時が経つのは早いものでこの学校に入学してから既に3週間がたっていた。
今は2限目、英語の真嶋先生が授業をしていて黒板の代わりにホワイトボードを使用してわかりやすい授業をしている。
国立の学校と言うだけはあって授業の内容はとてもわかりやすい。そこらの学習塾見たく金をとる訳でも無く無償で受けられるのはこの学校の利点の一つだと割とマジで思う。
まぁ俺は既にホワイトルームで全部学習済みなのだが、それでも聞いてて飽きない程度にはいい授業だ。
たった一つを除いては。
「ぎゃはは〜!面白すぎんだろ!」
「マジそれな!春樹の言う通りだわ!」
たった一つというのはこのクソうるさい野生児共の事だ。今の声は多分山内だな。
最初は一部を除き、みんな真面目に授業を聞いていたのだが一日、一日と日が経つ事に騒々しくなっていった。多分先生が注意しないのもあるんだろうがそれにしても酷い。
今授業を聞いているのは俺や綾小路などの1部の生徒のみだろう。優秀な生徒でも堀北みたいに授業を聞かずに予習を続けている人もいる……というかそっちの方が割合が多そうだ。
ちなみに軽井沢はしっかりと授業を受けている。恐らくは俺が次のテストで全科目の平均点が70点以上じゃないと秘密をばらすと脅したからだろう。ついでに毎日1.5kmは走るようにも脅してある。
正直取れなかった所でばらすつもりもないし軽井沢本人も可能性は低いと思っているだろうが1%でもあるならその為に努力しなきゃ行けないのが軽井沢の辛い所である。まぁやらせてるの俺なんだけどな。
俺の個人的な感覚だが現状軽井沢は心無しが原作よりも知性が下がってる気がしないでもない。
お得意のカリスマっぷりでカーストはいくらでも保てるだろうし今後俺が隠れ蓑にするつもり満々なので今のうちに学力や身体能力を上げておいてくれた方が後々の泊も着くだろう。
そうでなくてもスペックを上げるにこしたことはないしな。
俺の希望的観測かもしれないが軽井沢の学力や身体能力が低い理由は中学で虐められてたから授業をまともに受けれなかったとか運動する時間が無かったとかそんな所だろう。
そこら辺を加味すると軽井沢の能力の伸びる速度はそれなりに高いだろう。須藤レベルの潜在能力とまでは行かなくても次の小テストで70点ぐらいは取れるポテンシャルはある気がする。
「それでさー、この前買った服マジで可愛かったんだよね!」
「今年の流行のカーディガンだよね?私アレガチで好みなんだけど。」
一方篠原たちは授業中だと言うのにお構い無しで大きな声で話していた。前の方の席に座っている幸村はイライラしたのか頭を掻きむしっていた。そりゃそうだ。俺だって今死ぬほどイライラするもん。
なんかイラついてる幸村の様子を見てたせいか俺までイライラしてきたな。そろそろ一応真面目に授業を受けさせるように促すだけ促すか。
どうせクラスポイントはもうそろそろ0になってるだろうし、これで失敗してもクラス内には俺がクラスポイントを止める為に最低限仕事したように見える。クラスにいる優秀な奴からは評価されるだろうし悪くない結果になるだろう。
俺はそのまま授業までこの動物園を黙らせる言い方を考えるのだった。
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キーンコーンカーンコーン
授業終了のチャイムの音が鳴ったのを確認して、俺は真嶋先生と入れ替わるようにさっき真嶋先生のいた机上へと向かっていった。
一部の人間は俺の行動に違和感を持ったのかこっちを見ているがまだ大半は気付いてなさそうなのでそのまま教卓の前に立って呼びかけることにしよう。
「皆、ちょっとすまないが俺の話を聞いて貰えないか?」
俺は心の中の怒りを奥底に沈め、優しい言い方になるように注意しながらみんなに呼びかける。
須藤や高円寺、堀北など一部の人間は我関せずと言わんばかりに教室を去っていったが、大半の人間は立ち止まって話を聞く姿勢を見せてくれた。しかし軽井沢グループや池てないグループ等だるそうな顔が大半だが。
「もちろんだよ。それで話って何かな?」
櫛田が皆を率先して話を促してくる。俺は恐る恐ると言わんばかりの声になるように少し声を震わせて皆に話し掛ける。
「えっと……話っていうのは……その、みんなもっと授業を真面目に受けて欲しいんだ。」
俺がオドオドしながら授業の話をすると反応は二つに分かれた。
まずは大多数が浮かべたダルそうなオーラ。原作キャラだと池とか山内がこの反応だ。
そして少数だがよく言ったというオーラの人間もいる。原作キャラだと幸村や王何かがこの反応だ。
「はぁ?何であんたなんかにそんなこと言われなきゃいけないのよ。」
俺の発言に真っ先に篠原が文句を言ってくってかかってくる。前々から思っていたがなんかこいつ俺にだけ当たりが強くないか?
