プールからの帰り道、俺は大急ぎで教室へと向かっていた。理由は至ってシンプル。ある策略…この場合奸計になるのかな?奸計に他クラスを嵌める為である。
ちなみに狙ってる対象の人物はAクラスからは戸塚弥彦、Bクラス…は誰でも良くてCクラスは真鍋グループの誰かだ。
さて、ここで突然だが少し考えてみよう。
問…1番楽にAクラスで上がる方法は何か?但しSシステムの正体は自分だけが知っているものとする。
まずAクラスに上がる方法は大きく分けて2つだ。一つはプライベートポイントを2000万貯める、そしてもう一つ或いは自分の所属しているクラスのクラスポイントが単独で一番高くなる。
まず後者は所属しているクラスによって大きく話が変わるだろうが現状のDクラスでは望み薄だ。
原作でDクラスが勝ち進んだのはひとえに綾小路のチートスペックと覚醒イベントの連続だったからで、俺というイレギュラーがいる以上そんな都合よく行く訳が無い。まるで将棋の棋譜だな。
原作では明かされないモブの中に実はハイスペックな奴が混ざってましたというパターンもあるがDクラスは一番名前や実力のわかっている生徒が原作で多かったクラスだ。他クラスにいる確率のがおそらくは高いだろう。
つまり現状のDクラスの浮上は綾小路次第でしかなく、俺が知ってるはずの無いことを知りすぎている現状では綾小路を敵に回しかねないので打つ手無しである。
ついでにちょっとだけ今のDクラスをAクラスにあげるのは嫌だ。特に山内をAクラスで卒業させるとかこの学校の汚点にしかならないしな。
次に前者、2000万プライベートポイントだが、単独で集めようとすると二次創作とかでよくある賭け試合やバイトのような手段を使っても絶対無理だろう。
特別試験で可能性がありそうなのは干支試験ぐらいだが干支試験で1個人にプライベートを集中させるのはかなり厳しい感じもする。
だがこれが1クラスで2000万プライベートポイントとなるとどうだろうか?40人いるので1人あたり50万プライベートポイント、さらに2クラスともなると1人あたり25万プライベートポイントで済む計算になる。俺としてはこのスタイルを狙っていきたい。
次に俺の手持ちの武器だがハッキング技術と前世分を足したそこそこの基本スペック、原作知識と何時でも使いっ走りに出来る軽井沢ぐらいだ。
まずハッキングは論外。この学校相手にそれが出来る力は無い。そこそこの基本スペックじゃ他クラスからのスカウトも無いだろうし軽井沢に体を売らせたりしても2000万には絶対届かないだろう。
ここまで言えば皆さんもお分かりだろう。俺は他クラスに5月までにこの学校が抜き打ちでやってる事の数々を他クラスに売付ける作戦だ。それもなるべく高く売り付けたい。そのために各クラスの無能代表を探して今に至る。
それで何故急いでいるかだが学校生活が入学式の日を除いても22日なのでクラスポイント1000を日毎に分割しても一日あたりで50を少し下回るぐらい減ると考えよう。
Aクラスは確か原作では940も残していた。日の分割の計算だと3日目の途中に気づいた計算になる。
もちろん日分割は一種の目安で実際には別方式の可能性も大いにあるのだが、何れにせよかなり早い段階で気付いていたか無自覚に減らされなかった……多分後者だと思うが坂柳がいるから前者の可能性も捨てきれないのがなんとも言えないところだな。
この事から急いでAクラスの無能の極みである戸塚弥彦を上手い事乗せて契約を結ぶのが吉だろう。幸いこっちには軽井沢に録音させた音声もある。プールの見学中に2.3年生のクラスポイント含めて確認したがなんの問題も無かった。交渉する材料は整っているだろう。
次にBクラスだが、チームワーク重視のクラスなのでまだ学校生活が始まったばかりだからなんとも言い難いがどうせ一之瀬と話し合いをする事になるだろう。という訳で1番後回しでいいだろう。
最後にCクラス、こちらは原作のクラスポイントが確か490たったはずだ。この事から龍園はだいたい月の半分は気付いて居なかったと考えていい。このシステムに気づいていない以上こんな早い段階でクラスのリーダーをやっている訳も無いだろうしこちらもB程では無いが後でいいだろう。
Cクラスの交渉相手はスペックの足りなさそうな真鍋グループを狙うべきだろう。戸塚や山内もだが退学投票で退学した生徒は各クラスの雑魚のいい指標である。
と、言うわけで戸塚に会いにAクラスに来た。流石にまだ授業が始まって初日だし葛城を懇意にするには早すぎる気もするがどうだろうか……。そう思いながら俺はAクラスをこっそり覗いてみる。
「なんだと!葛城さんをバカにしやがって!!」
覗こうとするといきなり大きな怒鳴り声が聞こえてきた。葛城にさん付けしてるからおそらくブチギレてる奴は戸塚だろう。なんかあったんかな?
