このハザ   作:ひつまぶし太郎

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本当にいつもありがとうございます。

今回、本編の2話に加筆した部分が少しだけ登場します。
そして、番外編主人公は別ルートを進んだTSヴァンさんなので、もし興味をもって頂けたなら番外編もよろしくお願いします。
三話になればヤンデレ?悪女のセレン師匠も登場します。


※元第十七話。 『120点の女』が長すぎたので、分割しました。


第十七話。じこはおこるさ

 

 

里につき、実はめぐみんやゆんゆんに送られてきた手紙は、時候の挨拶やらなんやらが悪魔合体した結果らしく、魔王軍幹部が里の近くに軍事基地を作ったのは事実だが、特にピンチではないらしいということがわかった。

 

知ってた。

 

そんなこんなで。

あるえに恥をかかされたから会いに行くというゆんゆんと別れ、紅魔族たちによる魔王軍の蹂躙劇を尻目に移動した先は、妙に新しくて若干豪華な新築。

 

 

「母や貴方から聞いていましたが、本当に新築になってますね」

 

 

そう。

僕にとっての始まりの場所であり、そもそもがめぐみんの実家である。

 

 

「有り金全部むしられたけどな」

 

 

「そこはまぁ…貴方が破壊したからですし」

 

 

「それはそう。でもまぁ客室も増えてこの人数でも泊まれるから結果オーライだろ」

 

 

そんな話をしながら玄関の前に立ち、カズマさんに背負われためぐみんがドアをノックする。

 

出てきたのはこめっこちゃんだ。

 

 

「ようこめっこちゃん。君の姉ちゃんが男をひっかけて帰ってきたぜ!」

 

 

僕の挨拶にこめっこちゃんは驚いたように目を見開き、息を大きく吸い込むと。

 

 

「おとうさーん!お姉ちゃんが逆ハー主人公みたいな感じで帰ってきた!」

 

 

「僕を含めないでくれ!」

 

 

「誰ですか!私の妹に変な言葉を教えたのは!」

 

 

 

 

 

あのあと僕たちは普通に出てきたひょいざぶろーさん夫妻に家にあげてもらい、カズマさんが『お前(うちの娘の)なんなんだよ!』と問い詰められる一幕はあったものの、ある程度落ち着いた空気となっていた。

 

そして、そんな空気を切り裂くようにして、ゆいゆいさんが爆弾をぶちこんだ。

 

 

「そういえばカズマさんの借金の方は大丈夫なのですか?うちの娘と一緒になるのは、せめて借金を返されてからにした方が…」

 

 

「一緒になるって何の話をしてるんですか!ただの友人ですよ!」

 

 

と、反論したカズマさんだったが、どうやらこれまでのセクハラはすべてめぐみんが手紙で報告していたらしい。

具体的にはぬるぬるにしたり、寝てるめぐみんのパンツを覗いたり、めぐみんの猫にパンツを見せてとってくるように訓練していたり…。

 

全部見たことあるなぁ。

むしろ下着を床にぶちまけて泳いだエピソードがないぶん、マシであるとさへ言えた。

 

 

「おいそのロリコンとはマジひくわーみたいな顔をやめろ!」

 

 

「えー?そんな顔してないでござるよ」

 

 

でも実際カズマさんって幼い女の子のことになると急に早口になるよな。

正体見たりって感じだな?

 

 

「あらあら、そういうヴァンさんはあれからちゃんと自立してますか?アクセルでホームレスしてるって聞きましたけど」

 

 

「いやそもそも一国の主なんで僕…」

 

 

めぐみんの野郎。

親とのやり取りに僕のことを書いていたのは本当だったのか。

僕はてっきり、『めぐみん列伝』とか『爆裂魔法しか使えない私が無双すぎる件について』みたいな内容しか手紙に書いてないと思ってた。

 

あとでジュースでも奢っておこう。

うん。

 

 

「橋の下のですか?奥さんに養ってもらってるばかりじゃダメですよ?」

 

 

「ちーがーいーまーすー!おいカズマさん!ヒモとかマジひくわーみたいな顔をやめろ!」

 

 

「いやいや?そんな?顔は?してませんよ(笑)」

 

 

むかつくううううう!

