このハザ   作:ひつまぶし太郎

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今回は軽い下ネタ注意です。



第三話。アクシズ教のここがすごい

 

 

近所の子と仲良くなったり。

 

 

『我が名はあるえ!紅魔族随一の作家にして、いずれはベストセラー作家になる者!どうだい少年。私に君の体験をくれないか?』

 

 

『誰かー!ここに痴女がいますよ!』

 

 

『待ちたまえ!私はただ、作家的な興味で取材に協力して欲しかっただけだ!』

 

 

『えっちなインタビューとかするんだろ!大人のビデオみたいに!』

 

 

『やめて!待って!明日から里にいられなくなる!ミステリアスなお姉さんぶってみたかったんですごめんなさい!』

 

 

紅魔の里の学校の図書館で知識を蓄えたり。

 

 

『建国王≪ベルセルグ・スタイリッシュ・ソード・アーサー≫?はあ?あの脳筋騎士団長が?』

 

 

『まるで知り合いのようにいうんだね?彼は科学が発展したノイズにて肉体のみで一騎当千の実力を示した騎士団の長さ。なんでも彼らの中でもエリートな騎士たちは1人で国家の軍隊と対等に戦えたそうだよ。レベルは500』

 

 

『誇張にも程があるだろ!あの騎士団なんか国で一番の科学者が、異世界ファンタジーと言えば騎士団だと思う、とか適当に言ったから、科学者になる素質のないバカが集められた掃き溜めだぞ!“魔法?そんなことよりバトルしようぜ!”とか“了解…トランザム!”とか言っちゃうようなクソバカ集団だったんだからな!』

 

 

狩りで手に入れた肉料理を振る舞ったり。

 

 

『しゃあおら!僕の腕にかかれば食い扶持くらい簡単に稼げんだよ!』

 

 

『兄ちゃんすげー。食べていい?』

 

 

『待ってこめこちゃん。その鹿の黄金の毛皮は傷が一つでもついたら一瞬で普通の鹿のと大差ない代物になっちゃうから!必死で鹿の瞳だけ射抜くとかいう絶技が無駄になっちゃうから!』

 

 

『いただきまーす』

 

 

『おああああああ!せめて火は通そうか!生肉は危ないから!ちゃんと料理してあげるから!』

 

 

『うめえ』

 

 

長かったような気もする紅魔の里での生活も一度切り上げて、僕は明日から駆け出しの冒険者たちが集うという【はじまりの町 アクセル】に向かうことにした。

正直、ノイズの国民性が垣間見える彼らとの暮らしはとても楽しかったが、ここだとレベルが足りなくてまともに活動できない。

 

 

「いつでも来なさい。歓迎するよ」

 

 

「鹿のステーキ美味しかった!またね!」

 

 

「私の娘がアクセルにいるから何かあれば頼ってください。私に似て背が高くて胸の大きい美人だから、すぐに分かると思いますよ」

 

 

紅魔族の人たち、特にひょいざぶろーさん一家に暖かい言葉と共に見送りの言葉をかけてもらった時は不覚にもホロリと来てしまった。

見送ることはあっても、見送られるような経験は数少ない。暖かいなぁ。

 

 

ちなみに移動手段はお金がないのでテレポートを使うことなく徒歩だ。

 

えらく心配されたが、まぁ大丈夫だろう。

レベルが下がったとはいえ、ここ一週間で僕に染み付いた不死の呪い…もとい、刻印の呪いが健在なのは確認済みなのだから。

 

 

それにいざとなればトレントに全力疾走してもらえばいい。

ルーンベアとエビでもない限り、僕の愛馬はずきゅんどきゅんと走り出して逃げ切ってくれる。

ルーンベアだと降り切れないし、エビはビームで狙撃してくるから無理だけど。古竜のブレスより速いってホントなんなんだよあいつらは。

 

…ルーンベアによるジェットストリームアタックはデミゴットすら地に伏すことになる最強最悪の災害だ。

 