「事実を言ったまでですよ。貴方のようなお方を下に置いてる時点で葛城くんの底が知れるというものです。」
どうやら坂柳が戸塚を煽っているらしい。理由は分からんが2日目にして葛城派と坂柳派で揉めたのだろう。原作知識もないのに派閥を作るの早すぎませんかね?貴方達も人生2週目ですか?
「葛城さんをバカにしやがって……クソっ!」
戸塚は坂柳に捨て台詞だけを吐いてそのまま扉の方へと向かってきた。顔が真っ赤だったのでここにいると我慢出来ないから離れたのかもしれない。まぁなんにせよ圧倒的にチャンスだ。自然に取り入れるのは最高のパターンだな。
「なんだお前?なんか用か?」
戸塚はまだ怒りが抜け切ってないのか俺に対して高圧的な視線を向けてくる。
「Aクラスのリーダーである葛城さんの右腕の戸塚さんであっていますでしょうか?」
クラスのSシステムについてどれだけ知っているかは不明だがさっきの揉め事を見るに派閥は既に出来ているのだろう。戸塚はちょっと優秀な山内程度のスペックな上傲慢な性格なので煽てには多分弱いだろう。
「そうだがお前は?……なかなか見る目のあるやつじゃねぇか。」
なんかこいつ無茶苦茶偉そうだな。ムカつくけど我慢だ我慢。ゴミみたいな客を担当するホストってこんな気持ちなのかね。
「自分は虎園と言います。そんな優秀な戸塚さんに折り入ってのご相談があるのですが……お恥ずかしい話なのでカラオケ辺りでご相談を聞いていただけませんか?戸塚さんのお代は自分がお支払いしますので。」
こんな奴のために無駄金を使いたくないがカラオケに連れていくことか最優先事項だ。どうせカラオケに監視カメラは無いし口約束なんか後でいくらでもどうにかなる。
「戸塚くん。扉の前でさっきから一体誰とお話されているのですか?」
「お前には関係ない!さっさと行くぞ!」
扉の前でずっと突っ立って誰かと話してる戸塚が気になったのか坂柳が聞いてくるが戸塚は無視してカラオケへと向かってくれるらしい。
正直坂柳にバレたら計画はご破算だし名前も行先もバレたくなかったので戸塚は完璧な対応だ。あまりにもかませ犬として優秀すぎる。
それにしてもクラスの序列すらわかんないのにこんな傲慢でこいつ大丈夫なんだろうか?いや大丈夫じゃないから原作でクラスから追放されたんだろうがあまりにも戸塚が無能過ぎるせいか上手く行きすぎて逆に怖いんだが……まぁ戸塚相手に変に警戒することも無いか。
俺はそのまま坂柳への愚痴を戸塚から聴きながらカラオケへと向かっていった。
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「まぁそんな感じで坂柳が葛城さんを見下してきたから俺がガツンと言ってやったわけよ。」
「さすがですね戸塚さんは!それにしても坂柳って嫌な奴ですね。」
カラオケに来ること15分、戸塚は永遠に坂柳について愚痴を吐いていた。
さっきの口喧嘩は葛城について見下すような発言を坂柳達がしていたのを聞いた戸塚が「葛城さんの素晴らしさが分からないなんて愚かな奴だな!」と言ってそのまま口喧嘩になったらしい。戸塚は葛城に命でも救われたんだろうか?
「よく分かってるじゃないか。葛城さんこそがやはりAクラスのトップだぜ!」
「そんな葛城さんの右腕の戸塚さんはAクラスのNo.2ですね。尊敬します!」
俺が心にもないおべっかを言うと戸塚は満足そうに鼻を鳴らしていた。こいつチョロイな。
「それで、そんな優秀な戸塚さんにご相談があるのですが……。」
「おうなんだ、言ってみろ?」
坂柳に対する愚痴を吐いて生成したのか満足気、それでいてどこかスッキリとした表情を浮かべた戸塚は要件を聞いてくる。
「実は……この学校に関するある情報を知ってしまいまして……Aクラス…いや1年生のリーダーである葛城さんの右腕の戸塚さんに是非お聞かせしたいと思うのですが……この話を他の人に話されるととても困るので取り敢えずこちらの契約書にサインして貰えませんか?」
俺はそう言って1枚の契約書を取り出す。内容はこんな感じだ。
1…甲は乙の聞いた情報の一切を他人に口外しないものとする。情報の内容は乙の持っているボイスレコーダーに録音されているものを証拠とする。
2…甲が1を守らなかった場合、甲は乙に毎月5万プライベートポイントを支払うものとする。
ちなみに言うまでもないが甲は戸塚で乙が俺だ。契約書を見た戸塚は流石にやり過ぎじゃないかと言わんばかりの表情でこちらを見てくる。
「すいません……自分は臆病でして…ですがご相談を聞いていただければ必ず葛城さんの役に立てるようなお話だと分かってもらえるはずです。それに聞くだけならなんら問題はないですよ。」
俺はあたかも気弱な生徒Aを演じておく。加えて聞くだけならなんの問題も無いという点を強調しておけばかなりハードルは下がるだろう。
