ゲヘナ1年生の連邦捜査部活動   作:watazakana

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ここからがめっちゃ好きなんです。ドンドンどん詰まりの状況からの逆転劇、嫌いな人いないでしょって思っている生き物です。


マイナススタートの逆転劇

こんにちは。有馬ウレイです。今はアビドス市街地に侵攻するカイザーに対する防衛戦を展開しています。私は何故か駆けつけてきた便利屋さんと一緒に強襲役です。今日、やっぱりホシノ先輩は来ませんでした。アビドスの皆と、先生と、私に宛てた手紙、そして退部・退会届。カイザーPMCはホシノ先輩が生徒会を脱退した時点でアビドス高校を廃校と見なし、占領を敢行した、という体です。全部合法、攻め入るにも大義名分はあるという徹底ぶり。トリニティならぎりぎりやるかも。

 

便利屋さんの喝もあって、私たちは再度奮起します。しかしまあ、便利屋さんのなんと強いこと。乗り気のアル先輩とムツキ先輩の動きのキレが学校襲撃時とは全く違います。別次元と言っても過言ではありません。先生の指揮もあって更に動きに磨きがかかります。危なかった。アル先輩の腰が引けていなかったらあの時本当に学校が壊滅していました。しかし、今は敵ではなく、味方です。PMCという軍隊相手に、優位を取り続けています。伊草さんの仕掛けた爆弾で気を削ぎ、落下する瓦礫は隊列を乱します。それをムツキ先輩とアル先輩で追い討ちをかけ、そのカバーをカヨコ先輩がやる、基本はその流れです。

 

「くっ……キリがない。社長、ここは戦術を変えた方がいい」

「そうね、ハルカ!火力支援の妨害進捗は!」

『はい、アル様。半分くらいだと思います』

『アル先輩、残り半分破壊完了です』

「おっ、シャーレの後輩ちゃん、やるじゃん♪」

「じゃあ、王手をかけるわ」

「了解。ウレイ、地下から移動して、理事の背後を取って。最速で」

『わかりました』

 

ブラックマーケットでやった戦術は、ここでもかなり効いています。しかし流石にPMC、今はかなり対応されつつあり、マンホールにトラップが仕掛けられていたり、逆に待ち構えられていたりしますが、前者は爆発を耐えて攻撃、後者は天井を破壊して通行自体を止めるといったやり方で凌ぎます。全身が痛い。

 

 

こんなに痛くても、痛いのは嫌でも、なんだかんだでアビドスの人たちと戦うのをやめるつもりはありません。先月の私では考えられないことです。それはひとえに、アビドスが気に入ったからでもあり、私のやりたいことが見つかったからでもあるんだと思います。

 

私は、アビドスが好きです。ホシノ先輩にも好感を持っていますが、あの人に限っては気に食わないところが一つあります。なんでもかんでも一人で背負い込んで、身内に嘘までついて相談もせずに行ってしまうところです。あの人が帰ってきたら、まずはそのことについて言います。結果が見えているからなんて言い訳、通用しません。少なくとも、あの先生の言葉には意味がありました。結果じゃ見えないけれど、先生は先輩の信頼を勝ち取ったんです。あの手紙、先生にデレデレだったんですから。結果が見えていても、話すことには価値があるかもしれないから。

 

あと200m、全力疾走で30秒。それがカヨコ先輩の要求するタイムより速いか分からないけれど、私はギアを上げてスパートをかけます。梯子を上り、こっそりマンホールのふたを開け、側近を榴弾で蹴散らします。ついでに強そうなロボも破壊です。

 

「先生、理事を射程に収めました」

『うん、ありがとう。これで包囲は完成かな』

「どうしますか。人質にして交渉もアリですけど」

『それをやるとカイザーと一緒になるけど』

「……たしかに」

 

結局、理事は自ら退却を選び、アビドスには静けさが戻りました。便利屋さんはこのままゲヘナ自治区にある事務所へ帰るそうです。まあ、雇い主を盛大に裏切って、仕事も何もあったものではなくなってしまったので、帰る口実ができたのでしょうね。

 

さて、カイザーPMCは10人程度の高校生に敗北するという結果を招き、まあカンカンでしょう。もちろん、彼らは戦争をするためにアビドスへ入ったわけではないので、これからはもっと充実した戦力を寄越すはずです。アヤネさんの言う通り、「最も厳しい戦い」になることでしょう。それまでに、カイザーを諦めさせて、なおかつホシノ先輩を助ける作戦を成功させなければいけません。先生には、そのアイデアがあるみたいでした。

 

「ウレイ」

「はい」

「私は行くべきところがあるから、少しの間だけ外すね。その間、ウレイに頼みたいことがあるんだ」

「私に、できることなら」

 

----

 

夕べ、ゲヘナ学園 食堂

 

「美食研究会の皆さん!」

 

ガっターンと開け放たれた扉に、沢山の生徒が一瞬注目して、すぐにご飯へ戻ります。

 

「あら、どうされました?ウレイさん」

「紫関ラーメン存続の危機です!」

 

ガタッ。今度はハルナ先輩の方へ注目が行きます。私の時と違って雰囲気は戦々恐々。給食の何が気に入らなかったのか、といった雰囲気で皆が逃げ出す準備をしました。

 

「え!あのラーメン無くなるの!?」

「はい、明石さん。カイザーPMCがアビドスを潰せば、紫関ラーメンは二度と食べられなくなります」

「あらあら、それじゃあ、カイザーPMC、とやらをぶっ飛ばせば解決ですね?」

「フフッ、行きますよ皆さん。美食が危機に晒されているのを放っておくなんて、美食の道に反します」

 

爆発の起きない食堂で、恐怖に晒されながら美食研究会を見送る皆さん、ご迷惑をおかけしました!

 

 

 

その夜、「エビフライにかけられていたタルタルソースが薄味すぎる」という理由で食堂が吹っ飛ばされたことは、数日後になって知るのでした。

 

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美食研究会への協力を取り付けることができました、という知らせをするために、モモトークを開きます。溜まった通知は、4件。ひとつは写真。先生と4人の安否報告。そして、3つの文章は、私への要請と作戦計画。

 

『アビドス高校本館跡に向かうよ。いつもの通り、このリンクから参照してね』

『file:///C:/Users/……』

『ホシノを助けた後は、一緒におかえりって言うよ』

 

「おかえりって、そんな恥ずかしいこと……」

 

大人って、こうも恥ずかしいことも恥ずかしくないと思えるのでしょうか。羞恥心が死んでいくのか、プライドがなくなっていくのか……でもまあ、学校が残るか消えるかなんです。乗ってあげても良いでしょう。

 

『了解しました。美食研究会の皆さんは協力してくれるそうです』

『おかえり、と言ってやりましょう』

 

 

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