シン・ザ・ソードマスターと呼ばれるまで戦ってみますかね ~炎帝ノ国の魔崩剣使い~ 作:炎帝ノ国を箱推しします
今回は、ちょっと未来からの目線を添えて。
なんだ、サリー?
えっ? ”シン”のこと聞きたいって? なんで俺なんだ?
付き合いが長いみたいだから、より詳細な情報を知ってるかも?
まあ、確かに”炎帝ノ国”の幹部を除けば、俺やイズが一番付き合い古いかもな。
アイツと出会ったのは、サービス開始から1ヵ月も経ってなかった頃だったし。
うん。ほんの短い間だったが、パーティーを組んだよ。
第1回イベントの告知が出る前のアイツは、俺たちのクエストに付き合うだけじゃなくて、強そうな奴を見つけては”決闘”やったり、気に入った奴と即席パーティー組んで護衛役とかやってたっけ。
そういや、それからちょっと後に【自由騎士】だの【遊撃騎士】だのって二つ名が囁かれ出したな。
攻略ガチってより、NWOって世界を楽しみたいエンジョイ派って感じだった。
ただし、ビルドその物はクソ真面目なガッチガチって印象があった。
アイツの戦闘パターンとか戦術は、カスミに聞いた方が良いぞ?
カスミの実家は本業の古物商? 骨董品屋?の傍らに古武術の道場やってるらしくて、シンは中学生の頃までそこの門下生だったらしい。
あとカスミは第1回イベントの時、直にやりあってるし。。
えっ? そっちはもう聞いた?
シンとの思い出話聞かされた? なんか、惚気利いてる気分になった?
あー、そういうこと。
カスミの奴、本音で言えばシンと同じギルドに入りたかったのかもな。
もし、メイプルが先に誘わなければ、自分から”炎帝ノ国”の門を叩いたのかもしれん。
シンは性格的に誰かを勧誘するってのはしないだろうし、シンが”炎帝ノ国”の幹部になったってのを知ったのは、ギルドシステムが導入されてしばらく経ってからって聞いた気がする。
アイツ。第2回イベントじゃあ、”炎帝ノ国”……ああ、サリーも知ってのとおり当時はギルドじゃなくてあくまでそう名乗るグループって感じだったんだが、その時は”炎帝ノ国”の一員としては動いてなかったらしい。
おっと、話がだいぶ逸れた。
んで、カスミに聞いて、なお俺に聞きたいのってのはなんだ?
「パーティープレイでのシン」? 特に前衛の目線で、どう映ったか?か。
だが、俺がシンとパーティー組んだたのは、アイツが”魔崩剣”を手に入れる前だから、情報が大分古いぞ?
いや、むしろその時代のシン、魔崩剣の補正が入る前のシンが知りたいか……そうだなぁ、
”とにかく巧かった”
これに尽きるな。
アイツにはサリーのような圧倒的な速さも、メイプルのような冗談のような頑強さも、ミィのような凶悪な火力もない。
それに魔崩剣は手数や範囲は強力でも、判明してる限り威力はそこまで脅威じゃない。
だが、驚いたことにアイツは「武器の射程内にいる相手なら、どんな状況からでも攻撃でき、的確にダメージを与えてHPを削っていく」んだ。
繰り返しになっちまうが、シンの「AGIに起因する速度」はまずサリーより遅いだろう。
だが、アイツの速さは
目の良さ、先読みの正確さ、判断の的確さ、敵を認識してから攻撃に映るまでの速さ……そういう数値化できない、おそらくはスキルだけじゃなくてプレイヤースキルに起因する速さがアイツにはあるのさ。
腕試しに何度か”決闘”してみたが……おっかないぞ?
気が付いた攻撃喰らって、何をされてるのかはわかっても何もできないままHPが削られて行くんだぜ? なんか、手品でも見せられてる気分のまま、気がつくと負けてるんだ。
実際、シンに明確に勝った奴は、第1回イベントのペインだけって話だしな。
サリー、悪いことは言わん。
アイツと対峙するのは、極力避けた方がいい。俺の直感だが……サリーとアイツは多分、相性がかなり悪いはずだ。
アイツはなまじサリーと似たようなスキル持ってるからこそ、絶対にスピード勝負には乗ってこないだろう。
いや、むしろサリーのスピードって強みを潰しに来るか、あるいは逆利用してくるはずだ。手段は想像もつかんが。
降りかかる火の粉は容赦なく踏み消すが、性格的にもビルド的にも、アイツは深追いしてこないはずだ。
エンカウントしちまったら、常に頭の片隅に”離脱”って2文字を置いておいた方がいい。
第4回イベント”ギルド対抗戦”直前、ギルド【楓の木】会話ログより
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「すげー……ゴブリンの群れ、あっという間に溶けてくぜ」
ああ、俺は”クロム”ってしがない大楯使いだ。
何やらモンスタートレインを押し付けられたくせぇんだが、ゴブリンの群れに囲まれて万事休すかってときに助太刀と称して乱入してきた見たことのない……見た感じ”
印象としちゃあ、”人型の嵐”だ。
とにかく、やたらめったら手数が多い。
剣で切る、盾で殴るは分かるが、なんで手足で殴る蹴るであんなダメージが出るんだ?
「呆れるぐらい器用な”片手剣使い”さんねぇ~」
そうどこかのんびりした声を上げるのは、フレンドで生産職やってる女”イズ”だ。
一応、状況を伝えておくと、俺はイズの素材集め兼
「器用?」
「クロム、気がつかない? あの子、状況……特に”間合い”に応じて、次々に左手の装備変えてるのよ。多分、そういうスキルだと思うんだけど」
うぉっ!?
いや、本当だ。
遠間合いには投げナイフ(ありゃクナイか?)、近づけばショートソードだかダガーだかで変則二刀流で仕留めたかと思えば、時にはソードブレイカーでゴブリンの剣や槍を圧し折ったり、威力が大きい訳じゃないが魔法放ったり、なんつーか……やりたい放題だな。
あっ、クナイにあたったゴブリン、死に切ってないのになんか痙攣してる。
もしかして、麻痺毒とかも使ってるのか? あっ、ゴブリンの頭、移動ついでに踏み潰した。
(というか、まともなダメージを食らってない……?)
俺も盾使いの端くれ、見てれば分かるが「回避すべき攻撃」と「盾で受け止めるべき攻撃」の見極めや切り替えが、ありえん位にスムーズだ。
あと、剣や楯だけじゃなく体全体の使い方が、何というか上手い。
(つまりは、プレイヤースキルがおそろしく高いってことか?)
ただ一つはっきり言えるのは、
「アイツがマッチポンプでモンスターPKしたって訳じゃなさそうだな」
イズは頷き、
「そうね~。あれだけの腕前なら、私たちをキルするのに一々モンスターなんて使う必要ないもの。きっと、今の私たちなら二人がかりでも1分と持たないんじゃない?」
それに関しちゃ俺も全くの同意だな。
今回は、「クロムから見たシン」を中心に書いてみました。
名前だけですが、メイプルより先にサリーが登場するというw
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