シン・ザ・ソードマスターと呼ばれるまで戦ってみますかね ~炎帝ノ国の魔崩剣使い~ 作:炎帝ノ国を箱推しします
ささやかなオリジナルスキルとかも出てきます。
「う~む。まさか最低ランクの回復魔法がきっかり初期所持金と同額とは、運営も分かってるなぁ~」
いや、むしろ最初の所持金で
現在解っている限り、HPの回復手段は雀の涙な自然回復以外は回復魔法かポーションしかない。(MPに関してはポーションだけだ)
他にも手段はあるかもしれないが、今のところ未発見だ。
かくゆう俺、”シン”もHP回復ポーション3本とヒールどっちを買うか迷った。
現状の俺のMPだとヒールは2回に届かないくらいで、1回あたりのHP回復量もポーションの方が上だが、
(しばらくソロプレイな事を考えると長い目で見ると回復魔法の方がお得っぽいんだよな~)
まあ、激しく戦うなら基本は回復魔法とポーションの併用になりそうだけど。
とりあえず、”始まりの街”から西にある「運営おすすめスポット」の森でレベリングと資金集めの真っ最中だ。
「よっと」
”きゅう”
そして、もう数えるのもバカバカしくなるくらい狩った「リンゴみたいなウサギ」を避けるついでに輪切りにしておく。
[SKILL]
【片手剣の心得Ⅲ】を取得しました。
[SKILL]
【百烈剣】を取得しました。
「へぇ~。どんなスキルだ」
【百烈剣】
効果:敵を剣で1体倒すごとにSTRが+0.1%上昇する。上限は100%。日を跨ぐとカウンターがリセットされる。
獲得条件:攻撃に1回も当たらず、敵を剣で100体倒す。
「おー、つまり1000体倒すと攻撃力が倍加すんのか。そして上限値まで行くと、それが日付変わるまで1日続くと」
悪くないスキルだけど、増幅幅は極めて小さい。どこぞの無双ゲーでも無ければ倍加は現実的じゃない。
実際、100体のリンゴ兎やその他の有象無象を狩るまで数時間は要してるし。
(このペースなら精々、1~2割上昇がいいとこだろうな)
レベルは10まで上がったが、まあ順調と言えば順調だ。
レベルが偶数の時にポイントの配布が行われることも分かった。
基本的に割り振りはSTR中心なのは変わらない。
例えば、Lv2に上がったときは+5Pされたが、STRに2、AGIに1は固定で、残る2は必要だと思う所に割り振っている。
その時は、
現状、雑魚と言えるモンスターとしか当たってないが、この先もそうだと思えるほど俺も気楽にはできていない。
(んっ?)
ふと聞こえる高周波のような音……俺は反射的に飛びのいた。
「チッ……」
そして、さっきまでの俺がいた場所に
「ハチ型モンスターかよ……」
それにしても、これまで狩ってきたモンスターに比べて格段に動きが素早い。
何より、空中にいるのが厄介だ。
(なんとなく、この森エリアの中ボス臭いが……)
おそらくは、今の俺のレベルでは強敵だろう。
だからこそ、
(よく見ろよ、俺……)
サービス開始初日で討伐不可のモンスターなんて、いくらなんでもこんな誰でも入れる場所に配置しないだろう。
ましてや「おすすめスポット」なんかに。
もしそうなら、運営は鬼畜が過ぎる。
***
「なるほど……」
回避に専念し、様子見をしていたところ、このハチは基本的に二つの攻撃パターンを持っていた。
一つは空中からの突撃、もう一つは尻にあるおそらくは毒液の射出だ。
共通しているのは、「攻撃前には刃の届かない間合いの空中で静止し、攻撃準備モーション(いわゆる”タメ”)を取ること」だ。
人間でも刀を振り下ろす前には振りかぶるし、拳を突き出す前には一端拳を引く準備動作がある。
これも同じことだろう。
(そして、滞空状態の時は刃の間合いには入ってこないか……)
こちらが、ジャンプ+斬撃で一太刀入れられそうな間合いに入ろうとすると必ずホバリングしながら後退する。
要するにこちらの攻撃が届かぬアウトレンジからの攻撃に徹するようにアルゴリズムが組まれているらしい。
(突進の時にカウンターを合わせるか……)
しかし、それもあまり成功率が高いとは言えないだろう。
ハチ野郎、突進中でも軌道変更が可能らしく、現に一度カウンターの斬撃がかわされている。
(となると……)
俺はちらりとハチ野郎のすぐそばにある木のオブジェクトを見やる。
(三角飛びの要領ならいけるかな?)
