はこぶねのはいしゃさん   作:ニョホ

9 / 15

副題
アークナイツの登場キャラクターには年齢や体重が明確に描写されていない事が殆どだが尻尾や角などの重さを考慮すると見た目+1〜5kgは追加されそうな気がする。
いやしかし尻尾が重いとその分身体を支える筋骨の密度も増しそうだから更に重いだろうか?


*キャラクターのネタバレ防止のためぼかしあり。

10/9 :内容を修正、補填



1-9

 

 

コツ、コツ___人気の無い廊下にシトムベの靴音が響く、

 

_クァ‥‥

 

あくびを右手で抑えるふりをして手袋の手のひら側に隠し持った小さな鏡を取り出し、天井と後方を確認する。

 

___赤い影がチラリと映った。

 

「N番号室は‥‥」

 

左手の紙切れを見つつ左右の扉を確認する。

 

「此処だな」

 

目的の部屋を見つけ、ドアを開けて部屋に入る。

 

___

______

_________

 

「君が見たであろう赤いループス___レッドには確かに君の監視をさせていたが既に監視の任務は解いている」

 

「‥‥‥盗聴器の件ですね。」

 

 

「その通りだ。最も君の潔白を証明する為のものでこの事はドクターやアーミヤには伝えてはいない」

 

責任の追求は私にある、言外にそう匂わせたケルシーは一口コーヒーを飲んだ。

 

「カララクの方を監視したほうが良かったのでは?」

 

シトムベは電子端末を置いてそう言った。

 

「私が知る限りでもカララクの交友関係はかなり広い、他の信用のおけるオペレーターと共にいてもらった方が彼にとっては身の潔白の証明になる可能性が高いと考えたからだ。」

 

「清掃のシフトもそこまで同じ場所にならないようにされていたのも私が間諜だった場合の対策でしたか‥‥話が逸れました。」

 

「あまりに会う機会が無いとなると逆に不自然になるからな‥‥レッドの件だが先程伝えたように既に監視の任務は解いている」

 

「‥‥?では何故?」

 

 

「恐らく、」

 

ケルシーが片手で電子端末を弄りながら言った。

 

「君の尻尾に興味があるのではないだろうか?」

 

「尻尾‥‥ですか。」

 

___自分の尻尾は確かに複数本あり、普段は一つ*1に纏めているがそこまで気になるような代物だろうか?

 

「隠されているモノ、見えないモノというのは暴きたく、つまり知りたくなるものだ。暴いたモノがどんなモノであるか、それを知ったことにより自分にどんな影響があるかを考えるより前にだ。その上、ソレが僅かに見えてしまったのなら‥‥」

 

「一度部屋の外で外したのを見られたのですかね」

 

ケルシーはマグカップを置いてシトムベに背を向けた。

 

「恐らくそうだろう、もしも彼女を説得するのであれば出来る限り人を選んで対応するべきだ、特に尻尾のあるオペレーターは巻き込むのは推奨出来ない」

 

「此方の対応は彼女の出方次第ですね、刃傷(にんじょう)沙汰は避けたいものです」

 

カルテの電子化作業に戻ります、

そう呟くとシトムベは出ていった。

 

「誰も傷つかない、そんな方法は残念ながら限られている」

 

誰も居なくなった部屋でどこか悲しそうにケルシーは呟いた。

 

シトムベの座っていた机には作業に使っていた端末とカルテ、コーヒーの入ったマグカップが置きっぱなしだった。

 

端末の電源は切られていなかった。

 

___

______

_________

 

レッドは決意した。必ず、かの邪智暴虐たるシトムベのコルセットを取り除かねばならぬと決意した。レッドには生活というものが分からぬ。レッドは、ケルシー医師直属のS.W.E.E.P.である。ロドスの暗部に潜み、敵を暗殺して暮らして来た。けれども もふもふの尻尾に対しては、人一倍に敏感であった。

