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ブルボンの筋トレ
ある日の放課後のこと、上下をジャージで包んだミホノブルボンは、タオルや水筒を手に持って、トレーニングルームに足を運んでいた。
多種多様、最新鋭の設備が所狭しと並べられ、青春の香り漂うトレーニングルームには、すでに先客が汗を流していたが、ここの常連であるアホ毛がぴょいと飛び出た幼い顔立ちの彼女は意にも介さず、端っこのベンチに水筒を置いて、赤いジャージのファスナーを下ろした。
「ふぅ……」
すると、ジャージで押さえつけられていた豊満な胸部が、こぼれるように揺れて現れ、さらに、下に身につけていた黒いスポーツブラに隠されない、女性らしくくびれた腹回り、幅の広い肩、力強さと華奢さが同居した細腕が衆目に晒された。
続いて、ズボンから脚を抜くが、そこから抜かれた脚は、脹脛の見事な発達具合は勿論のこと、特に、尻から太ももにかけては、筋肉の正確な位置が赤い短パンから浮き出ているかのように鍛え上げられ、そこに少女の柔らかな曲線が奇跡の均整を保っているのである。
彼女の尻を鷲掴みにして蹴飛ばされたいという変態的な嗜好を胸に秘めた層が少なからず存在するのも仕方がないと思えるほどである。
「ん……」
そして、豊かに伸ばされた艶々な栗毛の髪を、丁寧に掬い集めて後ろでまとめ、白磁のようなうなじをも晒した彼女は、ふんすと鼻を鳴らして、せっせと準備体操を始めるのだった。
____身体が程よくほぐれて温まり、準備万端となったブルボンは、意気揚々と、鈍く光沢を放っている円盤状の錘が対になってはめられたバーベルがかけられたスタンドの前に立った。錘の重量は左右ともに150kgである。
彼女はそれを、肩幅より外目に手を開いて握りしめ、足を肩幅にし、腰を落とし、バーベルを背負うようにする。
そして、
「ふっ……!」
息を吐くと同時に足腰へ力を入れ、一瞬のうちにスタンドからバーベルを引き上げ、童顔の眉を少し吊り上げ、数歩よろめきつつ、すぐに安定した体勢をとった。
しかし、合計300kg、さらに上半身の自重と合わせた強大な負荷が、彼女の下半身全体、そして、姿勢を支える背筋と腹筋にのしかかるのである。太ももや脹脛は、通常ではありえない重量に緊張して小刻みに震えていた。
それでも、彼女の小さな口は、冷静に、もしくは無関心につぐまれていた。
「……」
彼女の胸が前に突き出され、たわみ、それによって背筋が真っ直ぐに保たれる。
そして、
「すぅ……っ」
涼しげな表情のブルボンは、水色の瞳に力を込め、上体をゆっくりと落とし始めるのだった。
その瞬間、筋肉を鷲掴みにされ、握りつぶされるが如き不快感が、太ももの全体にじわりと波紋のように広がった。さしものミホノブルボンも、歯と歯を噛み合わせるが、膝がつま先よりも前へ出ないように意識しながら、空気を吸い込みながら上体をおろすことをやめなかった。
「……!」
腰が落ちるごとに、太ももへの負荷も二乗三乗されるように高まっていく。元が大腿筋の浮き出た見事な仕上がりだった太ももが、さらに張りあがっていく。
また、前傾姿勢となっていく上体を支える背筋と腹筋にも同じように、筋肉の筋彫りが浮き出ていく。
突き出されていく臀部が、メロンのように丸みを帯びていく。
「ふぅ……っぅ……っ」
意図せず、彼女の口から声が漏れ出る。冷静沈着な幼い表情が、今では、頬に軽く色づき、歯を食いしばり、脂汗で肌を艶やかにしている。
しかし、間違いなく苦悶に喘ぐ表情であったが、その実、内心はまるで逆。スクラップアンドビルドの先に見える、進化した肉体を追い求める喜びと渇望である。
「っ……!」
そして、太ももから臀部にかけ、地面と丁度平行になった瞬間、全身にかかる負荷は等しく最大化されたのだった。
彼女は、その状態を維持、静止した。
「……!!っ、……」
脳が危険信号の赤いランプを灯した瞬間であった。
瞳孔がキュッと狭まり、耳が後ろに吹き飛びそうなほど引き絞られた。喘ぎ声がしきりに飛び出す口は、歯が砕けんばかりに食いしばられ、頬の紅潮も、鮮血のような赤に変わっていく。こめかみに血管が浮き出て、脳内に圧力がかかっていくような感覚が彼女を苛んだ。さらに、負荷のかかる筋肉全てにあった不快感はより克明に苦痛と化し、ただでさえ割れそうな脳へシグナルを送るのである。
そのような状態にあっても、彼女の背筋は美しくそりかえって、スポーツブラに押し付けられてなお大きな胸のラインを妖艶に強調し、背中に渓谷を幾つも形成させていた。
白く産毛ひとつない肌には血管が浮き出て、はち切れそうに盛り上がったハムストリングが背中のように谷を形成し、ギリギリまで突き出された臀部はナイロン製の赤い短パンが嬉しい悲鳴をあげ、シワひとつない、撫で回したくなるような様相を呈し、全体が小刻みに震えてていたのであった。
この状態こそ、まさしく彼女が求めていたものであった。
(1、2、3ん……!!!)
朦朧とした意識で正確無比なカウントを終えた彼女は、今度は今までと真逆、ゆっくりと腰を上げ、状態を起こし始める。
極度の過負荷状態からのあらゆる筋肉の収縮と緩慢の逆転は、無論、快楽ではなく感謝の苦痛一辺倒。むしろ下げる時よりも苦しい時間である。
「ふぅぅぅ……!!!!」
唇を窄め、湿潤な真っ赤の頬を膨らませ、熱く湿った息を吹くブルボンの上体が上がる毎に、メロンのような丸みを見せていた美尻が収縮し、キリキリと痺れながら引き上がる。
ただ張っていた大腿部も同様、陰影と彫りがしっかりとして、Yを反対にしたような谷が膝を中心に走り出した。
「っはあっ……」
そして、ついに、ブルボンの上体は引き起こされ、
「1……!!」
1セット目が終了した。
何本かヘアゴムの拘束から逃れた栗毛の髪が汗を吸って肌に張りつく嫌な感覚を振り払うように首を振った彼女は、舌なめずりをしたあと、すぐに2セット目を始めるのだった。
その圧巻の光景を、ただの一度も見ない者はいなかった。