チャンスは、毒液射出のモーションに入った時だ。
突撃の準備動作に比べて、僅かにタメの硬直時間が長い。
(そこがチャンス!)
そして、待ちに待ったチャンスが来た!
「今っ!」
俺は木に短い助走付きの飛び蹴りを入れる様にして跳躍!
一瞬だけハチ野郎の上空を取る事に成功する!
自分に向かわず木に向かった事で、ハチは対応に混乱したのか視線を俺に向けたまま体をその場で回転させただけだ。
(やはり!)
予想通り、毒液は発射されない。
案の定、このハチは「空対地攻撃」しか想定されてないAIの様だ。
当然だろう。
現在のところ飛行スキルは発見されていない。
このハチのメジャーな撃墜方法は、おそらくだが突撃してきたときに格闘武器を合わせるか、上空に発射できる弓矢や投擲武器、あるいは魔法での攻撃だろう。
つまり、
(下から上への「地対空攻撃」の対処あるいは回避アルゴリズムしか持っていないだろっ!)
だから上空を取られた時は打つ手が無くなる!
「セイヤッ!」
”斬っ!”
勝負は一瞬だった。
幸い、ハチの耐久力自体は大したものではなく、一撃でポリゴンとなって消えた。
[LEVEL]
レベルが12に上がりました
[SKILL]
【跳躍】を取得しました。
[SKILL]
【
およ?
なんか新しいスキルが生えてきたな。
跳躍はジャンプ力強化、条件はジャンプで敵を倒すことかな?
軽勁は、中国拳法のそれと同じ意味なら身軽さの強化だ。多分だけど、トリッキーな動きで敵を倒すことだと思う。
パルクールや枝渡りがやりやすくなるのかもしれない。
これだけかと思ったら、
「ん?」
地面に何やら指輪みたいなものが落ちてるんだが……
[EQUIP]
【フォレストクインビーの指輪】を取得しました。
「ほうほう。VIT+6に10分で最大HPの10%回復か……悪くないじゃん♪」
どうやら、望外のレアアイテムのドロップらしい。
ポーション以外に所持金を使いたい現在の身の上としてはひじょーにありがたい。
これまでのドロップ品が、今のところは使い道がなさそうな素材や見るからに換金アイテムばかりだったから余計に嬉しいぞ。
「さて、そろそろ帰るか」
予定より稼げたし、街に引き上げようとしたが……
”がさっ”
(面白い)
ゲームでも人の気配ってするもんなんだな。
「へへっ! 兄ちゃん、良いアイテム拾ったみたいじゃねぇか?」
NPCではなくプレイヤー、
(出てきてるのは三人。隠れてるのが一人……おそらく魔法使い)
PKによるアイテム強奪とは……
(EXステージにしては気が利いてるじゃないの)
「先手必勝!」
俺は躊躇なく余計な山賊風口上あげている髭面の懐に飛び込み、
「がっ!?」
死角、股下から上へと刃を振り上げた!
「知ってるか? 狩っていいのは、狩られる覚悟があるやつだけなんだぜ?」
俺は振り上げた剣を返し、そのまま間抜けにも間合いに居た男の顔面に切っ先を突き立てた。
そして、ポリゴンに変化して消える頭から剣を引き抜き、
「狩るつもりで逆に狩られる気分はどうだ?」
このシリーズのシン君、割と血の気が多く好戦的です。
まあ、強者と出会うために、現実では出来ない強者と武器で
サリーあたりと話が合いそう。
次は出会いとか書いてみようかな?