霧の森で三匹の熊に襲われて、そこからひたすら逃げるようにストームヴィル城を目指した結果、その駆け抜けた道中にいた兵士や巨人、あとなんか城前で絡んできた良くわからない忌み鬼っぽい人も全てルーンベアたちにによって引き殺され、最終的にドラゴンと合体したゴドリックが瞬殺されたのを僕は覚えている。

 

 

本当にこっちの世界にいなくてよかった。

 

 

 

 

 

 

遺灰のはぐれ狼に斥候してもらいながら、ヤバそうなら擬態のヴェールでやり過ごし、獣は獣避けのお香を染み込ませた布地を身に付けることで遠ざける。

 

 

完璧な作戦だな!と、調子に乗っていた僕の前にそいつらは現れた。

 

 

「ショタベーゼ隊長!見つかりません!」

 

 

「おかしいわね?ここら辺でいい男の臭いがした気がしたんだけど…」

 

 

三匹のオークだ。

緑の肌を持ち、モンスターにしては人間に近い容姿をしている。

あくまでモンスターにしてはだけど。

 

そして、メスしかいない。

 

 

「まだ遠くには行ってないはずよ!くまなく探しなさい!」

 

 

「「ラジャー!」」

 

 

この知識は紅魔の里の学校の図書館で調べたものだけど、ノイズがまだあった頃は、オスがたくさん居て、女騎士の天敵とされていた種族だった。

 

それが今やオスは全滅し、メスだけの種族になっているとは。

時代の流れを感じるなぁ。

 

…こんなので時代の流れ感じるの嫌だけど。

 

 

常に強いオスを求め、強姦によって子孫を反映させている異常性欲集団。捕まったが最後、巣穴に連れ込まれ男として生まれてきたことを後悔しながら死んでいくと言われており、魔王軍にすら所属しない孤高で高い武力を持つ集団という意味ではある意味紅魔族と近しいのかもしれない(暴言)。住んでる場所も近いし。

 

 

さて。

彼女たちが目の前にいるせいで動けないが、どうにか隙を見て逃げる必要がある。

でないと僕の冒険はここで終わってしまう。

とはいえ完璧に木に擬態してる僕が見つかるはずもないから、諦めるのを待ってもなんとかなるだろう。

 

 

「───見つけた」

 

 

だが、世界はいつだってこんなはずないことばっかりだ。

ショタベーゼとかいう名前のオークの目が、木に擬態しているはずの僕の目を見て笑っている。

 

世界っていつもそうですよね!私たち人間のことなんだと思ってるんですか…!

 

 

「こんにちは!今日はステキな日ね。花がさいてる、小鳥たちもさえずってる...こんな日には あなたみたいなオスは、わたしたちのすあなにくるべきよ!」

 

 

「待ってくれ…!他の男性がどうなってもいい!何度だって犯してくれ!だけどまだ十歳の僕のことだけは…!」

 

 

「ふふ、ダ・メ。さぁ、脱ぎなさい…」

 

 

「待てって言ってんだろ!…くそが、死んでも御免だ!」

 

 

僕は鞄から取り出した壺を、三匹のメス豚に投げつけ、呼び出したトレントに飛び付くようにして逃走を開始した───!

 

 

僕は止まんねえからよ…。

だからよ、止まるんじゃねえぞ…。

 

 

 

 

 

 

 

あのあと、オークたちが再起動する前に水の都アルカンレティアに滑り込むことができたのは、なけなしの僕の幸運のお陰だろうか。

 

いや、睡眠壺さんのお陰だな。

材料のトリーナのスイレンの入手が、霊クラゲのクララに一日一本分けてもらうか、たまに生えてるやつを拾うしかない貴重な素材なだけあって、睡眠壺はとても強力だ。

 

