シン・ザ・ソードマスターと呼ばれるまで戦ってみますかね ~炎帝ノ国の魔崩剣使い~   作:炎帝ノ国を箱推しします

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今回から新章に突入となるので初投稿。



第3章 Road to 1st Event
第26話:片手剣使いと軽めのパーティー強化案


 

 

 

「クロム、琉球短槍(ローチン)使う気があるなら、今の穂先の耐久値や鋭さを回復させるより、いっそ交換した方がいいぞ? お前の場合、突き刺すだけじゃなく薙ぎ払いみたいな動作もするから、穂先は幅広の諸刃……笹穂槍か、いっそランデベヴェみたいな感じにした方が戦術の幅が広がると思う。薙ぎ払いを突き刺すって方向に割り切るなら、十文字型の穂先もありっちゃありだが」

 

 前にクロムが言っていた「大盾の扱いは難しい」って理由の一つは、明らかに「セット武装の短剣のリーチが短すぎる」ってのもなんだよな。

 大楯ってのは防御力は高いが大きく、防御から攻撃へスムーズに転じるのが見るからに難しい。

 ましてや短剣はリーチが短く、盾を片手で構えたまま届く間合いは非常に短いなんて二重苦だ。

 というより、相手がポールウエポンどころか刀剣でも盾で攻撃を受けた状態じゃ、短剣は届かないだろう。やるとしたら、盾で受け流して交差するような姿勢から刃を叩き込むくらいしかないんじゃないか?

 そりゃあ、扱いも難しくなるだろうさ。

 

 おそらくだが、大盾と短剣の組合せの元ネタは、我らが日本が誇る”機動隊”なんじゃないだろうか?

 ルパン三世の劇場版”カリオストロの城”の終盤の突入シーンにも出てくるが、埼玉県警の機動隊は防護盾と警棒で剣を持つカリオストロの衛兵相手にやり合っている。

 だが、個人携行する盾の文化が乏しい日本以外では、「盾と槍の組合せ」はギリシャのファランクスが示すように古代より戦場のワールドスタンダードだ。

 盾を構えたままだと相手に届かない短剣と、盾を構えたまま相手を突き刺せる短槍のどちらが使い勝手が良いかなんて考えるまでも無いだろう。

 付け加えるなら、短槍ってのが良い。

 密集戦で使うならともかく、個人が片手で使うなら取り回しやすい短い槍の方が有利だ。

 もっとも、一定以上の長さの槍は、両手武器扱いで大盾との同時装備はできないが。

 

「多少フロントヘビーにはなるが、そこは石突きを交換してバランスをとるなりだな。いずれにせよ、クロムの筋力(STR)なら多少重くなっても問題は無いだろうさ」

 

 

 

 俺、ミィ、ミザリー、イズ、クロムの五人でパーティー組んでPK集団を返り討ちにしたが、おかげで俺だけでなく全員の改善点が見えてきた。

 とはいえ、すぐにできることは限られているため、とりあえずできることからはじめようとこうして【イズ工房】に集まってるって訳だ。

 

 

「ミィは、見た感じ杖剣の刃を攻撃用のダガーとして使ってないみたいだから、いっそ俺みたいに刀身をソードブレイカーに変えるか? 防御メインならそっちの方が良いかもな」

 

 【NWO】の設定上、魔法発動体はスペルキャストする方向に向けるのが基本だ。

 だが、通常のワンドが先端部に魔法発動体が付くのに対し、杖剣(ワンドソード)は|柄頭、つまり切っ先の反対側に魔法発動体が付いている。

 俺とミィが杖剣を逆手に構えるのは、魔法を投射する時に発動体を対象に向けやすくするためだ。

 つまり、、剣としては逆手持ちだが、ワンドとして考えると順手持ちになる。

 

 しかし、ミィは杖剣を上手く使いこなせていない……は語弊があるな。

 魔法が使えない近接戦のシチュエーションでは、左手の杖剣は主に防護し、右手のメイスワンドでぶん殴って崩した所で火球をぶち込むってパターンが多かった。

 

 それも無理なからぬ話で、逆手持ちの刃で切ったり突いたりするのは、順手より間合いが短くテクもいる。

 刃物ではなく、危なくない棒状の物を順手と逆手で実際に持ってみると分かりやすい・

 敵が正面に居ると仮定して、切っ先を向ける動作をした場合のアクション、順手はやや手首を傾け腕をただ真っ直ぐ伸ばすだけでよいが、逆手は肘から先の腕を曲げて構える必要がある。

 そして、その構えから突きを繰り出すとすれば、順手は手を引き伸ばす直線運動で済むが、逆手の場合は肘からの回転運動にするか、あるいは切っ先を正面に向けたまま突っ込むかであり、また突きは順手握りで最大の射程を持つ剣技であるが、逆手の有効射程はそれよりもずっと短い。

 

 また”斬り”の動作も間合いは、順手>逆手になる。

 これも当然で、順手の間合いは腕の長さ+刃渡りだが、逆手は腕の構造上、ほぼ刃渡り分と考えていい。

 

 逆に逆手握りが有利なのは、上から下へ切っ先を振り下ろすアイスピックのような攻撃と、後は防御だ。

 確かに順手の方が動きの自由度は高いが、逆手の方が”受ける”場合は力を入れやすい。

 加えて、逆手で少し手首を下に傾けて欲しいのだが、そうすると腕と刀身の峰が沿うような形になると思う。

 つまり、受ける場合に左腕の肘から先を後ろ支えにできるのだ。

 無論、相手の衝撃が強ければ支える骨がイッてしまう場合もあるが、ガントレットを装着し、峰を腕に密着させるように構えると、かなりの衝撃まで耐えられる。

 