 

数日前のことだ*2レッドはケルシーにシトムベの監視の報告を行う筈だったがケルシーは酔っ払って休んでしまい、特にすることもなかったレッドはシトムベの尻尾を観察することにした。

 

レッドはシトムベを監視していた。シトムベの言動に怪しいものは無いか、シトムベと接触する者におかしな行動を取る人物(カララク以外の人物とする)が居ないかを調べていた。

よってシトムベの尻尾に対しての興味は彼女の中で無意識のうちに抑え込まれ、監視期間を終えたことにより、解放されつつあった。

 

シトムベの尻尾はコルセットの内に隠され、見えることはおろか、動くことも殆どない。

そんなコルセットの中身はどうなっているのだろうか?そう思いつつレッドはシトムベの後を追う、途中で任務に向かうカララクに見つかったが何故か見逃して貰えた___後で理由を聞いたところ、急いでいたのと面白そうだったとのこと___のでそのまま追跡を続行した。

 

そして、

 

「シトムベ、貴方のその尻尾は‥‥!」

 

「‥‥‥面倒なことになった。」

 

(遂に、シトムベの尻尾が‥‥!?)

 

見れる、そう思いながら天井に張り付き、影を床に移さないようにしつつシトムベの尻尾を確認する。

途中でシトムベがドアの裏に移動した時は追跡がバレたかと本当に焦ったが、

 

(‥‥これは!?)

 

シトムベの尻尾が複数本あったことにはレッドはそこまで驚かなかった。が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シトムベの尻尾はコルセットによりしっとりとしていた。

 

言い換えよう、長い期間のコルセットを着用した生活により、尻尾が本来なら秘めていたであろうもふもふは失われていた。

毛並みに抜けや枝毛などは見られず艶のある上質な尻尾だがそこにもふもふは無いのだ。

 

 

もふもふ無いのだ。

 

 

レッドは激怒した。必ず、かの邪智暴虐(シトムベ)からコルセットを取り除かねばならぬと決意した。レッドにはもはやシトムベの説明は聞こえてはおらぬ。レッドは、尻尾の感触が大好きである。そのもふもふを求め、仕事のない時はループスを___稀にヴァルポやフェリーンを追い回して暮らして来た。けれども、いや、だからこそ、自分の尻尾からもふもふを消した(と思われる)シトムベに対しては、人一倍に執着しだした。

 

それから、

 

(絶対に、絶対に、あの尻尾からもふもふを)

 

取り戻す。そう決意して今日も時間の許す限りシトムベの後を追う。

 

シトムベがN番号室に入るのを見届けると数秒待ってからレッドもN番号室に入る。

 

 

___

______

_________

 

音を立てずにノブを捻り、ドアを開ける。

 

シトムベの姿を確認し次第、気絶させてシトムベの尻尾の手入れを行い、かつてその身に宿していたであろうもふもふを取り戻して堪能する。してみせる。

 

そして、部屋の中には誰も居なかった。

 

「ようやく姿を現してくれたか」

 

廊下へと繋がるドア枠の上の出っ張りに器用にも踵を引っ掛けてしゃがみ、こちらを見下ろすシトムベ以外には。

 

 

 

*1
最近増えたから厳密には二つ

*2
メタ的に書くなら1-2‘〜1-4’




シトムベ
逆尾行+待ち伏せした。
1-4‘のあたりで薄々レッドには気付き始めていた。何処かのタイミングで偶然時計の文字盤部分に映っていたようだ。

レッド
ここまで一度も喋っていない。
シトムベが人気の無い方向へ向かうことに対する疑念はもふもふに追い出された。

N番号室
ロドス内のどっかの部屋 しばらく使われる予定もなくレッドを誘い出すには好都合だった。

作者 
(まともに)戦闘描写を書いたことが無い。

次回
  作者 (戦闘描写で苦労して精神的に) 死す
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