ルフレ君がトチったらこうなる話です
陽性になっちゃったからには……もう……ネッ!
「……っ!母さん!ごめんなさい、今のは僕の失態です!どうか罰なら僕に!!」
「いいえ?安心しなさいマーク、貴方の失態なんかじゃあないわ。
貴方の期待に応えられなかった方が悪いの。そうよねー?」
「「「「「「「「「もちろん!」」」」」」」」」
戦場に響くのは場違いなほど明るい声。
仲良く声を揃えている様は微笑ましいが、その実態は、
「ごめんなさいおかあさん、でも私楽しかったわ!
次はもっと役に立てるように産まれてくるわね!」
「あ、ああ、うそ、やめて……やめてぇ!」
血を吐くような悲痛な叫び。自身の血に塗れながら子供たちをと願った女の、心がひび割れる音。
大腿部を闇の障壁に貫かれ文字通りの釘付けにされている『彼女』が、届かないとわかっていて手を伸ばす。
そんなの知ったことではないと足取り軽く──ぴょん、と。
少女がひとり、何の躊躇いもなく邪竜の背から空中に身を躍らせた。
「いやああああああ!!!」
嫌な予感とは、何故こうも当たってしまうものなのか。
いや、不確定要素にベット出来るほど余裕を持てなかった自分のミスだ。
「な……なによ、それ……。冗談、でしょ?」
「っ落ち着くんだセレナ!シンシア、いけるかい!?」
「も、勿論!絶対助けるんだから!」
流石に飛び降りるのは想定外で対応が遅れてしまったが、幸いにもココはかなりの高所。異界のセレナが手遅れになる前に間に合うはずだ。
シンシアを戦線から外し、異界のセレナの救出に向かわせる。
「あらあら、せっかくのボードアドバンテージを捨てちゃうの?何をしないでも敵が減るなんて喜ばしいことなのにね!」
「そうですね、その分他にリソースを回せるから都合が良いハズなんですけど……やっぱり、仲間とか絆ってダメですね。全然合理的じゃないです」
にやにやと此方を嘲るギムレー、同調してにこにこと笑っている異界のマーク。
……異界の"僕"は随分と面倒な邪竜になってしまったらしい。
変わり果てたクロムを侍らせ、破壊よりも絶望を求める悪夢。
子供達を玩具とし、欲望のまま弄ぶ悪魔。
肉体ではなく精神を削り落とさんとする姿勢は、単純な破壊を求めた"僕"の時の何倍も厄介だった。
「うーん、次は……マークは誰がいいと思う?」
「ジェロームはどうですか?彼、結構動けるタイプだし!きっと母さんを満足させられますよ!」
「そう?じゃあそうしましょうか!」
夕飯でも決めるような気軽な会話で此方の選択を迫ってくる。
『異界とはいえ、まさか同じ顔の子供を見捨てるのか?』
そんなこと僕に出来るわけがないと、ギムレーは理解しているのだ。
自軍の士気に関わるし、後味も悪い。何より子を持つ親として許せない。
あまりに分が悪い戦いだが、そんなのは今までの戦いと同じなのだ。隣で不安そうにしている娘の肩に手を置き、大丈夫だと声をかける。
ギムレーの動向を伺いつつ、戦場を俯瞰する。
この配置なら先程とは違い飛び降りさせる前に鎮圧できるだろう。
急に矛先を変える可能性も視野にいれ、先ほどよりも少し前のめりを心掛けて指揮を振るう。
後手に回り過ぎてはいけない、しかし追い詰め過ぎてもいけない。邪竜の胸先三寸で、異界の子供達や"僕"たちの命が決まってしまう。
異界の"僕"は、初めこそ己を貫く闇の障壁から脱出しようと足掻いていたが、先程の飛び降りで心が折れたのか、それとも失血で気を失ったのか。今はもう動けないようで、その姿に焦りが募る。
彼女を失えば、異界のみんながどうなるかなんて僕は身をもって知っているから。
僕がみんなとの絆で還ってこられた奇跡がそう簡単なものではないと理解しているから。
早く、一刻も早く終わらせなければ。
異聞帯に出てくるルフレ君は犠牲エンドから帰ってきた設定
クリア後に遊べるマップなんじゃないかな、知らんけど