世界には、色んな話が多数ある()   作:ストレスたまるん

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 書き方の安定がものすっごい悪く、何やら倦怠期くさい感じがしているため、無理やり叩き起こすためにも安定性を増すためにも練習の為に書いていこうと考えた結果、短編集が出来てしまった…


恋愛弱者と(真)恋愛弱者

 

 

 

 

 遥か昔、ある騎士は言った。

恋愛に、壁も障壁も身分も金も出生も殺意も通用しない、と。

 

 また別の騎士は言った。

恋愛とはすなわち、絶頂である、と。

 

 世界各地で今なお戦争だ侵略だ探索だ跡継ぎだ夢探しだとまるでお祭りのごとく忙しない中、辺境の地であるこのバータレ地方の小さな居城の城壁の上で、私はまるで縁側に座るご老人の如く青い空を眺めながら、恋愛ってなんぞや、と考察していた。

 

 そも恋愛とはなんだろうか。

男女が次第に惹かれ合い、結ばれる王道ストーリーの類義語?

男女がツンツンしながらも惹かれ合い、結ばれる王道ストーリーの類義語?

はたまた満面の笑みを浮かべ、私の肩を抱き、ここに百合の園を作ろう(意味深)とほざいた知り合いの騎士のように、女性同士がチョメチョメする側道ストーリーの類義語?

 

 分からない。

産まれてこの方20年は経っているが、今だに恋愛のれすらも触れれていない自分には全く持って理解できない領域であり、基礎すらもどれが基礎なのか分からない。

 私みたいな人間を世間では恋愛弱者()というらしいが、なるほど確かに。恋愛経験が無い私は文字通りそうなのだろう。

 

 両親という身近な例があるが、彼らはダメだ。

母は私に会う度に――

貴方、フィンは貴方にそっくりよ。これでは晩婚を通り越して未婚のまま人生の幕を閉じてしまうわ、と父を責めるように睨みつけ、一言一句間違わずに同じ文言を繰り返すし、父は――

俺のせいで…あぁ、済まないフィン、君を恋愛弱者にしたのは俺の遺伝子のせいだ!

と地面に跪き、まるで大地を叩き割る勢いで何度も地面を叩き、号泣する。

 

 両親ですらこの有様で匙を投げる。

予め言っておくが、私の両親は貴族ではあるものの、自身が治める土地の民達からは慕われている珍しいタイプの貴族だ。

そして恋愛結婚である。

父が当時町娘であった母に一目惚れし、長い道を得て結婚したそうだ。

なお父が自分を責める訳は、父本人が私と同じく、恋愛に興味が『無かった』人らしかったそうで、それが遺伝してこうなったと思っているらしい。

そういうものなのだろうか。

 

 話を戻すが、そんな王道の一つを行き、ものの見事に終着点に到着した彼らですら私を見ては嘆き、謝罪の言葉のみで匙を投げるのだ。

恋愛について学ぶ機会は皆無と言っても過言ではないのだろう。

だが恋愛を知る機会が完全に無いわけではない。

例えば両親以外にもご教授をしてもらうのにうってつけの人が居る。

 

それが――

 

「ふふっ、ここに居たんだね、フィン」

「団長」

 

 肩くらいに揃えられた黒髪を小さく靡かせ、噂をすればなんとやらを体現するかの如く登場した団長こと、ミュラー団長。

 切れ長の目に、ルビーのごとく紅い瞳。長身であり、同じ女性なのかと疑問に思うほど美形と言われるその人こそ、まさに恋愛をご教授していただくのに相応しい人だと私が思っている人だ。

 その理由としてまず挙げられるのが彼女がものすごく大きな貴族の一人娘であり、現当主だからだ。

この時代、貴族は権力を強めることに勤しむ事が多く、それが一般的だ。

特に彼女のような貴族の中でも王族と言っても過言ではないほどの大きな貴族となると、それはより顕著となるらしい。

 らしいというのはそういった貴族を超えた規模の貴族は本当に極小数しかおらず、またそういった人達の内情などの情報は一切出回っていないからだ。

聞いた話だと、通常の貴族が最も注視するような立場や権力、血統を見るのではなく、自身の家系が将来的に発展するかどうかを見据えての厳選をするんだとか。

将来発展するのであれば誰でも良い、という厳密に言えば違うかもしれないが貴族には珍しいフリーな恋愛が許されている彼女であれば恋愛の基礎たるものを私に教えていただけるだろうと思い、私はうってつけだと考えているのだ。

 

 だが一つだけ疑問がある。

なぜか団長に恋愛のことを聞こうとすれば団員達がこぞって現れ、いやあの人はあかんでしょ、と私からあの人を引き離していくのだが、あれは何故だろうか。

やはり私も貴族出身と言えど規模で言えば弱小だからだろうか…そう言われると確かにそうだなとしか言えないのだが。

 

 まぁ良い。幸い今は団長以外誰も居ない。自慢ではないが武術に対しての経験や知識は豊富だ。

だから周辺に誰か居れば直ぐに分かる。

団長だけは時折突然現れるため、読めないが、そこは団長だからだと考えておくのが良いだろう。この人は強いから。

 

 さて、まずは何を聞くべきか。

やはりまずは恋愛の基礎たる、誰か好きな人は居ますか? からがベストだろうか。

この質問は親しき者同士がする定番のものらしいが…私は団長と親しいのだろうか。

 