「そうよそうよ!平田くんとかが言うならまだしもなんでアンタに言われなきゃ行けないのよ!ね、軽井沢さん?」
市橋も篠原に続いて文句を言ってくる。コイツらマジで俺になんの恨みがあるんだよ。
「え、ええそうね。上から目線で何様って感じ。」
軽井沢の一撃がトドメとなったのか池や山内達も俺を非難してくる。
ちなみに頼みの平田はブツブツ言ってて理由は不明だが櫛田は居ない。つまり誰もこの状態を止める事は出来ないというわけだ。
それにしてもこいつら何処までも不良品だな。本来なら軽井沢に反発させる予定だったのに軽井沢無しで反発しちゃったよ……まぁ俺としては得なのだがそれはそれとして呆れてきた。
まぁもうこの時点で俺のやる事は終わったしちゃっちゃと帰ってしまおう。
「あっそ……もう勝手にしてくれ……」
俺は失望したようなテンションで壇上から降りてそのまま学生証端末だけ持ってその場を後にする。さっさと帰りたいところだが悲しいことに今はまだ昼休憩の時間だ。まぁ昼飯は学食でいいか。人生で一回は山菜定食を食べで見たかったんだよな。
俺は山菜定食を食べる為に食堂に足を向けようとして何者かに肩を掴まれる。ゴリラみたいな力だ。振り向いて見ると肩を掴んだ犯人は堀北妹だった。こいつこんなゴリラみたいな握力を……痛い痛い痛い爪がくい込んでて痛い。
「答えなさい。貴方みたいな自己中な人間がクラスメイトに忠告をするなんてどういう風の吹き回し?」
いや何こいつ。爪が食い込むぐらいの力で肩を握った事に対する弁明も無しにディスりながら自分の聞きたいことだけ聞いてきたぞ。何考えてんだ。倫理観0かな?
「爪がくい込んでて痛いんだけど。」
「質問に答えなさい。」
ダメだこいつ会話のキャッチボールができねぇ。こんな奴に付き合ってるだけ時間の無駄だ。
俺は力を込めて堀北の手首を掴む。そしてそのまま堀北の肩を掴んでいる手を無理矢理外す。
「誰が答えるか。ばーか!」
堀北がウザかったので一言煽り散らかしてそのまま俺は食堂へとダッシュした。堀北は追いかけるのを諦めたのか食堂に着いた頃には居なくなっていた。まぁ好都合だ。
「購買って食券式なんだな。」
購買の列に並んでまず驚いたのはそれだった。原作では分からない些細な部分はどうしても俺は知らないからな。にしても山菜定食以外にも沢山メニューがある。
安いものだとうどんが300ポイント、そばが350ポイント等、逆に群を抜いて高いのはスペシャル定食だな。なんだ3000ポイントって、この店でわんこそばならぬわんこうどんした方が安いんじゃねえの?
