ぼくは    作:ガンダムラザーニャ

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繋げる命

ナカマが死んだあと、ナカマの遺体はコエムシによって片付けられ、次のパイロットが選ばれた。

 

モジだ。

 

彼は動揺することも嘆くことなく、ただパイロットに選ばれた自分の椅子を見つめていた。

 

だがそれでも、自分が死んだあとのことで、田中には病院の手配を、コエムシには戦いが終わってから死ぬ前にその病院に自身を転送させるようにと指示していた。

 

何でも病気となってる友達に心臓を提供するためだそうだ。

 

モジは元々身寄りのない孤児で、二人の友達と一緒に孤児院で暮らしていたらしい。

 

ナギという少年と、ツバサという少女だ。

 

幼い頃より三人一緒でいた仲だったらしい。

 

成長するにつれて、ナギとモジは、ツバサのことを女として意識するようになったらしいけど、ツバサはナギに好意を抱いていたらしい。

 

だがナギは去年に、治すのが難しいとされる心臓の病気にかかってしまい、移植手術を受けないと助かる見込みがないと言われたのだという。

 

余命一年の宣告だったらしい。

 

そこで、僕のパイロットになったモジは密かに、ドナーの同調率を調べてもらったらしく、その結果、世界で数万分の一の確率とされるフルマッチと呼ばれるものだと判明し、ドナーの登録をしたという。

 

だから、僕のパイロットになったことは、少しでもツバサに好意を向けられるナギに嫉妬した自分への罰であり、自分のやるべきことなんだと、そう言っていた。

 

病院の近くの公園のベンチで、モジは腰を掛けていた。

 

その顔には死に対する恐怖心もなければ、悲しみもなかった。

 

ただ凪いだ海のように穏やかであった。

 

『…君は死ぬのが怖くないのか?モジ』

 

「んっ?あぁやっと話しかけてきてくれたのジ・アース」

 

『君は今の僕のパイロットだから、こうして話しかけることだけはできるよ。

 

あくまで話しかけるだけだけど

 

…それよりも、自分が死ぬとわかってるからとはいえ、まさかドナーを登録してたなんて』

 

「ドナーに関してはちょっとした思いつきで調べてもらっただけだよ。

 

もしかしたら、僕の心臓はフルマッチかなって。

 

そしたら案の定そうだったって、それだけのことだよ」

 

『でもだからって、こんな。

 

自分の死を潔く受け入れるなんて、尋常じゃないよ。

 

…少なくともカコは、彼は自分が死ぬことを受け入れられなくて、暴走してしまったんだから』

 

今でも覚えている、パイロットになった彼のことを。

 

ただでさえ、勝っても負けても死ぬ上に、僕に乗って戦わないで48時間経過すれば世界が滅んで死ぬ。

 

それを知らされた上でパイロットに選ばれてしまったんだ。

 

何度も声を掛けても聞く耳持たず、ただ恐怖に錯乱し、死から逃げようと必死だった。

 

話し掛けることしかできない僕は、彼を何とかしてあげたかった。

 

少しでも恐怖を和らげあげたかった。

 

何なら、一刻も早く契約を解いてあげたかった。

 

でも、何もできなかった。

 

戦う前に死んでしまった。

 

自棄になってチズに襲いかかって、その彼女に気絶させられて、その間に敵からの攻撃により、瓦礫に埋もれて死んだ。

 

気絶した彼が目を覚ました時には、瓦礫が目の前まで降ってきていた。

 

彼は、その時にどのような気持ちで死んだのだろう。

 

恐らくは、目を覚ました直後だから何もわからないまま死んだかもしれないし、恐怖に包まれたまま死んだかもしれない。

 

もし後者ならば、それはあまりにも残酷すぎる。

 

だって結局、最後まで彼は死を受け入れることができなかったのだから。

 

そんなことを考えてると、モジは静かに口を開いた。

 

まるで僕の思考を読み取ったかのように。

 

「…カコに限らず、皆怖いさ。

 

僕も怖い。

 

でもそれ以上に、僕にはやるべきことがあるとわかったから、だから耐えられたんだよ。

 

僕は君のせいで死ぬんじゃなくて、戦いに勝って、ナギに心臓を提供して死ぬ。

 

…ふっ、やるべきをやって死ねるなら、むしろ本望かな」

 