 

 

「そもそも稼いでる金はカズマさんには及ばないけど、言うて僕だって国のクエストやら姫様の護衛とか黄金竜の討伐とか!いろいろやってんだよ!そこで稼ぎの話になった途端、顔を伏せたあんたの旦那とは違うんだよ!」

 

 

「待ちたまえ!稼ぎがよくても人間の屑だったらダメだろ?その点ワシは人格はマトモだ!君たちにうちの嫁よりいい女が捕まえられるかね?」

 

 

「はーいいますぅー!そこのハーレム気取りの童貞キングとは違うんですぅー!」

 

 

「おいこないだからずいぶんと俺の童貞をいじってくれるじゃねえか!何よりハーレム気取りってのが一番むかつくぞ!」

 

 

「「「………。負けてたまるか!」」」

 

 

 

 

 

 

 

「はーいご飯ですよー」

 

 

 

結局三つ巴の醜い争いは勝者なしで終わりを告げた。

早々に言い争いに負けそうになったかしこさワースト一位の僕が、拳で二人を黙らせ、ノーゲームになったからだ。

 

虚しい…。

なんて虚しいんだ。

 

僕は虚しさを誤魔化すようにキッチンで超大量のパスタを作りあげた。

たかがパスタと言えど、お代わりも考えて少し多めに用意した八人前は普通に多い。

大皿に全員分まとめておいてある絵面はなかなか暴力的だ。

 

 

「「おおお~っ」」

 

 

とはいえ、こういうのはやはり楽しい。

他人の笑顔が僕の手でも産み出せる、料理というのはやはりいい。

 

僕はちゃぶ台からきちんとしたテーブルに進化しためぐみん家の食卓にお皿を運びながら、そんなことを思った。

 

 

「おい!何満足気に笑ってんだ!さっきのえぐいカンチョーはなんだ!お陰で死んでもないのにエリス様と会うことになったぞ!」

 

 

「コラ!皿を運びながら耳を塞ぐな!落ちたらどうする!」

 

 

聞こえない聞こえない。

 

 

 

 

 

 

次の日。

カズマさんがめぐみんの寝込みを襲おうとしたとか言う話があったが、別に興味がなかったので僕は里で「謎施設」と呼ばれている、ノイズ国の遺跡…もとい研究室あとに足を運んでいた。

 

 

「んーやっぱ落ち着くなぁ」

 

 

自動ドアやクリーンルームを抜け、すでに壊れてしまった機械の上に腰かけてぼーっとしているだけで、なんとなく昔に戻れた気になれるので、紅魔の里を離れる前は毎日のようにここに来ていたのを覚えている。

まぁ何だかんだ、故郷が滅んだと言うのは僕のなかでなかなかの衝撃だったのだ。

ホームシックになるのも仕方ないね。

 

 

ちなみに機械の側には紅魔の里付近で潜伏していた爆殺魔人もぐにんにんとかいう変な名前のモンスターとして定義されてしまったロボットの残骸や、服屋が物干し竿に使っていたレールガンなどが無造作に積まれている。

 

小さな部屋に収まるこれだけの物が、今やノイズ国の特色を残す物品だ。

 

 

「百年かぁ…」

 

 

正直僕にしてみれば五年しかたっていないので、こんなに風化してしまうほどの時間が立っているというのは実感がわかない。

 

 

「さーて。過去に浸る少年ごっこ終わりにしてどっか遊びにいくかー」

 

 

ちょっとセンチメンタルになってしまった気持ちを吹き飛ばすべく、僕はその場を後にした。

じゃあなんで来たのかって?