俺は原作の綾小路の遠慮のなさ…いやあいつの場合値段感覚がわかってなかっただけかもしれないが、とにかく綾小路にドン引きしながら山菜定食のボタンを押し、そのまま箸とスプーンとトレーを持って食堂のおばちゃんの所まで向かう。
食堂にはメニューによって会計の場所が違うらしいが山菜定食だけ山菜定食限定になっていた。おそらく金額上の配慮だろう。決して他の美味しい飯と一緒に出来ないほど酷いとかでは無い…はずだ。
俺はおばちゃんに食券を渡して山菜定食が来るのを待つ。落ち着いて考えれば仮にもここは国立の高校。国が人が食べられる様なものでは無いご飯を作るはずもないので味はさておきそれなりに食べられるものが来るはずだ。そう心配することも無いだろう。
「おまたせ。山菜定食だよ。」
そう言っておばちゃんから渡された定食は俺の想像の斜め下を行くものだった。冷えきってカチコチになったご飯。明らかに冷めているし量も少ない気がする味噌汁。そしてメインの何か知らんけどグダっとしている山菜。あと何故かオマケのようにつけられたモヤシである。モヤシも謎にシナシナだな。
「いやこれどうすんだよ。現代日本が食うレベルの下限を逸脱しない範囲で酷いな。」
なんというか食える最低ラインギリギリを攻めた様なラインナップだ。かくなる上は飲水やお茶と一緒に並べてある調味料に頼る事にするしかないか。
「取り敢えず味噌汁は明らか足りないから飲む用のお湯を足すか。調味料に味噌もあるらしいしそれで誤魔化せば多少飲めるだろ。」
俺はとりあえず味噌とお湯を味噌汁にぶち込む。すると味噌汁は生き返ったかのように湯気を吹いている。
「冷たくてカチコチのご飯もお湯を入れれば復活出来るんじゃね?」
俺が閃いたのは七種粥スタイルだ。山菜も恐らくは食えるレベルのものだろうし、お粥に入れればシナってしていても問題は無いだろう。
案の定冷えた米にお湯を入れたら多少マシになった気がする。俺は米に塩をふりかけ、念の為醤油を山菜の近くに少し垂らしておく。モヤシは焼肉のタレでもかけとけばいいだろう。というか焼肉のタレまであるのかここの調味料。すげぇな。
俺は最後に冷水を汲み空いているカウンター席に座る。カウンター席からの眺めはこの学校の西方を一望出来るようでとても綺麗な景色だった。遠くにうっすらと見える東京が少し恋しくも……いや別に恋しい思い出は無いか。
さて、そろそろ巷で話題の山菜定食の実食と行こうか。正直ちょっと緊張するまであるが。俺はまず箸で1番大丈夫そうなもやしを取り、口に運ぶ。
「まぁもやしはさすがに行けるか。」
ここは大丈夫だろう。大事なのはこの後だ。俺は箸と器を持ち、勢いよく味噌汁を口の中に駆け込んだ。
「うぇっ……死ぬ……。」
どうやら味噌汁の中に入れた味噌の塊が口の中に一気に来たらしい。口の中は味噌の味しかしなかった。ただしその後の味噌汁は普通に薄味の味噌汁だったので口の中の味噌の味をかき消すのにちょうど良かった。足して割ってちょうどいい味なのかもしれない。
まぁここまではいい。問題は最後だ。謎の山菜と凍りついたご飯にお湯をかけて無理やり粥っぽくした何か。おおよそ人間が食えるものでは無いもの2つを混ぜてお湯と塩と醤油を掛けただけのもの。
俺は覚悟を決めて口の中に駆け込んだ。口の中で広がる山菜の絶妙な苦味とそれをかき消す塩と醤油の味、まるで氷河期から覚めた恐竜のように生き返ってそうな米が口の中でハーモニーを奏でる。要するに意外と美味い。
流石に普通の定食のような美味さは無いが無料である事を加味すれば全然満足できるラインだ。当分の昼食は山菜定食で決定だろう。
それにしても原作の先輩たちは何故調味料を使って味を整えなかったんだろうか?いやそもそもそんなアイデアが出る人ならプライベートポイントが0になってないのかもしれないが……。謎は深まるばかりである。
「少しいいだろうか。」
「うぉ、びっくりした。」
俺が先人達の行動の理解に苦しんでると後ろから肩を叩かれて声をかけられた。振り返ってみると後ろに居たのは太陽光が反射して眩しくて顔が見えないがこの学校の制服なのでおそらくはこの学校の生徒だろう。
がっしりとした肉体、太陽光を反射するぐらいに髪の毛の無い頭、オッサンみたいな声、俺に話し掛けてきたのは1ーAの自称二大巨頭こと葛城康平だった。あとついでに腰巾着弥彦が居た。
「驚かせてすまない。君が虎園 翔君だろうか?」
「そうです。貴方はかの有名な葛城さんですね!」
あんま覚えてないけど弥彦の相手をする時に葛城上げをしまくった気がするので取り敢えず尊敬してる風を出しておこう。
「有名かは知らないが俺は葛城だ。少し前は弥彦が世話になったな。」
