シン・ザ・ソードマスターと呼ばれるまで戦ってみますかね ~炎帝ノ国の魔崩剣使い~ 作:炎帝ノ国を箱推しします
第01話:片手剣使いとサービス開始初日の初ログイン
VRMMO ”New World Online”
サービス開始初日
「プレイヤーネームねぇ……」
俺の本名は、”風祭 真一郎(かざまつり しんいちろう)”だから……
「”シン”でいいか」
安直だが。まあ、リアルでもあだ名の一つだし、聞きなれてる方が良いだろう。
武器は、とりあえず”片手剣”を選ぶ。
面白いのは、片手剣に分類される武器でも、「両手で握る」事ができる様だ。
要するに「片手か? 両手か?」は、装備時の占有スロットの問題のようなものだ。
例えば、刀は片手剣(片手装備)扱いだが、居合などを除けば基本的には両手で握るのが
逆に同じ刀剣類でも”大剣”カテゴリーなんかは、強制的に両手の装備スロットルを使う。
(確かに片手剣より大剣の方が攻撃力や耐久は高いし、攻撃を受けるなら簡易的な盾としても使えるらしいけど……)
とはいえ、片手の装備スロットルを
何を装備するか、メインウエポン以外は決めてないし。
「とりあえず、STR(攻撃力)は最優先に、次はAGI(速度)だろうなぁ」
そう俺は初期ステータスを割り振ってゆく。
基本的には、「STR寄りのやや速度重視なバランス型」だ。
まず倒せなければ話にならないし、剣の間合いは短剣と比べれば広いが、基本的に有効射程は短くその分、接近しなければならない。
なので攻撃力を第一に、相手の懐へ飛び込める速力もいる。
STRに関しては、武器や装備である程度は補える可能性があるっちゃあるけど、その肝心の武器や装備が手に入るかわからない。今のところは「捕らぬ狸の皮算用」だろう。
正直、HPやVITは実際に敵の強さが分からん以上、今から上げる意味はあまりない。同時にMPやDEX、INTも使うかわからんし。
なので、初期の100ポイントは半分をSTRに、残った半分うち35をAGIに、そして残る5つのステータスに3ずつ振り分ける。
個人的な主観だけど、何らかのステータスを0のままにしておくのは、あまりよろしくないと思ってる。
「何でもできるが特技や強みがない」器用貧乏になるのは避けるべきだけど、極振りは以ての外だな。
(やれることに制限が付きすぎる)
正直、器用貧乏のがまだ潰しが利くし、ステータスの途中方向修正もやりやすい。
(まあ、やりたいこととできることと得意な事が一致しないのは、リアルもゲームも同じだろうし)
それにこれから”未知の世界”を楽しもうっていうんだ。
最初から何もかも決めるのも無粋ってもんだろう。
ゲームの自由度が高いなら、逆にプレイヤーも振れ幅が大きい方が良いかもしれんし。
***
「へぇ~っ、街並みとかこんな感じなのか……めっちゃリアルじゃん!」
サービス開始初日からログインできたのは幸運って奴だろう。
いや~、個人的には俺のリアルラックって高い方だと思ってなかったけど、どうもそう悪くもない気がしてきた。
(はてさて、この仮想現実世界にはどんな猛者がいることやら)
俺がNWOのプレイを望んだ理由は単純だ。
現代ではできない、
”強者との命を懸けた死合”
を疑似的にとはいえ体験できるからだ。
俺ことプレイヤーネーム”シン”は、中学時代までは趣味で戦国時代に端を発する、無手だけでなく現代では数少ない打刀や手裏剣などの武器格闘も含む”とある古流総合武術(古式剣術)”の道場に通っていた。
しかし、親の仕事の都合で引っ越した先には、特に通いたいと思えるような道場……ぶっちゃけて言えば、武器を扱う和式武術を教えてくれるような道場はなかった。無論、通っていた高校にそんな血生臭い部活なんてあるわけもなく、ついでに言えば一応は進学校だったので、運動部は全般的に熱心な学校じゃなかった。
体を鈍らせたくなかったんで、代わりに部活に入らず通える距離にあった武器格闘を含むシラットやカラリパヤットの海外武術道場(何故かあったんだよな)に高校時代は通ってみたが、中学時代までの熱量で挑めた訳じゃなかった。
俺は特に武術の才能があったわけでもなく、そんなこんなで大学受験を迎えるころにはすっかり武への熱は下火となり、むしろハマったのは高校卒業と同時に車の免許をとった事によるドライブや、あるいは当時流行っていた「女子高生の緩いキャンプ物」の影響を受けた軽めのアウトドアだった。
だけど、そこそこの大学に進学して2年目の春を迎えようって時に、ふと目に入ったのは「画期的なVR-MMOが発売される」という告知だった。
言うまでもないけど、それがNWO、”New World Online”だったって訳だ。
プレイの自由度の高さと、「肉体感覚の再現度の高さ」が売りのゲーム……正直、痺れたね。
特にPK、もとい”PVP”の設定があることに強く惹かれた。
眠らせていた武への探求心が刺激されるぐらいには心が揺さぶられた。
”仮想現実世界でなら、現実では不可能な武ができるかもしれない”
そう思ったときには俺はNWOの予約を入れていた。
前評判の高さゆえに初回生産分は抽選となったけど、どうにか俺はそれを引き当てることができた。
普段はあまり仕事してるとは思えないリアルラックが、珍しく仕事したとも言える。
(後は、そのリアルラックがどこまで続くかだなぁ)
いつまでもあると思うな運と金ってね。
それを見誤ると綺麗に破滅フラグが立つのが世の中だ。
「とりあえず、道具屋でも探すか……」
初期の所持金で足りるかわからんけど、
「まずは最低限のポーションか、回復スキルくらいは持っておかんと」
基本中の基本だろ?
転ばぬ先の杖に、備えあれば患いなし。
冒険するなら冒険しない、リスクを可能な限り削る事が肝だ。
できる準備は全部して、万が一や予想外に対処できるようにすること。
それが長生きできるコツだと俺は思う。
シンは、わりとキッチリ物事考えてセオリーは押さえるタイプだと思ってます。
楽しさ最優先のエンジョイ派というより、割と堅実プレイ派。
基本を積み重ね応用に取り掛かり、段取りをしっかり踏んでゆく感じで。
ちなみにシンの本名は、言うまでもなく捏造ですw