(ならいっそ、盾としての短剣であるソードブレイカーの方が有益な装備だと思うんだが……)

 

「シン、ソードブレイカーの使い方、教えてもらえる、かな?」

 

「ああ。それは全然かまわんよ」

 

 要は刀身に刻まれた櫛みたいな溝で敵の刃を絡め取るか、刺突しかない武器だし覚えることはそう多くはない。

 

「イズ、ミィの杖剣の刀身をソードブレイカーに交換する際、俺のみたいな十手型の鈎鍔じゃなくてしっかりとした護拳にしてもらえるか?」

 

「おっけーよ♪」

 

 俺はソードブレイカーも順手と逆手に持ち替えることがあるから護拳は邪魔だが、基本的に逆手オンリーになるはずのミィは、ガッツリ拳をガードできた方が良いだろう。

 やっぱり、ミィが受け損なって指飛ばすのとか見たくねーし。

 

「ミザリーの場合は、魔法長杖(スタッフ)の石突きの部分を刺突武器として使える尖ったパーツに変えた方が使い出あるかもな」

 

 基本、ミザリーのスタッフは最初からスタッフメイスとしての機能を持っているが、石突きの部分はどうしても打撃武器としては使いづらい。

 なら、そっちはいっそ「後ろから奇襲を受けた時に”咄嗟に突き出せる”武器」くらいに割り切った方が良い。

 幸いと言うべきか、石突きをスピアヘッドに交換したとしても、リアルと違って地面についたり石畳を引きずったりしても鋭さや耐久値が減ることはない。

 というより、おそらくは”武器としての使用”をしない限り、耐久値とかには影響が出ないのかもしれない。

 俺がかいつまんでそう話すと、

 

「いいアイデアね? イズ、頼めるかしら?」

 

「任せといて♪ それぐらいだったらすぐよ」

 

 

 

 そして、最後にイズなんだが……

 

「イズ、爆発物作るのって得意だったよな?」

 

「ええ。まあ、それなりにだけど」

 

手のひらサイズ……そうだな、野球ボールサイズ、大きくてもソフトボールサイズの球体爆弾って作れるか? 威力は至近距離の爆発でプレイヤー一人を消し飛ばせるくらいでいい」

 

「要するに手榴弾ってことね。作れなくはないわよ? ははーん。それを私の武器にするってことかしら?」

 

 イズが手榴弾なんて武器を知ってることは意外だが、

 

「いや、単純に投げつけるんじゃなくて、”ボーラ”って狩猟具知ってるか?」

 

「ぼーら?」

 

「えっとな……」

 

 要するに、ある程度の長さの紐の両端に錘を括り付けた物なんだが、これを回転させて遠心力を付けて放り投げ、獲物に絡みつかせるって使い方をするんだ。

 本来は鳥とかを獲る道具なんだが、インカ帝国などでは武器としても採用されていた。同じような効果を狙った武具に、分銅鎖なんかがある。

 

 要するに、錘代わりに手榴弾を使いワイヤーで連結、敵に絡みついたら爆発するって武器を作りたい訳だ。

 

「安全装置が解除されるのは、回転による円運動加速度がかかった場合、爆発するタイミングは絡みついて制動がかかった瞬間ってなら安全性を確保しつつ威力が期待できる」

 

「お、おまえって結構エゲつないこと考えるのな……?」

 

 いや、クロムさんよ。そこまで引かんでも。

 イズを見ろ。「なんか面白そうって顔してんじゃん?」

 

「イズはSTR値に頼らない攻撃手段が必要だからな」

 

 これなら基本となるのは爆弾の威力だし。

 

 

「あと仮称”炸裂ボーラ”は至近距離では使えない。なので、イズには近距離用に拳銃型(ハンド)クロスボウを矢を番えた状態でインベントリに格納し、必要に応じて【クイックチェンジ】で取り出し、撃ったらすぐ次の装填済みクロスボウに交換って戦術を提唱したい。イズはこの中の誰よりもDEXが高い。【クイックチェンジ】の交換速度も登録装備数も比例して多く、また投射/投擲武器の命中精度も高いはずだ」

 

 生産職に必須の”器用さ(DEX)”だが、実は戦術によっては戦闘面でも割と影響が出るステータスだ。

 例えば、俺がこの5人の中でイズに次いでDEXが高い(いや、イズには軽く倍以上の差をつけられてるが)理由は、【クイックチェンジ】の装備切り替え速度と投擲武器の命中精度は俺の生命線の一つだからだ。

 

「いいわね……その案、採用よ♡」

 

 妙に楽し気なイズ……いや、もしかしてヤバい物を生み出すきっかけを作ったか?

 

(まあ、強化になればなんでも良いか)

 

 俺が半ば思考を放棄すると、何故かくいくぃとミィに袖を引っ張られた。

 

「ねぇ、シンの強化プランは?」

 

 あー、それか。

 

「まずPKから剥ぎ取った”ミスリル・ライトアーマー”をイズにカスタムしてもらって、バックラーを強化して」

 

 LMカットラスはある程度の魔法耐性がある、つまり敵の魔法を切った場合のダメージ低減だけではなく、エンチャントにも同じ効果がある。

 

「魔法熟練度的に、初期の装備への属性付与(エンチャント)魔法とかギリ行けそうだから、そのスクロールを購入して、後は……」

 

 ミィの赤い髪を撫でて、

 

「ちょっと気になるスキルを見つけたんでな。それをゲットしようかと思ってる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




PK集団との戦訓(と戦利品)から、それを活かした強化プランって感じです。

まだ、この中の誰もユニーク装備とかは獲得できてないので、少しずつでもアップデートして、一歩一歩戦力強化をしていってるって感じです。



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