葛城はそう言って隣に座ってくる。それを見た弥彦は葛城の隣に座っていた。コイツらパーソナルスペースに踏み込んできやがった。なんて奴らだ。
「その件はどうもです。ですが葛城さんもわかってますよね?その話をするのは……。」
「あぁ、分かっている。ここで話をするつもりは無い。ただ弥彦が契約した相手がどんな人間か1度見ておきたかっただけだ。」
流石に葛城も不用意に契約の話をするリスクは分かっているようだ。まぁ学校にバレたら面倒だし他人に聞かせるメリットも無いからな。弥彦は後ろでマヌケ面をしてたのでわかってなさそうだが。
「それで、Dクラスでの首尾は順調か?」
「賢い葛城さんなら言わずともわかっているとは思いますが、まぁそう遠くない未来に結果は出ますよ。」
何故このタイミングで葛城が確認しに来たかは知らないが葛城はまだ契約内容を信じれていないのかもしれない。実際は俺が何をするでも無く未来が確定してるのだが黙っておこう。
「それもそうだな……。ところで良ければ連絡先を交換して貰えないだろうか?振込みにも必要だろうしな。」
なんだか葛城にしては性急な気がする。そして葛城こんな所で振込みとか言っちゃダメでしょ、堀北ポイント追加ね。堀北ポイントが10ポイント貯まると堀北扱いになるから気をつけるように。
俺はそのまま葛城と連絡先を交換した。ちなみに弥彦とはしなかった。
「それでは葛城さん。私はこれで失礼します。」
俺はそのまま食べ終わったトレーを持ちながら綺麗な一礼をしてその場を後にした。
それにしても葛城は結局なんの用件で話しかけに来たのだろうか?葛城は慎重派だから確認に来ただけでも意味があったのかもしれないが俺からしたら少し不可解に感じる。考え過ぎだろうか…?
俺は葛城に幾許かの違和感を覚えながら教室に帰るのだった。
Qあの堀北が追い掛けるのを諦めたんですか?
A櫛田が全力で時間を稼ぎました。やっぱできる女は違う。
Q山菜定食に調味料をかけるのは大丈夫なんですか?
A大学の食堂とかでは調味料普通に置いてありますし多分大丈夫では…?
人気投票的なの、Dクラスで好きなのは?
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綾小路清隆
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平田洋介
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軽井沢恵
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松下千秋
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堀北鈴音
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高円寺六助
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山内春樹
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須藤健
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佐倉愛里
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篠原さつき
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池寛治
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外村秀雄
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佐藤麻耶
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三宅明人
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長谷部波瑠加
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幸村輝彦
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小野寺かや乃
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王美雨
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