「…が…いが…大河!」
大河「…ん」
目を開けて擦ると、知った天井がある。
ベッドから体を起こすとそこには姉ちゃんがいた。
えりか「もー、遅刻するよ?」
時計を見るとまだ7時ちょい過ぎくらいだ、8時20分に出れば間に合うってのに…。
大河「大丈夫だよ、あと15分くらいは」
えりか「はぁ…全く。朝ご飯出来てるよ」
体をベッドから出すと、冬特有のえげつない寒さが俺の体を襲う。
あー、布団が恋しい。
えりか「私先に行くねー」
既に制服に着替え、持ち物確認を終わらせて、姉ちゃんは玄関へ向かう。
大河「今日なんかあった?」
えりか「今日先生から頼み事されてるから」
そう言って鏡の前で前髪を整えてから姉ちゃんは家を出た。
この家は俺と姉ちゃんだけしか居ない。浦原さんの情報によれば借金を作って俺達を売り飛ばして、その金で逃げ回っているらしい。
そこを助けてくれたのが尸魂界のみんなだった。
特に一護のじいちゃんと織姫のばあちゃんは、今でも世話になってる。金銭面はもちろんの事ながら、たまに現世に来て俺達の様子を見に来てくれる。
ぶっちゃけ幼い頃の記憶なんてほとんど無い…けど姉ちゃんには…。
大河「…やべっ!」
そんなことを考えていた最中、ふと時計を見ると8時を過ぎていた。さすがに時間が押している。
大河「あっぶねぇ…」
「ギリギリじゃない、どうしたの?」
大河「いやぁ、ボーッとしてたら危うく」
そこに居たのは凛とした少女だった。
「全く、早く座りなさい。HRが始まるわよ」
大河「おう…ってその割にはお前も髪の毛ボッサボサだな手塚」
咲「あなたの様なカンのいいガキは嫌いよ」
そう、そこに居た少女は俺の親友と呼べる人間であり…現セラフ部隊司令官の手塚咲だった。
HRが終わり時間が過ぎ去る。そして体育の時間が来た。
大河「今日こそ勝つ!」
咲「かかって来なさい」
と俺達は体育の競技で毎回の様に競っていた。体育の競技に限らずテストやその他諸々。
ちなみに今の所引き分けが続いている。
大河「マット運動なら負けねえ」
咲「ふん、威勢だけはいいわね」
バク転にバク宙、それから片手後転上げ…あいつ被せてきやがった…。
咲「…ふっ」
大河「よし、お前表出ろぉ!」
すると、一瞬油断したのか、咲がマットに足を引っ掛けて転んだ。
大河「お、おい!咲…だい、じょう…ぶッ!」
俺は笑いを堪えながら咲にそう言った。
咲「屈辱だわ…痛ッ!」
咲はそう言って足首を抑えた。
大河「ありゃりゃ、捻ったなこりゃ」
あの普段無表情で有名な咲が痛がるんだ、多分捻挫だな。
大河「先生!咲保健室連れて来ます」
そう言って俺は咲に肩を貸して保健室へ向かう事にした。
咲「屈辱だわ…」
保健室の前、野外に付いている渡り廊下を渡る。
厳しい寒さが俺達を襲った。
大河「こんな時くらい大人しく頼れクソ頑固め」
咲「…全く不愉快ね」
大河「よーし、ここから下ろしてやろう」
俺は咲を担いで渡り廊下の外へ追い出そうとした。
咲「ちょ!それは冗談にならないわよ!」
大人しく咲を下ろして俺は保健室に向かう。
大河「ふっ…」
俺はなんだか楽しくなって、一瞬吹き出してしまった。
咲「何よ急に…気持ち悪い」
大河「いや、こんな時間いつまでも続けばなって…あとキモイは言い過ぎだろ」
咲「キモイとは言ってないわよ、気持ち悪いって言ったのよ」
大河「はぁ?キレそう」
咲「ふっ…けどあなたも分かっているでしょう?」
すると咲が1人で歩き出し、咲の体操服が軍服へと変わって行った。
大河「…分かってる。そろそろ起きなきゃだよな」
すると俺は目を覚まして、いつもの宿舎の天井が目に入ってきた。
目を擦ると少しだけ湿っていた。
大河「…今日もやりますか」
これは、俺の昔の夢…キャンサーが居ない平和な世界の…ひと時の幸せな夢だった。