ゲヘナ1年生の連邦捜査部活動   作:watazakana

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本題交錯

「───それで、ヒフミはゲヘナに!?」

「本当にどうしてこうなるんですかね!?」

 

こんばんは、有馬ウレイです。風紀委員会から温泉開発部から逃げ回っているうちに、なぜかヒフミとコハルに遭遇します。わけを聞いてみれば、追試会場がゲヘナになったとのこと。

 

「罠ですよそれ!行かない方が絶対マシです!」

「でも、行かないわけにはいかないんです!追試ですし、そのために皆で勉強したんですから!」

 

爆発とエンジンの音に遮られながら言葉を交わす私たちに、対戦車携行ミサイルまで飛んできました。

 

「チッ、この車フレア焚けないんですか?」

「そんな機能あるわけないでしょ!!私たちで迎撃するの!」

「無茶な!」

「無茶でもやらないとここで撃破されてしまいますし、本格的にお願いします☆」

 

しかし、スクーターでここを走るのは少し正気の沙汰ではありません。トリニティにも色々ある、というのは聞いてましたが、やはり偏見は偏見に過ぎないことをわからされます。悪辣な人も居れば、素直な人もいる。補習授業部とは後者の集まりなんでしょうね。

 

 

「美食研究会の皆さん、あの子たちを助けましょう」

「ええ、異議なしですわ。当面逃げるのが先決ですし。しかし、良いんですの?便利屋さんに連絡は?」

「もうしてあります。便利屋の皆さんには私の現在位置と『温泉開発部の邪魔立てを排除するたびに追加報酬』の旨を連絡しました」

「準備がいいですわね。アカリさん、今のは聞きましたね?」

「は~い!じゃあ、しっかりつかまっててくださいね~!」

「……して……降ろして……」

 

 

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そこからは苦難の連続。これを説明すると一種の冒険活劇になること間違いなし、なのですが、それをここでやるわけにもいきません。ので、結論だけ言ってしまうと、目的地直前でハルナ先輩は川に車ごとダイブしてサムズアップしながら沈んでいき、他は蜘蛛の子を散らすように逃げ、フウカ先輩は風紀委員会に保護されました。私はというと、便利屋さんや補習授業部、先生と合流したところです……まあ、試験会場は吹き飛んだんですけどね……恐るべしティーパーティー。やることがえげつないです。

 

「ティーパーティーに何したんですか、あなたたち……」

「あはは、テストで赤点を取ってしまいまして……」

「どこも大変ですね……」

 

煤だらけのヒフミたちを労って送り出し、便利屋さんと先生と、私が残りました。

 

 

----

 

 

「アルたちがウレイのことを守ってくれるんだってね」

「ええ、私たちが護衛に着く以上、ウレイには傷一つ付けないわ」

「そう……なら安心だよ。ウレイをよろしくね」

「もう本人から頼まれたわ、これ以上はくどいってものよ」

 

陸八魔アルは、かなりノリノリで舞い上がっていた。だから……なのだろうか。ゲヘナに対する警戒度はかなりのものであったがゆえに、他勢力への警戒が薄くなってしまったのかもしれない。あるいは、今ここに先生がいる、ということで緊張の糸が緩んだのか。

 

「……でもまあ、ここまで接近を許すなんてね」

 

片手で銃を構えて撃つ、この一動作に0.4秒。反動で高く掲げられたアルの銃は硝煙を狼煙のごとく立ち昇らせる。銃声とうめき声はほぼ同時に上がった。

 

「うわぁあ!?」

「アルちゃんやる~!」

「……密偵だ」

 

おっかなびっくりしているハルカをよそに、カヨコは声の元へ歩み寄る。勿論拳銃を構えて。

 

「あ、あんまり酷いことはしちゃだめだよ」

「わかってる」

 

呻き声の主は痛みにうずくまっていたが、カヨコが胸倉をつかみ、下顎部へ銃口を押し当てる。その姿はまず白いコートが目立った。黒いガスマスクが特徴的な少女だ。

 

「……その衣服」

「ウレイ、覚えがあるの?」

「はい、この間、私の家の近くで」

「うぐ、クソが……」

「誰が喋っていいって言った?」

「新手のチンピラでしょうか……どうしましょう、消しますか?何か詰めて主犯に挨拶とか……」

「どうするの?ウレイ」

 

力なくもがく彼女を、ウレイは見つめる。

 

「これからする質問に答えてください。あなたの所属は?」

「……」

「アリウスですか」

「……」

 

アリウスの名を聞いても、少女に変化は見られない。そもそもガスマスクで表情が見えない。

 

「……カヨコ先輩、彼女のガスマスクを外してください」

「わかった」

「……がはっ、このクソッタレどもが!」

「もう一度訊きます。あなたの所属は、アリウスですか?」

 

少女は変わらずその表情に憎しみだけを浮かべている。

 

「所属なんて、教えるものかよ。お前ら**パテルスラング**に教えようが教えまいが、結果は変わりゃしねえよ!!」

「……!!みんな、伏せて!」

 

先生の号令に、全員が無条件に伏せる。カヨコはその中でも唯一、その理由を目にした生徒だった。

 

───スタングレネード。

 

空からとんっと落ちてきたのだ。それは曲射に近かった。限りなく高くまで投げられたそれは、今になって落ちてきた。炸裂する音と閃光、そして「電流」。防げなかった。その場の生徒全員が電流をまともに受けて、意識が明滅する。

 

「みんな、大丈夫!?しっかり!!」

 

先生にも予想外の展開だった。百戦錬磨の傭兵である便利屋68と有馬ウレイが、同時にやられた。あの少女は姿を消し、狼狽える大人の声が響くこと以外は静かな夜が再来した。

 




ある地下洞窟

「……してやられたな?」
「申し訳、ありません」
「ゲヘナで警戒していたのは風紀委員会と『万魔殿』だけだったんだがな……」
「どうする?リーダー。これ以上兵力は別方面に割けない。『万魔殿』ですら首脳陣を潰して指揮系統を崩壊させるので精一杯だし、敵はゲヘナだけじゃない」
「ああ、だが、お前が逃げおおせたことで収穫もあった。便利屋は確実に潰すが、兵力は割かない。作戦開始前にやるぞ」
「……簡単じゃないよ。相手はシャーレの護衛をしてる。ウレイはキヴォトスでも一目置かれる立場の存在。タイミングは早すぎても、遅すぎてもいけない」
「私たち、さらに苦難を受けなきゃいけないんですね……それも人生ですね……ははは……」
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