『モジ…』

 

モジの言葉を聞いて、少し安心できた気がする。

 

少なくとも、この少年は死に怯えながらも、それ以上の覚悟と気高い精神を持ってることがわかったからだ。

 

「…と、僕の身の上話はもうしたし、次は君と今の内にちゃんと話をしたいな」

 

『え?』

 

「前々から気になっていたんだ。

 

ジ・アースの動力源は生命力、戦闘からのタイムリミットは48時間。

 

戦闘に勝てばパイロットの生命力は君に吸収されて死ぬ。

 

戦闘に使った分は動力源として消費されてるけど、使わなかった分はどこに吸収されるのかなって」

 

確かにその疑問はある。

 

僕の原動力となる生命力が一体どこに行ってるのか。

 

それが知りたいのは僕も同じだ。

 

『それに関しては、僕にもわからないんだ。

 

多分だけど、僕の中のどこかにあるんだと思うんだけど……』

 

「それなら、意識してみるのはできる?

 

あと、片付けられた皆の遺体がどこにあるのかとか」

 

『わかった、やってみる』

 

僕は自分の体に意識を集中する。

 

ダイチが死んで体が転送された時に、僕の体の、コクピットとは別に最も防御された場所に安置されたのを確認したことがある。

 

あの時は一瞬だったし、こうして自分の意志でそれを探すの初めてだ。

 

これまでの皆の生命力がどこにあるのかを探すのもそうだけど。

 

するとすぐに特定できた。

 

例の確認した場所に、これまでの皆の遺体が安置されていた。

 

コダマ、カコ、チズ、ダイチ、ナカマの遺体だ。

 

皆の死んでからそれなりに時間が経ってるのに、ここはまるで時間が止まってるのか、綺麗な状態で保存されていて、まるで今さっき亡くなったみたいに見える。

 

それにしても、ここにいた全員の遺体をこんなところに保管していたなんて……。

 

カコに関してはあの時瓦礫に埋もれたこともあって、損傷は他の皆と比べてかなり酷いことになっていて、痛々しい。

 

ワクの遺体がないのは、恐らく葬儀で運び出されて火葬されたからだろう。

 

とにかく、ワク以外の皆の遺体はここに保管されてて、死んだ当時のままの状態を維持していた。

 

『…コクピットとは別だけど、物凄く硬く防御された場所に、皆死んだ当時のまま時間が止まった状態で保管されてるみたいだ』

 

「そうか。

 

じゃあ、使われず吸い取られた生命力は?」

 

『待って、今確認するから』

 

僕は再度意識を集中させ、これまでの皆の契約が切れると同時に、生命力を吸い取った時の感触を思い出しながら体中を意識して探す。

 

僕の胸部、その内部にあるコクピット周辺を囲うようにそれらしき6つの玉を見つけた。

 

光のような、あるいは霧のようなものが漂っていて、その中にそれぞれの契約者の魂が見えた。

 

そしてその中には、やはりワクもいた。

 

ワクだけじゃない。

 

チズ、チズの子供、ダイチ、ナカマ、コダマのものもあった。

 

カコは戦う前に死んだから、そこにはなかったけど。

 

『見つけたよモジ。

 

胸の中にあるコクピット周辺を囲うように、これまで戦ったパイロットの魂が保管されてる』

 

「やっぱりね。

 

どうやら僕達の戦いは、僕達が思ってる以上に重いものだったらしい」

 

『それはどういう』

 

「使われなかった魂が保管されてるってことは、きっと別の用途に使われるために置いてあるんだと思う。

 

それがどんなものかは、流石に分からないけれど。

 

でもそれは、君という存在が生み出された意味でもあるかもしれない、ジ・アースとしての君のね」

 

『僕の、生み出された意味…』

 

確かに、それは気になる。

 

敵と戦うためにいるのに、勝てばパイロットの命を吸い取って保管するなんて、まともな考えでできる訳がない。

 

ただ勝つためなら、わざわざそんなことをする必要がない。

 

何かしらの意味があるはずだ。

 

僕の、ジ・アースの存在の意味が。

 

でもそれはまだわからない。

 

恐らく、コエムシなら知ってるかもしれないが、そのことを素直に話すとは思えない。

 

「そのことはまだわからないからあまり触れられないけど、使われなかった皆の生命力とこれまでの皆の体が保管されてるなら、もしかすると、できるかもしれない」

 

『できる?

