ゲヘナ1年生の連邦捜査部活動   作:watazakana

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お久しぶりです。最近多忙を極めておりました。
いよいよクリスマスが近いですね。知らないうちに行事が過ぎていく……時間の流れは早いですね。老いかもしれません。

では、新話をどうぞ。


イベントストーリー Can’t turn Around
非日常のアンブッシュ


こんにちは。有馬ウレイです。夏です。そう、夏休みがやってきました!夏に入るまで、私と言えばエデン条約で奔走祭りでした。あれから先生にも話を聞いたのですが、同じくエデン条約で奔走祭りだったようです。ヒフミたちの補習授業を行いながら、エデン条約についても把握して、色々やっていたようですね。

 

騒がしくなる教室、終業式は終わって、これから夏休みというわくわくが今爆発しました。バイトへ駆けだす生徒、食堂へ駆けだす生徒、その場でゲーム機を取り出して電源を入れる生徒。方向性を持たないエネルギーの放出は、まさに爆弾のようでした。

 

私ですか?私にもやりたいことがあります。色々考えた結果、やはり第一にすべきなのは……

 

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「ご飯?」

 

アキヨ先輩の顔は予想通りしかめっ面でした。明るいオレンジのヘイローが少し陰っているのかなと錯覚するくらいには不機嫌です。第二校舎の図書室も、夏休みとなればすこし盛況でした。漫画やライトノベルをどっさり借りて来る生徒が夏休み前後で爆増するようです。図書館の住人は騒がしいことを嫌います。そして、そんな住人の不機嫌は私の提案で加速したように見えました。

 

「なんだってそんな唐突に」

「先日はかなりお世話になりましたし」

 

お礼もかねて。そう伝えると、こちらへ向けた目が底知れぬ呆れの色を出して本へと線をずらした。

 

「時間の無駄だ」

「時間の無駄」

 

アキヨ先輩はため息を吐く。

 

「時にウレイ、一日にここへ搬入される本の冊数を知ってるか?」

「いえ、知りません」

「50冊だ。学術書に限定するとだいたい15冊程度の本が毎日ゲヘナの図書館へ運び込まれる」

 

一日に50冊も仕入れるんですね、とてもそんな学校には見えないんですが。とは口に出さず、ただ「へぇ~……」と頷きます。

 

「ミレニアムならこれが一気に増えて100とか行く。学術書はそのうち90冊だ。これが社会全体になれば230冊程度」

「……もしかして、それら全部に追いつこうとしてますか?」

 

ああ、と頷くアキヨ先輩。その情熱はどこから来るのやら。

  

「だから一分一秒とて無駄にはできない。得られる情報が減るような行為はしたくないんだよ」

 

これは彼女の矜持に関わること、なのかもしれない。これは一筋縄ではいかないかもしれません。

 

────しかし、それもヒントです。

 

「もし、一緒にご飯を食べに行く中で新しい知見に会えるなら?」

 

彼女は視線を私へ戻します。

 

「……君は時々面白いことを言うな。それはアレか、シャーレの非公開戦闘情報をくれるみたいな、そういうあれか」

 

食いついた!

 

「それは駄目ですが、きっとアキヨ先輩が知らないことに出会えます」

「私が知らないことはよっぽどだぞ?その言葉に確証が持てない。君は何を提示する?」

「アビドスで私が知ったことについて話します。追加でここより静かな環境だって提供できます」

「体験……そう来たか有馬ウレイ。確かに私は机上で得る情報に偏っている節がある。他者の得た体験を知ることもまた価値だ」

 

意外に食いつきが良い。うんうんと揺れるオレンジのヘイローは、ついに私の誘いに乗ることにしました。

 

「言っておくが、ありきたりな話なら怒るからな」

「損はさせませんよ」

 

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牛丼屋 店内

 

 

 

「はいお待ちどぉ、牛丼二人前。ごゆっくり〜」

 

───かくして、私から見たアビドス事件の始終を語りました。先生は思ったよりも頼りなく見えて、でも頼りになる人であること。私がシャーレで活動している理由。美食研究会の奇行に頼もしいところ。ヒフミのアウトローぶり、大人の卑劣な手……

 

退屈しないことは保証できる話です。アキヨ先輩も興味津々で聞いていました。

 

「待て、美食研究会の奴らとなんかすごいことやってなかったか?」

「あー、風紀委員会やカイザーの皆さんを車で撥ねたのは流石に肝が冷えました」

「いやその前だよ、何だヘイローと機械仕掛けの装甲を持ったウン百m級の蛇て。絶対只者じゃないだろ」

「まあそうだと思いますけど……」

 

実際、アレに関しては正体不明ですからねえ。カイザーの皆さんも恐らく出くわした経験があるでしょうけど、シャーレの情報にも挙がっていませんからね。相当レアモノだと思います。

 

「それで、先生はどうやって小鳥遊ホシノを救ったんだ?」

「それなんですけどね……」

 

先生に訊いても「ルールにはルールで対抗した」って言うだけなんですよ、と言いかけた時。

 

「うわぁあああああっ!!?」

 

背後から爆風。ちょっと血の気が多い日常のエントリーです。私が振り返る前に、向かいに座っていたアキヨ先輩が私を強引に机の下へ引き寄せました。

 

「何っ……」

「話は後だ。面倒なのが来ている」

 

土煙の中からぼんやりと見えるのは、王冠型の蒼いヘイロー。

 

「っ……ははは、いやはや、驚いたぞ。最近は強い奴と当たることが多い。店の者!後で弁償しておく、すまん!」

 

見間違いかと思いましたが、否。喋り方、ヘイロー、煙が晴れて見える暗い青髪。細い手足とは似合わない大きな角。

 

「この戦木フキは、これほどまでの敵意……いや、殺意を抱かれたことがない。何者だ……?」

 

確実にフキ先輩です。ゲヘナ最高戦力の一角だった人。近接戦闘能力に秀でた武人です。そのフキ先輩がここへ吹き飛ばされてきた。それも流血を伴って。これは控えめに言って異常事態です。非日常のアンブッシュに改めます。

 

 

フキ先輩はため息をついて制服についた汚れを叩きます。その視線を袖へと移す時、私と目が合いました。

 

「あっ」

「あ」

「おいバカなんで目を合わせてんだよっ背を向けろよ背を!!」

「いやアンタ何言ってんですか人にお尻向けるのってはしたないんですよ!」

 

アキヨ先輩はフキ先輩を面倒極まりない人物だと思っているようです。間違いではないですが。フキ先輩はどさくさに紛れて小声で私たちに話しかけます。

 

「ウレイ……丁度いいところに居てくれたが、ここでは少々よろしくない。河岸(かし)を変えよう。アキヨもだ。これは私たちが知っておく必要がある」

「だから君とは絡みたくなかったんだけどな!……まあ、だいたい見当がつく」

「助かる」

「あの、先生には」

「先生か。それも含めて合流後に決めたい。ポイントは中央第一校舎に1時間後。よろしく頼む」

 

それだけ済ませて、フキ先輩は走って出ていきました。

 

 

 

この時、私の中に一つ予感がありました。

 

とても、とても……危うい予感が。

 

 

 

ゲヘナ1年生の連邦生徒会活動 イベントストーリー

 

Can‘t turn Around

 

 

開幕───

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