この話書いてる間にホンモノ魔器ルキナ実装されちゃった……
俺が駆けつけた時には、すでに戦闘は始まっていた。
無防備な半身を庇うような位置取りを保とうとする屍王、それを利用した立ち回りで懐に潜り込み打撃を与える【ルキナ】。
屍王の振るう剣は鮮やかな手捌きで受け流され、彼女に一切のダメージを与えることはない。
蹴りの反動で屍王との距離を取り、立ち尽くす俺の側まで移動してきた。
「なんてもの呼び出してるんですか、召喚士さん」
「ご、ごめん……新しい絆の予感って聞いて、つい」
「絆の予感、ねえ。あの2人に絆なんて無いですよ。娘の私が保証します」
相変わらずクロムを探しているのかふらふらと揺れる屍ルフレと、ルフレを庇うように立つ屍王。
油断なく屍王を見据える【ルキナ】が、するりと懐から取り出したのは彼女の武器【魔器デウスエクスマキナ】。
まさか、と止める間もなく彼女が口を開く。
「大丈夫、加減はわかりますから。親殺しには慣れてるんです」
言い終わるや否や、ぱん、ぱんぱんぱんと乾いた音が鳴り響いた。
まず右肩を撃ち抜き、続け様に三発。眉間と両膝を狙った銃弾は吸い込まれるように当たり、見た目にそぐわない威力で着弾点を砕く。
倒れた『父』を顧みることもせず、再び彼女が銃を構える。
ぱんぱんぱんぱん、と一切の躊躇いなく放たれた凶弾は何の構えもなく立っていた『母』を瞬時に無力化した。
「ダメでしょう、死体が動いちゃ……。いい加減しつこいです」
そう吐き捨て、仰向けに倒れたルフレの胸にもう一発。
迷いなく心臓に撃ち込まれた弾丸は着弾と共に破裂し、彼女の胸部に赤い華を咲かせた。
「……召喚士さん、人避けは?」
くるりと振り向いた彼女が俺に向かって問いを投げかける。
「え、と……第二種緊急事態だから全員ここから離れて、とは伝えてあるよ。誘導をお願いしてたクロムは近くにいるかもしれないけど、絶対姿を見せないようにって頼んである。
ベレト先生もベレス先生と一緒に離れてる頃じゃないかな……」
「第二種緊急事態って……呆れた、危険性のあるモノが呼び出される前提があってなお召喚してるんですか。
闇堕ち勢の数、カルデアよりも危険では?」
"カルデア"。一般的な意味としては遠い異国の歴史的な呼び名……の筈だ。なぜいきなりそんな単語が彼女の口から飛び出したのか。
発言の意図を汲めずにいると、【ルキナ】が微笑んだ。
「ああ、その"カルデア"じゃあなくて。貴方に馴染み深いほうの……人類の未来を語る資料館のことですよ。あー、もしかしてソシャゲより据え置き派です?それともFE以外はあんまり?
……まあいいです。エクラさん。いえ、プレイヤーさんの方がわかりやすいですか?今は誰も居ませんし、腹を割って話しましょうよ」
よいしょ、と手頃な木箱に腰掛ける【ルキナ】。
彼女から……いや、この世界において出ることのないであろう言葉の数々に、イヤな予感がする。
「大丈夫、後ろのアレは放っておけば直りますから。
本当なら一発で壊せるだけの威力があるのに、ここでは撃破が精一杯。あーあ!辞めたくなりますよ、こんなの!」
木箱に腰掛け足を組み、手慰みに銃を回す。
到底【ルキナ】らしくないその振る舞いは、彼女が真っ当な存在ではないという証左……なのだろう。
「私、自分の出自を知ってしまったんです。ええ、全て知りましたとも。本編もDLCも実際にプレイしましたから!
結果として元のカタチを忘れてしまいましたが……まあ、別に問題ないですよね?」
「ざっくり言うと、この銃が現実との橋渡しになってまして。例えるなら『モデム』でしょうか?
邪竜ギムレーは滅びましたが、アレが組み上げた魔力システムがこの銃に移ったらしくて。
この銃を持っていて、かつアドレスを把握していれば…………はぁ、親殺しカウンター?酷い言われようですね」
にこにこと笑顔は崩さない【ルキナ】。
「こんな展開、陳腐でしょ?読者を認識して語りかけるキャラクターなんていくらでもいますよ。【皆さん】に抗うキャラクターだって大人気な方がいるじゃないですか!
メタならもっと面白い作品が、『覚醒』ならもっと素敵な二次創作が、『ルキナ』が可哀想な目に遭う話なんてそれこそあちこちにあるじゃないですか!!
……だから、『私』を見るのやめてくれません?召喚師さん」
彼女の瞳は、何もない虚空を見つめていた。
私も斧がよかったです
私ならもっと覚悟キメられるので今からでも交換してくれませんか?