 

何のことを言ってるの?』

 

「あくまでも憶測だけど、もしかすると、これまでパイロットになった皆を、生き返らせることができるかもしれないんだ。

 

使い方次第では、だけどね」

 

『えっ!?』

 

僕は思わず驚きの声を上げてしまう。

 

まさかそんなことが本当にできるのか。

 

『そんなことできるの?』

 

「わからない。

 

でも、もしかしたら、君の中に、その方法があるのかもしれない。

 

例えば、君の中で彼らの肉体に生命力を保存を注ぎ込むとか。

 

空いてるコップに、液体を入れるようにね」

 

『僕が、皆の体に……』

 

「あくまで可能性の話だよ。

 

…それに、仮に皆が生き返るとしても、僕は良いから」

 

『えっ、何で』

 

「僕は戦いに勝ったあとで心臓を提供して死ぬんだ。

 

心臓のない遺体は生き返らせれないよ」

 

『確かにそうだけど、それじゃ君は』

 

「言っただろ?

 

僕は君のせいで死ぬんじゃないって。

 

ドナーとして、ナギに心臓を提供して死ぬんだ。

 

だから、気にしないで」

 

『……わかった』

 

彼の気持ちを尊重しよう。

 

僕が彼を死なせたくないと思ってるように、彼もまた僕のことを気遣ってくれてるんだ。

 

その気遣いを無下にするわけにはいかない。

 

「と、もうそろそろ面会にいかないと。

 

これがナギとの最期の会話になるかもしれないし」

 

『そうだね』

 

時計を見て病院の中に入るモジ。

 

パイロットに選ばれた以上、いつ戦いが始まるかもわからないし、文字通り彼にとってはこれが友達との最期の会話になるかもしれないから、言えることは全て言うつもりなのだろう。

 

病院の中を通り、ナギがいるという病室へと向かうと、ベッドに座りながらダンボールに荷物を入れる少年がいた。

 

そんな彼にモジは声を掛ける。

 

「ナギ」

 

「…?あぁモジか!

 

俺、転院することになったんだ。

 

急だから、ちょっとバタバタしててさ」

 

「…そうか」

 

ちょうど荷物の整理を終えて横になる、ナギと呼ばれた少年の隣の椅子に座るモジ。

 

「国防医大病院だって、少しでも設備の良い病院で見てもらったほうが良いって、先生が。

 

…治るわけじゃないけど」

 

「治るよ、きっと」

 

半ば諦めの表情を浮かべる彼に、モジは布団を掛けてあげる。

 

「モジ、俺さ」

 

「うん」

 

「ツバサが好きだ」

 

「うん」

 

「三人でずっと一緒にいたいなんて言ったけど、ツバサは優しくしてくれるだろう?

 

そうすると、自分の気持ちが抑えられなくなるんだ」

 

「…ナギ、その気持ちを、必ずツバサに言え」

 

「え?」

 

「それがツバサのためにも、僕のためにもなるから」

 

彼の言葉に、まるで鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、天井を見上げる。

 

「…お前からそんな言葉が出るとは、思わなかったよ」

 

そこへ、移動用のベッドを持ってきたナースが来た。

 

「さぁ、行きますよ」

 

「あぁはい!

 

モジ、転院先の病院は森さんに聞いてくれよ」

 

「あぁ…」

 

移動用のベッドに移され、彼が病室を出た直後にモジの体は転送された。

 

それも、病室を出た瞬間、ナギがモジに何かを言おうと口を開く前にだ。

 

恐らくは、転院先の病院について、ツバサも知らないだろうから聞いたから伝えておいてくれってことなのかもしれない。

 

だが、もうモジにはそんなことすらできなくなった。

 

これが正真正銘、最期の会話だったのだから。

 

コクピットに転送されてから、皆が見守る中、モジはナカマが遺したユニフォームに袖を通す。

 

「田中さん、病院の手配ありがとうございました」

 

「超法規的措置として、あなたの心臓は必ずそのお友達に移植されることになったわ。

 

だから頑張って」

 

「はい、これで心置きなく戦えます!」

 

『本当にいいんだね、モジ?