 

なんか…あれじゃん。

過去に浸ってるとかっこいいかなって。

あと、ちょっと回収したいものがあったからだ。

 

正直ノイズに思い入れは特にないです。

時間戻れる装置ねーかなーって適当にいろいろ集めてただけだし、部屋も薄暗いし埃っぽいし好きじゃない。

 

 

 

 

 

 

しっかり施設に戸締まりをして、里の観光をしていたというカズマさんと合流してしばらく。

なぜか魔王軍幹部と僕らは対峙していた。

 

 

「どうしようカズマさん。今武器ないんだけど、あいつに触れたらダメな気がする」

 

 

嫌な予感というやつだ。

 

 

「はあ!?そもそもなんで魔王軍の襲撃が頻繁にある場所で武器持ってきてないんだよ!」

 

 

「怒らないでくださいね。町中で武器持ち歩く男ってバカみたいじゃないですか?」

 

 

「バカはお前だよ?」

 

 

ほんとにどうしようか。

 

 

「魔術師殺ししか持ってねえ」

 

 

「なあ、その蛇みたいなでっかい鎧なんなの?さっきから気になってたけど」

 

 

「これはほとんどの魔法が効かない対魔法使い用の兵器だよ。紅魔の里から買い取ったから、より高い値段でダクネスさんか国王に売り付けようかなって」

 

 

僕は族長から三百万円でこの兵器を買い取り、施設から運び出していた。

 

売るなら一億とかだろうか。

国の要人を守る鎧の素材としては破格の性能を誇っているし、まず間違いなく欲しがるだろう。

 

 

「おい転売は悪だぞ!」

 

 

「いいだろどうせこれ僕の国のもんなんだし!実質唯一の生き残りの僕のものみたいなもんなんだから!」

 

 

「…!つーかそれで殴ればいいじゃん!鈍器になるだろ!」

 

 

「なるほどなぁ!」

 

 

僕は魔術師殺しを両手でつかみ、魔王軍幹部へと殴りかかった───!

 

 

 

 

 

 

 

「あははは!ありがとう坊やたち!私の名前はシルビア!兵器だろうが人間だろうが触れたものと一体化する能力を持つ、グロウキメラの魔王幹部よよろしくね!」

 

 

「よろしくしねえよ!あああ!カズマさんのバカバカバカ!これやばいやつだって!」

 

 

「うるせえ!走れ走れ!とりあえず距離を離さないとどうにもならん!」

 

 

僕たちは魔術師殺しと融合し、蛇のような下半身となった魔王軍幹部シルビアから全力で逃走していた。

 

触れたらアウトはチート過ぎない?

というか、魔術師殺しを取り込まれたことよりも、このあと僕が取り込まれるのが一番ヤバイ気がする。

魔法が効かない不死身の化物はもう人類が負けるだろ。

 

 

「狙撃っ!狙撃ッ!狙撃ィッ!!」

 

 

僕が担ぎ、カズマさんが狙撃すると言う形で逃げてはいるが、いっこうに事態はよくならない。

 

というか、カズマさんの狙撃が何一つ効いてない。

 

 

「カズマさんのへなちょこ」

 

 

「おいやめろ。俺だってちょっと気にしてるんだよ!」

 

 

命中しているのに、シルビアは防御をしようとすらしない。

カズマさんの矢は別に魔法攻撃ではないから、シンプルにシルビアの防御力を越えられていないのだろう。

 

 

「カズマさんのそれ…!その腰についてるちんちんかしてくれ!」

 

 

「あらぁ?あなたたちそういう関係?なら私も混ぜてちょうだい!」

 

 

「チュンチュン丸だよ二度と間違えるな!」

 

 

「どうでもいいよそんな短小の名前なんて!」

 

 

カズマさんの腰から刀風の短剣を無理矢理引き抜いたところで、僕たちを押し潰そうとシルビアの尻尾が振り下ろされた。

 

 

だが、触れた瞬間から吸収が始まるほんの一瞬よりも短い刹那。

剣の閃きが攻撃を弾き返す。

 

 

「でも武器がなあ…」

 

 

僕の手にあるのはカズマさんの腰から無理矢理引き抜いた刀風の短剣。

銘を《ちゅんちゅん丸》といい、なんとも頼りない軽さをしている。

だが、この状況では贅沢を言ってはいられない。

 

 

「さあ、勝負だ!」

 

 

 




今回も最後まで読んで頂き誠に有難うございます。
正直ランキングにのるような他所様の作品を見ているとクオリティの差で恥ずかしくなってしまうのですが、今後も皆様の暇つぶしとなれるように頑張ります。

あと、昨日スパイダーバースを見てきました。
最高でした。

よろしければ評価や感想、ここすき等して頂けると作者が喜びます。
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