昔、材料を消費しないトリーナの剣っていう便利な物もあったんだけど、携帯性を考えて鍛冶師のヒューグの爺さんと一緒に限界まで挑戦した拍子に、ポッキリと折れてしまった。

 

 

『おいおい爺さんよぉ?持ち運びやすくしてくれとは言ったけど直剣の柄レベルの短小にしてくれとは言ってねーぞ!』

 

 

『ふん、あんたには相応しいだろう?どうせ自前の剣も短いんじゃからのぉ!』

 

 

『はぁぁぁ?僕のはあれだから!臨戦態勢になったらグレートソードレベルのご立派さまだから!てめえの枯れ木よりましなんだよ!』

 

 

『物を知らないってのは悲しいなぁ?儂のはその昔、神殺しとまで言われて───』

 

 

『嘘つけ!』

 

 

 

そんな醜い責任の押し付けあいをしているうちにトリーナの剣の戦技が暴発。

円卓の部屋すべてに薄紫の霧が充満し、二日間、大祝福に居た全員が眠りから覚めないという事件に発展した。

 

 

あの時、ギデオンにめっちゃ説教されたな…。

 

今思うと、大祝福が眠りに包まれたことじゃなくて、一足先に目が覚めた僕が、寝ているギデオンのケツに血の薔薇をぶっ指して、『血便ww』とか言ってわざわざ祝福に連れてきたセルブス教授(傀儡)と一緒に爆笑してたのが気にさわったのかもしれない。

 

でも娘さんも結構笑ってましたよ。

なんか鷹の遺灰あげた時より元気になってたし、城の主になってからも思い出し笑いしてたくらいにはツボに入ってたんだからな。

 

 

「───アクシズ教!アクシズ教をお願いします!」

 

 

「アクシズ教に入れば芸達者になれるしアンデッドモンスターにモテモテになれますよ!」

 

 

「この石鹸なんと!食べれるの!」

 

 

それにしても、ここアルカンレティアにいるアクシズ教徒たちはとてもいい空気を吸っている。

水の女神アクア様を信仰している宗教の総本山だからこんなテンションな訳ではなく、彼らはデフォルトでこんな感じだ。

 

人の話を聞かず、悩みなんてないみたいな顔をしていて、宴会が大好き。

ロリコンにショタコン、オーク専にドララー。

どこにも受け入れてもらえなかった幅広い性癖をした変態達と知り合うことができるアクシズ教。

いつもみんなが笑顔でアットホームな宗教!

 

自分を偽ることに窮屈さを感じるなら、入信してみるのもいいだろう。

僕は遠慮しておきます。

 

 

そんなことを考えて、彼らをぼーっと眺めていると、いつの間にか背後に一人のシスターが近づいてきていた。

 

「おおっとそこの幸薄そうなあなた!アクシズ教に入りませんか!?先っちょだけ!先っちょだけだから!ああ!ショタっ子の本気の嫌がる目!堪らないわ!」

 

 

「あ、こら!ベルトを掴むな!触るな撫でるな!つーか幸薄そうは余計だ、ほっとけ!」

 

 

「あ、ずるい!私もする!」

 

 

「憲兵さーん!」

 

 

 

 

 

 

「どうぞ召し上がれ」

 

 

騒ぎを聞き付けた憲兵さんにふたりの女性信者を押し付け、とりあえずこっちの世界に来た目的のためにもアクシズ教の教会には顔を出しておくか、と足を運んだのが三十分前。

 

 

「エプロンつけたショタっ子……。素晴らしい…」

 

 

「ショタっ子の手料理を食べれるなんて…!今日は何ていい日なんだ!感謝しますアクア様!」

 

 

入信希望者と勘違いしたアクシズ教徒たちを黙らせるために、僕は教会のキッチンで、料理を振る舞っていた。

 

メニューはシチューとパン。

パンはエリス教徒たちがしていた炊き出しから奪ってきたものらしいが、僕はなにも知らない。

 

知らないということにしておこう。

 

 