 ふと団長を見る。

 

「ふふっ、なんだい? 何か聞きたいことでもあるのかな?」

 

 美しいお顔と、低くも女性特有の柔らかな声音。

優しく私を見つめるその眼は普段から見せる優しい眼差しだ。

 

 行けるか? 行けるだろう…うん、行ける。

よし、聞いてみよう。

 

意を決し、私は聞いてみることにした。

 

「団長、つまらないことを聞きますが、よろしいでしょうか?」

「うん? なにかな? なんでも聞いてくれ」

 

 よし、行くぞ。

 

「団長には想い人はいらっしゃいますか?」

「………」

 

 聞いた。聞いてやったぞ。ようやくあの美しき団長に聞いてやった。

団員達から幾度もの妨害を受け、聞く機会を失ってきた私はようやく恋愛についての学の一歩目を踏み出せたと心で狂喜乱舞する。

 

「団長?」

 

 だがそんな私の心とは反し、団長は切れ長の目を大きく開き、キョトンとしたまま固まってしまった。

不安に思った私はゆっくりと、団長の肩を掴み、揺すった。

 

「……はっ!! いや、すまないね。突然のことで少し考えてしまったよ」

「いえいえそんな! 私こそ突然このような質問をしてしまい申し訳ありません」

 

 どうやら私の質問は団長の何かに触れてしまったようだ。

団長は変わりなく、普段通りに私に笑みを送ってくれるが、どうもぎこちない。

顔も少し紅潮しているし、もしかしてお怒り気味なのかもしれない。

 

 やはりいくら私に良くしてくれると言えど、親しき仲にも礼儀ありというように、大貴族だからこそ言えないこともあるのだろう。

 

 些か踏み込んだ質問だったかと考えた私は座っていた城壁から降りると団長に向かって謝罪する。

 

「団長、すみません! 私としたことが、些か踏み込んだ質問をしてしまいました!」

「え? あ、いや、そんなことはn――」

「少し頭を冷やすために走り込んできます! では!」

「あ、ちょ――」

 

 私はやはり愚か者だ。

親にも匙を投げさせるほど恋愛について無知なくせに、あろうことか大貴族である団長にあんなことを聞くとは…不覚。

 

 私はそのまま兵舎へ向かうと鎧を着込んだ。煩悩に満ちた脳を冷却するために。

 

「さぁ、走るぞ。愚か者にはこれが相応しい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「笑え、お前ら」

「いや団長……笑えないですって」

「笑え! いっそのこと笑ってくれ!! この愚かで愚鈍な馬鹿女を!!」

「団長!! お気を確かに!!」

「あの娘を見て稲妻のような衝撃が走り、この娘こそ、我が生涯の妻! と思い、何度も何度も振り向いてもらおうとした! いや、しようとしていたのにっ!!」

「団長! お気を! お気を確かにぃぃ!!」

「私が初なせいで尽く好機を棒に振ってしまったっ!!」

「あ~あ…また荒れてんのか団長」

「らしいぜ? また失敗だとさ…これオッズどっちに傾くよ」

「いや傾くも何も、だいぶ前から変わってないだろ」

「おいお前ら! 団長を止めるんだ!」

「何が大貴族かっ! 何が団長かっ! 何が女かっ! 惚れた人に立ち向かっていけぬ愚かな女など、ゴミ以下のチキショウ以下だぁぁぁぁぁ!!」

「あぁぁぁぁ!! 団長、テーブルを叩き壊さないでぇぇぇ!! おいこら! お前らも止めるの手伝え!!」

「無理っす」

「右に同じ」

「貴様らぁぁぁぁ!! あぁぁぁぁぁ!! 団長おやめくださいぃぃぃぃ!」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 







フィン

ミュラー率いる騎士団の一人。
昔騎士達による演習を見て、騎士になることを夢見た結果、見事に騎士の仲間入り。
可愛い見た目に反し、実力はものすごいの一言で男性顔負け。天賦の才があった様子。
ただしソレ以外は壊滅的。家事? 火事のことかな?
今は恋愛について学ぼうとしているが、尽く失敗している様子。
ある意味では恋愛弱者。
団長がマジで狙っているのだけど、彼女の恋愛弱者っぷり(笑)に団長が毎度痛い目(心的な意味で)に合っている。





ミュラー

団長。
絶世の美女と謳われれるその姿からは想像できないほどの武芸に長けた人。
自身が大貴族の出身であり、現当主でもあることから恋愛は家系を更に大きく繁栄させるための手段でしか無いと見ていた。
が、そこに現れたのがフィン。
なんということでしょう。団長はフィンに一目惚れしてしまい、地獄の始まりのゴングがなってしまった。

今まで育ってきた環境故か、本気ものの恋愛弱者。
フィンの前ではいかにも余裕があるまるで恋愛強者のごとく宝塚美女のような猛々しく勇往かつ優雅に振る舞っているが内心は常に温度1000度超えのオーバーヒート状態。
爆発しないのが不思議。
いつか実る日がくればいいけど。




団員達。

ミュラーとフィンがくっつくかどうかで賭けをしているある意味で馬鹿たれな有能が部下たち。
今のところのオッズは1:9で圧倒的差。
どっちがどういうオッズなのかは察するべし。

なお、団員達が言った、いや、あの人はあかんやろ、との意味は、フィンに惚れてる上に超初だから聞くだけ無駄、という意味。





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