はこぶねのはいしゃさん   作:ニョホ

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副題
帝王切開は古代ローマにおいて、切開で生まれてきた赤子は切り取られた者という意味でカエサル(caesar)と呼んだこととされているがユリウス・カエサルが実際にそうだったかは定かではない

全体的に難産でしたが一番の難産はタイトル名でした。

一章が終ったら二章に向けてタグの見直しを行う予定です。

6/13副題として前書きに話タイトルを書くことに変更


1-4’

 

 

「これは掃除では無い、作業だ。補給箱をどうにかしないと掃除に取り掛かれない。」

 

「ソレモソウネー。」

 

掃除作業開始から1時間程して休憩をとり始め廊下、補給物資一時保管室3前にて、シトムベとフォリニックは壁に寄り掛かっていた。

 

「ところでだが、俺の前任者の婆さんはどんな方だったんだ?」

 

シトムベはフォリニックに問いかけた。

他所向きの態度では無く、カララクに向けるものと同様の素の態度で。

 

「そうですね‥‥。ザラックのヒトで生まれ故郷は極東だそうですが今はレム・ビリトンで暮らしているそうですよ。」

 

「極東生まれのザラックね‥‥‥いやまさかな。」

 

シトムベの脳裏には診療所の院長の顔が浮かんだ。

姉か妹がいると聞いた気がするが職業は聞けなかった。

きっと気のせいだろう。

 

「ところで、急激に態度が雑になった気がしますが私の気のせいでしょうか?」

 

「雑とは心外な、ただ取り繕うのをやめただけだ。アンタの様な性格の持ち主は取り繕えば取り繕うだけ怪しんでくる。裏に何かあるのではないかとな。」

 

 既に不信の種を植え付けていたみたいだしな、とは流石に余計だと思うので口に出さないようにした。

 

「そ、そうですか‥‥‥。裏といえばですが、貴方のそのコルセット、裏返しになっていませんか?」

 

 毒気を抜かれた様子のフォリニック、ふとある事に気づく。

 

「何故そう思う?タグがはみ出ている部分があるのか?正直慌てて着けた覚えがある。」

 

シトムベに心あたりはあった。

コルセットをガヴィルに観察された時、何度か裏返されたのだ。

あの時は特に気にしていなかったが慌てて着たので忘れていた。

 

「いいえ、タグがはみ出るどころか、ガッツリ縫い目まで見えます。」

 

「ああ、それなら間違いなく裏返しになっているな。」

 

シトムベは思わず苦笑した。

 

「今裏返して来r『ピピピ!ピピピ!』‥‥‥早いもんだな。」

 

アラームが鳴った。もう15分立ってしまったようだ。

 

「仕方ない、作業に戻ろう。裏返っていても特に害はない」

 

早く終わらせたいので少し早足で部屋の中に入ろうとする。が、

 

「いいえ、待ちなさいシトムベ! 貴方は慌てて着けたと言いましたよね?もし間違ってずれていた場合、貴方の使用目的次第では、健康に害を示す可能性は充分にあります!」

 

フォリニックに肩を掴まれた。

 

「わかったわかった、すぐに付け直す。一人でもできるから先に作業に戻っていてくれ」

 

「‥‥‥そうですか?では先に戻っていますね」

 

やや不審そうな顔をしてフォリニックは部屋に戻って行った。

 

「‥‥‥‥」

 

誰かに見られると面倒だ。

いちいち隠す理由を説明しなければならないし口止めの必要もある。

ロドス内の全員が口が堅いとも限らない。

 

だが幸いなことに目の前の保管室のドアは外開きだ。故に_____

シトムベはドアの影に隠れてコルセットをつけ直すことにした

向こうから来ない限りは隠せるはずだ。

 

 他者に見つからない様に急いでコルセットを外し、裏返し、出来る限り丁寧に付け直そうと_____

 

「シトムベ、貴方のその尻尾は‥‥!」

 

することは出来なかった。

 

「‥‥‥面倒なことになった。」

 

見つけたのは、フォリニックだった。

わざわざドアの裏に移動するところを見られたのだろうか?

いずれにせよ事情の説明と口止めの必要がある、

 

そうシトムベは考え、

 

「患者‥‥‥特に子ども達に見られると、治療中でもお構いなしに触りたがる。だから普段はコレで隠している。ちなみに理由は先祖帰り、鉱石病が原因ではないためそこは誤解なきよう。」

 

とりあえず端的に説明して、相手の反応もここで伺う。

 

反応次第でアーツの使用も視野に入れるべきかと更にシトムベは考えた。

 

「そ、そうだったのね‥‥‥。」

 

どこか納得したようなフォリニック。

 

「だから秘密にしてくれると助かる。」 

 

「え、ええ。わかったわ。」

 

申し訳なさそうな様子をしている、何故だろうか?