「はぁ…オークといい、今日はマジで気持ち悪い大人にしかあってない気がするな」

 

 

「おや、それは大変苦労した様で。ですが捨てる神あれば拾う神あり。今晩この教会の一室を貸し出している我々には、もっと気を許してもいいんですよ?風呂や食事も自由にしていただいても構いません」

 

 

「そりゃありがたいけどテメーとは風呂に入らねえから」

 

 

話しかけてきた白髪の混じったおっさんに釘を指しつつ、僕も席に座る。

 

このおっさんはゼスタといい、アクシズ教の最大司祭であるアークプリーストだ。

つまりは最もろくでもないアクシズ教徒というわけだ。

 

言い過ぎだと思う人がいるかもしれないので言っておくと、この人はモンスターでも男性でも女性でも、悪魔とアンデッド以外すべてを性的に愛する変態だ。

性的な博愛主義者で、実力は人類最高峰とかいう。

しかも実力だけではない。

特殊から一般まで、このよのあらゆる性癖の見本市みたいなアクシズ教の中で、年に一度開催される性癖バトルの優勝者でもある。

何だよ性癖バトルって、とか突っ込んだら負けだ。

これをろくでなしと言わずして何と呼ぶのだろう。

 

 

ただ、先ほど教会に来たときに群がられていた僕を助けてくれた恩人でもあり、相談にものってもらったので無下にしづらい。

そういうとこだけは、聖職者らしい。

 

相談事は解決しなかったし、事あるごとに僕の尻に手を伸ばしてくるけど。

 

 

うーんやっぱり、ご神体と話つけないといけないかぁ。

とはいえ女神が地上に落ちてくるなんてあり得ないし、望み薄か。

最悪信者になるしかないかもしれない。

 

 

「それは残念です…。ところで、一宿一飯のお礼として勧誘方法について考えてくださるという話はまとまりましたか?」

 

 

「それ手料理振る舞ったんじゃダメなんですかね」

 

 

「ほっほっほ、ダメ」

 

 

そう、僕は一宿一飯のお礼として勧誘方法を考えなくてはいけない、ということになっていた。

なんでも以前その条件でこの教会に泊まった少女がいたらしく、今回もそうしようと言うことになったらしい。

 

くそ迷惑な。

誰だよその少女は。

 

 

「…じゃあほら、あれだ。あの食べれるとかいう石鹸あるじゃん」

 

 

「ほうほう?」

 

 

「あれを作るときに使う水を、シスターの湯汲みに使った残り湯にしてるって言ってみるとか」

 

 

僕が口にした途端、食堂が急に静まり返った。

怖い。

 

 

「や、やっぱり詐欺になるしやめ「やはり天才ですか…!素晴らしいですね!では早速私が最大司祭として湯を汲みに」」

 

 

「うおおお、天才だ!天才が現れたぞ!」

 

 

「ゼスタ様に続け!」

 

 

「やめやめろ!言うだけだっつってんだろ!石鹸はそのままでいいんだよ!」

 

 

 

興奮して立ち上がった、女湯に入りたいだけの男たちをなんとか押し止めきった僕は、誰かに誉められてもいいんじゃないだろうか。

 

久しぶりに、後先考えずに言葉を口にする怖さを僕は思い出した。

ひどく疲れたし、明日にはここを出るとしよう。

 

ちなみに石鹸は、『女湯の残り湯』を再利用するという謳い文句なのに、実際は『男湯の残り湯』を使っているという、助平なやつだけを殺す悪魔的なトラップになったらしいが、これは断じて僕のせいではない。

きっと。

 

 

 

 




最後まで読んで頂き誠に有難うございます。
毎度毎度のクオリティですが、誰かの暇つぶしになっていれば幸いです。

ちなみに、作中に出てきた「一宿一飯のお礼として勧誘方法を考えた少女」とはめぐみんのことです。
このすばスピンオフの爆炎2巻の話にあたります。
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