 

彼は、君が田中を通して病院の手配をしたことと、君自身がそのドナーだってことは、何も知らなかったみたいだったし』

 

「うん、良いんだ。

 

下手に伝えて罪悪感を抱かれるよりも、こっちの方がきっと良い」

 

『そう……』

 

「それより、これからが戦いだ。

 

僕は必ず勝って、ナギにこの心臓を提供する。

 

だからジ・アース、僕に君の力を貸してくれ」

 

『……わかったよ』

 

「よし、それじゃ行こうか。

 

僕たちの戦いに」

 

コクピットのモニターが展開し、周りの風景が見える。

 

そして目の前に僕たちが戦う敵がいる。

 

青と黄色で分割されたキノコ頭に、片腕に巨大な鎌を持ち、片腕にはコクピットらしき小さな玉がついた、四本脚のロボットだ。

 

「さーて、どんなやつなんだ…」

 

「何が得意で、何ができるのか」

 

「ん…?」

 

皆が敵の動きに警戒をしてる中、モジはあるものに目を向けた。

 

滑走路がある場所だ。

 

「あんなところに、飛行場が」

 

「何てところ?」

 

「さぁ」

 

「…ここは知らない街です」

 

「国防軍のヘリが来てない。

 

前にもこんなことが」

 

「…っ、動いた!」

 

皆が周りの光景に違和感を覚える中で、敵が動いた。

 

何と、青と黄色に分かれたキノコ頭と鎌が前後に分割され、二本足で左右に分裂し2体になる。

 

それに伴い、コクピットらしき玉が螺旋状に絡まった腕が2本になって繋がれる形で2体の間にぶら下がる。

 

『何だと』

 

「分かれちゃった…」

 

「あいつら、2体なのか?

 

それとも2体で1体なのか?」

 

「コエムシどうなの!?」

 

「ま、普通敵は1体だな」

 

「じゃあ、こいつの急所も一つってことか」

 

「そういうことだろうよ」

 

「…コエムシ、前から聞きたかったけど、敵の急所って念じればどこにあるのかってわかるの?」

 

「知りたきゃやってみろよ」

 

「わかった」

 

「えっ、でもジ・アースの急所がわからないのにそんなこと」

 

「それはもうジ・アースから聞いたからわかってるよ」

 

モジは僕を通して思念を送り敵の急所を探す。

 

だが、どこにあるのか見つからない。

 

「…何だか、靄が掛かったみたいでわからないな」

 

「そりゃあそうだろうよ。

 

敵が自分の急所を相手に知られたくないから、お前の思念が届く前に妨害してるんだろうよ」

 

「テレパシーを妨害できるのか!?

 

モジ、あの真ん中の玉が急所じゃないのか?」

 

「斬ってみる!

 

あそこが急所なら、簡単に決着がつく。

 

仮に急所じゃなかったとしても、左右どちらかが倒れるはずだ!」

 

モジは僕の体を動かし、敵に近付く。

 

そして例の玉目掛けて僕の腕が振り下ろされる。

 

しかし、玉に繋がってる腕が硬くて、中々斬れない。

 

「くっ!」

 

「早く!」

 

『モジ、頑張れ!』

 

紐みたいな腕がたわんで中々斬れない。

 

手こずってる内に黄色い方の敵の鎌が、僕の左脇腹を貫いた。

 

「うわっ!」

 

「やられた!?」

 

「モジくん大丈夫?」

 

「はい、大丈夫です。

 

ジ・アースも大丈夫?」

 

『大丈夫だ、どうやらこの体には痛覚がないみたいだからね』

 

貫かれてる間に、ようやく玉を破壊した。

 

僕の左脇腹を貫いた鎌が引き抜かれる。

 

しかし。

 

「え?」

 

『なっ、どういうことだ?』

 

信じられないことに、玉を破壊しても2体とも動いている。

 

むしろ繋がりがなくなったことでより広い範囲を動いて僕を左右から挟み込んだ。

 

「両方生きてる!?

 

切り離したはずなのに!?」

 

「急所は?こいつらの心臓じゃないのか?

