シン・ザ・ソードマスターと呼ばれるまで戦ってみますかね ~炎帝ノ国の魔崩剣使い~   作:炎帝ノ国を箱推しします

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ミィは姫プレイとか好きじゃなさそうなので初投稿です。




第22話:片手剣使いと追いつきたい背中

 

 

 

「このチート野郎がっ!!」

 

「残念、チートは使って無いんだ」

 

 左手に逆手で握ったソードブレイカーで襲撃者のレイピアを絡め取り、

 

「そらよ」

 

”パキン”

 

 手首の返しとてこの原理で刀身をへし折る。

 

「お、俺のレイピアが!? ぐはっ!?」

 

 エモノが折られたからって硬直しちゃ駄目でしょーが。

 斬って下さいって言ってる様なもんだぜ?

 俺に遠慮する理由なんてないんだから。

 

 

 

(おっと、あの位置だとミィは見えてないな)

 

 景気よく炎の弾幕をぶちかましてたミィだが、どうやら死角からの接近に気づいていない。

 MP切れを警戒して早めにポーション呷るのは悪くないが、周囲の警戒がおろそかになっているのは減点だな。

 

「【カバームーブ】!」

 

 なんか久しぶりにこのスキルを使ったな。

 最近はイズとクロムとばっか組んでたから、この手のスキルを使うのはクロムに任せてたんだよなー。

 その肝心のクロムが、イズとミザリーの防御にかかりきりなのでは仕方ない。

 

 カバームーブは5m以内の味方の元へ瞬間移動できる便利スキルだが、発動後30秒間は被ダメージが倍加する。

 定石通りに【カバー】を補強に重ね掛けするが、

 

(だからといって、大人しく攻撃くらってやるつもりはないんだよっ!)

 

「【シールドアタック】」

 

 ミィと亀の甲羅みたいな盾と短槍を構えた襲撃者の間に割り込んだ俺は、攻撃を受ける前に予め構えていたバックラーでスキル付きのカウンターを入れる。

 与ダメージ自体は大した事はないが、軽いノックバックが発生し奇襲じみた攻撃のせいで相手の体勢が大きく崩れた。

 まあ、それを見逃す理由は無い。

 

「そらっ!」

 

 のけぞった状態であるうちに間合いが長い片手平突きで心臓の辺りを突き刺し、そのまま刃を横滑りさせる。

 珍しい形の硬そうな盾(もしかして”亀甲盾(ティンベー)”か?)ではあったが、構えが取れなければ意味はない。

 スキル【ガードブレイク】を使うまでもなく致命攻撃となり、相手はポリゴンとなり消えてゆく。

 

(クロムなら俺が一撃入れる前に立て直せるだろうが……)

 

 この辺はステータスというよりプレイヤースキルの差だろう。

 クロム曰く「大盾の扱いは難しい」らしいが、PK野郎はなまじ良い装備を持ったせいで、鍛錬(功夫)が足りてなかったんじゃないだろうか?

 レアっぽい装備だが、技量がアレじゃあ宝の持ち腐れだ。

 

 それとこの辺りはゲームならではなんだけど、武器の”鋭さ”や”耐久値”は数字的に下がっても、血脂で切れなくなったり(そもそも流血しないが)筋繊維が絡みついて切っ先が抜け無くなったりしないのがいい。

 まあ、突きで切っ先をぶっこんだ後に僅かに捻って、筋繊維の絡みつきを防いで空気を入れるって動作を不用とはわかりつつも癖でついしてしまうけど。

 

「シン、あ、ありがとう」

 

 ミィはちょっと驚いたように礼を言うが、

 

「いいってこった。警戒は怠らないようにな」

 

 とはいえ、30秒の被ダメージ倍加タイム(敵にとってはボーナスステージ)でダメージ食らいたくないので、左手の装備を鞭剣(ウルミ)にスイッチして、

 

「おらよっと!」

 

 見えない(正確には見えにくい)斬撃を、防御の薄そうな所に当てていく。

 今後の練習次第だが、不規則な太刀筋は使い方によっては悪くない手札になりそうだ。

 

 

 

***

 

 

 

 あっ、ミィです。

 一応、魔法職。

 長距離攻撃が苦手で、発動速度が早い魔法が使い勝手が良くて好きです。

 燃費は、あんまりよくないかも……

 

「炎弾! 炎弾! これももってけ爆炎!」

 

 種類の異なるワンドを構えて、次々に得意(だと自分で思っている)炎系の魔法を投射してるけど、

 

(やっぱりシンって凄いなぁ……)

 

 なんて言うか、視野が広くて動きに迷いがないんだよね。

 それに、いつも慌てることなく味方や敵の動きをよく見て冷静に判断している。

 私がどんなに魔法を放っても、まるで最初からその弾道がわかっているように絶対に射線に入らない。

 

(それに、さっきも助けられちゃったし)

 

 私がゲームを始めた頃は、いつもシンに助けられていた。

 シンの後ろをちょこちょこついて歩いていたのが、その頃の私だ。

 

 でも、先生……ミザリーが一緒にNWOをやってくれるようになって、このままじゃいけないって思うようになった。

 いつまでもシンにおんぶにだっこじゃ、何だか悲しくなってきた。

 

 私はきっと、シンの隣に胸を張って立ちたいんだと思う。

 だけど……

 

(その道のりはまだまだ遠いにゃぁ……)

 

 シンと別れて、私はそれなりに強くなったと思ってた。

 だけど、まだ全然足りない。

 勿論、シンに助けられる事が嫌なんじゃない。

 

(助けるのが当然と思われるのが嫌なんだ……!)

 

 助け合うのは仲間なら当然かもしれない。

 でも、一方的に助けられてばかりなのは、「対等な関係」の仲間じゃないよね?

 

 たかがゲームって笑われるかもしれない。

 シンはきっと、「気にすんな」って笑うんだろう。

 でも、

 

(”たかがゲーム”だからこそ、譲りたくないものがあるんだ)

 

 世の中には”姫プレイ”っていうのがあるってミザリーに聞いた。

 だけど、私は守られてばかりのお姫様なんて御免だ。

 

(もっと強くならなきゃ……!)

 

 シンに守られるんじゃなくて、シンに背中を預けてもらえるくらいに。

 いつか、

 

お前(ミィ)がいるから、俺は安心して切り込める』

 

 ってくらい言わせてやろう。

 追いつきたい背中は、まだまだ先にあるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




PKプレイヤーズとの戦闘、その中盤って感じでした。
このシリーズのシン、初期からバックラーを持っていた事と、早い段階でミィやミザリーと出会い、魔法職を守りながら戦う必要があった為に、割とシールド系のスキルを持っていたりします。


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