。

 

シュブ=ニグラスを信仰しているような魔導書ではないが、その一端を知れるかもしれない。

 

その事実だけで望は努力を惜しむことはない。

 

今際望は個人のマッドサイエンティストにして狂信者であった。

 

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呪文解説

・黒い束縛

約一週間かけた魔法儀式で呪文の使い手の命令を聞く従順なゾンビを創造できる。

マジックポイント16必要で正気度減少もあるが、かなり使い勝手の良いゾンビの創造と言える。

 

魔導書解説

・屍食教典儀

食屍鬼とそのカルトについてよく分かる本。フランス語版が原本であり、割とヤバい本である。

死者蘇生である『復活』も載っているが、望はフランス語1なので解読は1年以上はかかる。解読すると食屍鬼語が取得できる。

なお、望がこの本を買った古書店では結構騒ぎになっていたりする。

誰に売ったかを店主が覚えていないので仲間たちからボコボコにされている。

 

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