 

心臓から、エネルギーが供給されてるんじゃないのか!?」

 

「ふっ、簡単な話だよ」

 

と、動揺する関にコエムシがそんなこともわからないのかとばかりに説明を始めた。

 

「こいつらのエネルギーは空間を伝うんだよ。

 

だから切り離されてもこうして動けるんだ」

 

「何だって?」

 

「コードレスかよ」

 

「こんな巨体のエネルギーが、空間を伝うはずないだろう!?」

 

「コエッ、ちょっと都合良すぎない!?」

 

「こいつらをお前らの常識で測るな。

 

…あとお前さっきから生意気だぞ!」

 

「あはは…」

 

でも、この状況はまずい。

 

真ん中の玉はブラフだったんだ。

 

物理的な繋がりを斬ったことで、エネルギーも空間を伝うから、逆にやつらに動ける範囲を広げてしまった。

 

左右から挟み込んだ敵はそれぞれで鎌を構えてくる。

 

「挟み打ちにする気か」

 

「でもジ・アースの腕だって強力よ!」

 

「うん、当たればね」

 

『でもどうする?

 

二手に分かれてしまった以上、どちらかに急所があるはずだが、どちらかを攻撃して、外してしまったら最後…』

 

「それこそ、一巻の終わりだね」

 

どちらに急所があるのかと考えてる間に、敵は左右から近付いてくる。

 

やがて攻撃できるところまで近付くと、青い方は鎌で自分の体を守る。

 

「えっ、何?」

 

「あっちは自分の体を守ってる?」

 

「じゃあ、あっちが急所!?」

 

「待って、もしかしたら罠かもしれない」

 

『くっ、一体どうしたら』

 

「いや、これならきっといける」

 

モジは僕の両腕をクロスさせて、胸を守るように押さえた。

 

『モジ、でもこれは…!』

 

「ジ・アースの急所は胸…。

 

そこを守ってるってことは」

 

「どうしよう、今ので敵に急所がバレちゃった」

 

「おい防戦一方じゃ勝てないだろ」

 

「いや、モジくんは賭けに出たんだ」

 

「…まさか、ロボット相手に、心理戦を仕掛けるって言うの?」

 

「さぁ、どうする?」

 

敢えて僕の急所をバラす形で防御に入ったモジは、敵の出方を見ていた。

 

すると、黄色い方の敵が鎌を振るい、僕の頭を切り飛ばした。

 

『…!』

 

「頭が吹っ飛んだ!?」

 

「大丈夫だよ」

 

痛みはないし、急所じゃないから何ともないけど、自分の頭が吹っ飛ぶ様を見せられるなんて思わなかったな。

 

でもこれで、敵の本体はわかった。

 

「君が本体なんだろ?」

 

頭がなくなった僕が振り向いて、黄色い方の敵は一歩足を後ろに下げた。

 

「疑り深いやつめ!

 

まともに攻撃してこないやつが、急所だ!!」

 

黄色い方の敵の胴体を、僕の腕が貫いた。

 

それと同時に、左右に別れたキノコ頭の信号が消える。

 

腕を引き抜いたと同時に、2体とも後ろに倒れた。

 

そこでモニターが消えて、元に戻る。

 

「…ふう」

 

「すごい…」

 

皆がそう言う中で、コエムシが面白いものが見れたとばかりに笑いながらモジの前に来る。

 

「ヒッヒッヒ!

 

今回は面白いものが見れたぜ!

 

ご褒美にお望み通り転送してやるよ!」

 

「勝てた代わりに、また一つ気になることが増えたよ」

 

ユニフォームから学ランに着替えながら、モジは言う。

 

「敵が僕の心理戦に嵌ったってことは、少なくとも敵は機械じゃない。

 

僕たちと同じく、心を持った生き物なんだ」

 

「それって、どういうこと?」

 

「ごめん!僕もう行かなきゃ!

 

…じゃあジ・アース、後のことは君に任せるよ」

 

『…あぁ、さようならモジ。

 

君のことは忘れないよ』

 

かくして、モジは、門司 邦彦はその場から姿を消した。

 

友達のドナーとして、病院に転送されたんだ。

 

きっと手術をしてる間に契約が切れて彼は死ぬ。

 

でもそれはパイロットとして戦って死んだんじゃない、ドナーとして心臓を提供して死ぬんだ。

 

思慮深く、気高い精神を持った少年に敬意を表するように、僕は皆を救う手立てを考えるのであった。

ジ・アースの見た目について

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