シン・ザ・ソードマスターと呼ばれるまで戦ってみますかね ~炎帝ノ国の魔崩剣使い~ 作:炎帝ノ国を箱推しします
「……とりあえず、落ち着かないか?」
「ふぇっ?」
今にして思えば、俺はどうしてこの時に声をかけたんだろうか?
***
「あー、つまりログインはしたのはいいけど、何をしていいのかわからないと」
「はい……」
と赤毛の女の子。
とりあえず、声をかけた俺は手近なファンタジー風喫茶店へと女の子を連れ込んだ。
ちなみに俺、シンの所持金はここの代金で綺麗に溶けてなくなるだろう。
(モロに初期装備のまんまだなぁ。サービス開始初日ならそれも当然か)
「えっと、聞いておきたいんだけど、他のVR-MMOのプレイ経験とかある?」
あっ、首を小さく横にふられた。
(にゃるほど……ゲーム自体が初心者って感じか)
俺も初心者ってことでは人のことは言えないが、一応は他のVR-MMOの経験が0って訳じゃない。
まあ、殆どがすぐに飽きて長続きはしなかった……というか好奇心で買って1週間以内にどれも積みゲーになったけど。
「あー、そうだ。俺の名は”シン”。シンでいいぜ。さん付けはいらない。見ての通り、剣士を選んだ」
”シンさん”とか呼ばれるとなんか別キャラ、具体的には某貧乏旗本の三男坊(正体は、暴れん坊な将軍)っぽくなるし。
「”ミィ”、です。一応、魔法使い志望、です」
ふ~ん。魔法使いねぇ……
「なんで魔法使いを選んだかって聞いていいか?」
「えっと……」
赤毛の女の子改めミィは、魔法発動体らしい
「武器とかで、相手のすぐそばで戦うの、怖いから……」
「あー、女の子ならそういう理由もアリかもな」
俺は表情やら吐息やらが感じる距離の方が相手の挙動が分かりやすく戦いやすいが、そうじゃない人間もいるのも承知している。
女の子なら特にそうかもしれない。
「使いたい魔法とかある?」
「えっと……攻撃魔法で、炎系とかかっこいいかなって」
そういえば、タロットのワンドってのはトランプのクラブに相当し、四大元素の火を象徴するってどっかで聞いたことがあるな?
「う~ん。魔法使いの初期魔法だけでもいけなくもないけど、路線がそこまで決まってるならアイテムショップを覗いてみるのも悪くないな。多分、初期所持金でも買えるスクロールとかあるぞ?」
「えっ? あっ、でもお店の位置とかわからなくて」
「すぐに行くなら、それぐらい案内してやるが?」
「いいの?」
「袖すり合うも他生の縁って言うだろ? 同じ初心者同志、この程度の協力はするさ」
それは良いとして、
「ところで気になってたんだが、なんでワンドを選んだんだ? 魔法使うなら”
「えっと、ロッドって両手が塞がるでしょ? それに長いし、狭い場所とかだと取り回し悪いし……それに、ワンドは威力や射程が短い分、魔法の発動時間が短くて連射しやすいんだよ? それにMPの消費量も同じ魔法ならワンドの方がチョットだけ低いんだ」
要するにボルトアクションライフルと自動拳銃の違いみたいなもんか。
「へぇ~っ。その考え方は好きだな」
するとミィは驚いたような顔で、
「ふえっ!? すすすす、好きって」
顔を真っ赤にしてる当たりなんか勘違いさせたような気がするが、
「あくまで考え方がだぞ? 今日会ったばかりの女の子に好きとか嫌いとか言う感性は生憎とないし」
「わ、わかってるけど……男の人に面と向かて好きって言われたの、初めてだからびっくりしちゃった」
「えっ? 意外だ。なんかモテそうな感じなんだが」
なんか小動物系だし。特にあわあわした感じが。
「えっと……中学生の時からエスカレーター式の女子校です。ハイ」
「あっ、なんか納得。問答無用の説得力がある説明をありがとう」
(それにしても……)
今時珍しい……というか、
(ゼミの
アイツ、気に入るとパーソナルスペースの概念、頭から消えるみたいだからな~。
「んで、どうする?」
「えっ?」
「スクロール買いに行くなら付き合うし、なんなら魔法の試し打ちくらいなら付き合う時間あるぞ?」
「えっと、その……」
ミィはペコっと頭を下げて、
「よろしくお願いします」
これが、ミィとの出会いだった。
最初は、本当に可愛い感じだったんだぜ?
それがまさか後にあんなことになるなんて……この時の俺は思いもしなかったんだよなぁ。
という訳でシン、将来の炎帝とエンカウント。
ただし、彼女は雛鳥どころかまだ生まれたばかりの卵状態でしたw
それにしても、素状態のミィって可愛いですよね~♪