副題
窓からカララクまでの距離、約7m
この距離でお互いに会話ができているのは
シトムベとカララクがツーカーの仲だからぐらいに考えて下さい
前書き
久しぶりの更新、書きたいネタが多いはずなのに
それを埋める程のモチベと技量はないのです。
前回のあらすじ
カララク、窓から落ちて絶対絶命
シトムベ、救助開始
現在の二人の距離、後7m←new!
ところで、という前置きから二人の作戦会議は始まった。
「義足の鉤縄を使うにしてもどれぐらい近づく必要があるんだ?」
「うーん、3mぐらいかな?」
「後4m程こちら側によってもらう必要があるか‥‥‥‥それならマーキングしておいた方がいいな」
__食紅か何カアりマシたっけ?
__ボールペンからインクでも抽出しなよ
「‥‥‥‥ああそうだな、今マーキングする。”kakutasu”」
赤いボールペンを懐から取り出すとインクをアーツで抽出、
球状に一時的に固定、それを慎重に動かし、大体この辺りだろうという距離で壁に付着する形で空間に緩やかに付与した。
たらり
シトムベの狙い通り、赤いインクは重力に従って壁を伝い、線を描いて下へと落ちていった。そして、
「”sekoia”」
インクから水分を抽出してこれ以上インクが流れ落ちないようにした。
__あれ? もしかしてアイツこっちの会話聞こえてない?
__
__ちぇー、つまんねーのー
「シトムベ、指示を頼めるかい?」
「‥‥‥‥ああ、まずはどこが動かしやすい?」
「うーん、左手かな? そっちに一番近いし」
「どこらへんまで動かす気でいる?」
「ここら辺かな」
カララクは左手を伸ばして壁を叩いた。
「始めるぞ‥‥‥‥
「よしきた‥‥‥‥やっぱりくっつきにくいね」
「仕方ない、ところで体重は支えられそうか?」
「うん? ああ、だんだん強くなってきてるから慎重に行えば大丈夫そうだね」
「ならいいのだが、手袋とか靴がすっぽ抜けない様に気をつけろよ!」
かくして命懸けの壁渡は始まった。
だが多大な集中力と体力が必要とされるこの状況下、
残念ながらカララク、シトムベ両名のコンディションはそこまで良くなかった。
カララクは窓から落ちて以降飲食をしていない、
春先の過ごしやすい気候だったのが幸いして脱水症状や飢餓に陥ることはなく、命綱のおかげで仮眠は摂れている。精神状態も悪くはない。
トイレに関しては携帯トイレを幾つか所持しているので問題なかった_よくもまあこんな状況下で出来たものだと後にシトムベは呆れた。*1
しかし夜中に足音がする度に目を覚まし、助けを求めて叫んではうっかり落ちかけては体力を消耗しているので心に身体がいきなりついていかなくなる可能性は充分にある。
シトムベは今朝ベットから落ちて6本の尻尾の内、左上と左下の2本を打撲、保護のため障壁アーツを維持し続けている。
解除した場合、姿勢が固定されていないことにより、痛みがシトムベの集中力を不定期に奪うことになる__例え絶対に失敗してはならない場面でもだ。
よってシトムベは障壁アーツを維持したままの状態で
抽出・付与のアーツで粘着性を狙い通りの場所へ撃ち出さなくてはならなかった。
実際は今のシトムベにとっては無意識同然の状態で維持可能なためそれほど問題ではなかったのが幸いだろう。
しかし___
「右手、固定できたよー!」
「右足の粘着を外すぞ!」
「いいよー!」
___‥‥‥‥あっれー? なんか変だな
__順調で
残り約5m、今のところ特に苦戦とかなかった。
狙い通りに行かなくとも見える範囲内の壁面に着弾したならばまだ良い、回収そのものは可能だった。
問題は回収が不可能な範囲、状態に陥ることだった。
そうなった場合のプランはある。
一つは空間への抽出を行い、壁に穴を開ける方法、
カララクが直接潜れるサイズまで開けてそこから救出するか
幾つかの小さな穴を手足が引っかかる様に開けてカララクに自力で窓まで移動してもらうかだ。
カララクが通れるサイズの場合、アーツでカララクを巻き込む恐れがある、小さなサイズの場合でもやり直しが粘着性の付与、抽出よりも効かない。
カララクを巻き込まない距離で穴を開けて、そこまでのルートに
小さな穴を開けまくってカララクに移動してもらうという案もあったが短所はそのままだった。不採用
もう一つの方法は空間から壁ごとカララクを抽出することだった。
しかし危険性はこちらの方が高い、壁とカララクでは抽出しやすさの違いからカララクが壁から離れていることが理想だ。
最も壁から離れれば当然落ちる、落ちるということは当然動くということ、空間の抽出は座標を基点から周囲を巻き込む様に行なっているのでズレが発生してしまえば肉体の一部分をしまい損ねることになる。
仮に地面に衝突する前に抽出が完了してもかなりの高さがある状態からの落下エネルギーもそのままなのでかなりの量のクッションが必要であるがその前にカララクが酸欠*2で死ぬ。そもそも現在ロドス艦は走行中、*3不可能