 

__そういやスズランの尻尾をガン見してたって報告がフォリニックからあったんだが、なんか関係あんのか?

 

「‥‥‥ああ、そういえば。」

 

シトムベは作業に没頭していてすっかりガヴィルとの会話を忘れていた。

つい1時間程前のことである。

 

「着け終えた、作業に戻らせてもらうぞ。」 

 

ドアの前にいるフォリニックを避けて、保管室に入る。

 

‥‥‥一割は進んでいる、はずだ。そう信じたい。

 

そうしてまた時間が過ぎて行った。

 

 〜2時間程経過して〜

 

「そ、そろそろ休みましょう‥‥‥?」

 

「あ、ああ。俺も、そうする、べきだと、思う。」

 

補給箱を運ぶのに台車を利用し、移動もエレベーターのため、身体はそこまで疲れてはいない、それはフォリニックもシトムベも同じであった。

 

だがそれは肉体に限っての話であり、精神的には別であった。

何の感情も湧かない、そして終わらない作業の山というのは、ただの苦痛でしかない。

フラフラになりながら二人は廊下に出たが、壁に寄り掛かるなり、床に座り込んでしまった。

 

「補給箱を、半分、片付けるだけで、3時間か‥‥‥」

項垂れているシトムベ

 

「でも片付けた補給箱、殆ど空っぽだったわね‥‥‥」

声に力が無いフォリニック

 

「中身の入っていた方も資源保管庫に持っていくだけで解決したのが幸いだった‥‥‥そこで作業していた彼らの仕事を増やしてしまった事に関しては、申し訳ないが。」

 

「‥‥そういえば、リs‥‥スズランちゃんの尻尾を見ていたのって‥‥‥。」

 

「俺の本数ですら手入れが手間だからな、9本もあるならどれだけ大変なんだろうか、とその時は考えていたんだ。」

 

ガヴィルへの返答とほぼ同じものを返すシトムベ。 

 

 最もこれ以上シトムベには声を出す気力がなかったのか、火種になりかねないからか、『まあ、それ以外にも色々あるのだが、』とも聞こえない程の声量で付け加えてはいたが‥‥‥‥。

 

「そういう事だったのね。私てっきり‥‥‥。」

 

落ち込むフォリニック

 

「あまり気にしないでくれ、こちらはここに来て1週間しか経っていない。俺がどんな人物かなんて判別するのは難しいはずだ。」

 

‥‥‥あとでガヴィルにはもう解決したと報告しておこう。

 

「そういえば、この作業に参加するのは本当に俺達二人だけなのか?実を言うと掃除であると言う事以外カララクには聞いていなかったんだ。」

 

話題を変えるついでに気になった事を聞いたシトムベ、カララクには掃除と言う事以外には主な作業内容を聞いていない。聞き忘れたとも言う。

 

「聞いてなかったの?今日はそのはずよ。」

 

「やっぱり1日で終わるもの予定ではなかったのか、先に聞いておくべきだったな‥‥‥。それで、明確なノルマとかは決められているのか?」

 

1日で終わらせる必要が無いならば残りの時間で出来ることをやってしまった方が明日にやる連中がやり易いはず、シトムベはそう考えた。

 

「いいえ、特に決められてはいないはずよ?ただ、私の分の今日の仕事は医療部の皆に少しずつ分担してもらっているから、5時まではここの作業を続けられるわ。」

 

「ならせめて中身の入った補給箱とそうで無いものを分けよう。最初はスペースがないのもあって倉庫の方まで持っていくようにしていたが、往復に時間が掛かりすぎる、何より埒が開かない。」

 

「それもそうね、どうあがいても今日中には終わらないわ」

 

「決まりだな。ところで残りの休憩時間はどれくらいだ?」

 

「後7分程ね」

 

「残り半分か‥‥‥。とりあえず今は休もう」

 

「そうね」

 

そうして再び黙りこみ、身体を休めることに専念する二人であった。

 




前書きに副題として話タイトルを移すのも目次のスクロールのしやすさのためにはありかもしれません。→移しました。

・フォリニック
生真面目、頑固
ケルシーから任された仕事なので今日中に終わらせる必要はないが終わらせようとして力の限りを尽くそうとした。

・カララク
陽気、(根は)真面目
シトムベに夕食と引き換えに仕事を代わってもらったが、実は外勤には往復3日掛かるので今晩帰って来れない事を当人は忘れてる。
もちろんシトムベには伝え忘れている。

・シトムベ
ダウナー、冷静 ややメンヘラ気味
実は診療所が持てると分かって浮かれたが保管箱の多さにそのテンションは叩き落とされた。
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