「まぁ話を聞くだけなら特に困ることも無いしな。」
案の定戸塚は聞くだけならいいかといいそのまま契約書にサインと指判を押す。
「ありがとうございます。やっぱりあの葛城さんの右腕なだけあって心が広いんですね。尊敬します。」
尊敬しているのは本当だ。悪い意味で尊敬しているけど。
「まぁな。それで話ってのは?」
戸塚は満更でもなさそうな顔で話を振ってくる。なんだか無性に殴りたいが我慢だ、我慢。
「これなんですけど……。」
そう言って俺は軽井沢から送られてきた音声を流す。最初は呑気な顔をしていた戸塚も内容を聞く事に信じられない顔になっていく。
「信じられないかもしれませんがこれは本当の事なんです。あの優秀な葛城さんならばきっと心当たりのある発言もされていたと思います。」
「確かに葛城さんも毎月10万なんて上手い話し過ぎるとか言っていたな。」
戸塚は顎に手を当てて考え出した。無い頭で考えるだけ無駄だろう。
「それでなんですが、この情報を持ち帰ってもらって構いません。その代わり報酬としてプライベートポイントを頂けませんでしょうか?」
あくまでも卑屈に、格下が媚びへつらうように振る舞う。今戸塚の頭にはAクラスという最も優れたクラスであるという全能感が漂ってるはずだ。
「お前クラスは?」
「Dです。」
「Dクラスは格下だがお前は見所のあるやつのようだな。いい情報だったしプライベートポイントなら払ってやるよ。これで坂柳の鼻もギャフンと言うだろうしな。それでいくら欲しいんだ?」
戸塚は心底偉そうにこちらを見てくる。それにしてもあっさりとOKしたな。ボイスレコーダーで録音してるしゴネられても学校の裁判で勝てそうだな。
「こちらの契約書にある通りなんです。サインと指判をお願いいたします。」
そう言って俺は1枚の契約書を差し出す。
契約書
1 …乙は甲に URL:123456789のファイルを送る。
2…甲は葛城康平にのみそのファイルの動画を見せても良い。
3…甲の所属しているクラスは契約を締結した月から毎月80万プライベートポイントを乙に支払う。支払えない場合は借金として学校が立て替える。
4…乙の所属しているクラスのクラスポイントが250を下回っていた場合、甲の所属しているクラスは乙に毎月(250-乙の所属しているクラスポイント)×4000のプライベートポイントを乙に支払う。支払えない場合は借金として学校が立て替える。
5…1~4の契約を違反した場合、甲の所属しているクラスは乙に1000万プライベートポイントを支払う。支払えない場合は借金として学校が立て替える。
6…この契約書を葛城康平以外に見せてらはならない
契約書の内容はこんな感じだ。ちなみに去年のAクラスの先輩たちのクラスポイントは820なので妥当な所だろう。学校側が借金として立て替えてくれるかは微妙な所であるが支払い義務のある契約であるのは間違えないし証拠もある。払わなくてもなんかしらの罰則は与えられるはずだ。
「80万って事は1人あたり2万って事だな!!この情報さえあれば毎月10万近くは貰えるだろうし余裕だな!……ところでお前自分のクラスを裏切るのかよ?」
戸塚はこちらに訝しげな視線を向けてくる。
「実はDクラスは初日から授業で爆睡やスマホを弄るのはあまり前、女子の胸の大きさで賭け事していたりとAクラスなんてとても行けるような状況じゃないんです……。
自分もAクラスには行けないかもしれませんが葛城さんのような素晴らしい人のお役に立てればと思いました!」
「見る目のあるやつだな!いいだろう契約してやる!葛城さんにも俺がよく伝えといてやるぜ!」
葛城のためというのが嬉しかったのかスラスラと戸塚は手を動かしサインと指判をする。多分これを葛城が知ったらブチギレること間違えなしだろうが強く生きて欲しい。
「ありがとうございます。相談に乗ってもらって大変助かりました。それでは自分はこれで失礼します。Dクラスからですが葛城さんの事を応援していますね。」
こんな無能な部下を持った葛城のことを心から応援しておこう。それにしてもなんでAクラスにいるのか分からないレベルで戸塚は無能だったな。
BクラスとかCクラスの奴らでももうちょっと違和感というか…不信感を覚えそうなもんだけどな。
Aクラスであるという高揚感を煽てで向上させてやったからまともな判断が出来なくなってただけかもしれん。まぁ理由はなんであれ戸塚は悪魔の契約を結んでしまった。それが全てだ。
Q戸塚ってこんなに頭悪かったでしたっけ?
A原作の頃から須藤を煽りまくってたりして酷かったのでこんなもんだと思います。
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