そうこうしているうちに赤線を引いた位置__窓まで残り3m地点へとカララクは到達した。
「着いたけど、風がでてきたからちょっと休んでいいかい?」
「ああ、正直こっちも休みたいぞ」
__お疲れ〜
__身体を軽く解して奥と良いでしょウ
「‥‥‥‥相変わらず言語がバグってやがる」
カララクに聞こえない様にどうにか小声でそう言いつつも素直にストレッチするシトムベ
「どしたんシトムベ?」
__その聴覚こそどうしたカララク!?
「‥‥‥‥封印が緩んでないのに声が聞こえる」
こういう時のカララクに隠し事は無意味、そう考えたシトムベはぶすっとした顔で打ち明けた。
「それ、いつぐらいからだい」
「今日お前の行方がわからないと聞いてからなんとなく虫の知らせじみたものがあってな。そこから少しずつはっきりと」
「今のところそれ以外の異常は?」
「今朝から展開している障壁アーツの制御がやけにスムーズだ」
「それ多分別の君の一人が何割か制御してるんだと思う」
「‥‥‥‥ああ!」
膝で手を打つシトムベ、いやまてよと思うカララク
「というかなんで障壁?」
「今朝ベットから落ちて尻尾を打撲した」
「君これ終わったらすぐ医務室ね!」
「お、おう」
「我慢せずにすぐに診てもらうの! そういうとこだよ
「名前で呼ぶn「きーはーるー?」悪かったって‥‥‥‥」
本気で怒ったカララクの前ではいつものふてぶてしい態度も形無しのシトムベ(本名:喜春)であった。
___
______
_________
___やーい、怒られてやんの。
___怒られタノ私達全員ですカラね?
「黙れ、ところでそろそろ再開しないか?」
「うん、そのことなんだけどね」
「悪いけどなんかめっちゃ風強くなってきてるからこのままアーツよろしくね!」
サムズアップするカララク
「………………振り落とされるなよ!」
___ファイトだぜ!僕
___こういうコトモあります、仕方ないデす。
「左手、アーツ外すぞ!」
「はいよ!」
「”kakut”………………いやダメだ。“
手応えが重い、時間が経過した分壁面に先ほどまでより馴染んだのだろう。
アーツ詠唱を略式のものから、より正式に近いソレへと詠唱を切り替える。
「どの位置だ!?」
「此処によろしく!」
「“
__ソッチまで詠唱長くする必要ある?
__単純
しかし効果はあった__アーツが早く浸透したのだ。
「シトムベー! 、アーツはゆっくりでいいからねー!」
「おう!」
その後二人の奮闘はしばらく続き、
「あ」
「どうしたカララク!?」
疲労と意地の拮抗はついに崩壊した
「義足の電池切れちゃった」
「おい‥‥‥‥いやよく保った方か?」
「昨日の朝に充電し終えたからよく保った方だね、ただ‥‥‥‥」
「なんだ」
「此処から踏ん張りが効かなくなる」
「問題ないだろ」
「ええ‥‥‥‥どうしてそう言い切るのさ?」
「いや何故って」
___遅くなりました!
___カララクさん大丈夫ですか!
「丁度救助が来たからだよ」
シトムベの耳には複数人の声と足音が聞こえていた。
〈おまけ? :1-12‘ ラスト〉
透明化タグを無くして最後の黒塗り部分以外を青字に変えただけです。
〜就寝時〜
疲労困憊の状態で自室へ戻ったシトムベは手洗いとうがいをするとすぐにシャワーの支度をする。
「‥‥‥‥今日は疲れた、明日は‥‥ドクターの秘書か‥‥。普通は最近入ってきた人員をいきなり秘書にするものか?」
歯磨きを済ませると手帳を開いて明日の予定を確かめる。
