シン・ザ・ソードマスターと呼ばれるまで戦ってみますかね ~炎帝ノ国の魔崩剣使い~ 作:炎帝ノ国を箱推しします
基本的にこのシリーズ、地味な話が続くかもしんない。
「おっ、片手剣ドロップしてんじゃん。ラッキー。ほ~う……”カットラス”ね。悪くはないな」
カットラスは鍔の部分に護拳がついた厚く幅広の反りのついた刃を持つ片刃剣で、刃渡りは片手剣のジャンルの中でも短い(小太刀ほどの刃渡り)が長さの割には重く頑丈なのが特徴だ。
この特徴はゲームにも反映されており、店売りの片手剣の中じゃ耐久値が高く威力がある。
他には、店売りの中では高級防具のブリガンダイン(軽甲冑。VIT+5、HP+10%、AGI-5)とシーフが落とした「毒が塗布できるナイフ」、こりゃおそらくモンスタードロップアイテムだな。
どっちも俺が装備できる有益な装備だ。ありがたく使わせて貰おう。
実は片手剣と鎧(レザーアーマー)は初期装備のまんまだったし。
(まあ、一度整備しないと使い物にならんけど)
俺と戦ったせいもあるんだろうけど、耐久値がだいぶ落ちてるから回復させんと。いや、整備ついでにいっそガントレットやレガースブーツと一緒にアップグレードするかな? 全てではないが整備の際に追加料金をNPCに支払うことで、心持ち武器や防具の性能(主に耐久値と武器なら威力、防具なら防御力)を強化することができる。
まあ、装備によってはより高性能な物に買い換えた方が安く上がる場合もあるし、追加料金だけでなく素材を渡せば、カスタムも可能だ。
それらをインベントリに収納した後、ミィが倒したPK野郎もやっぱりドロップしていて、俺はそれを拾い上げる。
「はぁはぁはぁ……」
「初めての対人戦、お疲れさん」
俺は緊張から解放されたせいか、肩で息をしているミィの頭にポンと手を置いて、そのまま撫でる。
「シン……」
「ほれっ、手を出せ」
「えっ?」
よくわからないと言いたげな表情のまま、おずおずと出されたミィの掌に、
「戦利品だ」
俺はHP回復ポーションと、【フォレストクインビーの指輪】を乗せる。
「これって、もしかして?」
「ミィが倒したPK野郎×2のドロップ品さ」
「えっと……これ、私がもらっていいの、かな?」
「ミィが倒した奴が落としたんだから、当然、お前のもんだよ。胸を張っていい」
なんか、複雑そうな……いや、違うな。これは倒した相手に申し訳ないとか思ってるな?
「襲うなら返り討ちにあうリスクは当然。PKが容認されてるゲームなら、降りかかる火の粉を払うのも嗜みだ。そういう意味じゃ、モンスターもプレイヤーも変わらないさ」
「そういうもの……なのかな?」
俺は頷き、
「そういうもんだ。ゲームやってりゃ、そのうち嫌でもなれる」
もうちょっとフォローした方がいいか?
「あーところでさ、その指輪、【フォレストクインビーの指輪】っていうアイテムなんだが……」
俺は指輪をはめた自分の指を見せて、
「一応、俺とおそろいだな」
「えっ!? そ、そうなんだ……えへへっ♡」
まあ、微笑んでくれたから良いか。
ところでミィさんや。何故に迷いなく左手の薬指に装着するのかね?
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さてさて、ミィとつるんでからそろそろ1週間くらい。
俺、シンとミィもそこそここなれてきたし、それなりに装備も充実してきた。
まあ、装備に至っちゃ返り討ちにしたPK共からゲットしたのも多いが。
例えば、装備品のうちメインウエポンのカットラスと防具のブリガンダインはPKからのドロップ品(強化済み)だし、毒の塗布できるナイフはカスタムして手持ちでも投げても使えるスローイングダガー(投擲ナイフ)にカスタムした。
「……なんか、私達ってやってること追い剝ぎっぽくない? 何となく、モンスターからよりプレイヤーから入手したアイテムの方が多いし」
「正当防衛で得られた正統な権利さ。気にするこたぁない」
ミィの方も、初期装備のワンド(片手装備の短杖)を買い替えて、単純な魔法発動体としてだけでなく魔法使用時のMP消費-3%(-5%に強化済み)に、あまり強くはないがメイス(殴打武器)としての機能がついている”アタックワンド”という武器に持ち替えている。
総じて魔法使いは近距離に弱く、懐に入られると魔法発動前になすすべなく格闘武器でやられてしまうことが多い。
まあ、対魔法使い戦術としては近距離戦は鉄板だ。
実は、ミィは魔法使いとしては、割と王道からは外れている。
魔法使いは、テンプレートを展開しておアウトレンジからの高威力な魔法投射が持ち味で、「じっくり溜めて、しっかり狙う」言うならば後衛の”固定砲台”が役回りだ。
ミィは実はあまり遠距離攻撃が得意ではない。
実際、PK魔法使いがドロップした
どうやら「足を止めてじっくり溜めて狙って狙って撃つ」というのが、あまり性に合わないらしい。だが、逆に中距離くらいまでのエイムと複数標的対応力は飛び抜けている。反射神経や動体視力もかなり高めだ。
そういう意味では、「威力も射程もあるが、長く魔法発動までの時間がかかり、基本的に動きながら魔法投射が難しい」って特徴を持つスタッフより、「威力や射程は出にくいが、短く魔法発動が早く、移動しながら魔法投射ができる」ワンドの方が、ミィのスタイルに明らかに合っているだろう。
また、店売りの装備の話ではあるがスタッフは高額な一部を除き木製の物が大半で、逆にワンドは一定の金額以上の物は金属製の物が多い。つまり、一般にワンドの方がスタッフのより耐久値が高いようだ。
つまり、ミィは「前衛寄りの魔法使い」であるらしい。
言ってしまえば、「後方と言うより、俺のすぐ後ろから火力投射を行う」感じだ。
だが、その分、攻撃を受けやすいので魔法使いには珍しくライトアーマーと魔法攻撃の被ダメージを-5%させる【抗魔のマント(レアドロップ)】、【フォレストクインビーの指輪】という防御に気を使った装備になっていた。
また、ワンドは片手装備なので空いている左手のスロットで使えるよう、魔法使いでも使える
これも現在、鋭意訓練中だ。
「ところで、シン……あのね、今度、私の友達? 知り合い?がNWOを始めることになったんだけど、その……」
あー、何となく言いたいことわかった。
「パーティーに入れていいかって?」
”こくこく”
「ミィがよいなら、俺は別に構わないぞ?」
「ありがとぉ♡」
「一緒に冒険する仲間が増えるのは、俺としてもありがたいし」
というか、この1週間ほぼミィと一緒に行動してたから、フレンド登録蘭ってミィだけなんだよな~。
後の”炎帝”のプレイスタイルの基礎や土台を作ってるみたいな話になればと。
このシリーズのシン、割と面倒見は良い方です。
まあ、それが後々色々と影響しそうですが……
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