そうしてシトムベは泥の様に眠った。が、
___君自身のコンディションは問題ないかい?
「そろそろ確認しないとか」
そう呟いてシトムベはがばりと起き出すと
手袋を嵌め、使用済みの大型の触媒をテーブルの上に置き、源石が複数埋め込まれた大型のアーツロッド((1-7参照))を取り出してベットに座り、目を閉じた。
「封印術式“jisibari” ‥‥緩み無し、対生命術式:”suruku“封印は安定」
「人格抽出分離分化式
“miyakowasure”‥‥継続限界まで残り
75%」
「異常無し」
「人格侵食洗脳対抗術式人格“yakann”現在“yakann ”優勢」
杖と触媒を丁寧にしまい手袋を脱いだ。
そして今度こそシトムベは眠り始めた。
___おやスミなさーい
___おかしいねぇなんで今になってアイツが‥‥‥‥もしかして尻尾の成長が関係あるのかなあ?
___ああそれとも君が何かしたのかな、■ュマ■?
シトムベ
本名:十字 喜春
「俺が産まれた時、父親が家からでて真っ先に目に入ったものが椿だったらしくてな、その日は珍しく小春日和でもあり父親はもう春がきたとぬか喜びしたそうだ。結局翌日は大雪だったとか。
椿という漢字を分解して木春、ただひねりが欲しかった綴りを
父からの手紙で相談された伯母が提案したものが採用されたらしい」
__本当に伯母が提案したかはもはや知る術がない
椿→木春→喜春
透明文字で会話している人々
シトムベの脳内で存在する人格達、彼ら以外の人格はないのでご安心を。
彼らの声は今話より前は透明文字で記載していたがこれはシトムベが認識していないことを表現したかった為、
思考は同じ脳で行っているせいかシトムベの行動に関与することもある。
シトムベが自覚しだしたのでぼかしに変更
透明文字で出てくる前までは時々活動しては何やら行っていたようだ。
・言語が崩壊した人格(一人称:私)
とある事情で表記が狂っているが精神は正常
むしろ一番冷静
・言語が崩壊していない人格(一人称:僕、ボク)
障壁アーツの制御を肩代わりした人格でもある。
・透明文字で表記していない人格(一人称:私、僕、俺)
みなさんの知るシトムベご本人、現在彼以外が肉体を動かせないので生存担当。
一人称がややこしい
”sekoia”:水分の抽出
セコイアスギから採用
“sutoroo” (藁)もありかと考えたが脆そうなイメージからボツ
“jisibari” :封印
説明通り、効力は絶大で任意で解くことは困難。定期的に検査しておく必要がある
”suruku“:対生命
シトムベが隠している固有のアーツ
感情が引き金で発動する■■■の■■アーツあるいは■■の■■化アーツとシトムベは認識している。ある種の■■■
何を持ってして”対“生命なのだろうか?
暴発した経験からシトムベには扱う自信がないので封印
“miyakowasure”:別人格の抽出、生成
人格の加工は別アーツであり、生成された人格を元に戻す為のアーツは作ってない。
人格がきちんと分離できたままかを調べるために名前が出てきた
“yakann”:人格防衛システム
シトムベの人格から作り出されたアーツによるセキュリティプログラム これがある限りシトムベに他者からのアーツによる洗脳、支配、幻影は大体の場合無効化されるが副次的なものに過ぎず、
既にかけられたものに対しては進行を遅らせるのみである。
遅らせつつワクチンプログラム(となるアーツ)を構築するしかない